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更新日:2020.02.04 / 掲載日:2020.02.04

メルセデス・ベンツ特集/やはり気になるその動向 メルセデスの革新と優越

Visual model : MERCEDES-BENZ GLE

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年3月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

怒涛のSUV攻勢で新たなユーザーを獲得する

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス、メルセデス・ベンツ
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


「メルセデス・ベンツ」 の知名度の高さは、長年に渡って築かれてきた信頼の証だ。そのメルセデスが近年力を入れているのがSUV。その魅力をまずはここでご紹介したい。

Mクラスのデビューはなんと23年前!

 今や街中で見ない日のないメルセデスのSUV。販売実績はセダン以上の成長を見せている。ラインアップは広く、ボディサイズや搭載されるエンジンバリエーションまで数えれば、とんでもない数に及ぶ。日本に入っているのはその一部だと考えていいだろう。
 そんなSUV群のスタートとなったのがGLE。かつてMクラスと呼ばれていたモデルだ。Gクラスに限界を感じていた90年代、メルセデスの開発陣が次世代SUVの旗振り役として誕生させた。堅牢なラダーフレームでできたそれを、彼らはNATO軍にGクラスとの入れ替えを提案したほど。それはともかく、Mクラスから数えること4世代目となったのがここで紹介するGLEとなる。
 お披露目は2018年のパリサロン。そもそも保守王道のモデルだけに、見た目に大きな変化はないが、ヘッドライトやグリル、キャラクターラインなどのボディプレスに最新のメルセデスデザインが注入された。イメージ的にはこれまでのモデルとEQCの間を繋ぐようなシルエットだ。
 “ Sensual Purity(官能的な純粋さ)”というワードをご存じだろうか。これは美しい抑揚を見事に表現する4ドアクーペ、CLSのプレゼンテーションで使われた言葉で、それ以降のメルセデスデザインの根幹として使われている。より動的で有機的な感じだ。
 そして何よりも特徴となるのがパッケージング。新型GLEは3列シートの7名乗車を可能とした。しかも日本仕様は3列のみという設定。畳めばしっかりカーゴスペースは使えるのだから、はじめから3列目が付いている方がお得な気がする。もちろん、その分ホイールベースや全長は従来型比でおおよそ100mm長くなっている。その意味ではこれまでのモデルより迫力は増し、存在感は高まった。
 そんなGLEを横目に、昨年10月弟分のGLCがマイナーチェンジしたのも注目に値する。その内容は、エクステリアの意匠変更、インテリアの横長ディスプレイの採用、運転支援システムのアップグレード、モデルバリエーションの充実など。エンジンバリエーションは豊富で、4気筒、6気筒、8気筒から選べる。もちろんそこにはSUVと親和性の高いディーゼルも含まれる。
 そして、GLCはクーペも同時発表。5種類あるグレードは2つのボディタイプにそれぞれあるので、10種類から気に入ったものをチョイスできる。お見事。ただ、エントリーのGLC 220d 4MATICとトップエンドのGLC 63S 4MATICでは価格はおよそ2倍違う。それだけ幅広いというわけだ。豊富なラインアップに脱帽である。

Profile
自動車ジャーナリスト

九島辰也
長年にわたり男性ファッション誌や一般誌でも活躍する自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

GLE:圧倒的な存在感と豊富なエンジンバリエーション

 グレードは3つでエンジンも3種類。2L直4ディーゼルターボと3L直6ディーゼルターボ、それとガソリンの3L直6ターボとなる。最高出力はそれぞれ245馬力、330馬力、367馬力という設定。ちなみに、ガソリンエンジンはISG搭載。つまり、マイルドハイブリッドと呼ばれるもので、48Vの電気システムがパワーアシストする。シートレイアウトは2/3/2。3列目シートがフラットに畳めるのはさすが。
メルセデス・ベンツ GLE 300 d 4MATIC(9速AT) ※欧州参考値 ●全長×全幅×全高:4930×2018×1795mm ●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ ●最高出力:330ps/3600-4000rpm ●最大トルク:71.4kgm/1200-3000rpm ●排気量:2925cc ●新車価格帯:940万円~1153万円(AMGを除く)

