輸入車
更新日:2019.12.31 / 掲載日:2019.12.31
コンパクトスポーツ特集/自由自在に操る喜びをもう一度[コンパクトスポーツに高ぶる!]

Visual model : Mercedes-AMG A 35 4MATIC Edition 1
写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年2月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
我が物顔で走る高級車やスポーツカーを小さな実用車が追いまわすクルマ界のジャイアントキリング。そんなストーリーを愛するのは日本人だけではない。ゴルフGTIに代表されるコンパクトスポーツを生み出した欧州では、必ずといっていいほど各世代に「顔役」となる血沸き肉躍るコンパクトスポーツを用意している。そして近年では、若者だけではなく、経験を重ねた大人をも虜にするニューモデルが次々と登場しているのだ。
大人になっても走りをあきらめない!

メルセデスAMG A 35 4マチック エディション1
文●石井昌道、ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ、ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
いま、ホットハッチの定義が変わろうとしている。若者だけでなく、分別をわきまえた大人が楽しめる、上質なスポーツモデルが登場した。
プレミアムブランドの参入で勢力図に変化が
その昔のコンパクトスポーツといえば、財布が軽い若者にぴったりのモデルだった。実用車にちょっと元気なエンジンを搭載しているから、それなりにファン・トゥ・ドライブではあるが、ピュアなスポーツカーに比べればパフォーマンスはそうたいしたことがない。そこが、経験が浅く運転テクニックはまだ未熟、でも血気盛んだからとにかくアクセルを床まで踏み込みたいという欲求にちょうどよく応えてくれていたように思う。いつの日か、すごいスポーツカーに乗るんだと夢みながら、情熱をたぎらせるのがコンパクトスポーツの本分だったのだ。
ところが最近では、ひと昔前の本格スポーツカーやスーパースポーツに匹敵するほどのパフォーマンスを身につけ、ベテランドライバーが舌を巻くような奥深い味わいを見せるコンパクトスポーツが続出している。あいかわらず実用的なハッチバックがベースではあるものの、大人を高ぶらせ、真の走る喜びを持ち合わせた手ごたえを感じさせるのである。
“コンパクトスポーツ侮りがたし”を印象付けたのは2005年に登場した5世代目ゴルフGTIであり、いまでは燃費改善技術として馴染みのあるダウンサイジングコンセプトの手法が使われていた。それ以前は、燃費改善をねらえばパフォーマンスははっきりとトレードオフになっていたが、根本的な高効率化を図ることで両立を実現。ゴルフなら2LNAがスタンダードだったところを1.4Lや1.2Lの直噴ターボとして、小排気量の燃費メリットとターボのパフォーマンスメリットを掛け合わせた。ホットなGTIは2L直噴ターボで最高出力200馬力。FFコンパクトカーにとって余りあるパフォーマンスだった。 その後も直噴ターボやDCTといったテクノロジーを軸にコンパクトスポーツは目覚ましく進化し、質や感性での深化をも果たしてきているが、それはプレミアム・ブランドの雄であるメルセデス・ベンツとBMWがコンパクトの世界に降りてきたことで拍車がかかったと言えよう。
エンジン開発を得意とするメルセデスAMGがコンパクトスポーツに本気で取り組むとどうなるのか? 同ブランドではエントリーモデルとなるA35でも2L直噴ターボながら最高出力306馬力。15年も時を経ているとはいえ、5世代目ゴルフGTIの約1.5倍をサクッと出しているのである。しかもハイパフォーマンスカー特有のじゃじゃ馬的な要素はほとんどなく、しっとりとした大人な乗り味なのだから驚かされる。
その上のA45になると2L直4直噴ターボながら421馬力に至るのだから凄まじい。A35のM260エンジンは量産型だが、A45のM139エンジンは職人が手作りする「One Man One Engine」で正真正銘のAMGユニット。コンパクトスポーツ最高峰のA45は、若さに任せて公道で全力を出し切るなんてことは現実的ではない。分別ある大人のドライバーが、サーキットなど然るべきステージで楽しむモデルだろう。
Profile
自動車ジャーナリスト
石井昌道
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動運転にも参加する自動車ジャーナリスト。幅広い視野と知見で、自動車業界を取り巻く状況をわかりやすくレポートする。
メルセデスAMG A 35 4マチック エディション1

