輸入車
更新日:2021.03.08 / 掲載日:2021.03.04
MINI特集/頼もしすぎる人気モノ MINIが1台あればイイ!?

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年4月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
MINIにとって、日本は世界でも有数のマーケットだ。もっと経済的で、もっと使いやすく、もっとリーズナブルなクルマはほかにも存在するのに、MINIは売れる。その理由を分析することは無意味だ。MINIについて語り合うとき、人は自然と笑顔になる。それがMINIの力であり、輸入車を買う本質的価値だ。こんな時代だからこそ、大切にしたい自分たちの時間。それを一緒に過ごしたくなる存在こそが、MINIなのだ。
[MINI 3 DOOR]MINIの真髄を味わうならやっぱり3 DOORが正解!?

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
クラシックミニを現代的に解釈しなおし、プレミアムコンパクトとして生まれ変わったMINI。その魅力を最もプリミティブに表現するのが3ドアだ。ベテラン自動車ジャーナリストの九島辰也氏をして、「ずっとステアリングを握っていたい」と言わしめる、その魅力をお伝えしよう。
コロナ禍でも売れ続けている!
2002年3月2日、ミニの日と読めるその日に日本で販売を開始したMINI。BMW製となり、新たなスタートを切ったのはまるで昨日のような気がする。発売前から話題となったモデルだけに、注目度は半端じゃなかった。導入前に行われていた海外のモーターショーを取材すると、日本のメディアが多く群がっていたのを記憶している。
人気の高さはそのまま販売台数に表れていて、昨年夏に累計で30万台を達成した。しかも2016年から19年まで外国メーカー車モデル別新車登録台数は4年連続1位で、昨年はコロナ禍においても上半期は1位を記録した。この持続的な人気はいったいどうしてなのだろう?と思ってしまう。もちろん、多彩なラインアップも関係するであろうが、そこにはカーブランドを超えた何かが存在する気がする。
さて、そんなMINIの中心的モデルといえば、この3ドアハッチバックにほかならない。クラシックミニの時代からアイコンとなってきたモデルだ。当時のデザインをモチーフにBMWテクノロジーで仕上げたこのクルマこそ、王道といえる。
最新モデルは、2018年5月にマイナーチェンジされたもので、エクステリア、インテリア共々に手が入った。印象的なのはリアコンビネーションライトで、英国旗ユニオンジャックを関連づけている。また、パワートレインはワンとクーパーに1.5L直3ターボを、クーパーSに2L 4気筒ターボのATに7速デュアルクラッチを新たに搭載した。ディーゼルはクーパーDに1.5L直3ターボ、クーパーSDに2L直4ターボを搭載している。
いずれにせよ、走った印象はまさにMINI。ゴーカートフィーリングと銘打つ走りがいちばん顕著に現れている。なので、ステアリングはクイックだし、乗り心地は硬め。路面状況にもよるが比較的ピッチングは大きくお尻に振動を感じる。クラシックミニに通じる乗り味だ。
もちろん、もっと快適にしようと思えばそこはチューニング次第でどうにでもなるであろう。BMWのコンパクトカーを思い浮かべればそれは決して難しいことではないはずだ。が、あえてこのフィーリングを残している。つまり、これこそMINIのアイデンティティであり、カスタマーが望む味付けなのだ。ちなみに、タイヤはミシュランのプライマシー4、サイズは195/55R16であった。それにしても走らせるのが楽しいクルマで、ずっとステアリングを握っていたくなる。
そんなテイストだけに小さいエンジンを上まで回しながら走らせるのが楽しい。その意味では3気筒ユニットでの走りが好みだ。シフトチェンジを駆使して小気味よく走らせたくなる。
というのが、久しぶりに走らせた3ドアハッチバックの印象だが、このクルマにはジョン・クーパー・ワークスがあることも忘れてはならない。306馬力を発揮するモンスターマシン(限定車のGP)だ。その観点からするとシャシー構造はオーバースペックともいえなくない。とにもかくにも、走りを重視して設計されたクルマであることは明白である。
Profile
自動車ジャーナリスト
九島辰也
ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、アメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。

