新車試乗レポート
更新日:2018.10.31 / 掲載日:2014.08.21

MINI MINI 試乗レポート

MINI MINI見た目では伝わらない進化のレベルは本物

すべてにおいて大きな進化を遂げた新型MINI。しかし、デザインアイデンティティーや楽しさはほぼ不変で、さらにその個性が輝いている。もはやMINIは、クルマを超えたカルチャーだ。

すべてにおいて大きな進化を遂げた新型MINI。しかし、デザインアイデンティティーや楽しさはほぼ不変で、さらにその個性が輝いている。もはやMINIは、クルマを超えたカルチャーだ。

見た目では伝わらない進化のレベルは本物

MINI MINI(背面)

 モデルチェンジというと、ユーザーは新型に「新しさ」を求めるもの。でも、MINIのファンがなにより重視するのは……そう「MINIらしさ」。MINIの開発陣は、そうしたファンの心理をよく心得ている。

 7年ぶりの全面変更を実施して登場した新型は、BMWがMINIを手がけるようになって3代目のモデルだが、今回も内外装は「MINIの文法」に忠実にデザインされている。しかしながら、プラットフォームからの一新だけに、注目すべき変化点が数多く見受けられる。

 まずはパッケージ。新型は全長を95mm、全幅を40mm拡大した。ついに全幅は1.7mを超え、全車が「3ナンバー」となったのだ。最小回転半径は先代と5cmしか変わらないため、実質の取りまわし性に大きな変化はないのだが、「MINIも大きくなったものだ」という印象を抱く。

 もうひとつの象徴的な変化はエンジン。BMW&MINIは、「1シリンダー500cc」の設計を基本とする新世代ユニットを柱に据える計画だが、新型MINIクーパーの心臓もその路線に沿った展開となった。クーパーが積むのは3気筒1.5L、クーパーSが積むのは4気筒2Lで、どちらも「ツインパワーターボ」と称する直噴ターボの技術を採用する。

MINI MINI(側面)


 ただし、メリハリがあった先代の加速フィールと比べると、刺激性が薄れた印象も……。扱いやすさやゆとりを増強した代わりに、ホットハッチの心臓らしい「キターッ!」というドラマチックさは少し犠牲になった感じ。それが2L化の功罪だが、「乗りやすくて速い」のだから、多くのファンが歓迎することだろう。

 なにしろ、SPORTモードを選択すれば、エンジンはより活気づき、オーバーブースト時にはなんと30.6kgmのトルクを生むのだから、「もっと刺激がほしい」というケースは希なはず。滑らかな回転フィールや高度なクルージングの静粛性も光るところで、全体に走りの質感をレベルアップさせている。

 なら、ハンドリングの実力は?プラットフォーム一新にともなってホイールベースやトレッドを拡大し、サス設計を見直した新型は、基本からシャシー性能を引き上げている。加えて、新たに導入した電制ダンパー採用のダイナミックダンパーコントロール(オプション)も、期待どおりの効果を発揮している。

 多くのファンがクーパーSに求めるのは、伝統の「ゴーカートフィーリング」だろうが、新型もフットワークの切れ味は鋭い。足が硬めのセットとなり、操舵力が重くなるSPORTモードではムダな動きがさらに減少し、よりダイレクト感のあるハンドリングを楽しませてくれる。

 だが、ペースをどんどん上げていくと、ノーズヘビーを意識する場面も出てくる。また、試乗車が履いていたハンコック製の17インチランフラットタイヤ(標準設定は16インチ)は、剛性感とグリップレベルがややもの足りない印象だった。

 ということで、ハンドリングには熟成の余地がありそう。でも、乗り心地に関しては、手放しで進化を歓迎する人が多いはず。低速域においてもゴツつきを抑えることで、新型は快適な乗り味を実現している。「走りも、快適性も」が望みなら、ぜひダンパーコントロールを選択したい。

文●森野恭行 写真●内藤敬仁
問い合わせ MINIカスタマー・インタラクション・センターTEL:0120-3298-14

Detail Check

  • コックピット

    MINI MINI コックピット

  • コックピット

    見するとキープコンセプト。だが、スピードメーターの位置をハンドルの奥に変更し、中央には8.8インチディスプレイを配置。見やすさと操作性を改善した。

  • エンジン

    MINI MINI エンジン

  • エンジン

    クーパーSは排気量を1.6Lから2Lへと拡大。もちろん直噴ターボ仕様で、192馬力/28.5kgmとパワフルな仕上がりになっている。

  • インテリア

    MINI MINI インテリア

  • インテリア

    一段と質感を高めたインテリア。居住性については「後席足元や肩周りが少し広くなった」と実感する程度の改善だが、3ドアハッチとしてのマストな利便性と快適性は備えている。

  • ラゲッジスペース

    MINI MINI ラゲッジスペース

  • ラゲッジスペース

    「狭い」という評価だった荷室は、51Lの増量により211Lにまで容量をアップ。後席は2人掛けだが、分割可倒は6対4の比率。シートを倒せば長尺物や大きな荷物も積める。

主要諸元:ミニ クーパーS (6速AT)

全長×全幅×全高3860×1725×1430mm
ホイールベース2495mm
トレッド前/後1485/1485mm
車両重量1270kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1998cc
最高出力192ps/5000rpm
最大トルク28.6kg m/1250-4600rpm
サスペンション前/後ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ前/後Vディスク
タイヤサイズ前後195/55R16

全国メーカー希望小売価格(2014年3月・2014年4月)

MINI ワン(6速MT/6速AT)226万円/240万円
MINI クーパー(6速MT/6速AT)266万円/280万円
MINI クーパーS(6速MT/6速AT)318万円/332万円

Body Color

 □ペッパー・ホワイト  ボルカニック・オレンジ ムーンウォーク・グレー ブレイジング・レッド
 ミッドナイト・ブラック ブリティッシュ・レーシング・グリーン
※ほか5色あり

ダウンサイジングの最先端 3気筒ターボの実力

 「ダウンサイズターボ」のトレンドに乗って、新型クーパーは新開発の1.5L 3気筒を積んで登場した。性能は136馬力/22.4kgm。先代の自然吸気1.6Lは122馬力/ 16.3kgmだったから、「さすが直噴ターボ」という能力の向上だ。加えて、JC08 モード燃費値も15.4km/Lから17.9km/Lに改善している。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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