輸入車
更新日:2021.09.07 / 掲載日:2021.09.04

フォルクスワーゲン特集/選ぶなら、どのフォルクスワーゲン?

新型ゴルフの外観

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年10月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年8月調べ。
先行受注でも申し込みが殺到した新型ゴルフが、いよいよ6月に正式デビュー。大幅に進化したゴルフに注目が集まるのはもちろんだが、今年はパサート、ティグアンのマイナーチェンジ、そしてアルテオンにシューティングブレークの追加があるなど、ラインアップの商品力がそれぞれ強化されている。今月はそれらをチェックするとともに、フォルクスワーゲンの次世代戦略、気になる中古車情報では、GTIシリーズに絞ってご紹介します!

[NEW VOLKSWAGEN GOLF]新たにデジタルインターフェースを採用!

新型ゴルフの運転席

 新型ゴルフは、10.25インチの液晶ディスプレイを採用したデジタルメータークラスターを全車に標準装備。そのとなりにインフォテインメントシステムを配置しすっきりと、そして新しいコックピットを実現した。視認性、操作性とも、次世代を感じさせてくれる。

大物のフルモデルチェンジに見るフォルクスワーゲンの底力

新型ゴルフの走行イメージ

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
長年ハッチバックモデルのベンチマークと言われ続けたゴルフ。近年ではID.3の登場もあり、存在感をどう確保していくのか注目されていたが、出たらビックリ! その進化は我々の想像を超えていた。

電動化とデジタル化をテーマとした新型

 世界中で販売されているVWは、あらゆるエリアのレギュレーションに対応しなければならない。そこで、ここ数年はエンジンのダウンサイジングを積極的に行ってきたが、これからは電動化とデジタル化がテーマになるようだ。
 8世代目となる新型ゴルフは、それを象徴している。パワーソースにVW初となる48Vマイルドハイブリッドを採用。要するにモーターによるアシストを取り入れたのだ。  具体的には1L直3と1.5L直4という2つをラインアップするTSIユニットにそれを組み合わせた。ベルト駆動式ジェネレーターがスターターとしての役割を果たすほか、加速をアシストするのだ。ほかのドイツブランドがすでに取り入れている今流行りの手法である。VWは今回からそれを“eTSI”と名付けたので知っておくといいだろう。電動アシストなのかそうでないのかがひと目でわかる。
 グレードはこの2つのエンジンの装備違いがそれぞれあって、トータルで4つとなる。スタートプライスは300万円を切って設定された。また、2つのエンジンでリアサスペンションが異なるのもポイント。1Lエンジンはトーションビーム、1.5Lエンジンはマルチリンクが装着される。違いは乗り心地のよさとコーナリングでのスタビリティだが、実際に走らせるとトーションビームの出来のよさに驚かされる。街中からワインディングまでネガティブさはほぼ感じなかった。
 エンジンの印象はというと、1Lユニットでかなり満足のいく走りが得られる。スタートはもちろん、中間加速でのモーターアシストが排気量以上のパワーをドライバーに与えるのだ。このモデルの上手な走らせ方は、7速DSGのシフトレバーをDレンジからSレンジにして走ること。これで体感的パワー不足をほぼ解消できる。
 1.5Lモデルに関していえば、今回の箱根周辺の試乗コースで不満は微塵もない。モーターがアシストする走りは排気量以上。言うなれば、1.8Lくらいのパワーを感じる。ダウンサイジングターボユニットはモーターアシストを加えたことで、最終形に近づいたと思える。
 このほかのトピックスはデジタル化があげられる。最新世代の通信モジュール搭載のインフォテインメントシステムとデジタルメータークラスター“デジタルコックピットプロ”だ。後者はメーター位置にある10・25インチの液晶ディスプレイのことで、今後フォルクスワーゲンのデフォルトになるモノ。視線をずらさずにさまざまな情報が取れるのが利点で、実際に使いやすさを実感。
 また、ドライバーの負担を軽減するという意味では“ドライバーアシスタンスシステム”も今回重要な要素だろう。同一車線内全車速運転支援システムの速度域は広がり、ステアリングの握りも静電気を感知する方式となったので強さは必要なくなった。ほかにはドライバーが意識を失ったときにクルマを緊急停止させるシステムも搭載される。
 まさに最新技術てんこ盛りの新型ゴルフ。ベンチマークの進化がクラスを引っ張っていくことになるのは間違いない。

