輸入車
更新日:2019.08.22 / 掲載日:2019.06.04

アウディ特集:美しく逞しいブランドの真価を探る「アウディに魅せられて」

AUDI A8

写真●内藤敬仁
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年7月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


あなたはアウディのことをどれだけ知っていますか。ドイツ御三家ブランドで4WDのクワトロが有名。もちろん正しい認識ですが、それだけではありません。アウディの社是である「Vorsqrung」。これを日本語で表すと「先進」となります。アウディは何を先駆け、何処へ向かっているのか。アップデートされたトップモデルを分析し、そこに隠されたメッセージを紐解きます。注目の新車からEV戦略、そしてオススメ中古車まで、アウディの魅力をまるごと紹介します。

最新モデルをテイスティング[1]トップモデルに宿るアウディの洗練さ

文●石井昌道 写真●内藤敬仁、澤田和久、グーワールド
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。


ハイエンドのアウディは、今まで多くのドライバーを魅了してきた。新型A8、A7スポーツバックの走りは、従来モデルからさらに進化。「洗練」という言葉がもっとも似合うプレミアムブランドと言えるだろう。

乗ればわかる完成度 トップモデルは別次元

 ジャーマンスリーのなかで唯一FFベースのAWDを基本とするアウディは、そのメリットを最大限にいかした走りのキャラクターが持ち味だ。ライバルのFR系は重量バランスのよさによる軽快なハンドリングが魅力であるのに対し、アウディは圧倒的な操縦安定性の高さゆえの絶大なる安心感が武器。雨の高速道路でも不要な緊張感なしにハイペースを維持できるという点で無双だった。 それに加えて、近年では究極と思えるほどに洗練されたフィーリングを手に入れている。なかでもフラッグシップモデルのA8は完成度が高い。街中で普通に発進して緩やかな加速で40~50km/hまで持っていき、アクセルを全閉近くまで戻して巡航するなど、何てことない運転でも、そのおそろしく滑らかでなんのストレスもない動きのよさにうっとりとさせられる。エンジンにミッション、駆動系やサスペンションなど、あらゆる可動部のフリクションが徹底的に抑えられ、ちょっとした引っかかり感や雑味などがまるでない。静粛性の高さも圧倒的で外界と切り離されたようにも感じるので、何やら夢心地というか浮遊感さえある乗り味になる。速度を高めていってもそのフィーリングは続き、高速道路をハイペースでクルージングしていてもストレスがない。長時間運転しても疲れるどころか、癒やされるほどだ。
 A7スポーツバックはダイナミクス性能を強調した乗り味になる。A8もフラットライドで快適だが、それに加えてハンドリングの俊敏性が高まっている。ステアリングを切り込めばスッとミズスマシのようにノーズをインに向けていく様が痛快で、ドライバーを熱くさせる。それでも快適性がほとんど犠牲になっていないのが最新アウディの凄さだ。
 アウディは技術による先進をスローガンとしており、クワトロやASF(アウディスペースフレーム)、TFSIにアウディトロニック、そして最近ではデジタライズなどで、さらなる高みを目指してきたが、それは飛び道具的な新技術だけではなく、ひとつひとつの機械的な精度を高めていくことにも見てとれる。スペックには表れないが、恐ろしいまでの滑らかさによる究極の洗練されたフィーリングなどはそれなしでは実現できないことで、まさに魂は細部に宿るを地でいっているのだ。
 デザインも見事。一般的にサイドビューは、スポーティに見せたければ前下がり、エレガンスなら逆に後ろ下がりのラインを入れたりするが、アウディは奇をてらわず水平基調にこだわる。これによってボンネットとベルトラインが綺麗につながり、余計な切り欠きなどがなくなるのだ。レーザー溶接によってルーフのモールをなくす処理も、目立たないがクオリティを高める手段だ。
 一分の隙もなくクオリティにこだわり抜くのが最新のアウディ。知れば知るほど好きになることだろう。


