輸入車
更新日:2025.09.04 / 掲載日:2025.09.04

輸入ミニバンが今アツい!デザインも快適性も妥協なし、新しいカーライフの主役へ

Visual model : VOLKSWAGEN ID.BUZZ

自分の可能性を広げる大空間[ミニバン ライフ]

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年10号「自分の可能性を広げる大空間[ミニバン ライフ]」記事の内容です)

かつてミニバンは生活のための道具であり、クルマ趣味を楽しむイメージからは遠かった。ところが最近の輸入ミニバンとくれば大違い!デザインはどれも個性的だしシートアレンジだって日本のミニバンと比べても勝負できる実力を身につけている。輸入ミニバンは、むしろ積極的に選びたくなる人気者になったのだ。

電気ミニバンは新しい世界へ我々を連れて行ってくれる

文●竹岡 圭 写真●ユニット・コンパス、内藤敬仁

 ホンの少し前までは、ミニバンと言えば日本車の独壇場だったが、最近は商用バンを乗用化した輸入車ミニバンが一挙に増えてきた。
 そのなかでも異彩を放っているのがVW ID.BUZZだろう。1950年に登場したタイプ2、愛称ワーゲンバスの「これまでの自動車になかった新しい文化や価値観を創造する」というDNAを受け継いで、パワートレインを電気モーターとしてデビューした。つまり、公共交通機関や会社で使うようなバス以外、一般家庭で使える多人数乗りとしては、初のBEVとなったのだ。デザイン的にも非常にキャッチーで、2017年にコンセプトカーが登場した時から、今か今かと発売を待ちわびている人が多かったモデルである。
 というわけで、パッと目をひくのはその可愛らしい見た目と、それに見合ったボディカラー。インテリアもその雰囲気のまま設えられていて、いるだけでほっこりする。ユニークなのはシートレイアウトで、日本車は通常2ー2ー3レイアウトの7人乗りか、2ー3ー3の8人乗りが多いが、ID.BUZZは2ー2ー2の6人乗りノーマルホイールベース仕様と、2ー3ー2の7人乗りで、250mmホイールベースを延長したロングホイールベース仕様の2モデルとしているのだ。
 気になる一充電航続距離は、WLTCモードでノーマルホイールベースが524km、ロングホイールベースが554km。数字的にはガソリンモデルの1タンクの航続距離と、ほぼ変わらないのではないだろうか?充電の際も、140~150kWの急速充電受け入れ性能を持っているので、高出力の充電器で充電すれば、使い勝手はさほど悪くないといえる。
 それよりも、BEVだからこその静粛性の高さ、エンジンがないことによる振動のなさ、電池を床下に搭載している恩恵の重心が低くなるからこそのどっしり感、パッケージングの有利性からくる室内や荷室の広さ等々、家族や仲間とワイワイ出かけることの多い、多人数乗りにこそ求められる性能を、BEVにしたからこそ得られたというメリットのほうが、かなり大きいと感じられるのだ。
 ノーマルホイールベース車で84 kWh、ロングホイールベース車で91kWhもの大容量のバッテリーを搭載できるのも、ボディの大きなミニバンならではこそであるし、なによりミニバンに求められる全席で快適に楽しく過ごせるという性能が、BEV化することで手に入るということを示したID.BUZZは、新しい世界への扉を開けてくれた気がする。

Profile:モータージャーナリスト 竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもお馴染みの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

[フォルクスワーゲン ID.BUZZ]愛らしいデザインが魅力の電気ミニバン

 デザインが気持ちに与える影響って大きいんだなと、改めて思わせてくれたのがID.BUZZのほっこりデザイン。眺めているだけで心が温かくなり、みんなを笑顔にする性能は、絢爛豪華なものが多い流行りのミニバンには見られない唯一のもの。電気自動車ゆえに静粛性が高く、振動は少なく、全席快適性も高いため、家族の団らんにもひと役買ってくれること請け合いである。

見た目の可愛らしさとは裏腹にしっかりと設えられたシート。ショートホイールベースは6人乗り、ロングホイールベースは7人乗りとなる。3列目シートは取り外し可能だ。
ラゲッジボードの位置を変えると、後部座席を倒した際にフラットにすることができる。3列目シートの下には専用のBOXを収納、見せる荷室が作れる。