Profile
自動車ジャーナリスト
九島辰也
長年にわたり男性ファッション誌や一般誌でも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

New model research-1[フォルクスワーゲン ゴルフ]

新型ゴルフのリア

フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI Rライン (7速AT・DSG) ●全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm ●ホイールベース:2620mm ●車両重量:1360kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1497cc ●最高出力:150ps/5000-6000rpm ●最大トルク:25.5kgm/1500-3500rpm ●新車価格:291万6000円~375万5000円(ゴルフ 全グレード)

新型ゴルフのインテリア

インテリアの印象はシンプルさが際立つ。スイッチ類はモニターの階層内に移動された。またシフトレバーがかなり小さくなったのがわかる。キャビンとカーゴのスペースはご覧のとおり。大人5人の乗れるキャビンはさすが。シートを倒せば大きな荷物を積める。

新型ゴルフのエンジンルーム

こちらは1.5L直4ユニット。エンジン自体はコンパクトだが、マイルドハイブリッド関係の補器類が場所を埋める。インテークの長さは特徴的。

[フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント]しっかり使えるワゴンにも注目したい

新型ゴルフ ヴァリアントの外観

 7月28日にヴァリアントが日本でも発売となった。国内では8年振りのモデルチェンジでワゴンとして6代目。基本設計とパワートレインはハッチバックと同じだが、全長が従来型より長くなり居住性と積載性をアップした。

大人も大満足の充実したラインアップ

 今年はまさにVWの当たり年と言ってもいい。前ページの8代目ゴルフのほか、4月にパサートファミリーのマイナーチェンジの発表とゴルフトゥーランの仕様変更をアナウンスし、5月にティグアンをマイナーチェンジ。そして、7月にはアルテオンを進化させシューティングブレークを追加している。
 注目はなんといってもアルテオンだろう。VWらしからぬ? 色気のあるフォルムが印象的で、既存のVWファンはもとより、他ブランドからの乗り換え客もたくさん獲得した。「らしからぬ?」がポジティブに反応した稀有なパターンだ。
 その意味でも、このクルマの仕様変更は難しいと思われた。なぜならデザインの完成度が高すぎて手を加えにくいからだ。が、最新モデルと対面してひと安心。これまでのイメージをしっかり残しながら見事に新しさを加味している。
 具体的には特徴的なグリルのイメージをキープし、LEDヘッドライトユニットをリデザイン。ひと目でアルテオンとわかるからニクイ。リアもそうで、LEDテールライトクラスターとVWバッジに手を加えている。そして目玉はシューティングブレークの追加。流れるようなフォルムを保ちながらカーゴスペースを設けたのだから素晴らしい。久しぶりの美しいワゴンだ。
 エンジンは、2L直4ターボとなる2.0TSI。最高出力は272馬力で、7速DSGと組み合わされる。駆動方式は4MOTIONだ。日本仕様はひとまずこれ一本で、装備違いでグレードが構成される。
 では実際に走らせた印象だが、総体的に乗り心地のよさを強く感じた。アダプティブシャシーコントロール“DCC”が走行状況に応じてドライバーの要望に応えてくれる。特に“コンフォート”での高速道路走行がグッド。クラス以上のクルージングを体感させてくれた。 “スポーツ”もなかなか。軽快なハンドリングと合わせ、ゴルフのハッチバックのような運動性能を見せる。大きいサイズを感じさせない。これはクルマ好きにはうれしい仕上がりだ。
 そんなアルテオンの走りを堪能した後、次にステアリングを握ったのはパサートである。こちらもエクステリアデザインに手を入れ新しさをアピールする。アルテオンよりはおとなしいが“攻め”の印象もないことはない。
 今回1.4TSIに代わり1.5TSIを搭載したのはニュース。こちらはゴルフに搭載された同じユニットだが、モーターのアシストはないのでご了承を。このほかには2L直4ディーゼルの2.0TDIもある。こちらは新たに7速DSGと合わせたのがミソ。素早いシフトチェンジのレスポンスでスポーティさを前面に押し出す。購入への最後の一押しになるのは最新の運転支援システムだろう。内容は新型ゴルフにかなり近いので確認してほしい。
 以上が最新のVW事情。デザインに統一性が出てきてファミリーを感じさせながら、それぞれに個性を与えている。新世代VWはかなりクールな印象だ。ポップな色彩が似合うコンパクトモデルもいいけれど、こういう大人が乗れるVWも魅力的といえるだろう。

