輸入車
更新日:2025.01.06 / 掲載日:2025.01.06

【2025年のトレンドがわかる】進化する日本車、それでも輸入車がほしいワケ

[2025年のトレンドがわかる]それでも輸入車がほしいワケ

写真●ユニットコンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年2号「[2025年のトレンドがわかる]それでも輸入車がほしいワケ」記事の内容です)

近頃の日本車は本当に魅力的になった。性能や品質、機能といった定量的な分野だけでなく、デザインのような感性の領域でも、輸入車と肩を並べている。では、もはや積極的に輸入車を選ぶ理由はないのか?そこは力を込めて、「ある」と言い切りたい。ブランド品だから? 高価だから? レアだから?もちろんそうした側面はあるだろう。しかし、それだけではない魅力が輸入車にはある。その実例を、さまざまな角度から紹介しよう。

[その世界観や魅力を楽しむ]流行りのクーペSUVはやはりドイツ車の得意なところ

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成。

いまどきは日本車でもSUVは選びたい放題。ではわざわざ輸入車を選ぶ理由は?自動車ジャーナリストの九島辰也氏が輸入車トレンドの今を解説する。

日本の製品にはない異国情緒も大きな魅力

 クルマにはいろいろなカタチがあり、それらがカテゴリーで分けられている。セダンやクーペ、SUVやミニバンなど種々多様だ。トレンドで いえば、近年は間違いなくSUVで、もはやフルラインアップといわれるくらい揃っている。サイズで言えば、コンパクトからラージサイズまで。カタチならワイルドなスクエアタイプもあればその真逆のスポーツクーペまである。
 SUV人気の前はミニバンだったと思う。一時期はこちらもラージサイズからコンパクトまでニーズに合わせて揃っていた。この辺は2000年以降の話。90年代前半はハッチバックで、後半は2シーターロードスターが多かった。80年代のバブル期はビッグセダンだったような……。
 そんなトレンドはいずれも海の向こうからやって来る。最大マーケットの北米や中国、メーカーが連立するヨーロッパがその起点となるのだ。そのニーズをすくい上げ、そこから展開されるのが世界の流行といってもいいだろう。日々進化する人間の生活に関するインフラや生活環境、生態がそれを生み出している。
 では、そうしたトレンドから生まれたクルマが日本で生活する我々に適しているのかといえば、そうともかぎらない。軽自動車なんて独自の枠組みを持つ日本の環境は独特だからだ。なので、日本のメーカーはそれを日本流にアレンジして我々に提供する。
 とはいえ、海の向こうで生まれたトレンドそのものを受け入れるのもまた楽しい。あえてそしゃくしないことで、異国情緒を楽しめるからだ。
 たとえば、ここにアウディ Q8がある。彼らの持つSUVラインアップのなかで最も大きなモデルだ。このサイズながらボディはスタイリッシュでスポーティかつオシャレに作られている。さらにいえば、撮影車両はTDIのディーゼルユニットだが、彼らはBEVのe-tronも用意する。カタチもそう。リアピラーを寝かせたSUVクーペの“スポーツバック”もしっかりラインアップする。
 こんなクルマ、国産メーカーにはまずない。そもそもこのサイズのSUVはめずらしいし、SUVクーペも見当たらない。パワートレインもそう。3LV6ディーゼルターボのほかにSQ8の4LV8ターボ、それと前述したe-tronのBEVがある。パワーソースも選び放題なのだ。
 それじゃインテリアはどうかというと、インターフェースの先進性とインテリアの豪華装備はまさにラグジュアリー。世界中の富裕層が納得の仕上がりをしている。
 というように、輸入車には国産車にはない発想から生まれたモデルや装備が積まれている。
 これはクルマ好きもそうだし、クルマに個性を求めたり、そこにクリエイティビティを求める人を満足させることだろう。
 なるほどこれが輸入車の魅力。そこを一度味わえば、ハマる人は多いはず。国産車とはまた別の世界観が広がるのが輸入車。一度乗ったらやめられない理由はそこにあるのかもしれない。

PROFILE:モータージャーナリスト 九島辰也/ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。これまでアメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。

[アウディ Q8]アウディの旗艦SUVがマイナーチェンジ

グリルまわりは意匠変更された。ヘッドライトのシグネチャーランプを含め新しさをアピールする。こういったボディカラーがあるのもオシャレ。

 2019年日本での発売を開始したモデル。背景には大型SUVのQ7が成功したことが関係する。それをよりスポーティに味付け、見るからにパーソナルカーに仕上げたのがQ8だ。写真は2024年10月に進化した現行モデルで、デザインやパワーソースに手が入った。3L V6ディーゼルの50 TDIと3L V6ガソリンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドの55 TFSIが用意される。

