新車試乗レポート
更新日:2018.11.06 / 掲載日:2013.08.22
メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗レポート(2013.08.22)

見た目も中身も大幅変更洗練さを極めた新型”E”
Eクラスがビッグマイナーチェンジを受けた。今回は、フロントフェイスを最新のメルセデス流に変更したことに加え、安全装備をより充実化。ひとクラス上の洗練さと走りの性能を手に入れた。

楕円形の角型4灯ヘッドライトから角張ったイメージとなった現行Eクラス。それがデビューから4年が経ち、今年さらに進化を得た。今回のマイナーチェンジはそんなヘッドライトまわりの意匠変更と電子デバイスを中心とした安全装備の追加。“メルセデスらしく”人にやさしく仕上がったといった印象だ。
ではまずその顔だが、ライト部分が大きなヘッドライトカバーに覆われ2灯式となった。いうなれば、あのバブル期に売れたW124型以来の2灯。ただ、そこにはちゃんと新しさもある。ここ数年のトレンドとなるLEDポジションランプがモダンな雰囲気を漂わす。そんな変更の背景には今年登場の予定の新型Sクラスや、人気のCクラスの影響もあるだろう。
このほかのエクステリアデザインは、グリルにバンパー、それにサイドパネルもテールランプもけっこう細かく手が入っている。テールランプユニットの中身までちゃんと変更しているのがメルセデス流だ。
ただ、今回はマイナーチェンジなので内装までは大きく変更していない。アナログ時計もステアリング左側に位置するコラム式のシフトレバーもそのまま踏襲する。乗り換えても同じところにスイッチがあるのがメルセデスの哲学でもある。
次に電子デバイスだが、従来型以降世に出たモデルの技術やこれまであったものの進化版が多数積まれる。5つのレーダーセンサーとひとつのカメラから成り立つレーダーセーフティパッケージや、360度俯瞰でモニタリングできるカメラシステムなどがそれだ。どちらも広範囲でクルマ周辺を監視できるイマドキの安全装備となる。
またこれらを活かして、パーキングをサポートするアクティブパーキングアシストも装備された。しかも、縦列はもちろん、並列駐車までもシフトとアクセル操作だけで完璧にこなすから恐れ入る。並列駐車を実際に体験したが、目で見ても明らかに狭いところにピッタリ納まった。センサーの感度の高さもそうだが、自動操舵の動きもスムースで頼りがいを感じた。このほかにも安全装備は山ほどあるので、あとはカタログをご覧いただきたい。
そんなラインアップだが、スタンダードモデル8種類、AMGが4種類顔を連ねる。スタートプライスはE250の595万円で、ハイエンドはAMG S 4マティックの1780万円(セダン)という幅広い設定だ。注目はE400ハイブリッドと2L直4直噴ターボを積むE250。Eクラス初のハイブリッドとリーンバーン+ターボ+排ガス再循環を世界で初めて組み合わせたエンジンのパワーが興味をそそる。
で、実際走らせてもっとも印象的だったのはやはりその2Lモデル。「本当に2L?」と思えるほど力強く、Eクラスのボディを前へ押し出した。予想以上に低回転域からのトルクが頼もしかったのも驚いたが、スムースな吹け上がりと加速感には満足。しかも、V8やV6と比べエンジンが小さい分クルマの前部が軽く、ハンドリングが軽快になった気もする。おかげで試乗コースのワインディングを楽しく走ることができた。
ハイブリッドは至って上品な味付け。小刻みに変わるエネルギーソースに違和感はなく、すべてがオートマチックに行なわれる。エナジーフローディスプレイに表示される目まぐるしく変わるその状況を眺めていると、完成度の高さが伺える。その意味からも技術の進歩は、新型Eクラスの各部に散りばめられているのがわかった。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合せ メルセデス・コール TEL:0120-190-610
Detail Check
エクステリア

E400 ハイブリッド
Eクラス初のハイブリッド車は3.5L V6 BlueDIRECTエンジンとモーターの組み合わせで低速でEV走行も可能。外観上の違いはないが、モニターと左端のメーターにハイブリッド専用のエネルギーフローが表示される。

ステーションワゴン
ワゴンの積載性のよさはいわずもがな。リヤシートをすべて倒せば広大なスペースが生まれる。段差がなく開口部が広いのが特徴。また、グレードによるが2名がけのフロア格納式サードシートを装備することも可能だ。
コックピット
コックピット
高級感あるデザインはさすがで、夜アンビエントライトを点けるとまた違った雰囲気を持つ。最新装備の情報がメーター内に表示されるのは新しい。
インテリア
インテリア
標準でも十分なシートだが、エクスクルーシブパッケージではナッパレザーも用意。
エンジン
エンジン
直4ターボ、V6、V8ツインターボ、それとV6ディーゼルのほか、AMG V8ターボもある。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
ワゴンとまではいかないが、セダンのラゲッジスペースは広大で、使い勝手も抜群だ。
主要諸元:メルセデス・ベンツ E250 アバンギャルド(7速AT)
全長×全幅×全高 | 4890×1855×1455mm |
---|---|
ホイールベース | 2875mm |
トレッド前/後 | 1580/1585mm |
車両重量 | 1750kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1991cc |
最高出力 | 211ps/5500rpm |
最大トルク | 35.7kg m/1200~4000rpm |
サスペンション前/後 | 3リンク/マルチリンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前・後 | 245/40R18・265/35R18 |
全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2013年3月)
セダン
E250(7速AT) | 595万円 |
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E250 アバンギャルド(7速AT) | 655万円 |
E300 アバンギャルド(7速AT) | 720万円 |
E300 4マティック アバンギャルド(7速AT) | 750万円 |
E350 ブルーテック アバンギャルド(7速AT) | 798万円 |
E350 アバンギャルド(7速AT) | 872万円 |
E400 ハイブリッド アバンギャルド(7速AT) | 890万円 |
E550 アバンギャルド(7速AT) | 1120万円 |
E63 AMG(7速AT) | 1495万円 |
E63 AMG 4マティック(7速AT) | 1520万円 |
E63 AMG S(7速AT) | 1750万円 |
E63 AMG S 4マティック(7速AT) | 1780万円 |
ステーションワゴン
E250 ステーションワゴン(7速AT) | 630万円 |
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E250 ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 690万円 |
E300 ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 755万円 |
E300 4マティック ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 785万円 |
E350 ブルーテック ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 833万円 |
E350 ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 907万円 |
E550 ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 1155万円 |
E63 AMG 4マティック ステーションワゴン(7速AT) | 1557万円 |
E63 AMG S 4マティック ステーションワゴン(7速AT) | 1817万円 |
Body Color
■ブラック □ポーラーホワイト ■オブシディアンブラック ■ドロマイトブラウン ■コベリンブルー ■テノライトグレー ■イリジウムシルバー ■パラジウムシルバー □ダイヤモンドホワイト ■カバンサイトブルー ■ダイヤモンドシルバー ■ヒヤシンスレッド |
さらに進化を遂げた自動ブレーキシステム
いわゆる自動ブレーキシステムがこれ。メルセデスはそれをミリ波レーダーとステレオマルチパーパスカメラで精緻に検知し、高度な自動制御を行なう。今回は歩行者にも反応したり、横から飛び出すクルマも検知したり、コーナーでも追従走行ができたり、リヤにも検知システムをつけ追突されるのに備えたりと、かなり機能的な進化を遂げている。