もはや知らぬ者はいない伝統のハイパフォーマンスブランド、メルセデスAMG。そのエントリーモデルとして企画されたのが「35シリーズ」。日常的に使える高性能という触れ込みではあるが、2L直4ターボによる最高出力は306馬力と十分以上。強化された足まわりと4WDシステムの相互作用で、あらゆるシーンで余裕の速さを見せる。
メルセデスAMG A 35 4マチック エディション1(7速AT・DCT) ●全長×全幅×全高:4455×1800×1410mm ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:306ps/5800rpm ●最大トルク:40.8kgm/3000-4000rpm ●排気量:1991cc ●新車価格帯:743万円

ビジュアルモデルは日本導入記念に設定された限定モデル。大型リヤウイングやスポーティなバケットシートがスポーツマインドを盛り上げる。
BMW M135i xDrive

プラットフォームを刷新した新型1シリーズのイメージリーダーを務めるM135i。2L直4ターボによる最高出力は306馬力。そのパワーは3L直6ターボを搭載していた先代と遜色ないのだから、技術の進化を感じさせる。さらに新型では4WDとすることで、その力を余すことなく路面に伝える。シャープなハンドリングも魅力。
BMW M135i xDrive(8速AT) ●全長×全幅×全高:4355×1800×1465mm ●車両重量:1580kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:306ps/5000-6250rpm ●最大トルク:45.9kgm/1750-4500rpm ●排気量:1998cc ●新車価格帯:630万円


新設計のピストン、大型ターボチャージャー、インテークシステムの最適化、冷却系の強化、4WD化と、ベースモデルとの差異は大きい。それでいて扱いやすさもスポイルされていない。
走りの手ごたえ感はコンパクトスポーツならでは

文●石井昌道、ユニット・コンパス 写真●内藤敬仁、澤田和久、ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
もはや性能が限界まで高まりつつあるFFモデル。さらなる高みを目指す4WD勢。群雄割拠するコンパクトスポーツのいまを探る。
モアパワーへの欲求はどこまでも止まらない
BMW M135iは、M2やM3、M4といった真性Mモデルではなく、量産型のMパフォーマンスで306馬力と、メルセデスAMGならA35に相当する。現行1シリーズは、エンジン横置きFFベースとなったため、先代のように直6をブチ込むわけにはいかない。今後は2シリーズの低全高モデルも横置きになっていくので、ますます現行M2は貴重な存在と言えるかもしれない。とはいえ、BMWのことだから横置きスポーツの世界でもさらなる高みを目指すことだろう。
横置きFFベースの経験は浅いながら、BMWが走りの優れたモデルを送り出せているのはMINIがあるからだ。BMW MINIとなってからすでに3代目。もともとクーパーなどホットモデルの存在がひとつのアイデンティティになっているMINIは、モアパワー・モアパフォーマンスへの探究心が強く、その究極がJCW。初代はマニア向けのキット販売というカタチをとっていたが、いまでは晴れてカタログモデルとなり、あらゆるボディ形態でラインアップする。3ドアとハッチバックは231馬力。FFではもはや限界であり、ニューカマーのクラブマンやクロスオーバーはそれを超えた306馬力なのでAWDとされた。MINIでさえ簡単には手の内に収められないほどハイパフォーマンス化されているのだ。
FFでの限界に挑み続けているのがルノー・メガーヌR.S.だ。トロフィーなら300馬力で従来のFFの限界を超えているが、4CONTROLや4HCCといったシャシーテクノロジーで手懐けてニュルブルクリンクFF最速のDNAを守り抜こうとしている。AWD化する前に、まだやれることはあるのだという主張とも見てとれる。
目を見張るハイパフォーマンスのオンパレードに怖じ気づく向きもあろうかと思うが、ホッとさせられる存在がBセグメントのアウディA1スポーツバック35TFSI。1.5L直4直噴ターボで150馬力なら、現代のコンパクトスポーツとしては手の内に収められそうな部類で安心する。ただしA1にも本国では200馬力の40TFSIが用意されていて、身震いしながらもそちらを試してみたい気が起きたりもする。
結局のところ、クルマ好きは大人になっても業が深く、モアパワー・モアパフォーマンスの魔力には抗えない!? パワーウォーズと大人の分別の狭間で揺れ動く感情に翻弄されることに快感を覚えるのが最新のコンパクトスポーツであり、いままさに旬を迎えているのである。
アウディ A1 スポーツバック 35 TFSI アドバンス

