新車試乗レポート
更新日:2024.02.04 / 掲載日:2024.02.01

【レクサス LBX】クラスを超えた上質な室内、想像を超えた走り

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 昨年6月にイタリア・ミラノで行われたメディア向けイベントでお披露目されたレクサス LBX。ヨーロッパでの販売に弾みをつけたいとばかりに、コンパクトモデルを彼の地でアンベールした。日本の国内発表&受注開始は11月で、その後12月に発売を開始し、今回のメディア向け試乗会にたどり着いた。その意味ではこれまで何度も写真は見ているので、実車を目前にしてもそれほど新鮮さはない。とはいえ、レクサスにとって重要なモデルだけに中身は気になる。いったいどんな走りを見せてくれるのか。

塊感と動物のような躍動感のあるデザイン

LBX Relax

 スリーサイズは、全長4190mm、全幅1825mm、全高1545mmとなる。ワイドは若干広めだが長さが短いのがわかる。まさに流行りのコンパクトSUVとして日本やヨーロッパでの需要に見合うような寸法だ。プラットフォームはGA-Bを採用。これはいわゆるTNGAのレクサス版で既存のコンパクトカー用プラットフォームを補強し、高い運動性能を実現する。TNGAはプラットフォームをつくる上での概念なので、その辺はお間違いなく。社内基準となる数値をクリアした高い剛性のプラットフォームと考えていい。

LBX Relax

 デザインは彼らの新たなフロントフェイス“ユニファイドスピンドル”が目に付く。その姿は有機的で今にも走り出しそうな印象だ。リアフェンダーの膨らみもそう。後ろ足で地を駆る動物のように見える。ボディ全体に塊感を感じるのもそんな理由だろう。

インテリアはクラスを超えた高級感がある

LBX Relax

 といった躍動的なエクステリアに対し、インテリアは「クラスを超えた高級感」を旗印につくられた。ダッシュボードやコンソールにスイッチ類は少なくシンプルにデザイン処理されているし、ダッシュやドアトリム、シートのレザーは質感にこだわった仕上がりをしている。この辺はハイエンドモデルのトレンドに通じる出来栄えだ。RXやNXといったアニキ達とはサイズこそ違え、それらに匹敵する高級感を持ち合わせている。オーダーメイドシステム“Bespoke Build”なんかを用意しているのもそう。内装色やシート素材、刺繍パターンを決めて、自分だけのオリジナルをつくれるらしい。

走り出しからスムーズで心地いい

LBX Relax

 パワーソースは1.5リッター直3ガソリンエンジンをメインにしたハイブリッドとなる。駆動方式はFWDを基本形とし、E-FourのAWDも選ぶことができる。試乗車のタイヤサイズは駆動方式に関わらず前後225/55R18。メーカーは共にYOKOHAMA ADVAN V61を履いていた。

 では走りだが、最初にステアリングを握ったFWDは、走り出しからスムーズで気持ちよかった。アクセルに対する加速はこれまでより断然リニアで、気になるほど時間差はない。パワステにクセはなく、ハンドリングも軽快だ。想像通りボディ剛性は高く、一体感があるのがいい。きっとこの辺の足のセッティングは下山テストコースで鍛えたのだろう。最近乗ったレクサスの中で一番軽快な走りだ。

 乗り心地は多少細かいピッチングは発生する。とはいえ、プリウスのそれよりずっと気にならないレベル。あちらは時速50キロ前後の常用域でそれが目立ったが、LBXはその速度域をうまく消していた。今回17インチタイヤに乗っていないが、もしかしたらそちらはもっといい乗り心地なのかもしれない。

LBX Relax

 気になった部分は、エンジンスタートボタンを押してから起動までに少し時間がかかったり、バッテリーを充電するためにエンジンが1500回転まで上がると音がうるさかったりする点などがある。ファイアウォールを厚くすれば解消されるのだろうが、重量削減の面でそれは叶わなかったのかもしれない。

 おもしろいと思ったのはエンジンの起動直後にモニターに360度回る映像が映し出されること。発進前の注意喚起に役立っている。それとヘッドアップディスプレイのピクトグラムにも目が止まった。ここで情報が取れるようになると、ひと目で何の情報かがわかるアイコンは重要だ。

LBX Relax

 では次に乗ったE-FourのAWDだが、こちらもまた走り出しはよかった。アクセルの踏みしろに対するリニアなレスポンスが気持ちいい。が、個体差なのかわからないが、ステアリングは切り始めから重いのが気になった。スピード域が上がってくるとそうはなくなるが、街中では確実に重い。あえてそうしているのか不透明だが、どうなのだろう。

まとめ

 というのがLBXのファーストインプレッション。走りに関しては事前に想像していた以上によかった。FWDもE-Fourもリニアな加速と軽快なハンドリングが感じられる。あとはやはり“味”だろう。この走りにオリジナルの味付けができればレクサスのブランドバリューはまた一つ上がるような気がする。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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