GLC:頃合いのいいサイズ感で人気

 GLE比で全長が300mm近く短くなるGLC。幅も狭く、全高も下がるので日本の道路でも扱いやすい。ボディタイプはスタンダードとクーペの2種類。またエンジンにより、通常のメルセデスとメルセデスAMGに分かれる。後者は縦縞のグリルになりAMG GTを思い起こさせる。63S 4MATICはなんと510馬力を発揮。
メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC(9速AT) ●全長×全幅×全高:4670×1890×1645mm ●車両重量:1860kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●最高出力:194ps/3800rpm ●最大トルク:40.8kgm/1600-2800rpm ●排気量:1949cc ●新車価格帯:690万円~1487万円(AMGを除く)

G-Class:新しくなってさらに魅力が加速中!

 2018年にモデルチェンジしたGクラス。スタイリングはもちろん、ドアを閉める音まで従来型が踏襲されている。グレードはG 350 d、G 550、それとメルセデスAMG G63という設定。おもしろいのはディーゼルエンジン。従来のV6とは違う新世代の直6ディーゼルで、パワーと環境対策を両立させている。
メルセデス・ベンツ G 350 d(9速AT) ※欧州参考値 ●全長×全幅×全高:4606×1931×1969mm ●車両重量:2460kg ●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ ●最高出力:286ps/3400-4600rpm ●最大トルク:61.2kgm/1200-3200rpm ●排気量:2925cc ●新車価格帯:1192万円~2114万円(AMGを除く)

EQC:初モノとは思えない驚きの完成度!

 メルセデス・ベンツブランド初のピュアEVとして昨年発表されたEQC。リチウムイオンバッテリーを積み、前後のアクスルにひとつずつ備えられたモーターでクルマを動かす。ベースとなったのはGLCだが、かなり手が入っている。マフラーはもちろんリヤエンドの排気口も存在しないのもEVの特徴となる。
メルセデス・ベンツ EQC 400 4MATIC(1速固定式) ●全長×全幅×全高:4770×1925×1625mm ●車両重量:2500kg ●バッテリー容量:80kWh ●モーター最高出力:408ps/4160rpm ●最大トルク:78.0kgm/0-3560rpm ●新車価格:1080万円(EQCのみ)

今後はEVのEQシリーズも増える!?

 前のページでスポットを当てたGLEとGLC以外にもメルセデスのSUVはまだまだある。GLAやGLS、それとGクラスといったモデルだ。セダン同様A、C、E、Sといったサイズを分けるクラス名に“GL”の文字が頭につく法則だ。
 その意味では、GLBの登場もそう遠くはない。昨年末にヨーロッパで発売が開始されていて、日本では今年末に投入されることが予想される。もうじきフルラインアップが完成するというわけだ。
 さらに言えば、昨年リリースされたEQCのようなピュアEVもSUVカテゴリーに加わっている。大量のバッテリーパックをキャビン下部に敷き詰めるEVに、SUVパッケージは都合はいい。アウディeーtron、ジャガーIペイス、レクサスUX300eといったモデルがSUVやクロスオーバーなのはそんな理由である。
 また、EQCの“C”はGLCベースであることを鑑みると、SUVラインアップの数だけピュアEVのEQシリーズが増殖する可能性もないことはない。現に、海外のネット情報によるとGLBベースのEQB登場はもうすぐそこまできている。
 というメルセデスのSUV事情だが、そのなかにおいても不変なのがGクラス。3つのデフロックを持つこのモデルは、まさにキングオブオフローダー。乗用車的なSUVとは対極にあるレアな存在となる。そんなモデルもラインアップするメルセデスのSUV群。その懐の深さはさすがである。

GLB[coming soon]:コンパクトSUVが新たに上陸予定!

 BクラスをベースにしたSUV。昨年の上海モーターショーでコンセプトが発表され、6月に市販車の発表に至った。特徴はそのサイズだがオプションで3列シート仕様も用意される。また最大4個のチャイルドシートを取り付けられる。日本導入は今年末。

ついにここまできた! ディーゼルハイブリッドの高完成度[E 350 de AVANTGARDE Sports]

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


昨年の東京モーターショーでお披露目された注目のE 350 de。その高い完成度は、想像以上だった!