New model research-2[フォルクスワーゲン アルテオン シューティングブレーク]美しさと積載性を上手にバランス

アルテオン シューティングブレークの外観

フォルクスワーゲン アルテオン シューティングブレーク TSI 4MOTION エレガンス(7速AT・DSG) ●全長×全幅×全高:4870×1875×1445mm ●ホイールベース:2835mm ●車両重量:1750kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1984cc ●最高出力:272ps/5500-6500rpm ●最大トルク:35.7kgm/2000-5400rpm ●新車価格:567万9000円~644万6000円(アルテオン 全グレード)

 英国式のネーミングで登場したシューティングブレーク。Bピラーから後のシュッとしたフォルムが特徴的で、パナメーラスポーツツーリスモを思い出させる。大人が乗れるスポーツワゴンといったところだ。ユニークなのは5ドアハッチバックとディメンションが同じところ。ともに全長4870mmにとどまっているのはうれしい。都心でも扱いやすそうだ。

アルテオン シューティングブレークのインテリア

レザーをふんだんに使ったインテリアが高級感を醸し出す。「エレガンス」ではウッドパネルを、「Rライン」ではアルミニウムパネルをダッシュボードのアクセントに使用している。

アルテオン シューティングブレークの真横イメージ

大径ホイールがよく似合う。エントリーモデルには19インチ、それ以外は20インチを装着。

New model research-3[フォルクスワーゲン パサート オールトラック]よりアクティブで頼もしい1台

パサート オールトラックの外観

 クリーンディーゼルの2.0TDIとフルタイム4WDの4MOTIONを組み合わせたのがこのオールトラック。スタンダードモデルより最低地上高を上げロードクリアランスを稼いでいる。とはいえ、全高は1555mmに抑えられるので、背の高いSUVより車庫の問題は少なく、運動性能も上まわるはず。新型はDSGが7速になったのもグッドニュースである。

パサート オールトラックのインテリア

フォルクスワーゲン パサート オールトラック TDI 4MOTION アドバンス(7速AT・DSG) ●全長×全幅×全高:4785×1855×1535mm ●ホイールベース:2790mm ●車両重量:1740kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1968cc ●最高出力:190ps/3500-4000rpm ●最大トルク:40.8kgm/1900-3300rpm ●新車価格:552万9000円~604万9000円(パサート オールトラック 全グレード)

New model research-4[フォルクスワーゲン ティグアン]マイナーチェンジで完熟の味わい

ティグアンの外観

 ミッドサイズSUVとして人気の高いティグアンは今年5月にマイナーチェンジした。エクステリアはブラッシュアップされ、パワートレインは1.5TSI +7速DSGが搭載される。最新の運転支援システムとインターフェイスも搭載。また今年後半スポーツバージョンのティグアンRが上陸することもアナウンスされた。そちらは2.0TSIで320馬力を発揮する。

