輸入車
更新日:2024.08.05 / 掲載日:2024.08.05

なぜ売れる?ドイツ車が輸入車のトップランナーであり続ける理由

VISUAL MODEL : BMW X2

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年9月号「世界の基準ともいえる基本性能の高さにはワケがある[ドイツ車が間違いない理由]」記事の内容です)

日本に限った話でなく、とにかくドイツ車は世界中で人気だ。その理由は明確で、よく走り、よく曲がり、しっかり止まることに加えて、質感高くて、ステイタスもあるからだ。まさに、クルマにこれ以上の何を求めるというのか? という気になるほど、隙がない。現在大きな曲がり角にきているクルマを取り巻く環境だが、ドイツ車をいろいろ見ていると、まだまだ楽しい世界がそこにある。

アウトバーン抜きに、その実力は語れないシビアな環境がドイツ車を育ててきた

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

 この本を手にとる諸兄であれば、街に輸入車があふれているのはおわかりだと思う。特に東京を中心とした関東圏や関西圏では当たり前のように走っている。国産メーカーがこれだけあるにもかかわらず、色とりどりの輸入ブランドが拝めるのだからクルマ好きにはありがたい。
 もちろん、それ以外の都市でも輸入車ディーラーはしっかり配置されていて、エリアごとのニーズに応えている。地方都市では高速道路の主要インター付近に“ディーラーストリート”が存在したりする。「こんなところにもフランス車のディーラーがあるんだ!」って感じ。ニッチなイメージが強いブランドだとそんなふうに思ってしまう。
 そうしたなかで、圧倒的な強さを見せるのがドイツ車だ。メルセデス・ベンツ、BMW、VWグループの看板は多い。ここ数十年輸入車のなかで最も売れているのがドイツ車なのだから、当然といえばそうだろう。売れれば売れるだけディーラーの数は増えていく。
 ではなぜ売れているのか。その理由はいくつかある。たとえば性能のよさ。クルマは工業製品であり、品質の高さが求められる。そしてその面でのトップランナーがドイツ車なのだ。製品として長持ちするので、街中の輸入車を見ていくと10年どころか20年、30年経ったドイツ車をよく見かける。メルセデス・ベンツならW124あたりのEクラス、BMWならE46の3シリーズ、VWならゴルフといったところがそう。
 こうしたモデルは自動車趣味人のクルマではあるが、実用性も兼ね備えているのがポイント。家族連れでS124(W124のステーションワゴン)に乗って海水浴やキャンプに来る人もいる。これがドイツ車のクオリティの高さを証明している。基本設計がしっかりしている分、オルタネーターやウォーターポンプ、といった消耗品を交換していけば、長く乗っていられるというわけだ。パーツの供給体制もしかり。
 そして、その背景にはドイツのマイスター制度がある。要するに職人を育てる文化だ。日本でいう丁稚奉公のように若くから製造業につきそれを極めるのだが、そこにステイタスが存在する。各々の分野に厳正なる審査のうえ資格が与えられ、それが授与されるのだ。近年日本でも「ものづくり」というワードが飛び交っているが、それがドイツでは早くから制度化されている。よって、当たり前のようにクオリティの高いドイツ製品が生まれるのである。
 それとは別に自動車固有の発展の要因もある。クルマには工業製品としてのクオリティの高さと同時に、走りのよさが要求される。自動車は走らせてナンボだからだ。よって、そこに走る、曲がる、止まる、の基本性能が用いられるばかりか、ハンドリングの正確性や十分な出力、長距離移動の快適性も提供しなければならない。しかも、雨の日もあれば雪の日もある。
 で、その面においてのクオリティを実現してきたのが道路環境。ご存じのように、ドイツには速度無制限区間を有するアウトバーンがあり、そこでの走りのニーズが大きくクルマに反映されてきた。雨が降ろうが槍が降ろうが時速200km以上で快適に、そして安全にクルマを走らせる技術を長年磨いている。
 といった社会的背景や環境で育まれてきたのがドイツ車だ。しかも昨今はそこにSDGsも加わり、環境問題にも積極的に携わっている。そんなドイツ車の最新モデルを次ページでご紹介したのでチェックしてもらいたい。コンパクトSUVからスーパースポーツまで、どれも高いクオリティを持ちながら個性的に仕上がっている。

アウトバーンを走っていると、ときに豪快に追い越し車線を飛ばしてくるネオクラシックにも出会う。見ているだけで痛快だし、クルマが生き生きとしていて思わず目が釘づけに。
この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

この人の記事を読む

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