2021年 MINI クーパー D 3ドア(7速AT・DCT) ●全長×全幅×全高:3835×1725×1430mm ●ホイールベース:2495mm ●車両重量:1240kg ●エンジン:直3DOHCディーゼルターボ ●排気量:1496cc ●最高出力:116ps/4000rpm ●最大トルク:27.5kgm/1750-2250rpm ●新車価格:336万円

ファミリーのなかでは、いちばんコンパクトな3ドアハッチバック。ドライバーをホイールベースセンターに座らせる絶妙なパッケージングだ。インパネまわりは5ドアと共通。ポップなデザインながらレーシーな雰囲気も共存する。

リアシートは決して広くはなく大人が長時間乗るのは無理がある。が、フォールドすればカーゴスペースを合わせ使い勝手のよさそうな広さが生まれるのはさすがだ。なので、ドライバーズカーとして通勤にピッタリハマる。
[MINI 5 DOOR]どっこい売れてる5 DOORボディ選びは、とっても悩ましいのです

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
デイリーカーとしての使いやすさによって、3ドア以上に多くのユーザーから親しまれている5ドア。九島辰也氏は、3ドアと5ドアを乗り比べたことで、改めて5ドアの備える魅力に気がついたという。
ライフステージが変わってもMINI!
MINIのボディバリエーションは豊富で、じつにいろいろなニーズに応えている。クロスオーバーと呼ばれるSUVも早い段階で販売を開始し、成功を収めた。MINIとしては大きいという声は大きかったが、長年MINIに乗ってきたカスタマーからすれば、都合のよいクルマだろう。ライフステージが変わり、人や物を載せる機会が増えた後もMINIブランドと付き合えるからだ。ちなみに、日本ではクロスオーバーだが、本国やEU諸国ではカントリーマンと呼ぶ。我が国では登録上使えなかったようだ。
クラブマンもそんなニーズに応えている。家族が増えたりしてリアドアが必要になったカスタマーに向けた。ボディがワイドになり、3ドアハッチバックより積載性とともに高級感も高めている。
そしてこのMINI5ドアである。当初このクルマの存在意義が正直わからなかった。そのタイミングではすでにクラブマンが発売していたからだ。が、国際試乗会に参加しそのステアリングを握ると、だんだん理解し始めたのを覚えている。このクルマは3ドアハッチバックの延長線上にあるのだと。
ディメンションは全長が180mm伸びたほか、全幅は同じで、全高は15mm高くなった。ホイールベースが伸びただけという感じだ。つまり、基本的なプラットフォームは同じ。クラブマンは別のものを使うが、3ドアと5ドアは共有する。ただ、延長したボディとリアシートが3名掛けになったことで車重は110kg重くなっている。大人二人分の重量だ。長くなったホイールベースと車両重量の増加で、走りのフィーリングはほんの少しだけ変わることになるが。
今回このクルマと3ドアハッチバックを交互に乗って改めて感じたことがある。それは開発陣による味付けだ。3ドアハッチバックがゴーカートフィーリングの強いクルマだとすると、5ドアはそれをキープしながら、快適性を追加している。ピッチングなどの挙動は抑えられ、しなやかなサスペンションの動きが感じられるのだ。
特に今回試乗した5ドアはクーパーSD、つまり、2L直4ターボエンジン搭載車はディーゼルということもあり、余裕の走りを見せた。1500回転という低い領域から36・7kgmという最大トルクを発生し、クラス以上の力強さを感じさせたのである。その感覚は3ドアハッチバックより快適そのもの。マッチングはよさそうだ。もちろん、スタンダードモデルのワンやクーパーは、3ドアハッチバック同様3気筒ユニットを搭載する。よりライトな感覚でクルマを走らせたいのであればそちらを選ぶのも悪くない。3ドアハッチに近い味付けだ。
いずれにせよ、3ドアハッチバックの延長線上にありながら、実用性や快適性を高められた5ドアが重宝されているのは明らか。MINIファンならずとも熱い視線が注がれている。

