新車試乗レポート
更新日:2024.03.27 / 掲載日:2024.03.27
LSDで限界突破!? 新型ロードスター公道テスト
LSDを装備し、安定性も限界性能も進化
サイバーセキュリティ強化に伴い、電子制御系だけでなく、走りや機能面でも大幅改良がされたロードスター。中でもS以外のMTモデルに採用された新LSDが大きな見どころだ。新たなボディカラーやグレードも設定するなど、新型と呼ぶに相応しいロードスターを早速試乗してきた。
●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之
MAZDA 新型ロードスター試乗記
MAZDA 新型ロードスター
●登場年月(最新改良):’15年5月(’23年10月)
●価格帯:289万8500〜430万8700円
●問い合わせ:☎︎0120-386-909(マツダコールセンター)

クルマを操る楽しさ
一体感がさらに一段上へ
今回のMCの裏事情はサイバーセキュリティの強化に伴う電子制御系の一新。この機に各方面のバージョンアップも施すこととなった。機能面の改良点で最も大きく変わったのはADAS関連。ACCがS及びNR-Aを除くオープン仕様(1.5ℓ車)とRF全車に設定され、停車保持機能はないもののAT仕様では全車速追従型となっている。運転ストレス軽減という面で従来車以上に長距離ツーリング適性が向上している。
もうひとつの注目点はライトウェイトスポーツカーとしての走りの進化だ。パワートレーンでは国内ハイオク対応専用制御による1.5ℓ車の出力増や制御プログラムの変更によるレスポンスの向上などの変更が加えられている。もっとも、この辺りは小改良の範疇。ファントゥドライブへの影響という点ではMT車限定になるものの新型LSDの導入が見逃せない。減速側と加速側の差動制限力が異なる1.5ウェイ式LSDなのだが、一般的な設定とは逆に減速側の制限力が高いのがミソ。また、MT車のDSCには危険性の高いスピン状況以外の介入を抑えたトラックモードを設定し、限界走行のファントゥドライブと安全の両立を図った。
基本的にロードスターは「曲がりたがり」だ。回頭や方向が落ち付かないと言い換えてもいい。とくに緩減速でその傾向が強い。ある意味でそれは操る手応えでもあるが、洗練されたハンドリングとは言い難い。ところが新型LSDを装備した新型は無駄に鼻先が動かない。減速ターンインでも回頭の収束がよく、望んだ車体スリップアングルでラインに乗っていく。4輪のストレス配分のコントロールのよさを維持しながら挙動収束や減速から加速への挙動の繋がりがよくなっているのを体感できる。サスチューニングが変更されたかと錯覚するほどだ。ファントゥドライブの洗練度が高まったと言い換えてもいいだろう。
ビルシュタインを組み込んだRF・RSよりもオープンの標準サス仕様のほうが新型LSDの効果が分かりやすく、乗り心地と操安性の両立という視点でも効果的。ルーズに思えたサスチューンも挙動収束が良くなればアレンジする楽しさとして前向きに捉えられる。ロードスター愛好家にしてみれば色々悩ましくも魅力的なマイナーチェンジである。

主要諸元(S Leather Package V Selection) ●全長×全幅×全高(mm):3915×1735×1235 ●ホイールベース(mm):2310 ●最低地上高(mm):140●車両重量(kg):1030 ●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC(136PS/15.5kg・m) ●トランスミッション:6MT ●WLTCモード総合燃費:16.8km/ℓ ●タイヤ:195/50R16







