新車値引き情報
更新日:2019.09.26 / 掲載日:2019.09.26

【新車購入】X氏の値引きにチャレンジ大作戦

車検残り2か月、納期4か月……ああ、絶体絶命、万事休す……炸裂! 起死回生の必殺技!!

【プロローグ】 皆さん、お久しぶりです。私がX氏として登場したのは2000年6月号で、当時、強気な売り方(最初は7万円引き)をしていたセレナから最終的に約25万円引きを引き出し、松本さんからお褒めの言葉をいただいています。ちなみに、当時4歳だった長男と2歳だった長女はいまや立派に成人しています(どちらも多忙につき、残念ながら今回の写真撮影には参加できませんでした)。
 夫婦ともにクルマ好きなので、その後も頻繁にクルマを買い替えて、これまで買ったクルマは軽自動車からセダン、ミニバン、スポーツカーまで合計14台にものぼります。
 もちろん月刊自家用車もずっと購読しており、X氏シリーズは毎号、ワクワクしながら読んでいます。私も昨年、セレナe-POWERを購入しましたが、獲得した値引きは付属品いっさいなしの本体から約23万円。当時、e-POWERは発売直後で、月刊自家用車の情報では「基本は5万円引き。目標は15万円」だったので交渉の腕はまだまだおとろえていないと自負しています(笑)。
 さて、今回は妻のクルマの買い替えです。これまで乗ってきた平成22年式フリードは走行距離約12万km、あと2か月ほどで車検が切れます。妻がこれから運転する年数を考えると、車検を通さないで新車を買うのが得策と判断しました。狙いはコンパクトサイズのミニバン。今回も思い切り値引き交渉を楽しみたいです。

【交渉1日目(月)】 トヨタA店のフロア担当のお姉さんから、タンクとシエンタのカタログをもらい、とりあえず安いほうのタンクを対象に商談してみる。付属品はいっさいなしで、車両本体価格のみの見積もりを出してもらった。
X「この店で以前に2台は購入してるんだけど、安くなるかなあ」
 すると、すかさずノートパソコンを叩いた。
セ「あっ、Xさんの情報まだ残っていました。タンクの値引きは通常6%ですが、お得意さま割引ということで、さらに5万円の値引きができますよ」
 6%は約12万円。これに5万円をプラスして値引きは17万円ってことらしい。う~ん……「お得意さま」っていうほどじゃないような気がする。
 次はスズキA店へ。ソリオに試乗。意外に静かでパワフルだ。
 セールスさんは入社2年目で、やる気満々の好青年。ところが、値引きの話になると、
セ「Xさんには、ぜひ買っていただきたいです! 値引きはあまりできないんですけど……」
 渋いことを言う割には満面の笑みを浮かべる。なんだか憎めません(笑)。結局、笑顔にごまかされて突っ込んだ交渉はできなかった。
 続いてダイハツへ。黒縁眼鏡をかけた、イケメンが登場。
 トールに試乗。さすがターボ、とてもパワフル! だけどアイドリングの音が大きい。アイドリングストップはエンジンが温まってからということで、試乗中、アイドリングストップなし。
 ここでも車両本体のみの見積もりをお願いすると、
セ「付属品を付けてもらわないと値引きができません。ナビを付けていただければ、お得なナビ割10万円が適用されますよ」
X「で、トールの値引きはいくらですか?」
セ「ナビ割の10万円が値引き、とお考えください」
 これでは買う気にならない。トールは遥か彼方に遠のいた。
 ソリオの走りが思ったより良かったので、急遽、OEMのデリカD:2も候補に加えることにした。
 セールスさんは白髪まじりのベテランで、雰囲気はエンジニアっぽい。D:2の値引きは5万円。こちらが競合をにおわせても、あんまり押してこない。「買いたいならどうぞ」という感じ。ソリオが本命になったら、また来るかも……。