Profile
自動車ジャーナリスト

石井昌道
レースの参戦経験を持つ自動車ジャーナリスト。日々、国内外で行われるニューモデルのテストドライブへ精力的に赴き、ステアリングを握る。専門誌はもちろん、一般誌でも人気だ。

新型A6が発表

 新世代に生まれ変わったA6セダンおよびアバント。すべてのエンジンに電動化技術を導入してスムーズかつ低燃費の走りを実現させた。価格は920万円から1041万円。

A8

アウディ A8 55 TFSI クワトロ(8速AT) ●全長×全幅×全高:5170×1945×1470mm ●車両重量:2040kg ●エンジン:V6DOHCターボ ●最高出力:340ps /5000-6400rpm ●最大トルク:51.0kgm/1370-4500rpm ●排気量:2994cc ●新車価格:1140万円~1640万円(全グレード)

水平基調へのこだわりがわかるサイドビュー。A8はエレガンスなモデルのため、フェンダーの盛り上がりなどは控えめ。シンプルで飽きのこないデザインだ。シングルフレームグリルは横長でワイド&ロー感を高めている

メーターパネルもセンターの上下2つもデジタルスクリーン。レザーシートは縫い目までピシッと揃っていて質感の高さを強調。

  • 505Lと容量の大きさもさることながら、余計な出っ張りがなく使い勝手のいいラゲッジ。

  • 48V電源のマイルドハイブリッド・システムは最大0.7L/100kmの燃費改善を実現。

A7 スポーツバック

アウディ A7スポーツバック 55 TFSI クワトロ Sライン(7速AT・Sトロニック) ●全長×全幅×全高:4975×1910×1405mm ●車両重量:1900kg ●エンジン:V6DOHCターボ ●最高出力:340ps /5200-6400rpm ●最大トルク:51.0kgm/1370-4500rpm ●排気量:2994cc ●新車価格:988万円~1066万円(全グレード)

水平のルーフから強く傾斜したバックドアに繋がるラインが美しい。AWDを強調するブリスターフェンダーは大地への踏ん張り感があっていかにもスタビリティが高そうなイメージ。

最新モデルをテイスティング[2]個性が際立つSUV、スポーツモデル

文●石井昌道 写真●内藤敬仁、澤田和久
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。


最近アウディが力を入れているのは、SUVのQシリーズやRSなどのスポーツモデル。とくにコンパクトボディのQ2は、絶妙な抜け感を持つスタイルと走りが魅力。Q5は流行りのミッドサイズSUVとして、ホットな1台だ。そしてRSシリーズの圧倒的存在感にも要注目!

Q2:若年新規ユーザーを囲い込んだ小型SUV

 エンジニアやデザイナーにも若手を採用して遊び心のあるコンパクトSUVに仕上がったQ2。ポリゴン(多角形)をモチーフにしたことで、まだ丸くなってはいない若者感を出しているのだという。だが、中身はいたって真面目。定評のあるMQBプラットフォームを採用しているだけあってボディはしっかりしていて、SUVゆえにたっぷりとしたストローク感とのサスペンションは快適性と操縦安定性をほどよくバランスさせている。1300kg台と比較的に軽量だから軽快感があるのも特徴だ。
アウディ Q2 30 TFSI スポーツ(7速AT・Sトロニック) ●全長×全幅×全高:4200×1795×1500mm●車両重量:1310kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●最高出力:116ps /5000-5500rpm ●最大トルク:20.4kgm/2000-3500rpm ●排気量:999cc ●新車価格:299万円~411万円(全グレード)※写真は2018年 Q2 1.0TFSI スポーツ

