新車試乗レポート
更新日:2023.04.07 / 掲載日:2023.04.07

新型トヨタ・プリウス 高速遠乗り実力チェック!上質な加速性能に迫る!

【今、本当に乗りたい&買いたいクルマ】2023年春、狙うべき実力モデルはこれだ!

装備充実かつ走りも上々というのが、最近のクルマ選びのトレンド。実際、ライバルより一歩秀でた魅力を持つモデルは、このあたりをしっかりとおさえていることが多い。今回はそんな独自の魅力を持つ、“乗りたい&買いたい”オススメ車をお届け!

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

上級クラスにも負けない良質な走り。国産屈指のツアラーモデルに大進化

TOYOTA プリウス

●価格帯:275万円〜460万円
●登場年月(最新改良):’23年1月(’23年3月)
●問い合わせ先:0800-700-7700(トヨタ自動車お客様相談センター)

プリウス Z(FF)
●車両本体価格:370万円
●ボディカラー:エモーショナルレッドⅡ(有料色:5万5000円高)

■主要諸元 (Z FF)
●全長×全幅×全高(㎜):4600×1780×1430 ●ホイールベース(㎜):2750 ●車両重量(㎏):1420 ●パワーユニット:1986㏄直4DOHC(152PS/19.2㎏・m)+モーター(83kW/206N・m) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:28.6㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:195/50R19

エコ一辺倒から脱却
万能タイプに正常進化

 初代の登場から早25年。プリウスの成功が約束された2代目から数えても20年となる。もはや環境性能はクルマの必須要件のひとつであり、プリウスはその流れを決定づけた存在。ハイブリッド車の普及を力強く牽引した功績はとても大きい。

 だが、ハイブリッド車の本格普及が進んだこともあって、プリウスは環境性能のリーダーではなくなった。そんな状況下での5代目の投入になる。

 トヨタの他モデルと同様に、プリウスも代を重ねるごとにスポーティやファントゥドライブの要素を加えていたが、それでもエコと燃費が基本という姿勢は崩していない。だが、5代目は主従逆転とまでは言わないが、走りの味や質感という部分が、エコと同じくらいの重みを持つように仕立てられている。

2ℓハイブリッドの投入は
時代に合わせた最適な選択

 そう実感させてくれる第一のポイントは、2ℓハイブリッド車の投入だ。エンジン自体の出力が向上しただけではなく、駆動モーターもパワーアップしており、エンジンは+54‌PS、モーターは+41‌PS向上。そのシステム最高出力は196‌PSまで引き上げられた。

 実際、全開加速だとプリウスらしからぬ速さが実感できるほど。低中速でのダッシュの利きよりも高速域での加速の伸びやかさのほうにパワーアップの効能を感じるが、全域で速さも余力感もアップしている。特に高速での追い越し加速時の余裕はこれまでのプリウスの印象とは明らかに違う。

 新型でも引き続き1.8ℓハイブリッド車を選べるが、そのシステム最高出力は140‌PS。乗り比べてみると数値以上の違いがある。1.8ℓ車でも車格相応のゆとりがあるので、エコカーとしてのまとまりの良さは依然としてトップレベルだが、2ℓ車の力強さに比べると物足りなさを覚えるのも事実だ。

 急加速時のエンジンフィールにストレスを感じないことも2ℓ車の長所だ。回して楽しいというほどではないが、伸びやかな加速感を生み出す一助になっている。パワー/スポーツモードにセットするとペダルコントロールに多少気を使わされるが、モードのキャラ付けからすれば程よいレベル。エコやノーマルモードなら、相変わらず燃費と同乗者にも優しい滑らかな運転感覚ということも、従来からのプリウスオーナーにとって馴染めるポイントだ。

 余力感も増すだけに走行中の精神的なゆとりも倍増。上級セダンを求める向きにも2ℓハイブリッド車が大きなアピールポイントになるのは間違いない。

 フットワークは「雰囲気を漂わせる」くらいのスポーツ度を持つことが印象的。けっしてスポーティではないが、穏やかな乗り味は良質なツアラーのような安心感を感じさせてくれる。乗り心地や転がり抵抗の面で少し気になっていた195/50R19の大径低扁平のタイヤ設定も問題ない。

 燃費も、同乗者にも優しい運転がしやすいことは、このクラスのモデルにとって重要な要素。力強くなっても無駄の少ない走りがしやすいことは新型プリウスの要点のひとつだ。

運転をサポートする
支援機能もトヨタ最新仕様

 内外装のパッケージングの進化も、新型を語る上で外せない要点のひとつだ。

 エクステリアは2代目以降のプリウスのデザイン要素を継承しながら、新趣向の4ドアクーペ風のデザインに再構成されている。低い全高とCピラーの傾斜がきつくなることもあって居住性に厳しくなるはずだが、ルーフラインの工夫により先代と大差ない後席居住性を獲得している。

 コックピットまわりも歴代プリウスの中でも最もスポーティな印象。アイランドアーキテクチャーと名付けたメーターまわりのレイアウトは、表示系や操作系が無駄なく配置されており馴染みやすい。特にメーターは古典的なスポーツ感とは一線を画している。

 これら先進感あるスタイリッシュな内外装は、いかにもプリウスにふさわしい選択だが、それでいて実用性のバランスの取り方が絶妙ということも見逃せない強みだ。

 加えて、装備面もトヨタの最新機能が投入されていることも選ぶ立場としては心強い部分。特に安全&運転支援機能はトヨタ系モデルの最新仕様であり、タウンユースでも長距離ツーリングでも最高レベルの機能でドライブをサポートしてくれる。

 ゆえに一目惚れで選んでも的外れにならない安心感もある。従来までのプリウスが理性で選ぶクルマなら、現行型は直感や心情で選ぶクルマに生まれ変わったのだ。

2ℓ車は浅い踏み込み時の加速反応も良好。さらに高負荷加速でももう一伸びが加わる。登坂や高速巡航での余力感が明らかに良くなっている。
もともと4代目(先代)で、GA-Cシャシー&ダブルウィッシュボーン式サスを採用したことで、走りの質感は大きく向上していたが、新型はその魅力をさらに正常進化。良質のツアラーモデルとも戦える出来栄えだ。
トヨタセーフティセンスの運転支援機能(ACCやLTA)が最新世代にアップデートしたこともポイント。ロングドライブ適性が高まったことも見逃せない。
2ℓハイブリッドのエンジンは、熱効率に優れるダイナミックフォースエンジンを採用。エンジン+モーター合算のシステム最高出力は196PSを発揮する。
先代も穏やかな乗り心地の良さを武器にしていたが、新型はロールの細かな揺れ返しや車軸周りの揺動がさらに減少。上級モデルに迫る快適性を手に入れている。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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