【交渉2日目(土)】 朝10時、私一人で去年購入したセレナに乗ってディーラーまわりに出かける。
 まずは我が家から少し離れたホンダA店に乗り込んだ。
 フリードの試乗をお願いしたが、ガソリン車しかないということなのでやめておく。応対してくれたセールスさんはとてもかっこいい。30代半ばで、営業職としてはいままさに脂が乗っているという印象だ。期待できるかも。
X「奥さんはシエンタを気に入っていますが、私はホンダセンシングのACCに大きな魅力を感じているので、フリードをしっかり勧めていますよ」
セ「ありがとうございます! では、下取り車のフリードを査定させてください」
X「今日は乗ってきていません。買い取り専門店への売却も考えているので、とりあえず下取り車なしで見積もりを出してください」
セ「フリードの値引きは通常15万円ですが、決めていただけるならもっと頑張ります!」
 商談プレゼントのクーラーボックスをもらって引き上げる。
 いったん家に戻り、昼食を食べてから、奥さんを連れてホンダB店へ。この店では去年、私がクルマ選びをしたときにステップワゴンの商談をしたことがある。奇しくも、そのときのセールスさんが応対してくれた。フリードハイブリッドを試乗した後、商談開始。
セ「Xさんとは以前もお話しましたよね」
X「覚えていてくれましたか。去年、ステップワゴンを対象に商談させていただきました。結局、セレナになってしまいましたが、ホンダセンシングに魅力を感じているので、最後まで迷いましたよ」
セ「今回はぜひお願いします。頑張りますよ!」
 提示してきたフリードの値引きは17万円。まだまだいけそうだ。
 その足でトヨタB店へ。相手は若いセールスレディさん。
X「フリードやソリオ、それにシエンタを考えています」
セ「すみません。シエンタは納期に3~4か月かかります」
 作戦会議の際、松本さんから聞いていたので「やっぱりね」という感じだが、もしもシエンタを購入することになると、現在乗っているフリードの車検切れに間に合わない。クルマなしの生活はできないので、車検を通すか、もしくは代車を用意してもらう必要が出てくる。ちょっとやっかいだ。
セ「いま契約すれば消費税増税前に間に合いますが、来月になるとお約束できません。少しでも納期を早くするために早めのご注文をお願いします」
X「値引きはどれくらいですか」
セ「21万円です。決めていただけるなら、これ以上出しますよ」
 土曜日にシエンタハイブリッドの試乗を予約して退店。

5万円で「お得意様割引」!? 10万円の「ナビ割」で終了!?

 スズキA店に出向いて2回目の商談。例の笑顔が魅力的なセールスさんが出迎えてくれた。奥さんがソリオを試乗してみたが、なんだかピンとこないようだ。私はいいクルマだと思うのだが……。
X「前回、ソリオはあまり引けないみたいなこと言っていましたね。タンクはいきなり17万円引きを出してきましたよ」
セ「正直、ほかのメーカーの値引きにはいつも驚かされます。どうして、そんなに値引きできるんですかね……ソリオは車両本体5万円引き、付属品を付けていただければ8万円引きです。もうしわけありませんが、これ以上は会社が許可してくれません」
 残念……ソリオはどうやらここまでのようだ。
 その足でホンダC店へ。これまで乗ってきたフリードはこの店で購入しているので、今回の本命店と考えている。あいにく担当がお休みのため、店長さんが見積もりを出してくれた。
 提示してきたフリードの値引きは7万9980円。
X「え~、こんな中途半端な数字、聞きたくありません」(笑)
店長「明日、担当のほうからしっかりした条件を出させていただきます」
X「奥さんが推しているシエンタは21万円引きからスタートですよ。それから別のホンダとも商談しています。フリードを選ぶなら少しでも安くなった店から買います。ぜひ、今回もこちらから購入したいので頑張ってください」