運転席まわりはフルデジタル化され先進性を強く感じる。デザインもシンプルでOK。インテリアはシートを含めラグジュアリーな装いとなる。

[その世界観や魅力を楽しむ]いまや日本車ではほぼ選べないラグジュアリークーペ

上質感と洗練されたスタイルをセリングポイントとするラグジュアリークーペは、まさに輸入車の独壇場。独自の世界観をスタイリングや素材使いで表現する大人のクーペは、いつか手に入れたい憧れの存在だ。

最先端の技術で作られた上質なクーペモデル

 ラージサイズのSUVに加えて、こちらのモデルもまた、国産車では買うことが難しくなってしまった。いわゆるラグジュアリークーペだ。かつてはトヨタ ソアラやホンダ レジェンドクーペなんて2ドアクーペもあったが、いまやそれらは姿を消してしまった。現時点ではレクサスのLCとRCぐらいだろう。
 ところが輸入車にはちゃんとある。メルセデス・ベンツ CLEがそうだ。BMWにも8シリーズがあるがモデル末期なので、象徴的なのはこちら。なんたって新型としてリリースされたばかり。Cクラス クーペとEクラス クーペを統合するような意味合いのモデルだが、新しいのはたしか。インターフェース、運転支援システムなど最新の技術も多数搭載されている。
 もちろん新しく投入したのだからそこにマーケットがあるということだろう。彼らのターゲットはグローバル。そのニーズに応えるのも仕事だ。なので、コンバーチブルも用意するのだからさすがである。
 グレードはCLE 200 クーペスポーツと同スポーツスタイル、それとメルセデスAMG CLE 53 4マチック+クーペとなる。前者の2L直4ターボユニットには48Vマイルドハイブリッドが装着される。しかもデフォルトでスポーツサスペンションを装備。要するにクーペらしくスポーティなハンドリングが楽しめるということだ。
 というのがラグジュアリークーペの世界。兎にも角にもスタイリングが二枚目なのが最大のウリである。

[メルセデス・ベンツ CLEクーペ]大人の色気が漂うメルセデスの最新クーペ

 今年3月日本で発表されたばかりのモデル。サイズはEクラスクーペに近く、それほど大きく感じないのがグッド。特徴はこのスタイリングでメルセデスの表現する「Sensual Purity(官能的純粋)」に則っている。リアフェンダーの膨らみなどはまさに官能的だ! 乗員は2+2の4シーターでリアシートも大人が座れるようスペースを最大限に活用している。フロントシートは専用設計を採用する。

Eクラスクーペと比べるとわかるがひと世代進化しているインターフェース。センターモニターと3連のエアコン吹き出し位置が上下逆になり使い勝手が向上している。

[その世界観や魅力を楽しむ]まだまだある魅惑のモデルたち

マーケットを開拓していくフロンティア精神にあふれた挑戦的なモデルが登場するのも輸入車のおもしろさ。斬新なデザインや提案型コンセプトを備えたモデルを紹介。

新たな提案をひっさげて日本上陸する実力派たち

 輸入車ならではのカテゴリーはまだある。例えばプレミアムコンパクトSUV。国産車にコンパクトSUVはたくさんラインアップされるが、大人が乗れるプレミアムなモデルはかなり限定される。レクサスに少々。
 それを鑑みるとMINIの存在はありがたい。それなりの高級感と先進性が同居しているからだ。あえてMINIを選ぶ理由がきちんとある。
 スタイリッシュなクロスオーバーもそう。単にハッチバックやワゴンの車高を上げるのではなく、専用設計でデザインされる。プジョー408やシトロエンC5 Xがそれで、スタイリッシュなボディながら未舗装路も遠慮なく走れる。これもまた輸入車限定の魅力かも。

[MINI カントリーマン]トレンドセッターが新しいデザインで登場

 カントリーマンは、これまで日本ではクロスオーバーと呼ばれていた。今回は、フレームから新設計された。キープコンセプトながらデザインをはじめ進化の度合いを感じさせる。パワーソースはディーゼル、ガソリンのほか電池で走るBEVも用意される。駆動方式はFWDとAWD。ハイパフォーマンス版JCWも健在。

新しく設計されたキャビンは従来型より広がった。シート素材などはリアルレザーを廃し、SDGs的な再生素材を大胆に活用している。

[プジョー 408]SUVの迫力とワゴンの使いやすさを融合

 308よりも大きく508よりコンパクトなこのクルマは日本でも扱いやすいサイズに仕上がった。しかもクロスオーバービークルということで背が高くなりながら1550mm制限の機械式駐車場をクリアできるのはうれしい。パワーソースはガソリンエンジンの1.2L直3ターボと1.6L直4ターボのPHEVが用意される。

小径ステアリングの“iコックピット”が特徴のプジョー車らしく、クロスオーバーであってもスポーティなテイストを楽しめる。
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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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