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更新日:2019.07.22 / 掲載日:2019.07.22

【海外試乗レポート マツダ Mazda3】SKYACTIVE-Xに試乗! 従来との違いは?

文●石井昌道 写真●マツダ

 今年もっとも注目されている国産車のMazda 3はようやく街でも見かけるようになってきたが、じつはまだ本命はデリバリーされていない。世界初となるガソリンの圧縮着火エンジンのSKYACTIVE-X。日本の路上を走り始めるのは今年10月になるが、市販直前のプロトタイプにドイツで試乗する機会に恵まれた。

SKYACTIVE-Xを実現させた技術的ブレイクスルーはスパークプラグの火種を膨張火炎球としてシリンダー内を圧縮し、CI(圧縮着火燃焼)を促したこと

 SKYACTIVE-Xはマツダ独自のSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition=火花点火制御圧縮着火)を採用。以前から多くの自動車メーカーがHCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition=予混合圧縮着火)を開発してきたものの実用化にいたってないなかで、一般的なガソリンエンジンのようにスパークプラグをSI(スパークプラグ燃焼)に用いるだけではなく、スパークプラグで発した火種を膨張火炎球としてシリンダー内を圧縮し、CI(圧縮着火燃焼)を促すようにしたのがSPCCIのブレークスルー。
 これまで困難だったCIとSIの切り替えをシームレスにし、CI領域を拡大することに成功した。ちなみに膨張火炎球はあたかもピストンがさらに上昇してきたかのようだということでエアピストンとも呼ばれる。マツダはガソリンとディーゼルの双方で新技術を取り込みつつ究極の内燃機関を目指しているが、SKYACTIVE-Xはガソリン側からのアプローチでゴールの一歩手前まできたと言っていい。

SKYACTIVE-Xは従来のガソリンエンジンより力強く、ディーゼルエンジンより高回転までスムーズかつ伸びやかに回る

 Mazda 3に搭載されるSKYACTIVE-Xは、2Lでスーパーチャージャーと24Vのマイルドハイブリッドを採用し、最高出力180馬力/6000rpm、最大トルク22.8kgm/3000rpm。16.3の高圧縮比となっているのも特徴だ。
 エンジンを始動してみるとフィーリングはディーゼルよりもガソリンに近いが、既存のSKYACTIVE-G2.0に比べてサウンドは野太くて低い。試しにブリッピングしてみてもガラガラ音はなく、グォッと迫力あるサウンドを響かせる。
 走り始めてみると、ガソリンNAのSKYACTIVE-G2.0よりも頼もしい感覚をともない右足の動きに忠実な加速をみせた。トルクはディーゼルのようにモリモリとくるほどではないものの全般的に頼もしく、ガソリンNAのように素直でレスポンスは抜群にいい。それが良好なドライバビリティをもたらしているのだ。そして何より、高回転までスムーズかつ伸びやかに回る気持ち良さがある。また、Mハイブリッドの効果でアイドリングストップからのエンジン再始動がスムーズになっていることは、街乗りでの質感を高めている。

フィーリング面でのネガティブ要素は高速巡航時のわずかなノッキングノイズ

 フィーリング的なネガはないのかとチェックしてみると、ほんの些細だが時折チリチリというノック音は聞こえてくる。とはいえ低回転である程度の負荷をかけたときという限られた状況であり、比較的聞こえやすいのは、ちょうど日本の高速道路の速度域ぐらいで巡航しているとき。今回はチェックのためにオーディオを消して耳を澄ませていたから聞こえた程度なので気にするほどでもないだろう。

SKYACTIVE-XはMazda3にベストマッチ。従来モデルとの価格差をどう捉えるかが購入判定のポイントになる

 Mazda 3にはこのSKYACTIVE-Xのほか、SKYACTIVE-G(1.5Lと2L)とSKYACTIVE-D(1.8L)が用意されるが、前者に比べるとパワー、トルクともに格段にスープアップされながら燃費性能で上まわり、後者よりもレスポンスに優れ、1500rpmほど許容回転数が高くてスポーティー。日常域での扱いやすさと操る楽しみを両立した、まさにガソリンとディーゼルのいいとこ取りをしたエンジンだと言える。
 Mazda 3はシャシー性能においても、スムーズで自然な感覚や一体感の高さでこれまでにない乗り味を実現しているが、SKYACTIVE-Xはベストマッチングだろう。だから、Mazda 3のスタイリングやシャシー性能に惚れて購入を心に決めているひとでも、さほど急いでいないのならSKYACTIVE-Xに試乗するまで待ってみるのもいいかもしれない。ただし、トップグレードという位置付けなので車両価格はそれなりに高く、燃料コストではディーゼルに譲るということを考えると、ちょっと手が出づらいのも事実。決め手になるのはそのフィーリングと内燃機関の技術のトップランナーたるマツダの心意気に共感するかどうかだ。


マツダ Mazda 3 ファストバック SKYACTIVE-X(6速AT)※欧州仕様

全長×全幅×全高 4460×1795×1435mm
ホイールベース 2725mm
トレッド前・後 1570/1580mm
エンジン 直4DOHC
総排気量 1998cc
最高出力 180ps/6000rpm
最大トルク 22.8kgm/3000rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前・後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 215/45R18



 

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グーネットマガジン編集部

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