【交渉3日目(日)】 再びホンダC店へ。担当さんがフリードハイブリッドの試乗車を用意して待っていてくれた。自動追従システムはちょっと反応が遅いように感じるが、十分に使える。
 商談開始。シエンタの21万円引きを伝えて競合をあおるが、
セ「トヨタさんと値引きで比べられても太刀打ちできません」
X「同じフリードでも別のホンダは17万円引きですよ」
セ「う~ん……では、マネージャーに確認してきます。」
 しばらくして戻ってきた。
セ「うちも17万円引きにします。ただし、今月中に契約いただくという条件付きです。来月になると出せません」
 この店とは9年間も付き合ってきたのに……がっかりです。せめて他店より1万円でも上乗せしてもらいたかった……信頼が大きく揺らいでしまった。

【交渉4日目(月)】 ホンダB店へ。付属品を追加したら、値引きは17万5000円となった。
X「シエンタはいきなり21万円引きで、まだいけそうですよ」
セ「おっ、トヨタさん、やりますね。でも、勝負はこれからですよね。私も鉛筆の芯をなめながら頑張ります」(笑)
 期待しましょう。

【交渉5日目(金】 ソリオがあきらめきれない。仕事帰りにスズキB店に寄ってみた。これまでの経緯を話したが、値引きは8万円。「やっぱりダメか、あきらめよう」と思ったら、すかさず、
セ「さらに20万円、上乗せしろと言われても無理ですが、決めていただけるならまだ頑張りますよ」
 う~ん……こちらの表情をしっかり読まれている。手強い。

【交渉6日目(土)】 トヨタB店で、シエンタに試乗。その後、セールスレディさんと2回目の商談。
X「私はホンダ推しですが、妻がシエンタを気に入っています。問題は納期ですね。下取り車の車検が切れてしまいます」
セ「Xさん、車検を通すという手もあります。費用がかかりますが、その分、下取り額を上乗せできますよ。ともかく、こういうケースではどうしたらいいのか、上司と相談して、いろいろご提案します。明日、もういちどご来店いただけないでしょうか?」
X「わかりました。では、午前中に来店します」
 かなりの好条件が飛び出しそうな気配だ。LINEで「シエンタもありかな」と妻に伝える。
 午後、妻のフリードに乗ってホンダA店へ。試しに下取り査定をしてもらうと、15万8000円の値が付いた。9年落ちで12万kmなので「せいぜい10万円」と思っていたが、意外に高い。もちろん車検切れ前に引き渡しての数字だ。フリードの納期は1か月程度なので、今月中に契約すれば楽に間に合う。
 しかし、妻の気持ちはシエンタに傾いている。そこで以前、レジアスを購入したときのセールスさんがいるトヨタC店へ出向いた。
 これまでの経緯を伝えると、
セ「うちも頑張ります! 他社の最終条件が出たら、もういちど来てください」
 いままでで一番ノリがいい。シエンタなら、この店かも?
 フリードの下取り査定を聞こうと思って、ホンダC店へ。ところが「前回出した17万円引きで、始末書をとられました。もう無理です」と取り付く島なし。

【交渉7日目(日)】 いよいよ決戦の日曜日、今日決めるつもりでディーラーまわりに出かける。
 まずはトヨタB店へ。奥さんがシエンタに試乗。セールスレディさんから「見積もりに時間がかかるのでゆっくり試乗してきてください」と言われたので、ちょっと遠くまで走らせる。妻は「フリードより視界が広くて運転しやすい!」とのこと。
 お店に戻って、商談開始。
セ「シエンタの納期は4か月と思ってください。Xさんがお乗りになっているフリードの車検見積もりを出してみましたが、費用は8万9000円です。車検取得後の下取り額は10万円なので費用分はカバーできます」
 要するに「うちでフリードの車検を通して納車まで乗ってください」と提案してきたわけだ。
 しかし、下取り額が10万円では納得がいかない。費用に約9万円も支払ったら差し引きたったの1万円……損失が大きすぎる。
 しかし、妻はシエンタにすっかり傾いている。どうしたらいい?
 そうだ、松本さんだ! いったんお店を出て電話し、アドバイスを求めると、
松本「こういうケースで車検を通すのはやめたほうが賢明です。車検を通せば下取り額が高くなるといっても、せいぜい費用額の半分程度です。ましてや、トヨタB店の『車検を通して10万円』では話になりませんね。シエンタを狙う場合は『他社なら車検切れに間に合う。納期に4か月もかかるのはトヨタだけだ。だから納車まで代車を出してもらいたい』と要求するといいでしょう。下取りのフリードはトヨタでは高値が期待できないので、買い取り専門店に売ることをお勧めします。つまり、車検切れ直前に買い取り専門店に引き渡して、納車まで代車で過ごすという手です」
 なるほど。よくわかりました。