ティグアンのリアとインテリア

フォルクスワーゲン ティグアン TSI Rライン(7速AT・DSG) ●全長×全幅×全高:4520×1860×1675mm ●ホイールベース:2675mm ●車両重量:1520kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1497cc ●最高出力:150ps/5000-6000rpm ●最大トルク:25.5kgm/1500-3500rpm ●新車価格:407万9000円~684万9000円(ティグアン 全グレード)

日本未導入のT-Rocカブリオレ[OPEN SUV]非日常を満喫するオープンSUV

T-Rocカブリオレの外観

文●ユニット・コンパス 写真●フォルクスワーゲン
時代によって変化するクルマのスタイリング。現在最も人気なのが、SUVであるのは言わずもがな。閉塞感のある今だからこそ気になる、オープンタイプのSUVを紹介。

日本に導入されていないT-Rocの派生モデル

 いまや乗用車のメインストリームとなったSUV。各社から個性豊かなSUVが多数登場しています。そうなると、他ブランドとの差別化を目的にした派生モデルが生まれるのは当然の流れ。すでにデザイン優先の流麗なルーフラインを備えたクーペSUVが、トレンドセッターとして登場してきています。
 じつは日本未導入ながら、VWでもSUVのバリエーションモデルを展開しています。それがこちらのT-Rocカブリオレ。欧州では2019年に発売されたユニークな2ドアソフトトップSUVです。
 緯度の高い欧州地域では昔から日差しに対するニーズが高く、日光浴も好まれます。なのでスポーツカーだけでなく、実用車にもオープンカーがたくさん設定されてきました。日光を浴びると「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが生成され、精神を安定させ、幸せを感じやすくなるといわれています。
 コロナ禍が続く日本においても、クルマは移動可能なパーソナルスペースとして脚光を浴びています。街中ではルーフを閉じて安全に移動、出かけた先では屋根を開け放って解放感を満喫できるオープンSUVは、人気になるのかもしれません。
 かつてのゴルフカブリオレの現代版として、乗ってみたい1台です。

T-Rocカブリオレのソフトトップのルーフイメージカット

ルーフにソフトトップを採用したことで軽快なシルエットを獲得。ゴルフカブリオレを思い起こさせるデザイン。

  • T-Rocカブリオレの真横イメージカット

    オープンであるだけでなく、2ドアなのもT-Rocコンバーチブルの特徴。クーペモデルならではのスタイリッシュなサイドビューを作り出している。

  • T-Rocカブリオレのリアカット

    T-Rocコンバーチブルは4人乗りで、ソフトトップは最大30km/hでの走行中も開閉可能。こんなクルマでビーチサイドを走ったら開放的でたまらない!

電動化時代を見据えた新しい赤[RED]

電動化時代を見据えた新しい赤[RED]のイメージカット

文●ユニット・コンパス 写真●フォルクスワーゲン
クルマが与える印象に大きな影響を与えるボディカラー。とりわけ赤は、高い性能やスポーティであることを示す色として注目されてきた。

高性能EVのために開発されたボディカラー

 色は、我々の心に大きな影響を与える要素。クルマを購入する際にユーザーが重視するポイントとして、つねにボディカラーは上位にあります。そこで自動車メーカーは、色のスペシャリストであるカラーデザイナーという役職を作り、つねに時代にあった新しい提案ができるボディカラーを開発しています。
 フォルクスワーゲンは、EVのハイパフォーマンスモデルとして「GTX」というブランドを立ち上げました(日本未導入)。そのイメージカラーとして選ばれたのが赤。赤はパフォーマンスやパワーを表現する色として世界的に人気があります。フォルクスワーゲンの歴代モデルでも、ハイパフォーマンスモデルには赤がワンポイントとして印象的に使われてきました。
 ボディカラーとしての赤色も、高性能モデルとともに進化してきました。初代ゴルフGTIのマーズレッド、ゴルフII GTI16VやゴルフR32に採用されたトルネードレッドは、そのなかでも特に印象的なものといえるでしょう。
 今回開発されたキングスレッドメタリックは、電気自動車時代においても感情や運転する喜び、ハイパフォーマンスモデルを操る興奮が失われていないことを表現しています。キングスレッドは、二層ベースコートを採用。着色顔料と赤色にコーティングされたアルミ顔料が、深い彩度と強い明るさを表現。水性塗料であるため環境負荷も低いところも、新時代にふさわしいボディカラーといえるでしょう。

