輸入車
更新日:2019.08.22 / 掲載日:2018.12.17

【海外試乗レポート BMW Z4】ドライブモードでクルマが変貌! 想像以上にスポーティ

文●九島辰也 写真●BMW

 日本には2019年春に導入予定となる3世代目 BMW Z4の国際試乗会に参加した。場所はポルトガルの首都であるリスボンの郊外。SUV全盛の近年において2シーターのロードスターは希少な存在だが、ニーズがあるのは確か。というのも、データ的にはSUVマーケットが増殖していても、ほかのカテゴリーがシュリンクしていないからだ。よってメーカーもそれに応えるようにこの手のモデルを置き去りにせず、しっかり進化させている。日本市場にはまず「Z4 First Edition」が先んじて投入されるという。

電動ルーフはメタルからソフトトップへと変更

 まずは従来型と大きく変わったところから紹介する。新型はオープンカーの象徴であるルーフトップに大きな変化が加えられた。従来型ではZ型折りの電動メタルトップを採用し、クーペとオープンというふたつのキャラクターを与えていたが、新型はファブリックのソフトトップが採用された。理由はふたつ。軽量化によるメリットは当然ダイレクトに走りに直結し、コンパクトに折りたためるファブリックにすることで、ルーフ収納スペースがラゲッジルームとして有効化されるからだ。
 だが、試乗後に気づいた。BMWは今回Z4をソフトトップにしなければならない理由がほかにもあることを。

 それは、同じプラットフォームとシャシー、パワートレーンを使うトヨタ・スープラの存在。そう、新型Z4はトヨタ・スープラと兄弟車として開発されているのだ。
 片やスープラは屋根が固定された2ドアクーペである。となればメタルトップの採用は、差別化という意味でも、重量増や重心高のアップによるハンドリングの悪化という側面からも、受け入れがたい。要するにBMWは、本家として同じ土俵に立って負けられないためソフトトップを採用したのではないだろうか。

 なんて憶測を生むソフトトップの採用ではあるが、実用上のメリットも大きい。開閉時間はわずか10秒と素早いし、時速50km以下であれば走行中にも開閉できる。ソフトトップであっても、気密性や静粛性はこちらの想像以上。走らせているときには、オープンカーであることを忘れてしまう。クーペライクという意味では、従来のメタルルーフと比べても遜色ないほどだ。この辺は新型車が出るたび思うが、進化の度合いは毎度高い。ソフトトップを閉めた時のルーフラインも素晴らしい。ここが美しいかどうかは、オープンカーとしての価値を大きく左右する。

「M」の存在を感じさせるスポーティなフィーリング

 今回試乗したZ4 M40iに搭載されるエンジンは、BMW自慢の3L 直6ツインパワーターボ。最高出力は340馬力、最大トルクは51kgmを発生させる。0-100km/h加速は4.6秒だ。日本に導入されるファーストエディションはこのパワートレインが採用される。後に2L 直4ターボのエントリーグレードも導入されるだろうが、まずはここからお楽しみを!ってところだ。
 このモデルは名前からもわかるように、エンジンもそうだがボディにも“M”の手が入っている。専用のフロントスポイラー、リヤスカート、ディフューザーといったエアロパーツから、Mスポーツブレーキ、Mスポーツ・ディファレンシャルといったパフォーマンス装備も抜かりはない。
 では実際に走らせた印象だが、これが“M”の手が入っているからなのだろうか、かなりスポーティな味付けになっている。ノーマルモードであってもサスペンションは引き締まっており、ステアリングのレスポンスも妙にクイックに感じられた。

 もちろん、それによって挙動が安定しないわけではなく、ワインディングでは舵角一定のライン取りに対しピタッと路面に吸い付くようにコーナーを駆っていく。この辺の気持ちよさはお見事という他ない。
 で、ドライブモードを“スポーツ+”にすると、さらにその印象は加速する。それはもうクルマからドライバーに「もっといけ!」と言わんばかり。というのも、オープンエアのコックピットに届くエキゾーストサウンドがものすごいから。高回転域ではまんまスポーツカー。新型X4 M40iのときもそうだったが驚きはもしかしたらそれ以上。なんたって屋根がない分ダイレクトにレーシーなサウンドが耳に届く。ドライバーも「よし、いってやろう!」という気になるのは致し方ない。

BMWの意地とこだわりを感じさせる仕上がり

 といったのが今回のファーストインプレッション。グレードにもよるのだろうが、かなり“攻め”の仕上がりだった。いまどきのBMWらしさ全開といったところだ。もちろん、今後Z4 Mロードスターなんてハイパフォーマンスマシンが登場したら、さらなる異次元に誘うことだろうが。兎にも角にも今回これだけレーシーなのはやはりあのクルマの存在があるのかも。それにしても、トヨタブランドの兄弟車はやっぱ気になるね……。

BMW Z4 M40i(8速AT)


全長×全幅×全高 4324×1864×1304mm
ホイールベース 2470mm
エンジン 直6気筒DOHCターボ
総排気量 2998cc
最高出力 340ps/5000-6500rpm
最大トルク 51kgm/1600-4500rpm
サスペンション前/後 ストラット/5リンク
ブレーキ前/後 Vディスク・ディスク
タイヤ前・後 255/40ZR18・275/40ZR18

※スペックはすべて欧州仕様参考値

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