小さいことを美徳と感じさせる。新しいA1スポーツバックはそんなクルマに仕上がっている。高剛性の車体、精緻な印象のインテリア、そして豊富なデジタルデバイスによる運転サポートと、ほしいものがすべて備わっているからだ。150馬力を発揮する1.5Lターボの「35」は走りも大人びて上質。まさにアウディそのものだ。
アウディ A1 スポーツバック 35 TFSI アドバンス(7速AT・Sトロニック) ●全長×全幅×全高:4040×1740×1435mm ●車両重量:1220kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:150ps/5000-6000rpm ●最大トルク:25.5kgm/1500-3500rpm ●排気量:1497cc ●新車価格帯:365万円(全グレード)

アウディクワトロをオマージュしたというフロントマスクの3連エアインレットが外観のアクセント。さらにスポーティな装いを求めるなら専用バンパーやホイールを装備するSラインがオススメ。
ルノー メガーヌ R.S.

歴代モデルがニュルブルクリンクでの最速記録保持ということもあり、スポーツコンパクトの代名詞となったメガーヌR.S.。現行モデルはバランス重視のセッティングを施した「R.S.」(6速EDC)とサーキット志向の「R.S.トロフィー」(6速MT/6速EDC)を用意。
ルノー メガーヌR.S.(6速AT・EDC) ●全長×全幅×全高:4410×1875×1435mm ●車両重量:1480kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:279ps/6000rpm ●最大トルク:39.8kgm/2400rpm ●排気量:1798cc ●新車価格帯:448万1000円~499万円(メガーヌR.S.全グレード)


4ドアでなおかつホイールベースも長いため、後席の実用性も高い。後輪操舵の採用で俊敏性と高速での安定性を両立させている。
MINI ジョンクーパーワークス

人気がますます加速しているMINIのスポーティイメージを牽引するのがJCW(ジョンクーパーワークス)。その魅力は本格的なスポーツ性能に加えて抜群のファッション性、そして日常使いにも対応するフレキシビリティにある。ボディバリエーションも豊富だ。
MINI ジョンクーパーワークス(8速AT) ●全長×全幅×全高:3875×1725×1430mm ●車両重量:1290kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:231ps/5200rpm ●最大トルク:32.6kgm/1450-4800rpm ●排気量:1998cc ●新車価格帯:448万円~466万円(JCW3ドアのみ)


