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更新日:2021.06.18 / 掲載日:2021.06.18

BMW、グループ内の鉱物資源をリサイクル開始 年間7トンのタングステンを節約

BMWグループ リサイクル イメージ

 BMWグループは現地時間6月17日、グループ内で使用される「紛争鉱物」について、今年6月からドイツとオーストリアの工場でスクラップ回収を開始し、オーストリアの鉱物会社でリサイクルを始めたと発表した。リサイクル原料から製造されたドリルビットやフライスビットはすでに工場で使用されており、今後ドイツとオーストリアのすべての工場の工具スクラップにも材料サイクルを拡大する方針だ。

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 BMWグループは、いわゆる紛争鉱物と考えられる原材料を、サステナビリティ戦略の中で特に重視している。これには、採掘や取引が環境・社会基準の違反と関連することが多い鉱石が含まれ、タングステンがその一例だ。金のように重く、ダイヤモンドのように硬く、鉄の数十倍の耐熱性を持つその資源は、現在では携帯電話の振動アラームや電球のフィラメント、自動車を製造するための産業機械のドリルやフライスなどに使用されている。

 同グループでは、金属のクローズドループマテリアルサイクルを構築し、ドイツとオーストリアの工場で使用済みのドリルビットやフライスビットを回収してリサイクルしている。こうして得られた二次的なタングステンは、新しいフライスやドリル工具の製造に使用される。これにより、年間7トンのタングステンの使用量を削減可能で、一次タングステンを使用する場合と比較して、エネルギー消費量を70%、CO2排出量を60%以上削減することができる。

 「天然資源の責任ある管理は、当社の持続可能性の目標において重要な役割を果たしています。私たちは、2030年までにリサイクル原料の割合を大幅に増やし、循環型経済の中で原料を複数回使用することを計画しています」BMW AGの取締役会メンバーであり、購買およびサプライヤー・ネットワーク担当のアンドレアス・ヴェント博士は述べた。「これは、車両への使用だけでなく、価値創造全体にも当てはまります」さらに、「天然資源を保護し、環境および社会基準に違反しない1グラム1グラムが重要なのです」と加えた。

 欧州連合(EU)では、すでに対応策を実施している。2021年初頭には、金、錫(スズ)、タンタル、タングステンの4種類の紛争鉱物の輸入規制を強化する「紛争鉱物規制」が施行された。

スクラップが新しい工具に

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 超硬工具は、主にタングステンでできており、BMWグループのシュタイヤー工場では、e-driveのハウジングの高精度加工に使用されている。この工具は通常、耐用年数が終わるとスクラップとして再販される。2021年6月から、BMWグループはドイツとオーストリアの工場でこの工具スクラップの回収を順次開始し、オーストリアの鉱山会社であるWolfram Bergbau und Hutten AGがリサイクルを行う。工具スクラップには、平均80%以上のタングステンが含まれる。これを特殊な方法で処理し、粉末状の二次タングステンを製造する。この処理に必要な電力は、100%再生可能な地域エネルギーから供給されるという。

 このダークグレーのタングステンパウダーは、新しい工具の製造に使用される。BMWグループは、少量の工具スクラップを使ったパイロット・プロジェクトの一環として、このマテリアル・サイクルを実証した。このドリルビットとフライスビットは、すでにBMWグループの工場で使用されている。このパイロットプロジェクトが成功したことを受けて、現在、ドイツとオーストリアのすべての工場で超硬工具のスクラップにもこの材料サイクルを拡大している。これらの工場では、超硬工具から年間約9トンのスクラップが発生するが、この中には、平均して7トン以上のリサイクル可能なタングステンが含まれている。このうちの約半分は、オーストリアのシュタイアにあるBMWグループの工場で発生するものだ。

サプライチェーンにおける「3TG」の100%のトレーサビリティ

BMWグループ リサイクル イメージ5

 BMWグループは、2012年の材料戦略において、持続可能性の観点から特に重要な数多くの原材料やその他の材料を特定していた。同グループは、これらの優先的な原材料がサプライチェーン全体で環境や社会に与える影響を継続的に分析していく。

 ここでは、紛争鉱物であるスズ、タンタル、タングステン、金(頭文字をとって「3TG」とも呼ばれる)が特別な役割を果たしている。グループは、3TGのサプライチェーンの完全な透明性を目指しており、サプライヤーとともに、2019年にはすでに部品や工具に使用されているこれらの鉱物の実質的な100%のトレーサビリティを達成した。

 また、BMWグループは、サプライチェーンにおける認証済みの製錬工場の割合を増やすことにも取り組み、紛争鉱物チームは、この分野のトレーニング、情報、サポートをサプライヤーに提供している。

BMWグループは、「責任ある鉱物イニシアチブ(Responsible Minerals Initiative)」のメンバーであり、紛争鉱物の持続可能な管理の推進役を務めている。鉱物処理に関わるプロセスの理解を深めるために、BMWグループ購買部は毎年、ヨーロッパの厳選された製錬工場を訪問し、また、Wolfram Bergbau und Hutten AGもResponsible Minerals Initiativeに参加している。

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