思いのほか運転が楽しい環境モデル

 SUV攻勢に目が奪われてしまう現在のメルセデスだが、そのなかでぜひ注目してもらいたいモデルがある。日本初のディーゼルハイブリッドE 350 deだ。昨年12月からデリバリーされている。
 ディーゼルハイブリッドのメリットはまさに燃費のよさ。そもそも燃費のいいディーゼルエンジンとモーターを組み合わせるのだから申し分ない。それに出だしから太いトルクを発生させる両者は走りのフィーリングもマッチ。どのタイミングでモーターやエンジンが立ち上がっても違和感なく走れるのだ。
 ただネガティブポイントもある。とにかく静かなモーターでの走行にガラガラというディーゼル音が入ってくれば耳障りなのは一目瞭然。それもあってこれまで多くのメーカーは手を出さないでいたのだ。といったポイントを踏まえてこのクルマを走らせると、恐ろしいほどよくできている。スムースなパワーソースの切り替えはもちろん、軽快なハンドリング、スポーティなフットワークは運転が楽しくなる仕上がり。
 しかも日常的な距離であれば走行のほとんどがモーターで賄える。アナウンスではEV走行距離50kmとあるが、通勤や買い物の足と考えれば十分。しかも、プラグインなので自宅での充電もストレスなし。パフォーマンスを含め、かなり大人なカーライフが送れる1台となる。

軽油の給油口はボディ右側リヤドア後方。グリーンの蓋がそれで、ブルーの蓋はAdBlueとなる。充電器の差し込み口はリヤエンド右端バンパー上。急速充電、200V対応。
2019年 メルセデス・ベンツ E 350 de アバンギャルドスポーツ(9速AT) ●全長×全幅×全高:4923×1852×1475mm ●車両重量:1720kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:194ps/3800rpm ●最大トルク:40.8kgm/1600-2800rpm ●排気量:1950cc ●新車価格:875万円(E 350 de アバンギャルドスポーツのみ)

  • 数少ないネガティブポイントはこのトランク。リチウムイオンバッテリーをリヤアクスル上に積むためトランクの奥がこのように盛り上がってしまう。

  • 2L直4のクリーンディーゼルを縦置きするエンジンルーム。単体で194馬力。モーター出力は122馬力。システム総合では306馬力と立派な数値だ。

[メルセデスSAFETYのいま]知能化が進むメルセデスの安全技術

文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ

数あるラグジュアリーブランドのなかでも、メルセデスの安全性が秀でていることに異論はないだろう。トップランナーとして世界を牽引してきたメルセデスは、「知能化」により新たなるステージへ進もうとしている。

自動運転技術の進化が安全性に結びつく

 つねに他に先駆けて安全を追求してきたメルセデス。それは自動車を発明したブランドとしてのプライドであり、自動車メーカーとしての社会的責任の追求でもある。
 現在メルセデスは、従来からの安全コンセンプトを受け継ぎつつ、自動運転技術を組み合わせることで、さらなる安全性を追求している。
 自動運転技術とは、クルマを知能化することで、人間が運転する際に行う認知、判断、操作を機械がサポートしたり、ときに肩代わりするというもの。たとえば、いまや当たり前の装備となりつつある高度なクルーズコントロール機能も、ただ快適性を高めるだけでなく、不注意や疲労からくる衝突、路外への逸脱を防ぐねらいが込められている。ドライバーの負担を減らすことが、結果として危険な状況を作らないことにつながるというわけだ。人間はコンディションによって注意力が散漫になったり、判断をミスするが、機械であればつねに100%の注意力で周囲を監視し続けてくれる。
 こうした車両制御技術に加えて、車両と車両、車両と道路環境とが通信で繋がり、双方向で情報をやりとりする技術も開発中。視野外から侵入する車両を検知する実証実験を行なっている。さらに、これまでドライバーがアイコンタクトやジェスチャーによって行なっていたコミュニケーションを、クルマが代わりに行う実験車両も登場。
 知能化が進むことで、メルセデスの安全はさらなる次元へと進化する。