ひと目で高性能なスポーティモデルとわかる雰囲気ながらも、内外装をシックなテイストで仕上げているため女性からも人気が高い。
GTIの名は、もはやブランド

文●ユニット・コンパス 写真●フォルクスワーゲン
「小よく大を制す」という言葉を体現しているのが、VWのゴルフGTI。初代登場から40年以上。その名前は、もはやブランドへと成長した。
大型車に負けない走りで民衆の心を掴んだ
時は70年代後半。アウトバーンの速度無制限区間の追越車線は、大排気量モデルか高級スポーツカーの独壇場であった。つまり、そこで幅を利かせていたのは一部のお金持ちだったのだ。そんなステージに、庶民でも手が届く価格で挑むことができたのが、初代ゴルフGTI。小さなハッチバックが権威的なクルマたちに果敢に挑む姿は、庶民たちの心を鷲づかみにする。
こうして人気モデルとなったゴルフGTIは、ベースモデルのゴルフがモデルチェンジするたびに設定され、いつしかスポーツコンパクトのベンチマークとなった。
現在ゴルフは成長を重ね、かつてのポジションをポロやup!がカバーするようになった。それらにGTIモデルが設定されるのはある意味必然だろう。こうしてGTIは一大ブランドへと成長したのだ。
ゴルフ GTI

スポーツコンパクトの原点とも言える存在。最新世代では230馬力のベースモデルに加え、245馬力のGTIパフォーマンスも登場。600台限定で最高出力を290馬力にした「GTI TCR」も販売中。
ポロ GTI

新時代のスポーツコンパクトを目指し、走行性能に加えて先進安全装備や快適性といったクルマとしての性能全体を磨き上げた。最高出力200馬力の2Lターボに6速DSGを組み合わせる。
up! GTI

2018年に限定モデルとして導入されるやあっという間に完売となったGTI最小モデル。好評を受けてサウンドシステムやリヤビューカメラなど装備を充実させて再登場。最高出力は116馬力。
現代に蘇った初代ゴルフGTIの魂

装備や安全装備の充実と引き換えにクルマは大きく、重くなっている。up! GTIはそのアンチテーゼとも言うべき存在。そのサイズは奇しくも初代ゴルフGTIとほとんど同じとなっている。
コンパクトスポーツはタイヤで遊ぶ

文●ユニット・コンパス 写真●アウディ、ブリヂストン、ミシュラン、ピレリ、ヨコハマタイヤ、ダンロップ、コンチネンタル
※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
より走りに振るか、それとも日常での使い勝手にこだわるか。運動性能と快適性能のバランスがポイントになる。
高性能タイヤを履けばクルマが大きく変わる
日常はもちろんのこと、ときにスポーツカーのようにも使われるコンパクトスポーツは、装着するタイヤにも高い性能が要求される。
純正タイヤはクルマとのマッチングを考えて開発されたバランスのいいものだが、それゆえに万人向けという側面もある。
そこでおすすめしたいのが、タイヤ交換の際に市販タイヤを選ぶこと。自分のカーライフにあったタイヤを選択することで、より好みが反映された乗り味になるからだ。
新品の高性能タイヤに交換したら、あまりの変化にきっと驚くだろう。
ブリヂストン・ポテンザ RE-71R
ポテンザのストリート向けラジアルタイヤで「最速」にこだわったスポーツモデル。ドライグリップとハンドリング性能の高さは特筆もの。ミシュラン・パイロット スポーツ 4
ドライ性能に加えウェットなどシチュエーションを問わず高いポテンシャルを発揮。優れたコントロール性能と応答性能を特徴とする。ヨコハマ・アドバンスポーツ V105
新構造により俊敏なハンドリング性能を実現させながらも快適な乗り心地を確保したモデル。ドライとウェットで高いグリップを発揮。
ダンロップ・ディレッツァ DZ102
スポーツタイヤとしての高性能をベースに高い快適性能を実現したモデル。同時に耐摩耗性や静粛性能といった総合性能も追求している。ピレリ・ピーゼロ
ピレリブランドのフラッグシップとして数多くの有名モデルに採用された実績を持つ。天候を選ばず、快適性や寿命についても高性能。コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5
高いグリップとハンドリング性能により、コーナリング時の安全性を確保する高性能モデル。あらゆる天候下で優れた制動性能を発揮する。

300馬力オーバーのハイパワーバトル[限界を超えたコンパクトスポーツたち]