さほど背高ではないものの室内は広々としている。A3などに比べるとアップライト気味の姿勢で座ることになる。

エンジンは1.4L直4ターボと1L直3ターボが用意され、ともにDCT。後者でもパフォーマンスは十分で素直なドライバビリティが心地いい。

Q5 TDI:ディーゼルとの相性抜群の人気株

 大きく重たいクルマになるほどメリットが生きるディーゼルとQ5の相性はばっちり。1750回転から40.8kgmのトルクを発生するから頼もしく、しかもディーゼルとしては軽快に回るからスポーティでもある。フォルクスワーゲン・パサートと基本的には同じユニットなのだが、アウディ用のためか洗練度が高く感じられるのは嬉しい驚き。静かで振動が少なく、滑らかに回るのだ。ガソリン車が売れなくなってしまいそう。
アウディ Q5 40 TDI クワトロ エアサスペンション装着車(7速AT・Sトロニック) ●全長×全幅×全高:4680×1900×1640mm ●車両重量:1920kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:190ps /3800-4200rpm ●最大トルク:40.8kgm/1750-3000rpm ●排気量:1968cc ●新車価格:691万円~712万円(SQ5を除く)

フォルクスワーゲンでは横置きだがMLBエボのQ5では縦置きになる2Lディーゼル。190馬力、40.8kgmと比較的にハイチューンとして重たいSUVに対応している。

RS4:洗練度を高めたモンスターワゴン

 450馬力、61.2kgmものスペックを誇るだけに加速は圧倒的。先代のV8 4.2Lよりもトルクフルで怖いぐらいの加速をする。ミッションはトルコンATだが、これがまたいい。滑らかさがありながら、ダイレクト感や素早さでは以前のDCTに勝るとも劣らない。俊敏性の高さとスタビリティが同居したシャシー性能も圧巻だが、それでいて乗り心地にイヤな硬さがないのが、最新世代のアウディらしいところ。洗練度が半端ないのだ。
アウディ RS 4 アバント(8速AT) ●全長×全幅×全高:4780×1865×1435mm ●車両重量:1840kg ●エンジン:V6DOHCターボ ●最高出力:450ps /5700-6700rpm ●最大トルク:61.2kgm/1900-5000rpm ●排気量:2893cc ●新車価格:1196万円

テールゲートが緩やかに傾斜していて、道具的ではなく美しさがあるアバント。さすがにDセグワゴンだけあって使い勝手もいい。

発表から2年でEVフルラインアップを完成:加速する電動化、そして新戦略「Audi AI」

文●グーワールド 写真●アウディ

厳しさを増す先進国の環境規制をクリアするべく、急激に加速している各ブランドの電動化。もちろんアウディもその最前線を走るブランドのひとつだ。ここでは、アウディの近未来戦略について解説する。

電動化と知能化を武器にプレミアム路線を開拓

 いくつものブランドによって構成される巨大なVWグループのなかで、アウディというブランドは高度かつ先進的な技術をいち早く導入するテクノロジーブランドとして位置付けられている。
 VWグループは、2019年4月に行われた上海モーターショー2019において電動化に関する新戦略を発表、2028年までに2200万台のBEV(電気自動車)を生産する計画を明らかにした。当然、アウディもその一部であり、プレミアムセグメントに向けて数多くのBEVを投入する予定だ。現在明らかになっている計画では、欧州で2018年に発表され、すでに生産が始まっている「e-tron」を皮切りに、2025年までに12モデルのBEVを市場に投入するという。
 アウディ初のBEVである「e-tron」の特徴は、高性能なリチウムイオン電池とそれを生かす充電システムにある。バッテリー容量は95 kWhでWLTPモードでの航続距離は400km以上。最大出力150kWの急速充電に市販車として初めて対応することで、約30分という短時間で充電が終了する。なお、日本でも150kWを超える急速充電を可能とする次世代CHAdeMOの計画が進行中だ。今後登場するアウディBEVのマザーモデルとも言える「e-tron」だが、すべてのモデルが同じシステムを採用する訳ではない。VWグループで開発した電動化プラットフォーム「MEB」をカスタマイズすることで、カテゴリーやユーザーニーズに合わせたさまざまなタイプが登場する。
 そして電動化と並行して進行中なのが、クルマの知能化と共感力を高めるプロジェクト「AI」だ。これは、「AUDI INTELLIGENCE」の頭文字からのネーミングで、人工知能や機械学習を取り入れることで、ドライバーと乗員に新しい形の自由を提供することを目的にしている。
 そのコンセプトカーとなるのが、上海モーターショー2019で発表された「AI:ME」。レベル4の自動運転機能を搭載する都市向けコンパクトBEVで、特定の交通エリアにおいてオートパイロットが作動し、ドライバーを運転操作から解放。AIがユーザーの好みを予測し、周囲の状況を考慮しながら音楽や映像などによる快適な移動体験を提供する。充電が必要な際には、自走でステーションまで移動するという。
 環境規制への対応策という側面を超えて、アウディは電動化と知能化を武器に、ラグジュアリーブランドとしてさらなる高みを目指す。