安全コンセプトを4つのシーンで構成

ACTIVE SAFETY

PRE-SAFE

PASSIVE SAFETY

POST SAFE

自動運転技術の進化が安全性に結びつく

 つねに他に先駆けて安全を追求してきたメルセデス。それは自動車を発明したブランドとしてのプライドであり、自動車メーカーとしての社会的責任の追求でもある。
 現在メルセデスは、従来からの安全コンセンプトを受け継ぎつつ、自動運転技術を組み合わせることで、さらなる安全性を追求している。
 自動運転技術とは、クルマを知能化することで、人間が運転する際に行う認知、判断、操作を機械がサポートしたり、ときに肩代わりするというもの。たとえば、いまや当たり前の装備となりつつある高度なクルーズコントロール機能も、ただ快適性を高めるだけでなく、不注意や疲労からくる衝突、路外への逸脱を防ぐねらいが込められている。ドライバーの負担を減らすことが、結果として危険な状況を作らないことにつながるというわけだ。人間はコンディションによって注意力が散漫になったり、判断をミスするが、機械であればつねに100%の注意力で周囲を監視し続けてくれる。
 こうした車両制御技術に加えて、車両と車両、車両と道路環境とが通信で繋がり、双方向で情報をやりとりする技術も開発中。視野外から侵入する車両を検知する実証実験を行なっている。さらに、これまでドライバーがアイコンタクトやジェスチャーによって行なっていたコミュニケーションを、クルマが代わりに行う実験車両も登場。
 知能化が進むことで、メルセデスの安全はさらなる次元へと進化する。

自動運転技術の導入によって進化したレーダーセーフティ

 メルセデスの先進安全機能を象徴するのが、高性能レーダーとカメラを組み合わせたレーダーセーフティ。登場した当初は警告や自動ブレーキによる予防安全機能が主であったが、その後システムが世代を重ねることでさらに進化。運転支援進化機能を搭載し、ドライバーの運転操作を積極的にサポートするようになった。そして最新世代では、自動運転技術をふんだんに投入することで、より幅広い状況で、ドライバーの知覚や認識を超えるような広範囲の支援を行えるようになった。同時に、まるでベテランドライバーが運転しているかのような、自然でなめらかな運転サポートを実現させている。

アクティブブレーキアシスト(緊急回避補助システム)
 時速約7km以上で走行中、前走車に近づきすぎると警告を行い、衝突が避けられない場合には自動ブレーキが作動する。また、ステアリングによる回避行動をサポートするシステムも備わる。

アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック
 カメラとレーダーセンサーが前走車を認識し、車間距離をキープ。白線がある道路では車線中央を走行、白線がない場合は壁やポール、前走車をガイドにして走行する。

アクティブエマージェンシーストップアシスト
 ステアリングパイロット起動時に両手がステアリングから離れている際に作動。まずは警告音で注意を喚起し、それでも反応がない場合は緩やかに停止する。またSOSコールを作動させる。

アクティブステアリングアシスト
アクティブレーンチェンジングアシスト
右折時対向車検知機能
渋滞時緊急ブレーキ機能
アクティブレーンキーピングアシスト
アクティブブラインドスポットアシスト
降車時警告機能
リヤクロストラフィックアラート
ドライブアウェイアシスト
トラフィックサインアシスト

Sクラスに搭載されている先進安全装備のイメージ図。360度をフルカバーするような機能が搭載されている。これらの包括的な安全装備により、事故のリスクや被害を軽減する。

次世代技術を満載した安全実験車

 メルセデスでは、これまで安全技術を磨き上げるべく、それぞれの時代ごとに安全実験車を開発し、テストを行ってきた。最新世代である「ESF2019」では、交差点で歩行者や自転車の正確な位置を検出。さらに事故時にはルーフから警告板がポップアップするなど、さまざまなトライを行なっている。

[メルセデス・ベンツの安全ヒストリー]人命は何よりも優先される。それがメルセデスの信念。

文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツが快適なだけでなく、安全なクルマであることはよく知られている。それは、確固たる意思を持って受け継がれてきたブランドの信念なのだ。