文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、MINI
小さなボディにパワフルなエンジンという方程式はそのままに、さらに過激に進化する最新モデルたち。
2Lターボ+4WDが現在最強のパッケージ
コンパクトスポーツ界にパワーウォーズが起きている。
従来のコンパクトスポーツは、200馬力がひとつのピークとなっていたが、ここ数年その限界が大きく変動しているのだ。その皮切りとなったのが、2017年にマイナーチェンジし、310馬力にパワーアップしたVW ゴルフR。これ以降コンパクトスポーツの最高出力は、300馬力を超えるバトルに突入。 2019年12月時点では、メルセデスAMGの45 S 4MATIC+モデル(Aクラス、CLAクラスに設定)が421馬力でディフェンディングチャンピオン。さすがにこれだけのハイパワーを前輪だけで受け止めるのは難しく、4WD化がこのクラスのトレンドだ。
ブランドの威信をかけ個性と性能を磨き上げた300馬力オーバーモデル

左上から時計まわりに メルセデスAMG CLA 45 S 4MATIC+、BMW M2 コンペティション、アウディ SQ2、MINI JCW GP、フォルクスワーゲン ゴルフR。
販売台数の多いコンパクトカーのフラッグシップという位置付けでもあるコンパクトスポーツ。各ブランドから個性豊かなハイパワーモデルが続々と登場し、大きな盛り上がりを見せている状況だ。

メルセデスAMGの新型A 45 S 4MATIC+は量産車向け4気筒エンジンとしては世界でもっともパワフルな421馬力をマーク。0-100km/h加速は3.9秒だ。
量販FF市販車世界最速モデルがいよいよ登場間近[最強の遺伝子はここにあり]

文●ユニット・コンパス 写真●ルノー
広く市販されるFF(前輪駆動)モデルのなかで最速の称号を掲げる輸入車がある。全世界500台で販売予定のメガーヌR.S.トロフィーRがその実力をタイムで証明した。
世界の名だたるコースで最速タイムを刻む

ハイパフォーマンスの指標となるニュルブルクリンク北コースのタイムアタックで、ルノーのテストドライバーであるロラン・ウルゴンの手により、現在量産FF最速となる「7分40秒100」をレコードしたルノー メガーヌR.S.トロフィーR。
世界限定500台での販売を予定しているこの最強モデルは、ニュルに続いてベルギーのスパでも最速タイムを叩き出し話題となった。
次なる道場破りのターゲットとなったのが、日本の鈴鹿サーキット。
数多くのF1パイロットが世界屈指の難易度と認めたこのコースを攻略することは、日本だけでなく、世界にも強いアピールとなる。
結論としては、先代モデルが保持していたタイムを3秒以上短縮する「2分25秒454」で記録達成。
この究極モデルの日本割り当ては50台。詳細の発表は「東京オートサロン2020」にて行われる。

アクラポヴィッチ製マフラー、ブレンボ製ブレーキ、オーリンズ製ダンパー、ブリヂストンの専用タイヤ、そしてサベルトのバケットシートなど一流のアイテムを採用。トロフィー比130kgの軽量化を果たした。
マニュアル車で乗る[コンパクトスポーツ中古車ガイド]

フォルクスワーゲン ポロ GTI(先代)
文●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年12月調べ。
スポーツモデルは、やっぱりマニュアルで乗りたい!そんなユーザーに向けて、今回はMTが選べるホットハッチをピックアップしてみた。
フォルクスワーゲン ポロ GTI(先代)/100万円以下の予算でも購入可能
スポーツカーと言えばマニュアルで乗るにかぎる……そんなひとは、少なくない。とくにMTの設定が少なくなる昨今、3ペダル車は希少な存在と言えるだろう。そこで今回は、MTが選べるコンパクトスポーツのオススメ中古車をピックアップした。
なかでも注目したいのは、先代VWポロGTI。デビューは2010年で、2018年のフルモデルチェンジまで設定されたスポーツモデルである。搭載されるのは、1.4L直4ターボ+スーパーチャージャーで、デビュー当初は179馬力を発揮。2015年2月のマイナーチェンジでは、1.8L直4ターボに変更され、192馬力に出力が向上。名実ともにホットハッチとしての資質が高まり、商品力を一段と増している。
中古車市場を見ると、ゴルフほど物件は多くないが、価格はかなりリーズナブル。前期型であれば100万円以下の物件も目立つ。一方後期型は200万円超の物件もあり、両者の価格差は大きい傾向にある。気になるMT比率だが、MTは全体の4割弱だから、それなりに多いと言える。スポーツモデルではチューニングが施されたモデルが多いこともあるが、ポロGTIはフルノーマルで状態がよいものが中心だ。
中古車参考価格帯:60万円~280万円(10年~18年 GTIのみ)