現在進行している2つの未来戦略

自動運転とモビリティサービスを視野に入れた「AI」プロジェクト

 人工知能や機械学習の技術を取り入れることで、自動運転やシェアリングサービスの実現を目指す。個人のニーズをクルマが予測し反映させる。

2025年までに12の電気自動車を発売する「e-tron」プロジェクト

 2018年9月にブランド初の電気自動車である「e-tron」を発表。2025年までに12モデルのBEVを発売し、全販売台数の三分の一を目指すとした。

AI

[AI:ME]自動運転によって移動が癒やしや娯楽に変わる

 自動運転に対応する小型EVのコンセプトモデル。小型車クラスの車体にワンランク上の室内空間を構築。レベル4の自動運転機能を備え、ラウンジのようにデザインされたインテリアで音楽やVRを楽しめる。

アクティブノイズコントロール機能により車外ノイズを完全にカット。標準装備のVRゴーグルで映画やゲームも楽しめる。

[Elaine concept]高速道路を自動走行し運転の疲労から解放する

 高速道路をほぼカバーする高度な自動運転技術を搭載するコンセプトカー。自動モードでは車線変更まで自発的に行う。ボディ前後のマトリクスLEDによって、車外の歩行者などともコミュニケーションを図る。

モデルのベースとなっているのは、BEV第2弾となるe-tron Sportback。スタイリッシュなSUVクーペデザインが魅力。

e-tron

[e-tron]アウディ初の電気自動車は2019年の日本導入を予定

 アウディ初の市販BEVとなるe-tron。カテゴリーはフルサイズSUVで2基のモーターを用いて4輪を駆動する。システム最大出力は300kWで400馬力オーバーに相当する。航続距離はWLTPモードで400km以上を実現。

長年培ったノウハウを投入した4WDシステムを投入。乗車定員は5名、ラゲッジ容量は660Lと公表されている。

[e-tron GT concept]R8に匹敵する低重心を誇るスポーティモデル

 BEV第3弾の予告版であるコンセプトカー。最高出力は590馬力、トルクベクタリング付きクワトロにより、スポーツモデルにふさわしいパフォーマンスを発揮するという。量産化はクワトロGmbHが担当している。

4ドア4シーターというプライベート感を重視したパッケージング。目標スペックは0-100km/h加速を約3.5秒と高い。

[Q4 e-tron concept]量販が期待されるCセグメント向けEV

 2020年末に欧州での発売を予定しているコンパクトSUVのコンセプトモデル。82kWhのバッテリーと2基のモーターを搭載する。航続距離はWLTPモードで450km以上で最高速度は180km/h(リミッター)というスペック。

VWグループで開発したBEV向けプラットフォーム「MEB」を採用。通常時は後輪をメインに駆動し、必要に応じて4WDとなる。

[PB18 e-tron concept]レーシングカーに相当する運転体験を提供するBEV

 電気自動車時代におけるファントゥドライブを実現するべく開発されているスポーツモデルのコンセプト。あえて自動運転技術は搭載せず、ドライバーが運転を楽しむことだけを目的として開発されている。

ドライバーのスペースはモノコック構造で左右にスライドし、パッセンジャーが同乗することも可能となっている。

2019年9月のフランクフルトモーターショーではさらなるコンセプトモデルがベールを脱ぐ

 9月に開催されるフランクフルトモーターショーでは新しい「AI」プロジェクトのコンセプトモデルが登場する。アウディによれば、「AI」では多用途性ではなく、特定の用途に特化したモデルを開発していくとその方向性を予告している。

クルマの動きと映像がリンク/VR技術で車内がテーマパークに変身!?

