新車試乗レポート
更新日:2023.08.03 / 掲載日:2023.08.03

【フォルクスワーゲン ID.4】電気自動車の走りが楽しいってどういうこと!?

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス

 突然ですが、フォルクスワーゲンのクルマの駆動方式ってどんなイメージでしょう?

 「もちろん後輪駆動。エンジン搭載位置は車体後部で……」。という人もいるかもしれませんが、そんな人はきっと古い「ビートル」が好きとか、マニアックなフォルクスワーゲンに詳しい人ではないでしょうかね。

 おそらく、一般的には前輪駆動というのがフォルクスワーゲンのクルマの駆動方式のイメージでしょう。同社の柱となっている「ゴルフ」もそうだし、人気コンパクトカーの「ポロ」だってもちろん前輪駆動。さらに上のクラスの「パサート」だってそうですしね。ときどき、「ゴルフR」や「ティグアン」「トゥアレグ」など前輪駆動から派生したタイプの4WDもありますが、フォルクスワーゲンといえばだいたいFF(フロントエンジン・フロントドライブ)と思っていいでしょう。

電気自動車だからこそ可能な室内の広さ

車体の下まわりを見学。空気抵抗を減らすための試みが数多く施されていた

 というわけで、一般的な前輪駆動を基本とするフォルクスワーゲンですが、「IDシリーズ」はちょっと違います。

 IDシリーズとは同社の電気自動車ファミリーのこと。車名は「ID.+数字」で表します。日本で販売されているのは2022年11月に発売された「ID.4」というミドルサイズのSUVで、全長4585㎜と同社のガソリン車でいえば「ティグアン」と同じくらい。パワートレインのバリエーションは一充電の航続距離が435kmで170psのモーターを組み合わせた「Lite」と618km/204psの「Pro」が用意されています。

 そんなID.4は車体もEV(電気自動車)専用設計。実は見た目でもそれを感じられる要素があって、車体を真横から見るとボンネットが短く、車体の長さに対してキャビンの前後長が長いんですよね。

 何を隠そう、これはエンジンがないから実現できた、エンジン車には真似できないパッケージング。メリットは室内が広いことです。

後輪車軸より車体中央よりに搭載されるモーター。エンジンでいうところのミッドシップだ

 パッケージングといえば、ID.4で驚きなのはモーター搭載位置。モーター搭載位置はエンジン車では一般的な車体前部……ではなく車体後部。とうぜん後輪駆動です。つまり、FFを定番とするフォルクスワーゲンが、EVでは後輪駆動としてきた。なんとことでしょう。

 そのうえ、モーターは車体後部に装着しているのも特徴的です。

 メカ好きとしてはリヤモーター(正確に言えば後輪の前に置くのでミッドシップ!)の後輪駆動というだけで興味津々ですが、前輪駆動ではなく後輪駆動を採用した理由は、「ハンドルを大きく切れるので車体サイズの割に小回りがきくし、走りも後輪駆動のほうがドライバビリティに優れる。でも、パッケージングは前輪駆動のほうが有利で室内を広くできるのでフロントエンジンの前輪駆動としていた。しかしモーターはエンジンより小さいので居住スペースや荷室容量を狭くせず後輪駆動が作れるから、後輪駆動を選んだ」なのだとか。

 電気自動車になると、いろんなパッケージング革命がおこるものですね。それにしても後輪駆動とは。

 「これはしっかりアピールしないと」……と思ったかどうかは定かではありませんが、フォルクスワーゲンから「公道では試せないような走りをテストコースで確認してもらうイベントをやるので乗りに来ませんか?」というお誘いがあったので、出かけてきました。テストコースで、限界領域を含めて走ってID.4をもっとよく知ってください、というわけです。

すべりやすい上り坂での発進性能がスゴい!

散水して雪道などを再現する設備で登坂性能を試す

 まずはタイル張りにした路面の上に水を撒いて雪道と同じくらい滑りやすい状態にした上り坂での坂道発進。常識的に考えれば、後輪駆動では雪道でこれだけ傾斜がある場所での坂道発進なんてできない。これは後輪駆動だからではなく、前輪駆動でも同じで、登れるのは4WDくらいです。実際に「ティグアン」の前輪駆動モデルでは坂の途中で一時停止すると坂道発進できずに、後ろへ降りるしかありませんでした。

 ……なのですが、ID.4はちゃんと上がるから驚き。4WDではなく後輪駆動なのに。「ホントは4WDなんじゃないの?」というくらい衝撃です。これはビックリ。

 ティグアン(ガソリンFF車)で無理だった雪道同等路面での坂道発進がモーター駆動の後輪駆動でできたのはどうしてか?

