輸入車
更新日:2020.08.05 / 掲載日:2020.08.05
VOLVO CARE KEY【グーワールド コラム/セーフティ】

文●ユニット・コンパス 写真●ボルボ
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年9月号の内容です)
問い合わせ●ボルボ・カスタマーセンター TEL:0120-922-662 URL:https://www.volvocars.com/jp
ボルボがパンドラの箱を開けた。5月20日、今後すべての新車において180km/hの最高速度制限を導入することを発表したのだ。
これまで自動車メーカーは、より速く、快適な移動を実現するために技術を磨き続けてきた。アウトバーンのような制限速度無制限区間では200km/hを超えて巡行するクルマは数多く存在するし、そこでの安定性と快適性はブランドを差別化する大切な性能であった。超高速走行シーンが存在するからこそ、クオリティの高いクルマが生まれたともいえる。その成果は、制限速度が120km/hにすぎない我が国においても、性能的ゆとりとして感じることができたわけで、輸入車を選ぶ魅力のひとつだったことは間違いない。
では、なぜボルボは自ら制限速度を定めることにしたのか。最大の理由は安全性だ。ボルボは、交通事故による死者や重傷者をゼロに近づけるべく、これまで数多くの技術やデバイスを開発してきた。また、そこで得た研究成果を公開するなど、安全に関する取り組みの真剣さと実績は業界の最高峰にある。そんなボルボの研究によれば、ある一定以上の速度で事故が起きると、もはや安全装備やインフラの整備では、死亡事故を回避することは難しいのだという。そこでボルボは、最高速度の制限と、さらに制限速度を低く設定できる「ケアキー」の導入を決定した。ボルボ・カーズ・セーフティ・センターの責任者であるマリン・エークホルム氏は次のように語っている。
「2019年に最高速度制限を発表して以来、自動車メーカーが制限を課すことについて疑問視する意見もありました。しかし、我々はたとえ一部の顧客を失うとしても、最終的に人命を救うために、先駆者であり続けるべきだと考えています」。
ケアキーは2021年からすべてのボルボ車に標準装備予定で、経験の浅いドライバーや高齢者ドライバーに車両を貸し出す際に有効だという。
最高速度制限というタブーに踏み込んだボルボ。だが、パンドラの箱に残っていたのは、「希望」だ。ボルボの勇気ある行動が自動車の未来を明るく照らすことを期待したい。

「ケアキー」で始動することで、あらかじめ設定した制限速度以上にスピードが出ないようにできる。2021年以降すべてのボルボ車に標準装備される。

ボルボは、新型車に対してクラスやグレードに関わらず最先端の先進安全装備を導入している。安全に対する意識の高さは間違いなくトップクラス。
スピードの出しすぎは、飲酒運転や注意散漫に並び、交通安全に関する重大な懸念事項であるという。ボルボでは、今後もこれら3つの事柄に対処する取り組みを継続的に行い、新機能として導入していく予定だ。