文●グーワールド 写真●アウディ
車内エンターテイメントといえば、定番の音楽に加えて、最近では映画のような動画コンテンツも人気。だが、数年後にはアウディの開発したVR技術が主役の座を射止めているかもしれない。

クルマの動きに合わせVR映像もシンクロする

映画のような鑑賞型コンテンツに加え、ゲームや事故シミュレーションなどさまざまな用途への展開が期待されている「holoride」のVRプラットフォームは、今後3年以内に市場に登場する予定だ。

 高級車の車内エンターテイメントといえば上質な音楽だろう。しかしアウディは、そんなありきたりの答えに満足せず、子会社とスタートアップ企業「holoride」を共同設立することで、VR技術に投資。その最新の成果が電子機器の見本市であるCESにて発表された。
 「マーベルズ アベンジャーズ:ロケッツレスキューラン」は、ディズニーインタラクティブと共同開発したVRコンテンツで、リヤシートに座った乗員はVRゴーグルを通じ、宇宙船の乗組員となり小惑星帯を駆け抜ける。ユニークなのは、クルマの動きとVRゴーグルの映像がリンクすること。クルマが加速すればロケットも加速し、カーブで曲がるのに合わせて宇宙船もまわり込む。
 『アベンジャーズ』といえば先ごろ完結編が公開された超人気作だが、アウディとアベンジャーズは2008年の第1作からの協力関係にあり、取り組みが実現した。
 「holoride」が開発中のこのプラットフォームは、リアルな映像体験を味わえるメリットに加えて、クルマの動きと視覚情報がリンクすることで、乗り物酔いの可能性も大幅に減らすことができるというから興味深い。
 さらに注目なのが、このプラットフォームは将来的にはオープン化され、すべての自動車メーカーやコンテンツデベロッパーが利用可能になるということ。
 最新コンテンツはクルマのリヤシートで体験する、そんな時代はもしかしたらそう遠くない。

CESでデモンストレーションを行ったのは、アウディ初のBEVである「e-tron」。上映された作品はマーベルスタジオにとっても10周年を記念するものとなった。今後も両社のコラボレーションが期待される。

中古車ならば夢じゃない!? SPORTS AUDIの世界

文●グーワールド
 ※中古車参考価格はすべてグーネット2019年5月調べ。
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。

スタンダードのアウディでは飽き足らないひとにオススメしたいのが、アウディのスポーツモデルたち。一般的には高額だが、中古車ならば手が届くケースも多いだろう。ここでは魅惑のS/RSの世界をご紹介したい。

[S1(販売終了)3ドア/スポーツバック]もっとも身近なSモデルでも、走りはホット

 2014年に登場したアウディS1/S1スポーツバックは、同社のSモデルのなかでも、純粋にスポーツドライビングを楽しみたいひとにはうってつけの1台。その理由は、なんと言っても6速MTのみという、乗り手を選ぶトランスミッションと、小柄なボディに押し込まれたハイパフォーマンスエンジンの組み合わせ。231馬力の2L直4ターボによる走りは、まさに現代の純ホットハッチ。中古車は5ドアのスポーツバックのほうが若干多め。価格は、およそ300万円の予算から探せるだろう。全体的に低走行で状態のよい個体が目立ち、高年式ならさらに安心して探せるはず。もっとも買いやすいSモデルと言えそうだ。
中古車参考価格帯:280万円~330万円(※14年~18年 全ボディタイプ)