フォルクスワーゲン ID.BUZZ プロ ロング ホイールベース ●全長×全幅×全高:4965×1985×1925mm ●ホイールベース:3240mm ●車両重量:2730kg ●総電力量:91.0kWh ●一充電走行距離(WLTC):554km ●モーター最高出力:210kW/3581-6500rpm ●モーター最大トルク:57.1kgm/0-3581rpm ●新車価格:888万9000円〜997万9000円(ID.BUZZ 全グレード)

[メルセデス・ベンツ Vクラス]たゆまぬ改良で進化を続けるメルセデスの高級ミニバン

 プレミアム輸入車ミニバンのパイオニア、Vクラス。商用車感が強かった初代からすれば、3代目ともなるとすっかりこなれた感がある。その3代目はデビューから10年以上経過しているものの、ビッグマイナーチェンジが2度行われており、2024年秋からのモデルは、イルミネーショングリルが取り入れられるなど、内外装ともに見た目からのラグジュアリー感が増している。
 パワートレインはディーゼルエンジンに一本化、運動性能的にはエアサスペンションが初採用となったことで、日本の交通事情でも乗り心地がずいぶんと改善された。 

インパネは最近のメルセデスらしいものを採用。2列目にはオットマンも設えるなど、日本車の高級ミニバンとも張り合える動く書斎となってきた。
商用車らしい面影は徐々に影を潜めメルセデスベンツらしい顔つきになり、グッと上質感が増している。

メルセデス・ベンツ V 220 d エクスクルーシブ ロング プラチナ スイート(9速AT) ●全長×全幅×全高:5140×1930×1880mm ●ホイールベース:3200mm ●車両重量:2530kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1949cc ●最高出力:163ps/3800-4400rpm ●最大トルク:38.7kgm/1600-2400rpm ●新車価格:945万円〜1337万円(Vクラス受注生産モデル含む 全グレード)

豪華なインテリアが魅力の輸入車ミニバンの先駆者

 商用車ベース出身の輸入車ミニバンのパイオニア。豪華なインテリアや装備はさすが。パワートレインはディーゼルエンジンのみの設定。ロングホイールベースタイプやエクスクルーシブモデル等のラインアップも豊富に用意する。

[シトロエン ベルランゴ]優しさのある乗り心地はロングドライブにもぴったり

 シトロエン ベルランゴ、プジョーリフター、フィアット ドブロの三兄弟車。見た目だけではなく乗り味も、それぞれ性格づけられており、ベルランゴはしっとりしている。
 マイナーチェンジで顔つきがイマドキになったが、インテリアもメーターのフルデジタル化やステアリングスイッチが配置されたりと、使い勝手が向上。それでいて、電車の網棚を思わせる個性的なモジュトップが引き継がれたのはうれしい点だ。
 販売的にはロングホイールベース車が人気のようだが、じつは乗り心地がかなりよくなっているのが最大の美点。ロングドライブも楽しめる。

マイナーチェンジでシフトレバーが丸型からストレートタイプとなるなど、デザインがややオーソドックスになったが、使いやすさは増している。シートは全独立型で乗り心地もイイ。
3分割された後席シートはほぼ完全フラットに折りたためる。アームレストを外せば、助手席までフラットに折りたたみ可能なので、長尺物も余裕。

シトロエン ベルランゴ マックス ブルーHDi(8速AT) ●全長×全幅×全高:4405×1850×1830mm ●ホイールベース:2785mm ●車両重量:1600kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1498cc ●最高出力:130ps/3750rpm ●最大トルク:30.6kgm/1750rpm ●新車価格:419万円〜437万円(ベルランゴ 全グレード)

3列シート仕様のロングホイールベースも

 乗車人数にこだわるひとのための3列シート・ロングホイールベース仕様も存在。マイナーチェンジでさらに全体的な乗り味のスムーズさが向上。ガタつき感もなく、より乗用車感が増している。

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竹岡 圭(たけおかけい)

ライタープロフィール

竹岡 圭(たけおかけい)

ドキドキワクワクのクルマ選びから、愉しさ満喫のカーライフまでサポートする、幅広い活動を心掛けるモータージャーナリスト。バラエティ番組のMCを務める一方、官公庁の委員等も務める。レーシングチーム圭rallyprojectを主宰し、チームオーナー&ドライバーとしてラリーにも参戦中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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ドキドキワクワクのクルマ選びから、愉しさ満喫のカーライフまでサポートする、幅広い活動を心掛けるモータージャーナリスト。バラエティ番組のMCを務める一方、官公庁の委員等も務める。レーシングチーム圭rallyprojectを主宰し、チームオーナー&ドライバーとしてラリーにも参戦中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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