2021年 MINI クーパー SD 5ドア (8速AT) ●全長×全幅×全高:4015×1725×1445mm ●ホイールベース:2565mm ●車両重量:1350kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1995cc ●最高出力:170ps/4000rpm ●最大トルク:36.7kgm/1500-2750rpm ●新車価格:420万円

インパネまわりは3ドアハッチバックと同じ。センターメーターはクラシックミニへのオマージュとなる。シートもフロントは3ドアと変わらないが、リアは3名掛けにスイッチ。レザーシートは高級感も漂わせる仕上がり。

エンジンは1.5L直3ターボと2L直4ターボで、それぞれにガソリンとディーゼルがある。それぞれに個性があるのは言わずもがな。よりパワーを必要とする人にはハイパワーのJCWがあるので、そちらがオススメだ。
[BODY VARIATION]選ぶところから、MINIの楽しみは始まっている!
MINI コンバーチブル
MINIの個性がさらに際立つ!
3ドアハッチバックをベースにファブリックのオープントップを装着したのがこのコンバーチブル。開閉は電動式でスイッチひとつですべてを行える。開けたときにたたんだ幌が見えるのも演出だ。定員4名はキープされる。MINI クラブマン
仕事にも使えるユーティリティ
3ドアをワイドかつ長くしたのがクラブマン。プラットフォームは別物が採用される。特徴は高級感を取り入れたことで、インテリアの装備は充実する。うれしいのはリアゲートが伝統の観音開きになっていることだ。MINI クロスオーバー
オールマイティに使える懐の広さ
クロスオーバーはMINIの背を高くしてSUVに仕上げたもの。サイズはもちろん4輪駆動システムを取り入れるが、MINIらしい走りは担保されるからご安心を。ラインアップにはプラグインハイブリッドモデルも顔を連ねる。
歴代モデルを4台乗り継いできた自動車ジャーナリスト竹岡 圭さんに聞く「MINIに乗りたくなる理由」
文●竹岡 圭 写真●竹岡 圭、MINI
つねに最新モデルをテストできる自動車ジャーナリストが、どうして同じモデルを乗り続けてきたのか、MINIの魅力を語ります。
MINIにしかない個性がプロを虜にした
初代は2001年の東京モーターショーで一目惚れ。かなりのゴーカートフィーリングで、乗り心地は硬かったけど、ルンルンな毎日。気づけば7年で約8万km乗りました。
そろそろ買い替え……となったとき、もちろんほかのクルマだって考えたけれど、結果としてMINIよりワクワクするものに出会えなかったんです。キュートなルックスはもちろん、いい意味でこれほどふざけたクルマはないというほどユニークなインテリア、見かけによらないスパルタンな走り……、これほどトキメクものはほかにない! と、2代目のONE MTモデルを購入。これも5年で約6万km弱乗りました。
3世代目が登場して、クラシックミニの時代にはなかった5ドアモデルが登場したので、新しいMINIの世界を探求すべく乗り換え。でも、これは3年3万km弱しか乗らなかったんですよね。
その理由は以前から、「SUVのディーゼル×4WD」を所有してみたかったから。新型が出たタイミングで、クロスオーバーに乗り換えました。「こんなに大きいのはMINIじゃない」と言われつつ&当初は自分でも思いつつ、でも実際付き合ってみたら、これほど便利なクルマはないと大感動。大型化するSUV群のなかで全幅もほどよく、背が高すぎないから高速も安定感抜群、でも人も荷物もしっかり積めるということで、3年で6万kmを超え……。MINIって真面目にふざけてるからサイコー! なんですよね♪
Profile
自動車ジャーナリスト
竹岡 圭
人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
1台目「クーパー 3ドア(R50)」
21世紀に蘇ったMINIの魂
クラシックミニの現代的解釈としてBMWのエンジニアリングで2001年に登場したのが、初代MINI。クラス最小のボディサイズに、遊び心にあふれるデザインと爽快な走りを実現した。2台目「ワン 3ドア(R56)」
より完成度を高めブランドを確立
初代モデルの大成功を受けて登場したセカンドジェネレーション。コンセプトはそのままに、さらに内容をアップデート。プレミアムコンパクトという世界観をしっかりと固めた。
3台目「クーパーS 5ドア(F55)」
5ドアの登場など世界観を広げた
現在のMINIにつながる世界観の広がりを決定づけた。3代目モデル。初めて5ドアが登場し、それがMINIとしてマーケットに受け入れられたことが、クロスオーバーなどにもつながった。4台目「クーパー D クロスオーバー(F60)」
初のSUVモデルは販売の中心に成長
人気のコンパクトSUVをMINIの世界観で表現したのが、こちらのクロスオーバー。MINIならではの走りはそのままに、抜群の使い勝手を提供。MINIワールドをさらに拡大させた。
[MINOR CHANGE]2度目の大幅改良でルックスはEV寄りに!?

