新車試乗レポート
更新日:2023.05.04 / 掲載日:2023.05.04

スバル レヴォーグが「e-TUNE」で走り激変!? 試乗インプレ

最新「SUBARU」魅力大全!〜理想の走りを貪欲に追求する、愛すべき異端児の「今」に迫る〜

SGPモデルの大ヒットもあって国産屈指の人気ブランドに成長を遂げたスバル。その成功にあぐらをかかず性能向上を第一とする野心的なアプローチは留まることを知らず、毎年のように最新技術を惜しみなく投入している。今回はそんなスバルの現行ラインナップに注目。オンリーワンを名乗るにふさわしいモデルの魅力をお教えしよう。

●文:川島茂夫 ●写真:(株)SUBARU

SUBARU レヴォーグ「e-TUNE」試乗インプレ

現行レヴォーグSTIスポーツ系グレードを対象に提供される電子制御ダンパープログラムのアップデートサービス。提供価格が手頃なこともあって、気になるオーナーも多いはず。サスの動きの違いで走りはどのように変わるのだろうか?

電制サスのリアル性能は
制御プログラムの出来次第

 メーカーによって名称は異なるが、一般的に”電子制御サスペンション(電制サス)”と呼ばれているのは、ダンパーの減衰力制御を電子制御化したタイプになる。ダンパーは、サスストローク速度の抑制や収束を高めるパーツであり、減衰力が高ければ操縦安定性を重視したハード設定、低ければ乗り心地寄りのソフト設定になると大まかに考えていい。

 コンベンショナルなバネサスだと減衰力は一定にせざるを得ないのだが、電子制御サスならば、直進時はソフト、コーナリングや高速走行ではハードという具合に設定を可変させることで、本来は背反要因になる操縦安定性と乗り心地の両立を実現することができる。

 長らくスバルは電子制御サス(ダンパー)を採用していなかったが、現行レヴォーグの登場時にSTIスポーツ系に初導入した。システムとしては、減衰力を制御するオリフィス(オイル流路)の可変機構にリニアソレノイドを採用することで、常時オイル流量の制御を可能としている。

 もっとも、ハードとして電子制御サスが優秀であっても、その効果をどれほど引き出すのかはプログラム次第。制御プログラムの違いが走りにも大きく影響する。

新車購入者だけではなく
既存オーナーも対象
 今回、レヴォーグSTIスポーツ系に新たに展開する「e-TUNE」は、この電制サスの動きを新しくする制御プログラムだ。

 ディーラーで販売されるOP(オプション)サービスという位置づけで、新車時だけではなく、すでにレヴォーグを購入したオーナーでも、後から導入できることがポイント。カスタマイズ用語としてはROMチューンに近いが、ROMチップを交換するのではなく、制御プログラムの書き換えで提供される。

 目的としては、ユーザーの志向や好みの違いを狙った別のカスタマイズプログラムという位置づけ。標準プログラムの制御特性のほうが良ければ戻すことも可能。ディーラーOP設定にしているのもこのためだ。

 価格は3万3880円(エンブレム代含む・工賃別)。工賃込みでおおよそ4万円の費用が目安になる。プログラムの書き換え作業の他に「e-TUNE」バッヂも装着される。お得かどうかは新制御プログラムの特性が気に入るかどうかだが、走行性能を追求するOPとしてはお手頃な価格。自らの理想の走りを求めるユーザーにとって、気軽に試せる面白いサービスが登場したわけだ。

従来制御と明確な違い
走る楽しみの幅が広がった
「e-TUNE」の開発コンセプトは、大まかに言えばコンフォートモードがさらに乗り心地を追求、一方、スポーツモードはさらに操縦安定性を高めるというものだ。

 だが、実際に走らせてみた印象は少し違う。コンフォートモードでは操安性の落ち着きぶり、スポーツモードでは粗さが減った乗り心地の良さが印象深く、さらにコンフォートとスポーツのハンドリング特性の変化ぶりも、予想よりも少ない。どちらのモードでも直進時は上下動が柔らかく動き、コーナリング時はロール抑制が強めに感じる。

 標準の制御プログラムだと、制御モードで違いはあるものの、上下動もロール規制も一緒に制御されるような感覚が強く、制御精度はともかく、制御思想は一昔前の電子制御サスを思わせる。標準のコンフォートモードは切れ味の良い初期回頭特性、スポーツモードは強い路面当たりが印象に残るのだ。

