新車試乗レポート
更新日:2023.02.06 / 掲載日:2023.02.06

【新型プリウス】HEVとPHEVの違いを乗り比べてチェック!

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 新型プリウスを公道試乗した。前回はショートサーキットだったので興味は募る。サーキットの場合どうしてもアクセルやブレーキの操作が荒くなってしまうので、スタビリティの高さは理解してもクルマのキャラはわかりづらい。その意味で今回は新型プリウスの本来の姿を窺い知ることができるだろう。乗り込んだのは2リッターガソリンエンジンを積むハイブリッドのE-FourとFFだ。

スポーティなルックスの新型、乗ったらどう感じる?

プリウス HEV(19インチ装着車)

 まずはドラポジだが、サーキットでも実は気になっていたのだが、ステアリングチルトの範囲が狭い。身長180cmのワタクシの場合もう少しハンドルを上方向へずらしたいところだ。が、そこまで動かないので少し下目に持つ。戦闘機のようなイメージのポジション。しかも、一番上だと目線先にあるメーター下部がステアリングホイールに被るのが現状。よってより戦闘態勢にならなくてはならない。意図的か? それとステアリングホイールが太いのも気になった。ドライビングフィールを精緻にドライバーに伝えたいのであればもう少し細いのが理想的だろう。単純に太いグリップの時代は終わった。

 それ以外は好印象。ボンネットが低く設定されていて視界は広い。後方視界に関しては後ろの窓が寝ているのでサーキットではルームミラーの視野は狭かったが、今回の公道用試乗車はミラーではなくモニターだったのでその部分のネガティブさは払拭された。技術が進めばデザインの自由度が上がる一例である。

プリウス HEV(19インチ装着車)

 では走り出した印象へと移ろう。アクセルに対するパワーの出方は従来型より明らかに上がって力強く頼もしい。これまではそれがなかったのでどうしてもアクセルを乱暴に踏み込まなくてはならなかったが、見事に改善された。ブレーキもそう。アキュムレーターを介さない仕組みを導入したことで、ダイレクト感が高まっている。この辺もまたコモディティではなく“愛車”としてつくられた結果だろう。

プリウス HEV(19インチ装着車)

 コーナリングもグッド。そこはサーキットでも感じた部分で、ステアリングの初期操作に対して反応が早い。これはボディ剛性が高まったからだろうが、かなり意図的な味付けにも思える。今回は“走り”に注力したのだからコーナーでのスタビリティの高さは重要なカギとなる。

 それじゃいいことばかりなのかと言えば、そうでもない。“走り”を強調した新型のアッパーグレードは19インチホイールを履く。見た目にスポーティさを表現するためだが、乗り心地の面で罪を感じる。具体的には、街中の標準的な速度域で細かいピッチングが起きる。路面の整備されているところはともかく、少しでもアスファルトが荒れていると、身体を上下に揺さぶる。座っているヘソのあたりを意識するとよくわかるだろう。ただ、高速道路に入り高い速度域になるとピタッとおさまる。周波数が合うのかどうかわからないが、フラットライドとなる。

17インチのソフトな乗り味に癒される

プリウス HEV(17インチ装着車)

 これに対しエントリーグレードにある17インチは出だしから乗り心地はとてもいい。細かい入力はすべてバネ下で吸収してくれる。

 その違いを帰り道に考えていたが、簡単に言えば19インチは硬く、17インチはソフトといった乗り味。まぁ、大径ブームも一巡したし、個人的にはこれからは小径の肉厚タイヤがよろしいのではと思う。まだ、どこのメーカーもそれをマーケットに提案していないからね。今やればトレンドセッターになれる。

 それに今回のサイズをよくよく見るとタイヤ幅は細い。つまり、面圧が高くしっかりトラクションをかけられるのが特徴。そこまで鑑みても17インチという選択はアリだと思う。

ハイパフォーマンスモデルの立ち位置になったPHEV

プリウス PHEV(プロトタイプ)

 さてここまでは通常のハイブリッドシステムの話だが、今回は3月に発売を予定しているプラグインハイブリッドモデルのプロトタイプにも試乗できた。トピックスはEVモードの走行距離を延ばし、よりBEVに近づけたこと。それをサーキットで少しばかり動かした。試乗したのは新旧プラグインハイブリッドモデルのEVモードとハイブリッドモードとなる。

 総じて言えるのは、走りがナチュラルに仕上がっている。どのモードでもそうで、アクセルに対する反応に違和感はない。特にEVモードでのフィーリングは秀逸で、先にリリースされたHEVよりも自然だ。ガソリン車から乗り換えても馴染むのはPHEVの方だろう。コーナーでは多少重さがある分サーキットでは振られる感がなきにしもだが、そこはチカラでねじ伏せる。コーナー出口に向かってガツンと踏み込めば、姿勢を整え気持ちよく駆け抜ける感覚だ。

プリウス PHEV(プロトタイプ)

 といったのが新型プリウスの公道試乗云々だが、このクルマに関してはマーケットの反応が気になる。単純にかっこよくなったのだから注目は浴びるが、乗り換え需要はどうなのか興味深い。今、名古屋駅前のミッドランドスクエア一階に新型プリウスは飾られているが、写真を撮る人は多い。彼らはカスタマーなのか。スマホをかざす人々を目にするとひとりひとり声をかけたくなった。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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