文●ユニット・コンパス 写真●MINI
2021年1月、MINIが本国でマイナーチェンジを発表した。日本導入も予定される新型は何が変わったのか。
誕生から20年目を迎えたMINIがさらに進化

今回のマイナーチェンジは、3ドア、5ドア、そしてコンバーチブルに適応される。その他モデルについては、今後順次同様の内容が施されていくと予想される。
モダンMINIの登場から20年という月日が経ち、スモールカーセグメントにプレミアムクラスを打ち立てるというMINIの挑戦が成功したことを証明してみせた。
では次なる飛躍は? フルモデルチェンジではなく、MINIは現行型をさらに磨き上げるという決断を行った。まだまだポテンシャルはあるという判断なのだろう。
改良ポイントは、フロントマスクのデザイン変更、LEDライトやユニオンジャックLEDテールライトの標準化に代表される装備の充実。電動パーキングブレーキを採用したことで、ACCはストップ&ゴーに対応し、車線逸脱警告も進化した。
印象的な顔つきの変化は、「リダクション(削減・縮小)」手法によるもの。すでに本国で登場しているEV版に近いデザインだ。日本導入は2021年度中を予定している。

クラシックミニから最新モデルまでが並ぶと、デザインの手法を変えつつも、メインテーマがぶれていないことがよくわかる。新型は要素を絞り込むことで、シンプルな印象に仕上げられている。

インテリアについては、見た目の変化はあまり大きくないものの、機能面については、大きく進化。特にACCのストップ&ゴー対応は使い勝手を大きく引き上げてくれそうだ。
[MINI Vision Urbanaut]私の空間が世界に広がる「電動化自動車時代を見据えたコンセプトカー」

文●ユニット・コンパス 写真●MINI
2020年冬にBMWが発表したグループの次世代戦略「#NEXTGen」。そこには、まるで小さなバスのようなMINIのコンセプトカーが含まれていた。
小さなバスのようなスタイルに隠された価値
最初はちょっと不安に、でもじっくり考えるとなるほどと納得できる。コンセプトカーというのは、ときに製品のプロトタイプであり、概念を実現したものでもある。BMWグループが「#NEXTGen」で発表したMINIのコンセプトモデル『MINI ビジョン アーバノート』はまさしく後者で、MINIの電動化モデルがこうなるよ、という直接的な予告編ではないのでご心配なく。
では、このコンセプトモデルは、一体何を表現しているのか。
それは、ミニマムな車内空間に、どれだけの豊かな価値を提供できるかということ。『MINI ビジョン アーバノート』は、自動運転機能付きの電気自動車というメカニズムとして考案されている。だからこそ、インテリアもエクステリアも自由度が非常に高い。デザイナーはそこに、まるでリビングのようにリラックスできる空間を作り出した。
2つの回転するシート、デイベッドとしても使えるリアシート、観葉植物やテーブルまで備わる。それでいながら、全長はわずか4・46mと最小限に抑えられている。この感覚こそが、MINIの世界観なのだ。

自室のようなプライベート空間を公共空間である路上とマッチングさせるというのが、このコンセプトカーのポイント。
[続々登場するMINIな限定車]MINIの数だけストーリーがある

