輸入車
更新日:2024.11.05 / 掲載日:2024.11.05

定番モデルが間違いない理由とは?不動の人気モデルと注目のニューカマーたち

定番モデル特集/[不動の人気モデルから、これからを担うニューカマーまで]定番モデルが間違いない理由

写真●伊藤大介
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年12月号「[不動の人気モデルから、これからを担うニューカマーまで]定番モデルが間違いない理由」記事の内容です)

「定番」とは、安定した需要があり、流行に左右されない基本的な商品を指す。これをクルマに当てはめると、長きにわたって売れ続けているモデルということになる。今回、編集部で真っ先に浮かんだのが、BMWの3シリーズ。その歴史は、来年でなんと半世紀にも及ぶ! 現行モデルまで7世代、さまざまな市場の動向に揉まれながら、ここまで人気をキープし続けているのだから、凄いというほかない。今号では、そんな定番モデルについて、真面目に考えていきたいと思う。

[BMW 3シリーズ]半世紀近くも愛され続けるのはみんなの「好き」が凝縮されているから

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。

走りのよさと美しさ、機能性の高バランス

 どの業界にも“定番”というのがある。ロレックスのサブマリーナー、リーバイスの501、コンバースのオールスター、クイックシルバーのサーフボードなどなど。その分野に興味を持ったとき、一度は憧れたり、通ってきたりするアイテムだ。そしてそれらは、どれも誕生から長くファンに愛されてきたものばかり。もちろん、目線が変われば定番の定義も変わるが、おおよその括りをすれば、誰もが似たようなアイテムを指差すであろう。
 自動車業界にもそんなモデルがある。たとえばこのBMW 3シリーズ。バブル時期には“六本木カローラ”なんて呼ばれるほど、皆がこぞってキーをカフェバーのテーブルに置いたクルマだ。近年はSUVがデフォルトになりつつあるので、ひとときの勢いはないかもしれないが、まさに定番と言いたくなる1台だろう。ちなみに、ときとしてライバルと目されるメルセデス・ベンツ Cクラスだが、こちらは3シリーズと比べるとまだまだ若い。190の時代を含めても、こちらのほうが長く存在している。つまり、それだけ人気が続いているというわけだ。
 その現行型は7世代目で、コードネームはG20となる。発売は2019年からスタート。その後2022年にマイナーチェンジが施された。ボディタイプはセダンとツーリングの2種類。偶数シリーズにクーペやカブリオレがあるので、余分なことはしない。パワーソースはガソリンとディーゼル、それとプラグインハイブリッドが用意される。
 デザインはご覧いただくとわかるように、正常進化を続けている。奇を衒った変身はせず、ある不文律に則って都度モダナイズしているようだ。もしかしたらそこが定番の功罪なのかもしれない。世の中のトレン
ドとは別に守らなければならないものがありそうだ。とはいえ、結論から言うと安心、信頼といった言葉が頭に浮かぶ。これが定番の妙。3シリーズへの期待と納得はこれからも繰り返されるであろう。

プロフィール:自動車ジャーナリスト 九島辰也
ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。これまでアメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。

BMW 320i エクスクルーシブ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4720×1825×1440mm ●ホイールベース:2850mm ●車両重量:1570kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1998cc ●最高出力:184ps/5000rpm ●最大トルク:30.6kgm/1350-4000rpm ●新車価格:574万円〜1086万円(3シリーズ セダン 全グレード)

目につくのはダッシュボード。インターフェースの進化は止まらない。キャビンはボディサイズが大きくなった分、シリーズのなかでも広さは過去最大といえる。
ガソリン車は2L直4と3L直6、ディーゼル車は2L4気筒という設定。プラグインハイブリッドにはガソリンの直4が組み合わされる。
メータークラスターは全面デジタル。センターモニターと合わせ膨大な情報を受け取ることができる。操作はステアリング上で行う。

歴代モデルを見てみよう!