いつの時代も安全技術のトップランナーとして

 安全の基本は、いまも昔もパッシブセーフティ(受動的安全)にある。メルセデスはそう考えている。
 受動的安全とはつまり、衝突してしまった際の安全性のことを意味する。自動ブレーキに代表される高度な先進安全技術が事故を未然に防ぐといっても、事故による死傷者ゼロを目指すためには、乗員を最終的に防御する受動的安全を磨き上げるほかはないからだ。
 そこでメルセデスは、2016年に新たな衝突試験センターを建設し運用を開始している。ここでは、各種法規に対応する豊富な試験パターンを備えるほか、高電圧を扱うEVについても、その安全性を厳しくチェックしているという。このセンターには数百億円を投資した。
 なぜそれほどまでに安全にこだわるのか。それは、メルセデスにとって安全がブランドのフィロソフィーそのものであるから。
 1939年に主任設計者として迎えられたベラ・バレニーは、「ミスター・セーフティ」と後に呼ばれるエキスパート。彼は、34年間のキャリアにおいて2500件もの安全に関わる特許を取得し、安全性の進化に大きく貢献した。
 だがメルセデスは、その特許を無償で公開した。なぜならば、人間の生命は何よりも優先されるから。まさに、自動車を発明したブランドとしてのプライドがそこに感じられる。
 その後もABSやエアバッグなど、メルセデスが世界で初めて導入し、その後、広がった技術は数多い。プライドは受け継がれているのだ。

独自の事故調査チームを組織し、実験だけではわからない、リアルワールドで起きたアクシデントからもノウハウを蓄積している。

  • 2016年に運用を開始した最先端の衝突試験センター。安全面のパイオニアとして、衝突テストについても進歩している。

  • 早くから衝突実験によるダメージの分析に取り組んでいたメルセデス。乗用車以外との衝突試験も行い、双方のダメージを研究している。

このイラストはメルセデスのヘッドライトがどのように進化してきたかを示したもの。最初期はロウソクだったものが、最新ではLEDを使った多機能なものに進化している。

[CES2020で公開された最新コンセプト]自然と調和することで、高級車は未来に存続する。

文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ
2020年1月7日にアメリカ・ラスベガスで開幕された世界最大の電子機器の見本市にメルセデスが新型コンセプト「ヴィジョンAVTR」を公開した。

自然からヒントを得た高級車の未来像

 世界最大の電子機器見本市であるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)は、ハイテク産業のトップランナーが集う場所として、近年自動車メーカーも多数出展している。
 メルセデスも新しいコンセプトカー「ヴィジョンAVTR」を発表した。これは、映画「アバター」とのグローバルパートナーシップの成果として製作されたもので、自動運転のEVとなる。パフォーマンス面では、4輪にインホイールモーターを搭載し、476馬力を発生。4つのモーターを個別に制御するトルクベクタリング技術により、高いレベルのダイナミクスとセーフティを実現するという。
 生物的で印象的なデザインは、まさに映画「アバター」の世界観。目指したのはひとと自然との調和で、そのために各コンポーネントの電力消費は最小化され、リヤに組み込まれたソーラーパネルによって補われるイメージとなっている。さらに「ヴィークル・トゥ・グリッド」機能により、車載バッテリーから住宅などに電力を供給。これらの制御は人工知能が担当する。
 「ヴィジョンAVTR」は、まさにSF映画に登場する乗り物のよう。だが、そこでチャレンジしている技術は、じつは近い将来の大型高級車のための技術でもある。
 このコンセプトカーには、今後自動運転が進化しても、メルセデスはパーソナルなラグジュアリーカーを作り続けるという強い意思が込められているのだ。

マルチファンクションエレメントを前後左右に動かして操縦。前後だけでなく、真横にも動く。手のひらを通じて乗員の感情を読み取る。

デザインは自然に触発された有機的なもので、エクステリア全体は「ひとつの矢」のように造形されている。大容量かつコンパクトな高電圧バッテリーを搭載し、航続距離は最大700km以上。

車体後部には33個の多方向に可動する「バイオニックフラップ」を装備。ソーラーパネルを最適な向きにキープする。ドアは透明な素材で車内と車外とが融合するような感覚を提供する。

[いよいよ買い時到来!?]Cクラス&Eクラス中古車事情

文と写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年1月調べ。

昔からメルセデスと言えば、セダンを思い浮かべるひとが多い。ここでは売れ筋の現行型CクラスおよびEクラスの中古車事情を紹介!