文●ユニット・コンパス 写真●MINI
クラシックミニの時代から受け継がれ、アイコンとなっているエクステリア。そのイメージをベースに、ストーリーやアクセントを与えてくれるのが限定モデルだ。
MINIワールドを鮮やかに彩る存在
MINIは変わらない。クラシックミニからDNAを受け継いだ現代のMINIは、世代を重ねながらも、そのアイデンティティをキープし続けている。変わらないことが、大きな価値なのだ。
だからこそ、ちょっとした違いで乗る人の個性を表現できて、そこもまた大きな魅力となっている。
折に触れて登場する限定モデルは、いわばメーカーによるカスタマイズカー。現行型MINIは今、モデルライフの中盤を迎えたことで、メカニズムや装備的に安定し、充実した状況となっている。
そうしたタイミングだからこそ、テーマに合った専用装備が与えられる限定モデルの出番というわけ。2021年に入ってから、すでに下の限定モデルが登場。どれも販売期間が定められているため、パートナーにするには、タイミングやちょっとした”出会い”が必要。また、これをヒントに愛車をいじる、そんな楽しみ方もMINIならアリだ。
MINI ピカデリー エディション

ロンドンのピカデリー通りからインスピレーションを受けた専用のストライプやレタリングを採用。専用装備以外にも、LEDライトをはじめ装備が充実している。
MINI JCW GP インスパイアード エディション

世界限定で発売された「JCW GP」にインスパイアされた限定モデル。専用色レーシング・グレー・メタリックやホイール、ステアリングなどGPと同じものを採用する。
MINI パディ・ホプカーク エディション

クラシックミニが制したモンテカルロラリーのドライバー、パディ・ホプカーク氏にインスパイアされた限定モデル。当時の面影を再現したルックスが魅力。
MINIのスポーツカーJCWの相場は?
文●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
MINIのもうひとつの顔がジョン・クーパー・ワークス。中古車ならばよりリーズナブルに入手可能なので、今回はこのホットモデルに注目してみたい。
[MINI ジョン・クーパー・ワークス 3ドア]輸入車選び定番中の定番チョイス

MINIの高性能ブランドとして販売されるのが「ジョン・クーパー・ワークス(JCW)」。BMW製の初代MINIでは「クーパーS」をベースとした限定車で導入されたが、2代目以降がカタログモデルとなり、さらに3ドア以外のボディにも順次設定することで、今ではそのバリエーションは幅広いものとなった。
現行型3ドアのJCWが登場したのは2015年で、2L直4ターボを搭載し、最高出力は231馬力を発揮する。内外装が専用仕立てとなるほか、スポーツサスペンション、ブレンボ社製ブレーキなど、走りが大幅にグレードアップされている。
そんな3ドアのJCWは、現在中古車が豊富に流通している。デビュー当初の新車価格は398万円~415万円だったが、最近は200万円台の物件が目立ってきた。なお、平均価格は334万円となっている。物件の大半は3万km以下で、状態がよいものが多い傾向。トランスミッションは6速MT、6速AT、8速ATがあるが、6速MTは全体の15%程度にとどまっている。
中古車参考価格帯:220万円~460万円(15年~20年 JCWのみ)
MINI JCWボディタイプ別物件比率

MINI全世代をボディタイプ別に集計した結果、物件数が多いのはやはり3ドア。続いてクラブマンやクロスオーバーも充実する。一代限りとなったクーペやペースマンはごくわずか。
JCWとは

モータースポーツのエンジニアとして名を馳せたジョン・クーパーに由来するMINIの高性能バージョン。3ドアだけでなく、多くのボディタイプに広く展開されることにも注目したい。

ドライバーの正面には、スピードメーターとタコメーターが配置される。計器のデザインもレーシーなものとなっている。
スポーツモデルであるが、荷室などは標準の3ドアと変わらない。シートをたたむことで、大きな荷物も収納可能である。
前後とも205/45R17サイズのタイヤと専用デザインのホイールを装着。ブレンボ社製レッドキャリパーも注目のポイント。
エンジンは、2L直4ターボを搭載。3ドアは231馬力を発揮するが、世界3000台限定の「GP」は306馬力にまで高められた。
後期型はリアデザインがリニューアル