世界の「赤」に対する印象を調べたイメージ図

赤は強さと活力を象徴する色として世界中で人気がある。だが、地域ごとにそのニュアンスは微妙に異なってくるという。それらを把握するのも大切な仕事。

カラー・トリムデザイナー Mareike Hackbarthさん

カラー・トリムデザイナーであるMareike Hackbarthさんは、IDシリーズのボディカラーを担当している。

色の開発を進めているイメージカット

VWはパフォーマンスモデルのためにコーラルレッド、バイアレッド、フラッシュレッド、サルサレッドなどさまざまな色を開発してきた。そしてこの度、新しい赤である「キングスレッド」を開発した。

VWグループの2030年戦略[自動車を再発明する「NEW AUTO」戦略]

フォルクスワーゲングループ 最高経営責任者 ヘルベルト・ディース氏

文●ユニット・コンパス 写真●フォルクスワーゲン
VWをはじめ、アウディやポルシェなど強力なブランドを擁するVWグループ。その戦略が明らかになった。「NEW AUTO」と名付けられた新戦略は、自動車のあり方が大きく変わることを予感させるものだった。

内燃機関から電気自動車そしてモビリティ社会へ

 自動車とパーソナルモビリティには明るい未来が開けている。
 そう断言したのは、フォルクスワーゲングループの最高経営責任者であるヘルベルト・ディース氏。現地時間7月13日に開催された2030年までの戦略を披露するプレゼンテーション「NEW AUTO」では、VWグループが今後進む道について具体的な説明が行われた。
 「ソフトウェアをベースとする、これまで以上に抜本的な次なる変革は、より安全で、スマートで、そして最終的には自動運転車両への転換です。それは、私たちにとって、テクノロジー、スピード、スケールメリットが、さらに重要になることを意味しています。自動車には、明るい未来が開けています!(フォルクスワーゲン日本向け広報サイト資料より抜粋)」
 今後、グループ全体に4つの電動化プラットフォームを導入することでスケールメリットを拡大。これらはさらに統合され、将来的には製品ポートフォリオ全体を1つのアーキテクチャに統合する計画だ。そして、ユーザーのデジタルライフをシームレスにつなげる自動車用ソフトウェア スタックを開発、さらに自動運転とモビリティ サービスへの投資を継続するという。
 自動車会社からモビリティグループへ。新しいクルマ社会へと巨人はその歩みを早めている。

NEW AUTOのプレゼンテーション

「NEW AUTO」と命名された新戦略のプレゼンテーションは、現地時間7月13日に行われた。

VWグループの電動化モデル販売イメージ図

VWグループの電動化モデルは想定を超える売れ行きを見せている。2021年前半では17万台を納入。これは前年同期に比べて2倍以上の成長率となる。

  • VWの新車運搬イメージ

    VWでは新車の運搬にCO2排出量の少ないLNG(液化天然ガス)船を活用している。2020年に2隻が就航し、さらに現在4隻を製造中。

  • ID.シリーズのソフトウェアイメージ

    ソフトウェア指向で開発されているID.シリーズは、パフォーマンスの調整と改善を行うソフトウェアアップデートがOTA(Over-the-Air)で行われる。

ID.シリーズに新型SUVクーペ登場[着々と広がるEV時代のVW]

ID.5 GTXのイメージカット

文●ユニット・コンパス 写真●フォルクスワーゲン
持続可能性のあるモビリティ社会に欠かせないのがカーボンニュートラル。そこに邁進するVWでは、次々に電気自動車のニューモデルを発表している。日本導入は未定だが、まずはそのフォルムとパフォーマンスに注目したい。