今月、台数が足りてません!(泣) じゃ、ムチャぶりいきます!(笑)

 自宅に戻ると、スズキB店が電話で「今月は売れていないので、大幅な値引きができます、ぜひ来店してください!」と言ってきた。もう遅い。妻は気分はもうシエンタ!なのだ。
 試しに買い取り専門店に出向いてみた。大手チェーン店にフリードをみせると「いますぐ引き渡す」との条件付きで、15万8000円を付けてきた。ただし、来月になると下がってしまうとのこと。
 私の本命、フリードの復活を狙ってホンダB店へ。
X「妻がシエンタに強く傾いてしまいました。凄い条件を出してもらわないと、フリードの逆転勝利はないでしょう」
セ「わかりました。実は、今月は目標台数を達成すると会社から社員全員にご褒美の商品券が配られることになっているんです。だからなんとしても売りたいんですよね。これでどうでしょうか?」
 提示してきた値引きは23万円! 付属品いっさいなしの車両本体値引きなので、かなりの数字だ。ただし、下取り額は8万円。契約を迫られたが、態度を保留。
 妻と相談した結果、最終候補として残ったのはやはりシエンタ。
 狙うのは一番ノリがよかったトヨタC店だ。ショールームに乗り込むと、担当セールスさんが待ち構えていた。開口一番、
セ「Xさん、いくらなら決めていただけますか?」。
 話が超・早い(笑)。
 まずは松本さんのアドバイス通りに代車を要求する。
セ「わかりました! 納車まで代車を用意させていただきます。たしかにフリードはうちの査定より買い取り専門店のほうが高くなると思います。車検切れ直前まで乗って売っちゃってください」
 第一関門、突破! 車検を通すより確実に有利だ。
 さあ、あとは値引きだ。
セ「実は今月、台数が足りていないんです。今日は、今月最後のフェア開催日なんで思い切って値引けそうですよ。いくらをご希望ですか?」
X「じゃ、エアロキットを追加して支払い総額250万円! OKなら決めます!」
セ「う~ん……(電卓を叩きながら)……値引きが30万円を超えちゃいます……とてもじゃないけれど、私の一存では出せない数字です。上と相談させてください」
 しばらくして戻ってきた。
セ「Xさん、なんとか決裁が下りました。250万円、OKです。 決めてください!」
X「ありがとうございます。で、セールスさんからのプレゼントはなんですか?」
セ「え~~本当にもうぎりぎり限界なんですよ~」
X「じゃ、負担の軽いところで、ナンバーフレーム(4320円)なんて、どうですか?」
セ「う~ん……いいでしょう」
X「ありがとうございます。長いお付き合いの始まりですね。よろしくお願いします!」
 注文書では車両本体とメーカーオプション22万3560円から21万7460円引き、付属品9万1800円から8万7480円の合計30万4940円引き(ナンバーフレーム分を含む)となっていた。なお、試しに下取り車を査定してもらうと、車検切れ前の引き渡しで8万円とのことだった。
【エピローグ】 フリードの車検切れが間近となった時点で、ネット一括査定を実施。4社に査定してもらった結果、最高額13万円で売却した。


購入データ
From千葉県
TOYOTA シエンタ
ハイブリッドG(7人)
トータル値引き 30.5万円

値引き採点 5
車両本体とメーカーオプション22万3560円からは21万7460円引きに抑えているが、付属品9万1800円から8万7480円も引いているので、値引き合計は30万円超に。値引き率は11.3%。

提供元:月刊自家用車

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