 スリップを検知すると出力をコントロールしトラクションを最大限に伝える緻密な制御(エンジン車にはその緻密さはとても真似できない)のおかげ……と思ったら、VWのスタッフによると「それもあるけど、大きな理由は前後重量バランスがいいから」なのだそうで。なるほど、そういうものですか……。さすがリヤモーターの後輪駆動。

曲がるのがこんなに楽しいなんて

 「いままで気が付かなくてゴメン」とID.4に謝りたくなったのが、タイトな峠道のように右へ左へ曲がるドライ路面での運転の楽しさ。

 これまで公道試乗時はこんな走りを試さなかったから気が付けなかったけれど、ID.4がこんなに素直に動くとは。なによりいいのはハンドリング特性がニュートラルなこと。俊敏すぎず、かといって鈍くもなく、挙動にヘンな癖がないから、狙ったラインをトレースするように走れる。こんなに気持ちよく走れるなんて……新しい発見でした。素直に楽しい。

楽しいといえば、スラローム。さらに、なんとドリフトまで楽しめた

雪道を想定したすべりやすい路面では、ID.4のコントロール性能の高さが光った

 楽しいといえば、濡れて滑りやすくしたスラロームの挙動も後輪駆動らしい操る喜びを味わえました。スタビリティコントロールを切って、曲がりこむときにアクセルを多く踏み込めばテールスライドしてノーズがスッとインを向く。この瞬間が気持ちいい!

だけどスタビリティコントロールがしっかり効くからテールスライドしてもスピンはしないから安心。その塩梅がいい感じで、思わず笑顔になれます。

 フォルクスワーゲンの電気自動車でドリフトを楽しめるわけなんてない……きっと多くの人が思っているはず。ボクだってそうでした。

 だけど今回の大きな収穫は、このID.4はドリフトができて、とっても楽しいということ。試乗メニューとしては特殊路面を濡らして雪道と同じくらいの滑りやすさにした円形コースを走って、滑りやすい路面の限界領域を確かめることでした。

 しっかりは発進するのか? しっかりと舵が効くか? 安定性は高いか? そしてスピンしないか?……雪道で後輪駆動と言えば、コントロールが難しいと思っている人も多いことでしょう。「それをしっかりチェックしてください」というわけです。

 もちろん、ID.4はいずれもまったく問題なし。車両自体の前後重量バランスの良さのおかげで挙動が素直で、加えて車両の姿勢を安定させる制御があるからアンダーステアで曲がらないとか、後輪駆動だから簡単にスピンする……なんてことはまったくありませんでした。

 しかし、気づきはそれだけにとどまりません。さらにわかったこと。それはドライバーの腕次第ではしっかりドリフトが楽しめるということでした。ドリフトアングルをつけすぎるとスタビリティコントロールが効いて強制的に安定させられてしまうけれど、ギリギリ角度をつけて後輪を滑らせるといい感じにドリフトを維持できる。それをコントロールするのが気持ちよくて、ここだけの話ですが、時間が終わるまで何度も何度も楽しんだほど。フォルクスワーゲンの EVでドリフトって……超楽しい!! 

滑りやすい路面での挙動が素直だから安心。そして楽しい

ID.4は、滑りやすい路面でも安心して運転できるだけでなく、操る楽しさもそなえていた

 というわけで今回の限界領域体験は、フォルクスワーゲンとしては「後輪駆動だけど滑りやすい路面でも安心」ということを言いたかったに違いありません。もちろん、それはしっかりと確認できたし、不安なく滑りやすい路面を走れることは十分にわかりました。

 でも、そのうえで感じたのは「ID.4って楽しいじゃん」ってこと。クルマの挙動が素直だから運転していて気持ちよく楽しい。まるでスポーツカーのようなハンドリングに驚きました。

 正直言って、ID.4でこんなに気持ちよくドリフトして遊べるとは想像もしていませんでした。でもEVで走りの楽しさを語るのも、アリじゃないでしょうか。

 何が言いたいかというと、運転好きなら、やっぱり運転が楽しいクルマを選びたいですよねってこと。それはEVだって同じじゃないでしょうかね。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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