 個人的には、サスやハンドリング、パワートレーンを任意で選べるインディビジュアルモードにセットして、コンフォートモードを基準にパワステアシストをノーマル、パワー制御をエコに設定する組み合わせが快適。レヴォーグの大きな魅力であるツアラー性能がより体感できるからだ。

 正直、「e-TUNE」を標準の制御プログラムにしても良いのでは?と思ったが、従来の標準設定が持っている、路面感覚の強さや軽快感の演出という面に魅力を感じるユーザーは多く、それゆえに純正アクセサリーとして提供する流れになったとのこと。

 いずれにせよ、レヴォーグを選ぶならば、「e-TUNE」も導入したくなる。走りの質を求めるオーナーにとって魅力的な選択肢になるだろう。

SUBARU技術最新事情

SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)

より高い車体剛性を実現した第二世代に移行中
SGPは基本設計の共用化を図ったスバルの新世代プラットフォーム。現行ラインナップに導入済みで、各モデルそれぞれがコンセプトに応じた設計変更を可能としつつ、衝突安全や操安性に関わる基本構造の設計の共用化を進めている。現在は第二世代ともいえる車体組立時に車体骨格部を先行して組み付けて車体剛性の向上を狙うフルインナーフレーム構造への移行も進んできている。

EyeSight(アイサイト)

運転支援機能の充実に加えて日常域での安全性も重視
 ADAS危険検知や測距にステレオ&単眼カメラを用いている。限定的な自動運転機能までカバーするアイサイトXでは近距離検知にレーダーやソナーも用いるが、アイサイトの主機能はステレオカメラで賄っている。最新仕様は交差点等の歩行者や自転車との接触事故回避機能も充実。日常用途での安全性向上に積極的なことも特徴だ。

最新のアイサイトは、ステレオ&単眼カメラ+ レーダーセンサーを用いて障害物検知を行う。前側方向から接近する車両に対しても素早く対応できるなど、基本機能も大幅に進化している。

シンメトリカルAWD

走りのスバルを体現する、揺るぎないアイデンティティ
 水平対向エンジンと縦置FFをベースとしたスバル独自の4WDレイアウト。パワートレーンの配置の問題でフロントオーバーハング重量が大きくなるのが難点だが、左右の荷重配分の均等化という面では有利。また、水平対向エンジンは前輪周りのロール荷重軽減にも有効なので、操安面でメリットも大きい。不整地路、雪路のみならず舗装路でも違いが分かるメカニズムだ。

コーナー時に緻密なブレーキ制御を組み合わせることで、クルマが外に膨らむことを抑制するアクティブ・トルク・ベクタリングなど、走りの質を追求する機能の進化も積極的だ。

水平対向エンジン(CB18型)

優れた実用性と走る喜びを両立した新世代ターボエンジン
 スバルの水平対向エンジンで最もロングストローク型のボア×ストロークと直噴ターボを組み合わせた新世代エンジン。実用域から太いトルクを発生するダウンサイジングターボの特徴と高回転時の心地よさを兼ね備えている。低中速域でも扱いやすい動力特性は省燃費にも有利であり、パワー/実用性/燃費の三拍子が揃っていることも魅力。

ドライブ好き、必見! SUBARU公式アプリ「SUBAROAD」体感リポート

●文:月刊自家用車編集部

ドライブ好きならば落として損なし
 2021年12月のリリース以来、順調にドライブコースも増えており、現在配布されている最新バージョンでは全国の有名観光地を巡る10コースまで拡大している。
「感動ドライブ」をキーワードに、スバルのドライブ好きが自信を持って選んでいるだけに、いずれも面白いコースが揃う。試乗した千葉/房総コースは走り応え十分のワインディング路が続く、レヴォーグを走らせる楽しさを体感するにはもってこいのルート。アプリが案内してくれる名所やコースは「初めて知った」というものも多い。
 なお、アプリに収録されるコースも順次拡大予定で、目標としては日本全国47都道府県に最低1つずつのオススメコースを用意したいそうだ。

SUBARORDはドライブ好きのスバルオーナーのために開発されたアプリ。スマートフォン単独でも起動が可能。スバルオーナー以外も楽しめる。
風光明媚な棚田の(大山千枚田)や人の手で素掘りで掘られたトンネル(奥米隧道)など、眺めて楽しい観光名所が巡ることができた。

●詳しくはこちら https://sdi-lab.jp/subaroad/

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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