加速するEVシリーズに美しいクーペSUV登場

 急激にEVへのシフトが進む自動車業界。なかでも欧州は、電動化トレンドの中心として内燃機関から電気自動車への転換を進めている。そのなかでも素早いスタートダッシュを決めたのがVWだ。
 VWは、2019年に本格的な市販EVの第1弾モデルとしてハッチバックタイプのID.3を欧州で発売。その後2020年にコンパクトSUVのID.4を追加した。電動化時代へのスタートとして、2段構えで臨んだ形となる。さらに2021年4月には、EV版GTIともいうべき「GTX」シリーズの存在を明らかに。第1弾モデルとしてID.4 GTXをリリースした。ノーマルモデルでは1モーター後輪駆動であったところを、GTXでは2モーター全輪駆動とし、バッテリーも大容量タイプを採用する。
 さらにニューモデルも用意されている。今年9月のIAA(フランクフルトモーターショー)で公開予定のID.5が、カモフラージュ姿ながら発表されたのだ。シリーズ第3弾となるID.5はクーペSUV。スタイリッシュなデザインが特徴だ。
 VWによれば、これらニューモデルの矢継ぎ早な投入により、EVの生産台数100万台達成は以前の計画より2年早い2023年に達成される見通しになっている。

ID.5 GTXの外観

配光を制御するIQ.ライトLEDマトリックスヘッドライトを備えるフロントマスクは、シンプルでありながら印象的。たくましさと同時に流麗さを持つプロポーションもID.5 GTXの特徴。

  • ID.4GTXのイメージカット

    ID.3、ID.4が1モーターによる前輪駆動だったのに対し、ID.4GTXはデュアルモーターで全輪を駆動。バッテリー総容量は77kWhで航続可能距離は最大480km。

  • ID.シリーズに搭載されるバッテリーのイメージ

    ID.シリーズに搭載されるバッテリーはスケーラブルな設計で、現在45kWhから77kWhまで3タイプを用意。航続距離は最大で549km(WLTPモード)となる。

心もクルマもホットでいこう![Let’s Drive GTI]

ゴルフGTIのイメージカット

文●ユニット・コンパス
※中古車参考価格はグーネット2021年8月調べ。
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
VWのスポーツモデルといえば、なんといっても「GTI」。力強いエンジン、引き締められた足まわり、精悍なスタイル、多くの魅力を備えた「GTI」はファンを魅了し続ける今回は、いま中古車で買いやすい「GTI」を紹介したい。

ゴルフGTIはホットハッチのお手本のような存在

 実用車をスポーツカーに仕立てる手法は古くから存在したが、より身近なハッチバックでそれを実現したのがゴルフGTI。1976年の初代デビュー以降多くのファンを生み出し、ホットハッチの雛形を作った。
 すでに最新型(8代目)が海外で公開されたが、日本導入はもう少し先。中古車で買うなら、必然的に7代目に注目が集まる。2013年に発売された7代目GTIは、新しいモジュラーシステム「MQB」を採用し、軽量化を実現している。エンジンは先代と同じく2L直4ターボを搭載するが、最高出力は211馬力から220馬力にアップ。最大トルクも35・7kgmと非常にパワフル。そのほか、先代から導入された「XDS」も改良され、よりスムーズなコーナリング性能を実現した。
 中古車市場には豊富に流通し、相場もかなり下がっている。デビュー時の新車価格は369万円だったが、現在は100万円台の物件も目立つ。走行距離は、5万km前後のものが中心で、多走行車は稀だ。平均価格は248万円だから、コンディションのバランスを考えると今が買い時。ただし、より高性能なエンジンを与えた限定車「TCR」も市場に流通しているが、こちらは高価である。
 今後、8代目GTIが登場すれば、従来型はさらに価格が下がるはず。今後の動向にも注目していこう。

[フォルクスワーゲン ゴルフ GTI:2013~2021]

ゴルフ GTIの真横イメージ

中古車参考価格帯:130万円~390万円(※13年~21年 GTI全グレード)