メルセデス・ベンツ Cクラス(W205)[伝統のFRセダンが手頃な価格で乗れる]100万円台の物件も!? 今が買い時のCクラス

 好きなグレード、オプション、ボディカラーが選べる新車も魅力だが、手頃な価格で買える中古車という選択肢にも注目したい。とくにメルセデスは新車が高額なモデルゆえ、中古車のお買い得度が光る。今回は同ブランドの鉄板チョイスのCクラスとEクラスのセダンにフォーカスを当て、中古車動向を探ってみたい。
 まずは2014年にデビューしたCクラス。デビュー当時の新車価格は419万円~644万円だったが、現在の中古車平均価格は364万円(AMGを除く全グレード)と、魅力的な価格になっている。さらに調査してみると、100万円台の物件も目立ち、5年落ちなら200万円以下の予算でも十分ねらえるのだ。
 現行型の特徴として、ガソリンのほかにディーゼル、さらにはPHEVも設定されている。とくにディーゼルは、ここ数年で普及した人気モデル。しかし、中古車の大半はガソリンとなっており、ディーゼルは少なく相場も高め。予算重視ならガソリン(C 200)がオススメ。PHEV(C 350 e)も同様に探しにくい。しかし今後はこれらの物件も増えてくる可能性があるので、気になるひとは動向をチェックしたい。
 最近はさらに下のAクラスセダンも存在するが、伝統のFRミドルセダンであるCクラスは、上質な走りを提供してくれる。先代もスポーティさをウリにしていたが、現行型もその延長線にあり、ドライブが楽しい1台。ほかにもワゴン、クーペ、カブリオレが設定されるので、そちらに注目するのも楽しいだろう。

2014年 メルセデス・ベンツ C 200 アバンギャルド(7速AT) ●全長×全幅×全高:4690×1810×1435mm ●ホイールベース:2840mm ●トレッド前/後:1565/1550mm ●車両重量:1540kg ●排気量:1991cc ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:184ps/5500rpm ●最大トルク:30.6kgm/1200~4000rpm ●サスペンション前/後:4リンク/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:225/50R17 ●中古車参考価格帯:160万円~550万円(14年~19年 ※AMGを除くセダン全グレード)

先進的なデザインのインパネまわり。メタリックパーツにより、スポーティ感を高めている。ドライビングポジションも良好で、スポーティなドライビングにも対応する。

写真はレザー仕様だが、プレミアムブランドらしい品質感を放つ。2840mmという十分なホイールベースのため、後席も大人がしっかり座れる居住性を確保。実用セダンとしては申し分のないパッケージと言えよう。

  • センターディスプレイのコントローラーは特徴的な形。レーダーセーフティも装備している。

  • フル乗員でも445Lの荷室容量はセダンとしてはそれなりに大きい。一泊二日の家族旅行にも使えそうだ。

  • 現行型Cクラスの主力エンジンとも言えるのが2L直噴ターボを搭載する「C 200」系。最高出力は184馬力、最大トルクは30.6kgmと十分以上の性能を誇る。

メルセデスのデザインとしては1世代前ではあるが、安心感を与えてくれる造形である。全長が4.7m弱という手頃なボディサイズゆえ扱いやすいのも◎。

マーケットデータ

  • [グレード別物件比率]現行世代のCクラスは、ガソリン、ディーゼル、PHEVと幅広く設定されている。しかし中古車の約8割はガソリン。なかでも「C 200」系がもっとも豊富で買いやすい。

  • [年式別物件比率]2019年式が4割を占めるのは、登録済未使用車の割合がそれだけ多いということ。それを除けば、どの年式も万遍なく流通している。価格が安いのは14年~16年式。

バリエーション:ほかにも選べるCクラスのボディタイプ。どれがお好み?

 Cクラスはセダンだけではなく、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレと幅広いバリエーションを持つ。セダンに次いで物件数が多いのはステーションワゴンで、セダンよりもやや相場が高め。クーペ、カブリオレは物件が少ないのが難点だ。

  • ステーションワゴン 中古車参考価格帯:160万円~550万円(14年~19年 ※AMGを除くワゴン全グレード)

  • クーペ 中古車参考価格帯:210万円~540万円(14年~19年 ※AMGを除くクーペ全グレード)

  • カブリオレ 中古車参考価格帯:370万円~620万円(14年~19年 ※AMGを除くカブリオレ全グレード)

