新車試乗レポート
更新日:2024.02.27 / 掲載日:2024.02.27

スバルの最新最良!? レヴォーグ レイバック公道試乗

最新&最良モデルの実力をCHECK!

リフトアップで悪路走破性を強化することで、スポーツワゴンからSUVへ。大きくキャラを変えたことで好調なスタートを切ったレヴォーグ レイバック。その走りの実力を確かめる機会がやってきた。ミドルSUVに一石を投じそうな新世代スバル車の魅力を確認してみよう。

●文:川島 茂夫/●写真:奥隅 圭之

SUBARU レヴォーグ レイバック公道試乗

SUBARU レヴォーグ レイバック Limited EX 価格:399万3000円

●主要諸元(Limited EX) ●全長×全幅×全高(㎜):4770×1820×1570 ●ホイールベース(㎜):2670 ●トレッド【前/後】(㎜):1560/1570 ●最低地上高(㎜):200 ●車両重量(㎏):1600 ●パワーユニット:1795cc水平対向4気筒ターボ(177PS/30.6㎏・m) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R)タイヤ:225/55R18

違うのはカタチだけじゃない
走りもレヴォーグとは別物
 レヴォーグ レイバック(以下レイバック)は、どんなモデルなのか? シンプルにいってしまえば、インプレッサからクロストレックを生み出した手法を、そのままレヴォーグに当てはめて開発されたモデルだ。別モデル扱いとはいえ、その実態はレヴォーグのバリエーションのひとつで、スポーツ&ツーリング向けの最上級モデルを”STIスポーツ”とするならば、レイバックはツーリング&レジャー向けの最上級モデルになる。
 レイバックに宿る走行性能の要点のひとつはパワートレーンだ。搭載する1.8ℓターボは、スバルボクサーエンジンの中でも最もロングストローク型のユニット。最高出力は過給エンジンにしては控え目の177PSだが、30.6㎏・mの最大トルクを1600〜3600回転の低回転域から発生する。速さよりも扱いやすさを重視した特性で、実際に走らせた印象も同じ。まさにツーリング&レジャーに最適なエンジンに仕立てている。
 中高速の巡航回転数は1500〜2000回転。最大トルク発生域の広さに加えて、変速比幅の大きなCVTとの相乗効果もあって、緩やかな登り勾配や加速でもエンジンの回転数を大きく上げることなくこなしてくれる。感覚としてはトップギヤを維持したままの運転感覚にも近い。
 当然、アイサイトに備わるACCとの相性も良好で、ACC制御のコンフォートモードを選択していれば、交通量が多く流れの速度変化が大きめの道路状況でも、ゆとりをもって追従走行を行ってくれる。
 今回の試乗では、ACCを作動させて長い距離を走ってみたが、車載計が示す燃費はWLTCモードの高速燃費を上回る、約17km/ℓだった。アイドリングや頻繁な加速が増えると、燃費の落ち込みが強まる傾向はあるものの、悠々とした余力感と扱いやすさを考えれば良好な結果と思える。ハイブリッド車を除けば、かなりの優等生といえる。

乗り心地に優れた
フットワークにも好感
 フットワークは、操安性も乗り心地も、ドライバーや同乗者に優しいタイプ。段差などでの当たりは少々強めだが、長時間走行してもストレスが少ない。安定した挙動も印象的だ。
 クロストレックを筆頭に、最新世代のスバル車は、操る手応えよりも、修正操舵を少なくさせるような、いい意味での遊びを残した操縦感覚を武器にしている。細かな挙動に神経を尖らせ、正確な修正を要求する特性とは対象的であり、切れ味とか俊敏さは控えめだ。
 だが、それがレイバックの走りの良さを実感できる理由のひとつだ。路面のうねりや加減速に対しても方向性の乱れは少なく、コーナーでのラインコントロールも、旋回半径に応じて舵を入れればいい程度の感覚。悪く言えば鈍感なタイプとも言えるのだが、それは曖昧という意味ではない。しっかりと狙ったラインに乗せながらも、ドライバーに極度の緊張を強いない特性は、確実に運転疲労の軽減に繋がっている。
 インテリアは、加飾の多少の違いはあるものの、レヴォーグとほとんど変わらない。SUVとしては座面地上高が低く、アイポイントもレヴォーグより5㎝高いくらい。見晴らしの良い視界を求めてSUVを選ぼうというユーザーには物足りないかもしれない。しかし、最低地上高は200㎜と、ミドルSUVの中でもトップクラス。スバルSUVの定番機能「X-MODE」は採用されていないが、デフやトランスファーなどのハードウェアは、悪路走行も前提とした設計。今回は悪路を走る機会がなかったが、多少荒れた林道くらいならまったく問題にしない。
 キャビン&荷室の広さやユーティリティもレヴォーグと同じ。それゆえSUVとしては室内高は低めだが、平面スペースはミドルSUVとして十分な広さが確保できている。高さのある荷物は少々苦手だが、積載性も上々だ。
 レヴォーグとレイバックは、走りの質を追求していることは同じだが、クルマを意のままに走らせるような”操る楽しみ”を重視しているレヴォーグに対して、レイバックは、走りそのものを楽しむ”ツーリング”の比率が明らかに大きい。しかも、ツーリングの範囲は未舗装路まで拡大できており、さらにはオールシーズンが対象となる。悠々と走らせるための実用動力性能や、穏やかに走らせる巡航時の燃費の良さ、ドライバーにも同乗者にもストレスの少ない乗り味など、レヴォーグの1バリエーションというにはもったいない、独自の魅力がある。全道路全天候ツアラーとして要素をバランスよく備えた設計が与えられたことで、誰でも気ままにクルマ旅が楽しめるモデルであるのだ。

フットワークは一人の乗車ではバネ感が強めだが、コーナリングで負荷が大きくなるとしなやかにストロークしてくれる。どちらかといえばスポーティ寄りだが、ドライバーや乗員に負担を感じさせない、上級モデルらしい安心感も感じることができる。
搭載している1.8ℓターボは、低中回転域からトルクが伸びるタイプながら、高速巡航での伸び感も良好。回さなければ燃費もキチンと伸びてくれる。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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