初代ゴルフGTIから受け継がれたチェック柄のシート。全長4m程度のボディだが、後席の居住性はそれなりに優秀である。

ジャストサイズという言葉がぴったりのコックピット。無駄に広くないから、スポーツモデルとしては理想的。写真は後期型で、1.8Lターボが搭載される。
アバルト プントエヴォ/物件は少ないが良質で低価格な個体がそろう

09年に登場したアバルト グランデプントは、翌年に「プントエヴォ」に車名が変更された。従来型よりも出力が高められて163馬力となり、外観もよりスポーティな形状に改められた。さらに、12年以降は「プント」と再び改名。やや複雑になるが、各モデルでもっとも物件豊富なのが、中期型に当たる「プントエヴォ」である。100万円台前半の予算から購入できるのは大いに魅力。全車MTのみで、全長4m弱、車重およそ1.3トンの小型ホットハッチを探しているひとにはぴったりの1台である。
中古車参考価格帯:90万円~220万円(19年~14年 アバルトプント全モデル)

現在から見ると、ややシンプルで質素なインテリア。それでもサポート性のあるステッチ入りシートは、スポーティさを引き立てている。

エンジンは、1.4L直4ターボを搭載。最高出力は163馬力、最大トルクは23.5kgmを発揮する。サスペンションもハードにセッティングされ、17インチタイヤが装着されている。
アウディ S1/値下がりしにくいが納得のパフォーマンス

2014年に登場したA1のスポーツモデルがS1。231馬力の2Lターボを搭載し、6速MTが組み合わされる。駆動方式は4WDとなるのも、ライバルとは異なるアドバンテージだ。それゆえ中古車市場でも人気が高く、相場はライバルよりも高め。平均価格は305万円となっている。
中古車参考価格帯:190万円~380万円(14年~18年 S1/S1スポーツバックのみ)

プレミアムブランドらしい高品質なインテリア。そこがライバルと決定的に異なるポイント。エンジンはトルクフルな2Lターボが搭載され、231馬力を発揮。4WDなので安定感も抜群だ。
アルファ ロメオ ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ/イタリアンホットハッチ ライバルはゴルフGTI

ジュリエッタにもMTで乗れるスポーツグレードが存在する。その名も「クアドリフォリオ ヴェルデ(以下QV)」だ。1.75L直4ターボを搭載し、235馬力を発揮する。当初はMTのみが組み合わされたが、15年以降はATのみに。中古車は150万円の予算があれば十分ねらえる。
中古車参考価格帯:120万円~240万円(11年~19年 QVのみ)

エモーショナルなデザインのインテリアだが、広さは十分で快適。足まわりもハード過ぎないので、日常の足としても使える。前期型のみがマニュアル仕様なので、購入時は注意しよう。
フォルクスワーゲン ゴルフGTI/物件豊富で鉄板チョイス ホットハッチの草分け

ハッチバックボディに高性能なエンジンと足まわりを与えるという、このジャンルの草分け的存在がゴルフGTI。現在は7代目となり、直4の2Lターボを搭載し、前輪を駆動する。スポーツ一辺倒ではなく、日常でも使える快適性も備える。
中古車は、ライバルと比べて圧倒的に豊富で、選びやすいのが大きな魅力。登場から5年以上が経ち、初期型ならば100万円台前半の物件も目立つようになってきた。ただし、6速DSGのほうが物件が多く、MTはやや探しにくい状況である。
中古車参考価格帯:130万円~370万円(13年~19年 GTI全グレード)