2018年5月、MINI3ドア/5ドア、コンバーチブルが同時にマイナーチェンジを受けた。見どころは、リアコンビランプにユニオンジャックの意匠が取り入れられたこと。また、トランスミッションが従来の6速ATから8速ATに変更となった。そのほかMINIコネクテッドも導入されている。

リアコンビランプの変更に対し、フロントまわりは従来型から大きな変更はない。ひと目でMINIとわかるデザインはそのまま継承された。
先代モデルはバリエーションが豊富
文●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、はめ込み合成です。 ※写真は一部欧州仕様です。
[MINI ジョン・クーパー・ワークス 3ドア(先代)]先代ならば100万円台で探せる

2008年に登場した先代MINI JCW。エンジンは1.6L直4ターボを搭載し、最高出力211馬力を発揮する。ブレーキ、サスペンションなどの足まわりも強化。中古車はかなり安くなっており、120万円前後の予算から探せる。ただし多走行車も目立つ。

中古車参考価格帯:120万円~270万円(08年~15年 JCWのみ)
[MINI ジョン・クーパー・ワークス コンバーチブル(先代)]オープンドライブを楽しむならコレ!

ソフトトップを備えたMINIコンバーチブルにもJCWが用意されている。屋根の開閉に要する時間はおよそ15秒で、時速30km以下であれば走行中でも開閉できる。エンジンは3ドアと同じく1.6Lターボ。中古車は安いが、物件数が少なく探しにくい。

中古車参考価格帯:120万円~230万円(09年~16年 JCWのみ)
[MINI ジョン・クーパー・ワークス クラブマン(先代)]ハイセンスなリアビューのクラブマンも楽しい

3ドアからホイールベースと全長を拡大し、荷室容量をアップさせたMINIクラブマン。2009年にJCWが追加され、3ドアと同じく211馬力の1.6Lターボを搭載する。中古車は100万円台半ばの予算から購入可能。多走行が目立つが、お買い得な1台。

中古車参考価格帯:160万円~230万円(09年~15年 JCWのみ)
[MINI ジョン・クーパー・ワークス クロスオーバー(先代)]実用性が高い4ドアのMINI

3ドアに次いで物件数が多いMINI JCW クロスオーバー。SUVとしての魅力に加え、4ドアを備えることで実用性を格段に高めている。人気モデルゆえ相場は先代JCWのなかでも高めで、200万円台が中心。

中古車参考価格帯:180万円~300万円(11年~17年 JCWのみ)
[MINI ジョン・クーパー・ワークス ペースマン]スタイリッシュなSUVのペースマンはレアモデル

先代MINIに設定されていた2ドアSUVのペースマンは、スタイリッシュなボディが特徴。しかし中古車は少なく、JCWもわずかに流通する程度。現在はおよそ200万円台前半が相場となっている。

中古車参考価格帯:200万円~230万円(13年~16年 JCWのみ)
[MINI ジョン・クーパー・ワークス クーペ]スポーツカー純度が高いMINI JCWクーペ

低重心で軽量な2座ボディを持つMINIクーペは、MINIファミリーのなかでもスポーツカーとしての素性に優れたモデル。とはいえ、JCWの中古車はかなり少なく、数台確認できた程度。相場は200万円台半ば。

中古車参考価格帯:250万円~260万円(11年~15年 JCWのみ)
[MINI ジョン・クーパー・ワークス ロードスター]楽しさが詰まった1台だが物件数はほぼ皆無

ソフトトップを備えた2シーターオープンモデルがMINIロードスター。エンジンはほかのボディと同じく1.6L直4ターボを搭載している。ただし、今回の調査で中古車物件は確認できず、希少性は極めて高い。

中古車参考価格帯:該当モデルなし(12年~15年 JCWのみ)