輸入車
更新日:2025.08.04 / 掲載日:2025.08.04

4つのシチュエーションから考える、人生を豊かにしてくれる輸入車選び

Visual model:ALPINE A110 R TURINI

人生を豊かにしてくれるパートナー![こだわりの輸入車選び]

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年9号「人生を豊かにしてくれるパートナー![こだわりの輸入車選び]」記事の内容です)

日本における輸入車の新車販売台数の割合は8%以下。つまり、輸入車を選ぶ時点ですでに少数派だ。クルマを単なる道具、移動手段としてだけでなく、なんらかの意図や考え方を持っている人が輸入車を選ぶ。そんな輸入車のなかでも、さらに尖った魅力を持つモデルがある。性能を高め、走りを追求したスペシャル仕様。あえてマイナーなターゲットに焦点を絞った個性派。新しい可能性に賭けた先駆者的コンセプト。人によっては、これ以上ないと思えるほどハマる1台に出会えたなら、きっと人生が今まで以上に楽しくなるに違いない。輸入車には、きっとそれだけの力がある。

公道も走行可能なサーキット向けモデル

 フランスの名門アルピーヌが作り出したA110は、ピュアなスポーツカーでありながらロードカーとしてのバランスに優れたモデル。しかしA110 R チュリニはあえてそのバランスを性能面に極フリ。ミッドシップスポーツカーとしての本能を追求した辛口モデルだ。

[自動車ジャーナリスト九島辰也氏の輸入車論]輸入車選びは自分にとっての最高を探す旅だ!

Visual model:MINI JCW COUNTRYMAN ALL4

文●九島辰也 写真●内藤敬仁、澤田和久、ユニット・コンパス

「クルマ選びは、自分探しでもある」。世界各国の自動車メーカーを取材し、その魅力をレポートしてきた専門家が語る輸入車の魅力とは?価格や性能だけでは判断できないクルマ選びの奥深さを考える。

 輸入車にはさまざまなコンセプトでつくられたクルマがある。
 それぞれのお国事情があってか、ブランドごとに個性を感じる。道の狭いフランスから生まれたコンパクトハッチバックや広大な土地を持つアメリカで生まれた大型SUVあたりがそうだ。デザインにこだわるイタリアで生まれたエモーショナルなスーパーカーやメカニカルにこだわるドイツ製セダンもそう。日本とは異なる目線でクルマ開発に取り組んでいるのが興味深い。昨今は資本のグローバル化で、プラットフォームの共有が進んでいるが、それでも個性は生きている。というか、そんな時代だからこそ個性が大切になっているのが実情だ。
 なので、クルマ選びは楽しい。我々カスタマーだって十人十色。いろんな趣味嗜好があるのだから、その見地で各ブランドのラインアップを見ることができる。
 たとえば、カーレースに憧れていればそのテイストを持ったモデルを探せばいい。カーメーカーのなかにはレーシングコンストラクターとして積極的に活動しているところがあるから、レーシーな雰囲気を持つ市販車は多々ある。クルマを道具として捉えるなら山へ出かける足としてカタログを見比べることができる。それに大陸で生まれたオフローダーは自然のなかを走るだけのパフォーマンスを持っているのも見逃せない。それこそ秘境に向かうような気分でクルマを走らせられるだろう。
 ということで、今回の特集が組まれた。要するに、自分の趣味嗜好に合った本当に乗りたいクルマに乗るのが幸せだということだ。もちろん、20代と30代、40代、50代では環境の変化があって選択は変わる。家族ができたり、趣味だけでなく仕事にもクルマを使わなくてはならなくなったりする。なので、クルマ選びにバランス感覚が必要になるのもたしかだ。ただ、バランスを気にしすぎては満足のいくクルマ選びはできない。
 それらを鑑み、今回は4つのシチュエーションでクルマ選びを想定する。それぞれのこだわりを具現化した感じだ。社会生活のなかでバランスは大切だけど、クルマ選びだけはある程度自分に正直に行うことをおすすめする。クルマは安くない買い物だからね。満足して長く付き合える相棒に妥協は無用である。

Profile:モータージャーナリスト 九島辰也
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌副編集長なども経験。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。

[MINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン オール4]ファミリーカーでも走りは諦めたくない!

