新車試乗レポート
更新日:2014.11.13 / 掲載日:2012.06.21

メルセデス・ベンツ Bクラス 試乗レポート

メルセデス・ベンツ Bクラス

メルセデスらしさを増した会心のフルモデルチェンジ

新設計のボディ構造にはじまり、余裕の走り、さらに質感を高めたインテリアに至るまで、コンパクトモデルがよりメルセデスらしくなった。そんなことを実感させるのが大変身をして登場した2代目のBクラスだった。

メルセデス・ベンツ Bクラス

 6年ぶりの全面変更をして登場した2代目Bクラスは、欧州ではMPVにカテゴライズされるユーティリティ系のキャラクターを踏襲している。「使えるコンパクト」のコンセプトが、世界的に好評だったからだ。

 しかし、コンセプト以外はガラリと変わった。エンジンやミッションはもとより、リヤにマルチリンク式を新採用したサスやプラットフォームも一新したのだから、「すべてが新しい」と言っても過言ではない。

 そして、見た目の印象も大きく変わった。2重フロア構造をやめて、全高を低くしたことが最大の変化ポイントで、凛々しいマスクやクッキリしたキャラクターラインの採用とも相まって、これまでにないスポーティムードを醸し出している。

 そんな新型に接して、まず気づくのは乗降性の改善。フロアが高い先代とは違い、すんなり乗り降りできるようになった。自然になったドラポジや拡大した頭上高も、パッケージ改革がもたらしたメリットだ。

 また、質感の向上や装備の充実化も新型の自慢で、パーキングアシストリヤビューカメラや、クラス初のレーダー型衝突警告システム(CPA)までを全車標準としている。約30km/h以上で作動するCPAは、前走車や障害物と衝突する危険がある際に、ディスプレイと音で注意喚起するというもの。アダプティブブレーキアシストとの連携により、安全性を大幅に高める先進メカだ。

 なら、自然吸気1.7L+CVTから、直噴ターボ1.6L+7速DCTに全面変更された心臓の実力は?

 B180同士の比較で車重は70kgほど増えたが、動力性能は満足できるレベルだ。116馬力/15.8kgmから122馬力/20.4kgmに性能が強化されたが、とくに1250~4000回転の広範囲で発生する大トルクがものを言っている。

 DCT特有の途切れのない変速感や、高い静粛性も印象的で、トータルとして走りの質感は大きく向上した。シフトモード「E」ではやや力感が薄いが、かったるさは感じさせないころあいの設定。「S」やパドルシフトを使う「M」のモードでは、意外なほどスポーティな走りを楽しむことも可能だ。欧州では156馬力のB200の設定もあるが、B180で十分という結論に至る。

 ECOスタート/ストップ機能の完成度も高く、B180の走りとエコのバランス点は高いところにある。

 次はシャシーについて。ノーマルモデルのほか、17インチタイヤを履く「スポーツ」、18インチを履く「スポーツ・ナイトパッケージ」にも試乗したが、よりバランスがとれているのは「スポーツ系」だった。ノーマルモデルで気になるのは、ステアリング中立の人工的な締め方で、高速ハイペース走行において自然な動きをスポイルしているフシがある。

 どうやら、20mmローダウンのサスを採用した日本仕様は(最大の目的は立体式駐車場への対応だろう)、可変ギヤレシオのダイレクトステアリングを搭載する「スポーツ」とのマッチングがよさそうに思える。

 自然な操舵感だけでなく、ハンドリングの一体感や敏捷性、高速安定性においても、当然のごとく「スポーツ」はより高い実力を備える。新型は全車ランフラットタイヤだが、セレクティブダンピングシステムのおかげか17&18インチでもゴツつきは抑えられているから、走りのスポーティさを求める人以外にも、あえて「スポーツ」をお薦めしたい。

 ノーマルとの価格差は49万円と大きいが、バリューパッケージなどの魅力の装備が標準で備わることを考えれば、十分に納得できるはずだ。

文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合せ メルセデス・コール TEL:0120-190-610

Detail Check

エクステリア

メルセデス・ベンツ Bクラス エクステリア

先代と比べて全長は90mm拡大したが、全高は65mm、ホイールベースは80mm小さくなっている。ワイド&ローの安定感あるフォルムに変身した。

  • インテリア

    メルセデス・ベンツ Bクラス インテリア

  • インテリア

    SL系と共通するデザイン要素を取り入れると同時に、全体の質感を高めたのが見どころ。フロアが低くなったことで、乗降性が改善され、頭上高が拡大した点も見逃せない。ダイレクトセレクト(コラム式シフトセレクター)やボタン式駐車ブレーキを採用するためコンソール部はスッキリしている。

  • エンジン

    メルセデス・ベンツ Bクラス エンジン

  • エンジン

    心臓は直噴ターボの1.6L、ミッションは7速のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)。どちらも新規の開発だ。ECOスタート/ストップ機能も採用し、JC08モードにおいて16.0km/Lの好燃費を実現。エコカー減税に対応した。

  • ラゲッジスペース

    メルセデス・ベンツ Bクラス ラゲッジスペース

  • ラゲッジスペース

    高い実用性は健在で、ラゲッジは486~1545Lの大容量を誇る。最大140mmの後席スライドやリクライニング機構を採用する「イージーバリオパック」も設定されるから、家族ユースやレジャーユースを考えている人は、ぜひ検討したい。

主要諸元:メルセデス・ベンツ
B180ブルーエフィシェンシースポーツナイトパッケージ(6速AT)

全長×全幅×全高4365×1785×1540mm
ホイールベース2700mm
トレッド前後1545mm
車両重量1450kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1595cc
最高出力122ps/5000rpm
最大トルク20.4kg m/1250-4000rpm
サスペンション前/後ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後225/45R18

全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2012年4月)

B180ブルーエフィシェンシー(6速AT)299万円
B180ブルーエフィシェンシー スポーツ(6速AT)348万円

(スポーツナイトパッケージ15万円)

Body Color

 □カルサイトホワイト ポーラーシルバー ジュピターレッド ロータスブルー ※ほか5色あり。

ボディの根本構造から刷新メルセデスの新たなコンパクト

  • メルセデスベンツ Bクラス

  • 初代Aクラス以来、メルセデスのFFコンパクトは、2重フロアと前傾横置きエンジンが特徴の「サンドイッチコンセプト」を採用してきたが、新型Bクラスでボディとエンジンの設計を一新した。だが、安全重視の姿勢は不変で、ユーロNCAPで5つ星の評価を受けている。ボディ全体の約67%にハイテン鋼を使う。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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