  • 全長4mを切るコンパクトなボディゆえ、Sシリーズのなかでもクルマとの一体感が強い。室内は前後に大人が座る十分なスペースを確保。前席はスポーツシートを装備。

  • 一見するとA1とよく似た外観だが、バンパー形状、フロントグリル、リヤスポイラー、ホイールなど各所が専用仕立てとなっている。

[S3(現行)セダン/スポーツバック]現行型のS3はセダンとスポーツバックの2本立て

 A3をベースとする現行型S3は、スポーツバックに加え4ドアセダンもラインアップされる。2L直4ターボ+6速Sトロニックを組み合わせ、最高出力は280馬力(後の改良で290馬力)を発揮。S1とは異なり、こちらは4WDを採用するので、ホットハッチというよりも、全天候型のオールラウンダーというキャラクターが強い。それでも使い勝手のよいボディサイズ、手ごろな価格で購入の敷居は高くない。ちなみに予算の目安は200万円台半ば。300万円あれば選択の幅は大きいはず。
中古車参考価格帯:250万円~540万円(※13年~18年 全ボディタイプ)

基本的にはA3のデザインを踏襲したS3だが、シートやセンターコンソールおよびインパネ加飾がスポーティになっている。

デビュー当時は280馬力という高い動力性能を誇ったS3。300km以上まで刻まれたスピードメーターにも注目したい。

RS MODEL:RS 3(現行)セダン/スポーツバック

367馬力のモンスターマシン
 アウディスポーツ社が手がけたリアルスポーツ仕様のRS3は、当初367馬力、後に400馬力を達成。現行型の中古車はまだまだ少ない。
中古車参考価格帯:510万円~800万円(※15年~18年 全ボディタイプ)

[S4(先代)セダン/アバント]フルモデルチェンジで先代の相場が大きく下がった

 2009年にデビューした先代S4は、それ以前の世代からシャシーが大幅に見直され、運動性能が飛躍的に進化し、ターニングポイントを迎えた1台。エンジンは、333馬力を発揮する3LV6スーパーチャージャーを搭載。これに7速Sトロニックとクワトロを組み合わせ、スポーツセダン/ワゴンらしい快速ツーリングが楽しめる。新型が登場したこことで、先代は相場が下がって非常に安くなった。なかには100万円台の物件も目立つ。ただし、走行距離は相応に伸びたものが多い。
中古車参考価格帯:170万円~380万円(※09年~16年 全ボディタイプ)

サイドサポートの張り出した「Sスポーツシート」が装着され、見た目にも走りのクルマだということが伝わる。居住性はA4と同等だ。

以前はV8という大きなエンジンを積んでいたS4だが、この世代から軽量なV6を搭載。燃費・環境性能を改善している。

RS MODEL:RS 4(先代)アバント

アバントだけに許された高性能
 4.2LV8ツインターボは450馬力を発揮。初代にならいセダンは用意されない。新車時は1000万円超えだったが、半額程度で探せる。
中古車参考価格帯:450万円~640万円(※13年~18年)

[S6(販売終了)セダン/アバント]優雅なデザインと走りはまさに大人のための1台

 2012年にデビューしたS6/S6アバントは、4LV8ターボ+7速Sトロニックの組み合わせで、420馬力(後の改良で450馬力)を発揮。クワトロらしい安定感のある走りと相まって、高速道路の長距離クルージングがよく似合うクルマである。完成度の高い高性能モデルだが、残念なのは中古車が少ないこと。新車時価格がおよそ1200万円以上だったが、中古車価格は300万円台の物件もあるため、お買い得感は強い。なおセダン、ワゴンともほぼ同程度の物件数と相場である。
中古車参考価格帯:340万円~550万円(※12年~19年 全ボディタイプ)

S3やS4などと異なり、S6はスポーティのなかにも上品でラグジュアリーなテイストが加えられている。全長5m近いサイズゆえ、リヤシートのゆとりもバッチリだ。

2015年のマイナーチェンジで、最高出力は420馬力から450馬力に高められた。全域でトルクがあり、S6のキャラにぴったりの特性。

RS MODEL:RS 6(販売終了)アバント

高性能スポーツ級の動力性能
 560馬力ではじまり、最終的に605馬力にまで性能が高められたRS 6アバント。こちらもセダンは用意されない。価格はまだ高価である。
中古車参考価格帯:640万円~1250万円(※16年~19年)