メルセデス・ベンツ Eクラス(W213)[PHEVは意外とねらい目モデル!?]新車時の半額から探せる現行型Eクラス

 Cクラスのひとつ上に位置するEクラスは、全長4930mmとかなり大きなサイズ。それゆえ、メルセデスに乗る喜びを一層感じさせてくれるクルマである。デビューは2016年7月で、今年で3年半が過ぎた。新車デビュー時の価格は675万円~988万8000円だったが、現在の中古車平均価格は501万円となっている。探せば300万円台の物件も多く、わずか数年で半額にまで下がっている。
 もっとも豊富なグレードは、2Lディーゼルターボを搭載した「E 220 d」。現行型が登場した時点でラインアップに存在していたため、物件数は充実している。ちなみにガソリン「E 200」の平均価格は457万円なのに対し、「E 200 d」は518万円と相場が50万円ほど高め。両者は走りのフィールも異なるので、じっくり検討したい。
 また、Cクラスは高年式物件が非常に多い傾向にあったが、Eクラスは比較的分散している。価格が手頃な初期型も探しやすいので安心していい。モデルライフ中盤ゆえ、極端な値崩れはまだ起きていないが、現行型のEクラスと考えれば十分納得できる買い物となりそうだ。
 なお、現行型はPHEVの「E 350 e」が設定される。物件数は少ないが、低走行車でも500万円前後の予算で購入可能。新車価格は852万円であることを考えると、わずか1~2年で300万円減は、魅力ある選択肢と言えそうだ。
 憧れのプレミアムセダンも、そろそろ買い時が到来したのである。
2016年 メルセデス・ベンツ E 200 アバンギャルド スポーツ(9速AT) ●全長×全幅×全高:4950×1850×1455mm ●ホイールベース:2940mm ●トレッド前/後:1600/1590mm ●車両重量:1700kg ●排気量:1991cc ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:184ps/5500rpm ●最大トルク:30.6kgm/1200~4000rpm ●サスペンション前/後:4リンク/マルチリンク ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前/後:245/40R19/275/35R19 ●中古車参考価格帯:300万円~790万円(16年~19年 ※セダンの全グレード)

高精細12.3インチのワイドディスプレイを採用し、より現代的なデザインのインパネまわり。ステアリングにはタッチコントロールが備わり、さまざまな操作が行える。

2940mmと、Cクラスよりも100mm長いホイールベースの影響は室内のゆとりに直結。とくに後席の足もとスペースは広くて快適。多くの箇所にレザートリムが用いられ、乗った瞬間に高級感を堪能できる。

  • センターコンソール部にはアナログ時計が配されるなど、高級感あふれる演出がなされている。

  • フル乗員で540Lもの容量を誇るラゲッジルーム。後席を畳むことで長尺物も積載可能である。

  • Cクラスなどでお馴染みの2L直4ターボを搭載。Eクラスのエントリーモデルながら、184馬力の出力、30.6kgmのトルクでゆとりの走りを実現する。

先にデビューしたSクラス、Cクラスと共通項のあるエクステリア。見た目は似ているが、より伸びやかなプロポーションなのが特徴である。

マーケットデータ

  • [グレード別物件比率]Cクラスとは異なり、Eクラスはディーゼルがもっとも豊富。これは、デビュー当初からディーゼルの設定があったことが理由と思われる。一方、PHEVは全体のわずか4%。

  • [年式別物件比率]Cクラスと同様、走行距離の非常に少ないクルマが多数流通。その一方でデビュー年の2016年式は2割弱。この年式なら300万円台の物件も目立ち、ねらい目となっている。

バリエーション:W213世代では豊富なボディタイプが揃う

ステーションワゴン 中古車参考価格帯:360万円~800万円(16年~19年 ※AMGを除くワゴン全グレード)

 現行型Eクラスは、セダンを含めて全5タイプのボディから選べる。とくに注目なのが、ブラックのフェンダーや専用バンパーが与えられた4WDのオールテレイン。ワゴンの使い勝手と悪路走破性を備えた万能選手。ただし、物件数に注目するとステーションワゴンがもっとも豊富で、それ以外はやや選びにくい状況。カブリオレは中古車市場ではレアな存在である。

  • オールテレイン 中古車参考価格帯:480万円~750万円(17年~19年 ※オールテレインの全グレード)

  • クーペ 中古車参考価格帯:450万円~870万円(16年~19年 ※AMGを除くクーペ全グレード)

  • カブリオレ 中古車参考価格帯:560万円~870万円(16年~19年 ※AMGを除くカブリオレ全グレード)

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