 専用デザインのフロントグリル、17インチホイールを採用。ヘッドライトからフロントグリルを水平に走る赤いラインもGTIの大きな特徴。そのほか専用バッジなどが与えられる。

ゴルフ GTIのインテリア

スポーツシートはサイドサポートが張り出し、コーナリング中のドライバーを支えてくれる。基本的にパッケージは標準のゴルフと同じなので、実用性は申し分ない。

ゴルフ GTIのメーターとステリング

ステアリング、シフトノブ、シートなどにレッドステッチが施されスポーティな雰囲気を演出。速度計と回転計も見やすく、ドライビングに集中できる。

ゴルフ GTIのエンジン

エンジンは、2L直4ターボ。当初は220馬力だったが、2017年のマイナーチェンジでは230馬力に出力アップ。低回転域でもトルクがあり、日常でも使いやすい。

 ミニバンといえば、日本車のお家芸というイメージがあるが、異なる価値を持つ欧州ミニバンもオススメだ。
 スライドドアや広さなどは国産ミニバンに分があるが、運転のしやすさや乗員の疲れにくさ、そして走りのよさは、欧州ミニバンの得意とするところ。ディーゼル車も多いので、けん引にも使いやすい。
 スライドドアが必須なら、5人乗りのカングーやベルランゴなどの選択も。3列シート車なら、シャラン。予算が合えば国産上級ミニバンより上のVクラスがある。

GTI パフォーマンス

ゴルフ GTI パフォーマンスの走行イメージ

 ノーマルのGTIよりエンジンスペックを高めた限定車が「GTIパフォーマンス」。過去数回にわたり販売されたが、専用スポーツシートの採用や足まわりの強化など、より走りに振った仕様となる。中古車市場も存在し、ノーマルのGTIより相場がやや高め。

ゴルフ GTI パフォーマンスのインテリアとエンジンルーム

中古車参考価格帯:170万円~400万円(※14年~21年 GTIパフォーマンスのみ)

[GOLF GTI HISTORY]半世紀近くにわたるゴルフGTIの歴史を振り返る

 VWのホットハッチ「GTI」が登場したのは1976年のこと。初代ゴルフの高性能版として設定されて以来、現在までその系譜は続く。ゴルフ以外のモデルにも設定され、手頃なスポーツモデルとして重宝される。その多くは専用内外装とチューニングされた足まわりを持つ。
※写真は欧州仕様。

  • ゴルフI

    I[1976]
    「GTI」の記念すべき最初のモデル。1.6L直4を搭載し、当時としては斬新なインジェクションを採用。硬めの足まわりなど、ホットハッチの雛形といえる。

  • ゴルフII

    II[1984]
    初代を正常進化させた2代目は、当初8Vの1.8L直4を搭載していたが、後に16V化された。初代よりもひとまわり拡大されたボディで、居住性もアップ。

  • ゴルフIII

    III[1993]
    2Lのエンジンにより、145馬力/18.3kgmとゆとりの動力性能を確保した3代目。その一方で、初代が持っていた特別感はやや薄れた世代でもある。

  • ゴルフIV

    IV[1998]
    3代目GTIのマイルド路線は4代目でも続く。フロントグリルの赤いアクセントがなくなり、上級グレードのひとつになった。日本では1.8Lターボを搭載。

  • ゴルフV

    V[2005]
    再びスポーツ路線を強めていった5代目ゴルフGTI。グリルの赤いアクセントやチェック柄のシートなど見た目も特別に。高性能な2L直4ターボを搭載。

  • ゴルフVI

    VI[2009]
    XDSというシステムにより、コーナリング性能を高めた6代目。エンジンは先代同様2Lターボだが、最高出力を向上。外観もよりアグレッシブになった。

  • ゴルフVII

    VII[2013]
    MQBを導入し、プラットフォームから一新されたゴルフVII。デビュー時は220馬力の2Lターボを搭載するが、エンジン出力を高めた限定車も多数登場。