[S7(現行)スポーツバック]個性が際立つエレガントな4ドアクーペ

 ボディサイズはS6に近いが、流線型のクーペフォルムが特徴のS7スポーツバック。メカニズムはS6と共通で、エンジンは4LV8ターボを搭載する。パーソナルカーとしての雰囲気を重視しつつ、実用性を犠牲にしないキャラクターで、こだわり派のユーザーも納得の1台。中古車はS6よりも多いが、相場はこちらのほうが高め。300万円台の物件もあるが、平均価格は500万円オーバーとなっている。
中古車参考価格帯:370万円~760万円(※12年~18年)

インパネまわりはS6とよく似たデザイン。リヤシートは、純粋なセダン/アバントのS6には劣るものの、大人でも十分快適に過ごせる。

[S8(販売終了)セダン]最新モデルは600馬力超え!アウディ最上級車も手ごろに

 2012年に登場したアウディのフラッグシップセダンがS8。デビュー当時は520馬力を誇る4LV8ターボを搭載していたが、2018年1月にはS8プラスに進化し、最高出力は605馬力に達した。最上級モデルゆえ室内には高品質なレザーが用いられ、前後席とも快適なドライブを約束する。新車時は約1600万円超えのモデルだったが、5~7年落ちなら500万円を下まわる予算で入手可能となっている。
中古車参考価格帯:410万円~1280万円(※12年~19年)

ブラックで統一されたスポーティな室内。エンジンは直噴式の4LV8ターボで、8速ATを組み合わせる。駆動方式はもちろん4WDだ。

クーペ&SUVにも拡大されたS/RSの世界

[RS Q3(現行)]アウディSUV初となるRSモデル

 アウディQシリーズで最初のRSモデルは、コンパクトSUVのQ3。TTRSにも搭載される2.5L直5ターボを搭載し、初期型は310馬力、最終型の「パフォーマンス」では367馬力を発揮する。強化されたサスペンション、専用エアロパーツなどを採用し、SUVながらも過激な走りが楽しめる。物件数はそれなりの数が流通しており、300万円台の予算から探せる。
中古車参考価格帯:340万円~720万円(※14年~18年)

[SQ5(現行)]スポーツとプレミアムを兼ね備えたSUV

 Q5の最上級モデルに位置するSQ5は、3LV6ターボを搭載し、最高出力354馬力を発揮。8速ATとアウディ自慢のクワトロシステムにより、ウェットやスノーのような悪条件でも安定した走りができる。また新プラットフォームにより、先代よりも軽量になったことも注目点。市場には、保証が充実した認定中古車が出まわり、新車よりもお得に購入できる。
中古車参考価格帯:660万円~810万円(※17年~18年)

[TT RS(現行)クーペ/ロードスター]400馬力のエンジンを積む本格スポーツカー

 アウディTTの頂点に位置するTT RSは、現行型で2代目。エンジンは2.5L直5ターボを搭載し、最高出力は400馬力に達する。専用エアロパーツ、強化サスペンションを装備し、スポーツカーとしてのパフォーマンスを存分に満喫できる1台。まだ登場してからまもないため、認定中古車が中心。2017年式ならば700万円台の予算から購入可能となっている。
中古車参考価格帯:760万円~850万円(※17年~18年 全ボディタイプ)

[R8(先代)クーペ/スパイダー]先代アウディR8はそろそろ買い時?

 V8モデルはおよそ1600万円、V8モデルは2000万円オーバーの超高額プレミアムスポーツ「R8」。2007年のデビュー時、スポーツカー勢力図を塗り替えるほど注目されたモデルだが、そろそろ買い時なのか調査してみた。結果、物件は一般的なS/RSシリーズよりも充実しており、市場最低価格はおよそ660万円。オーナーになるのも夢ではなくなっている。
中古車参考価格帯:660万円~1480万円(※07年~16年 全ボディタイプ)

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グーネットマガジン編集部

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