E21(初代)

1975年〜83年までの初代。逆スラントノーズと丸型2灯ヘッドライトが特徴。エンジンはキャブとインジェクションが両方用意されていた。カブリオレもあり。

E30(2代目)

1982年〜94年まで販売されていた3シリーズをメジャーにしたモデル。バブル景気に沸いた日本で一番ヒットした“ガイシャ”だ。ステーションワゴンもある。

E36(3代目)

1990年〜2000年に販売されていた。丸型ヘッドライトが四角になって高級感が増した。2ドアクーペ、さらには3ドアハッチバックなんてモデルも追加された。

E46(4代目)

1998年〜2007年のモデルで、まさにE36を正常進化させたようなデザインとなった。ボディはセダン、クーペ、ツーリング、コンパクトの4種類で構成される。

E90(5代目)

2005年〜2012年の間製造された。ボディを拡大して高級感をさらにアップさせたモデル。標準装備でランフラットタイヤを採用したことでも話題となった。

F30(6代目)

2012年〜2019年の間に作られたひとつ前のモデル。4シリーズができてセダンとツーリングのみとなった。エンジンのダウンサイジングもこの時期から。

新時代の定番モデルといえば、やっぱりSUVにほかならない

[フォルクスワーゲン T-CROSS]頃合いのいいサイズと価格が日本で人気に!

 グローバル目線のSUVの定番がGLCなら、日本の国内販売だとTクロスが浮上してくる。GLCほど派手ではないが、コンパクトSUVカテゴリーにおいて国内3年連続トップセールを記録したモデルだ。
 現行型はこの夏マイナーチェンジしたばかりのモデル。エクステリアではバンパーやリアコンビネーションランプなどのデザインが変わり新しさを強調することとなった。ボディカラーに新色を加えポップなイメージでいく戦略だ。
 そんなTクロスの魅力はサイズと価格。日本の道路でストレスなく扱えるサイズをしている。また、価格は300万円台に抑えるなど企業努力を感じる。「最近、クルマって高いよね」というフレーズを耳にするが、その意味でこいつは我々の味方だ。
 それができるのは1LTSIエンジンのコンパクトで高効率のパワーソースを積むこと。この割り切りがいい。もちろんしっかり走るのでご心配なく。

フォルクスワーゲン Tクロス TSI スタイル(7速AT) ●全長×全幅×全高:4140×1760×1580mm ●ホイールベース:2550mm ●車両重量:1260kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●排気量:999cc ●最高出力:116ps/5500rpm ●最大トルク:20.4kgm/2000-3500rpm ●新車価格:329万9000円〜389万5000円(Tクロス 全グレード)

オーセンティックなデザインが広く受け入れられている要因だろう。クセが強くないのがいい。装飾品は少なく、シンプルな装備。でも機能性の高さはさすが。

[メルセデス・ベンツ GLC]大人気の初代からいよいよ2代目へシフト

 上記のように長く愛される定番もあれば、新世代の定番と呼ばれるものもある。今日で言うならばそれはSUVにほかならないであろう。
 たとえばこのGLCはその筆頭にあがる。CクラスのSUV版なのだから疑いの余地はない。マーケットが求める最新技術はまずはこのクルマから上に搭載されるケースも多い。
 というのも、日本ではGLAやGLBなどの販売が好調だが、グローバルではGLCが屋台骨と言えなくもない。SUV大国アメリカをはじめその人気はずっと高い。
 よって、装備はもちろんここにはメルセデスをイメージさせる高級感がある。ダッシュボードの造形、シートやトリムの素材、インターフェースの演出の仕方がそんな感じだ。新世代定番に何を求めるかは人それぞれだが、「輸入車=高級車」の図式で我々を満足させてくれるのはGLCにほかならない。しかも定番ながらちょっと気分を変えたい方はクーペボディやAMGもある。

メルセデス・ベンツ GLC 350 e 4MATIC スポーツ エディションスター(9速AT) ●全長×全幅×全高:4725×1920×1635mm ●ホイールベース:2890mm ●車両重量:2340kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1997cc ●エンジン最高出力:204ps/6100rpm ●エンジン最大トルク:32.6kgm/2000-4000rpm ●モーター最高出力:100kW/2600-6800rpm ●モーター最大トルク:44.9kgm/0-2100rpm ●新車価格:867万円〜1013万円(AMGを除くGLC全グレード)

現行型は昨年フルモデルチェンジしたばかり。なので、最新のインターフェース(デジタルコックピット)を持っているのが特徴。また木目を強調するウッドトリムが全車標準装備され、高級感もしっかり演出されている。
定番というより、不動!? 911は存在そのものがレジェンドだ

 スポーツカーの定番といえばポルシェ 911が真っ先に頭に浮かぶ。1963年の誕生から60年を超えるが人気は衰えるどころか、今もどんどん上がっている。しかも最新モデルから空冷まで広いレンジでウケているのだ。そろそろ新型の姿が見え始めただけにぜひご注目を。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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