[フォルクスワーゲン ポロ GTI(先代):2010~2018]小さくて軽いボディを活かし鋭いハンドリングが魅力のスモールホットハッチ

ポロ GTI(先代)の外観イメージ

中古車参考価格帯:60万円~230万円(※10年~18年 GTI全グレード)

 ゴルフよりもひとまわり小型のハッチバックがポロ。そんなポロにもGTIが用意されている。2000年に初めて登場し、4世代にわたりポロのスポーツモデルを担う。中古車として手頃な価格で買えるのは、2010年9月に登場した3代目。デビュー当初は1.4L直4ターボ+スーパーチャージャーを搭載し、179馬力を発揮した。ゴルフGTIと同様、専用内外装とハードな足まわりも特徴である。
 2015年2月にエンジンが1.8Lターボに置き換えられたが、中古車相場はこれを境に大きく変動。平均価格は、前期型が80万円、後期型が162万円と倍以上異なっている。物件数は前期型がやや多く、極端な多走行車もかぎられるので、安心したクルマ選びが可能だ。後期型も100万円台の物件が揃っているから、予算や好みに応じて選べる。

ポロ GTI(先代)の三面イメージ

全長およそ4m弱の小型なボディを持つポロGTI。写真の後期型は、従来型と比べてバンパー、グリルが新しくなり、精悍さが増した。

ポロ GTI(先代)のインテリア

初代ゴルフGTIのチェック柄シートは、ポロGTIにも受け継がれている。ステアリング、シフトノブには赤いステッチが施されるほか、シートも専用。走りを存分に楽しめる環境だ。

ポロ GTI(先代)のエンジンルーム

[フォルクスワーゲン UP! GTI:2018~]小さいけれど走りは辛口GTIのエントリーモデル

UP! GTIの走行イメージ

 VWのエントリーモデルであるアップ!をベースとしたGTIは、2018年6月に限定車として登場し、その後も数回発売された。全長は3625mmと、現在のVWとしては最も小型だが、かつて存在したルポGTIよりは大きい。エンジンは1L直3ターボで、6速MTを組み合わせる。物件数は少なめで、平均価格は209万円とやや高め。ただし、状態のよい個体が多いので安心だ。

UP! GTIのインテリア

ゴルフやポロのGTIと同じく、チェック柄シートやレッドステッチのインテリアが特徴。コンパクトながらも室内の広さは十分で、パネル類の品質も価格以上。そういう意味ではコストパフォーマンスが高い1台だ。

UP! GTIのエンジンルーム

さらなる高性能を体感するなら“R”

さらなる高性能を体感するなら“R”のイメージカット

 VWには、GTIの上に位置する「R」シリーズがある。これはメルセデスのAMG、BMWのMに相当するハイパフォーマンスモデルで、ゴルフやシロッコ、さらにはトゥアレグなど幅広い車種で展開されている。開発はVW子会社の「R GmbH」が担当し、GTIよりもさらに強力なエンジン、豪華な内外装、専用の足まわりなどが与えられる。その分新車価格は高額となるが、中古車ならばリーズナブルに購入可能なので、今回は人気の2モデルに注目してみた。

  • ゴルフRの走行イメージ

    中古車参考価格帯:230万円~510万円(※14年~21年 Rのみ)

    フォルクスワーゲン ゴルフR:2014~2021
    ゴルフVIIをベースとした「R」は、先代同様2L直4ターボ+4WDを搭載。排気量はGTIと同じだが、デビュー当初の最高出力は280馬力(後に310馬力)を誇る。平均価格は340万円だが、最近は200万円台の物件も目立つ。

  • シロッコRの走行イメージ

    中古車参考価格帯:200万円~360万円(※10年~14年 Rのみ)

    フォルクスワーゲン シロッコR:2010~2014
    スポーツクーペ、シロッコの高性能バージョンが「R」。エンジンは2L直4ターボを搭載し、256馬力を発揮。中古車は徐々に減っており、低走行の物件も減少中。平均価格は247万円と、価格はリーズナブル。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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