 MINIという偉大なクルマを生んだ英国はキビキビしたスポーティなクルマが大好き。1959年生まれのクラシック ミニはそんなポテンシャルの持ち主だった。で、それを現代で味わえるのが現行ラインアップであり、そのハイパフォーマンス版のJCWだ。で、注目したいのがこのクルマ。レーシーな走りを諦めず、同時に実用性を得られる。なので、過激な走りだけでなく他の趣味も遂行できるのだ。それにしても317馬力はハンパない。見てほしい、このバケットシートはフツーのSUVとは違うことを。現行型からクロスオーバーをカントリーマンに改名したのもグッドニュースだ。

ベースのMINIはポップな印象のクルマ。なので、オシャレなセンターメーターを持つ。と同時にJCW専用に架装された。
MINIらしいゴーカートフィーリングを持ちながらこれだけのラゲッジスペースがあるのは見逃せない。多才なクルマだ。
搭載されるエンジンは2L直4ターボでモーターのアシストはなし。317馬力はJCWのなかでも最も高い数字となる。

MINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン オール4(7速AT・DCT)●全長×全幅×全高:4445×1845×1645mm ●ホイールベース:2690mm ●車両重量:1680kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1998cc ●最高出力:317ps/5750rpm ●最大トルク:40.8kgm/2000-4500rpm ●新車価格:677万円(MINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン オール4)

[アルピナ B3 GT]悪目立ちせずにこだわりを楽しみたい

 今年で生産が終了し、ブランドがBMWに移行されるアルピナ。その最後のモデルがB3 GT/B4 GTとなる。モーターを使わない彼ららしい1台だ。そして味付けはアルピナらしさ満載。過激すぎないしなやかな乗り心地とスポーティな加速の両面を併せ持つ。美しいボディカラー、専用のホイールデザインは圧巻。派手さを欲しないが特別さを求めている人には最高だ。

こだわってほしいのはこのエンジン。3L直6ツインターボはなんと529馬力を発揮する。アルピナ開発陣が手を入れることで味付けも変わるから不思議だ。
スポーティな走りが注目されるアルピナだがエレガントでラグジュアリーな一面も持つ。シックな色使いのインテリアはまさにそれ。

BMW アルピナ B3 GT リムジン(8速AT)●全長×全幅×全高:4725×1827×1440mm ●ホイールベース:2851mm ●車両重量:1875kg ●エンジン:直6DOHCターボ ●排気量:2993cc ●最高出力:529ps/6250-6500rpm ●最大トルク:74.4kgm/2500-4500rpm ●新車価格:1650万円(BMW アルピナ B3 GT リムジン)

[シボレー コルベット コンバーチブル]ムービースターのような気持ちになりたい!

 憧れのコルベットを手にすれば幸せになるのは確実。アメリカ車らしい大胆さとスーパーカーとしての緻密さの両方を持つ。さらに言えば、コンバーチブルは特別な1台。そこにエレガントさが加わるからだ。セレブな気分を満喫できる。注目はやはりエンジンだろう。6.2LV8はパワーだけでなく独特なフィーリングをもたらす。

存在感の強いエクステリアデザイン。これに憧れる人は多い。それでもサイズは大きすぎないのも注目ポイントだろう。
戦闘機のコックピットのようなドライバーズシート。メンズのハートを撃ち抜かれる。アメ車でも右ハンドルとなる。

シボレー コルベット コンバーチブル(8速AT・DCT)●全長×全幅×全高:4630×1940×1225mm ●ホイールベース:2725mm ●車両重量:1700kg ●エンジン:V8OHV ●排気量:6156cc ●最高出力:502ps/6450rpm ●最大トルク:65.0kgm/5150rpm ●新車価格:1845万円(シボレー コルベット コンバーチブル)

[ボルボ EX30]地球環境に調和するクルマを選びたい

 電動化に高いプライオリティを持つボルボの最もコンパクトなBEV。他ブランドのBEVもかなり充実してきたが、安全性で選ぶならボルボが筆頭にあがる。もちろんそれだけでなく、広いキャビンをつくり出すパッケージングやインテリアの上質な仕上がりもさすが。操作系を含めユーザーフレンドリーでオシャレなクルマを代表する。

メーターやスイッチを最小限にとどめたインパネまわり。シンプルさを極めたデザインで個性を発揮する。エッジの効いた方におすすめ。
BEVの優位性を最大限に活かしたことで、荷物を置くスペースを確保している。ボルボらしいインテリジェンスを感じる部分だ。

ボルボ EX30 ウルトラシングルモーター エクステンデッドレンジ ●全長×全幅×全高:4235×1835×1550mm ●ホイールベース:2650mm ●車両重量:1790kg ●総電力量:69.0kWh ●一充電走行距離(WLTC):560㎞ ●モーター最高出力:200kW/6500-8000rpm ●モーター最大トルク:35.0kgm/5345rpm ●新車価格:559万円(ボルボ EX30 ウルトラシングルモーター エクステンデッドレンジ)

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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