新車試乗レポート
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2014.03.20
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント 試乗レポート

高い評価と熱い注目を集める7代目ゴルフ。
後を追って登場したワゴンボディのヴァリアントは、期待を大きく上まわる見事な仕上がりを披露した。
改めて、ゴルフの品質の高さを思い知らされた。
ゴルフのモデルチェンジは、いつの時代もクルマ界に大きな衝撃をもたらすもの。とくに、VWが「MQB」と呼ぶ、開発と生産における大胆なモジュラーコンセプトを採用した7代目「ゴルフVII」の登場は、特大の話題を提供することになった。その完成度は驚くほどで、Cセグメントに止まらず、クルマ全体の評価基準をひとつ上のレベルに引き上げたといっても過言ではない。
でも、VWは進撃の手をまだ緩めない。わずか半年のタイムラグで、ワゴンのヴァリアントを日本市場に送り込んできたのが、その証拠だ。
ゴルフIIIの時代に加わったワゴンモデルは、ずっとCセグ・ワゴンのベンチマークとして君臨してきただけに、クルマづくりは手慣れたもの。リヤオーバーハングを延長することで、Dセグ・ワゴンにも負けない荷室スペースを確保しながら、スタイルもバランスよくまとめている。
ハッチバック(GTIを除く)と同様に心臓は2タイプで、コンフォートラインには105馬力/17.8kgmの1.2L TSI、ハイラインには140馬力/25.5kgmの1.4L TSIを積む。いうまでもなく「ブルーモーション」で、全車にスタート/ストップ機構とブレーキエネルギー回生システムを搭載する。
気になる価格は、コンフォートラインが269万5000円、ハイラインが322万5000円。プリクラッシュブレーキシステムや9エアバッグなどの充実した安全装備はコンフォートラインにも標準なだけに、大いに迷う選択となりそうだ。
多くの人が気にする動力性能に関しては、1.2L TSIでも十分に合格点をつけられる。ハッチバック比で車重は60kgほど増加しているが、発進・加速の印象は意外なほどキビキビ。1.8L並みのトルクと、エンジンを回し気味に走ってもノイズレベルが大きく高まらない特性がカギで、十分な満足度をもたらす。

でも、積載時の力強い加速感や、高速クルーズでの余力といった、ゆとりを求めるなら1.4L TSIがお薦めとなる。どんな場面でも頼もしい走りを提供するだけでなく、エンジン回転を低く保てるから静粛性の面でも明らかに有利。ヴァリアントに最適な心臓と言えるだろう。
ゴルフヴァリアント
なら、シャシー性能はどうか?ハッチバックと同様に、リヤサスは1.2Lモデルがトーションビーム式、1.4Lモデルがマルチリンク式だが、どちらも高いトータルバランスを備えている。タイヤが16インチということもあり、コンフォートラインのハンドリングは穏やかなしつけ。だが、高速走行では欧州車らしい高度な安心感をもたらし、峠道でスポーティなドライビングを楽しむだけの潜在能力も持つのだから、「さすがゴルフ」と感心してしまう。
対するハイラインは、17インチタイヤを履くこともあって、よりしっかり感が際立つ走りの味つけ。コーナリング限界やハンドリングの正確性は、スポーティワゴンと位置づけられるほどのレベルにある。電制デフのXDSが、「曲がる」能力を高めていることがより実感しやすいのも、ハイラインだと言っていい。
また、リヤ荷重の変化が大きいワゴンの場合、空荷の乗り心地も気がかりな点だ。新型ヴァリアントは、両モデルともリヤサスの硬さは意識させず、良質な乗り心地を提供してくれるから安心していい。
そして全体の印象。ハッチバックと比べて挙動がマイルドで、ゆったりした乗り味が楽しめるヴァリアントは、家族でドライブを楽しむのにぴったりのモデル。新型も、多くのファンに支持されるのは間違いない。
文●森野恭行写真●北川 泉(メインカット)、GooWORLD
問い合わせ フォルクスワーゲン カスタマーセンターTEL:0120-993-199
Detail Check
ヴァリアントはワゴン作りの文法に忠実。ハッチバックをベースにリヤオーバーハングを310mm延長することで、大きな荷室を生み出した。
コックピット
コックピット
「ゴルフVII」となり質感は一段と向上。ピアノブラック加飾パネルを採用するハイラインは、とくに高級感のある仕上がりだ。インパネ中央に収まるのは8インチタッチディスプレイ採用の「Discover Pro(オプション)」。ナビ機能も統合している。
エンジン
エンジン
2.5L並みの大トルクを発生する1.4LのTSIユニット。少し残念なのは、ハッチバックで採用のACT(気筒休止)が採用されないこと。とはいえ、JC08モード値で19.5km/Lと、燃費は優秀だ。
インテリア
インテリア
ホイールベースを先代より60mm拡大することで、後席の居住性を改善。快適度を大きく高めた。ハイラインはスポーツシートを標準で装備し、レザー張りのパワーシート(写真)をオプション設定する。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
定員乗車で605L、2人乗車で1620Lの大容量を誇る。先代比約100Lの増量なのだから、進化は明確なものだ。後席シートバックは6対4分割で、便利なアームレストスルー機能も採用している。
主要諸元:フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント TSIハイライン(7速AT・DSG)
全長×全幅×全高 | 4575×1800×1485mm |
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ホイールベース | 2635mm |
トレッド前/後 | 1535/1510mm |
車両重量 | 1380kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1394cc |
最高出力 | 140ps/4500‐6000rpm |
最大トルク | 25.5kgm/1500‐3500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/4リンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/45R17 |
全国メーカー希望小売価格(発売・発表 2014年1月)
ゴルフヴァリアント TSIコンフォートライン(7速AT・DSG) | 269万5000円 |
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ゴルフヴァリアント TSIハイライン(7速AT・DSG) | 322万5000円 |
Body Color
■パシフィックブルーメタリック ■トルネードレッド ■タングステンシルバーメタリック ■ナイトブルーメタリック □ピュアホワイト ■ディープブラックパールエフェクト ■リフレックスシルバーメタリック □オリックスホワイトマザーオブパールエフェクト ほか3色 |
LOOK AT IT

新型ゴルフは、話題のシティエマージェンシーブレーキを標準で装備するだけでなく、全速度域においての衝突回避・被害軽減を図るプリクラッシュブレーキの機能も備えている。加えてハイラインは、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシスト(カメラはフロントガラス上部に設置)も標準で装備する。安全に対する備えはバッチリだ。