ゴルフのインパネまわりは、だれにでも使いやすく運転しやすい設計。シートも厚みがあり、ロングドライブでも快適な時間が過ごせる。

デビュー当初は220馬力だったが、改良により230馬力に引き上げられた。また一部のスペシャルモデルでは300馬力近い出力を誇るものも存在している。
MINI ジョンクーパーワークス/MINIの頂点に立つハイパフォーマンス仕様

MINIクーパーSのさらに上位に位置するハイパフォーマンスモデルがジョン・クーパー・ワークス(以下JCW)。エンジンは2L直4ターボを搭載し、最高出力は231馬力。トランスミッションは6速MTのほか、6速AT(改良後は8速AT)が組み合わされる。
新車時価格はおよそ400万円だが、中古車でも240万円からと総じて高値安定。物件数が充実しているものの、購入の敷居はそれなりに高め。またMTの比率は全体の1割程度となっており、少ないのが難点。
中古車参考価格帯:240万円~390万円(14年~19年 ハッチバックのみ)

サイドサポートに優れたシートはスポーツドライビングに最適。リヤシートは広くないが、大人も座れる。赤のアクセントが官能的。

1250kgのボディに231馬力のエンジンは、十分過ぎる性能だろう。ライバルのアウディS1と同じ出力だが、こちらはFF車。車両重量はMINI JCWのほうが軽い。
プジョー 308 GTi/真のホットハッチに生まれ変わった308

308には先代でも「GTi」というスポーツモデルが存在したが、他グレードと大きな差別化はされていなかった。しかし、現行型308GTiは、見た目も走りも過激で、ベースモデルから大きく手が加えられている。エンジンは1.6Lターボで、最高出力は250馬力(2016年まで)と270馬力の2仕様が存在。
相場はライバルのゴルフGTIより高く、250万円程度の予算は必要。物件数はそれほど豊富ではないが、全車MTなので3ペダルにこだわるなら、ぜひ候補に入れたい1台。
中古車参考価格帯:230万円~300万円(16年~19年 GTi全グレード)

前後でレッド/ブラックと異なるボディカラーが用意されるほか、室内もかなり本格的な雰囲気。走り好きには嬉しい1台である。

フォルクスワーゲン ゴルフ R/ハイパワー4WDを実現したゴルフR

ゴルフGTIのさらに上を行くハイパフォーマンス仕様が「R」。こちらは4WDを採用し、最高出力は280馬力(最終的には310馬力)という性能を誇る。中古車もそれなりに豊富で、最近は200万円台前半の物件も増えてきた。ただし、MT車の割合は物件全体の1割に満たない。
中古車参考価格帯:220万円~500万円(14年~19年 ハッチバックのRのみ)

RモデルはVWの高性能仕様の証。外観は専用パーツが装着され、足まわりも専用セッティング。直4ターボながら280馬力~310馬力という性能を発揮。まさに究極のゴルフである。
ルノー メガーヌ R.S.(先代)/サーキットもこれでOK走って楽しいメガーヌ

メガーヌをベースとした本格派スポーツモデルが「R.S.」。2L直4ターボを搭載し、デビュー当初は265馬力を発揮。トランスミッションは全車6速MTが組み合わされる。中古車は物件豊富で買いやすく、性能のわりに価格も手頃。マニュアルのスポーツカーがほしいならイチオシの1台。
中古車参考価格帯:130万円~400万円(11年~17年 R.S.全グレード)

ボディタイプは3ドアのみで、見た目もかなりスポーツカー寄り。インテリアの仕立てもエモーショナルだ。写真は限定車「トロフィー」で、最高出力は273馬力に向上している。