新車値引き情報
更新日:2022.06.24 / 掲載日:2022.06.24

X氏の値引き大作戦 カローラツーリングから32.6万円引き!

鬼のモビリティに完敗! 無風地帯・東京を脱出! Xさんに後悔させません!!

【プロローグ】 通勤距離は往復100km! 1年間の走行距離は2万5000km!!
 数年前からディーラーへ点検や整備に行くたびに、担当セールスさんとこんな会話が繰り広げられていました。
「Xさん、地球、何周してるんですか!? そろそろ買い替えましょうよ!」
「なにをおっしゃる、まだまだ走れます。買い替えなんて、遥か彼方ですよ」(笑)
 しかし、気がつけば、我がカローラフィールダー(2012年式/1.5X)は27万kmを走破……本気で買い替えを検討する時期になってきました。
 クルマ選びにあたっては、
•自宅の駐車場の大きさから5ナンバーか、それに近いサイズ。
•遠距離通勤のため、低燃費であること。
•数年もすれば60代に突入するので、先進の安全機構を装備。
 を考慮しました。
 その結果、別記のクルマが候補にあがってきました。
 大本命はカローラツーリング・ハイブリッドW×Bの特別仕様車50ミリオンエディション。これ一択!くらいに惚れこんでいますが、問題は値段。オプションと諸費用を含めて300万円を超えると、予算的にかなり厳しくなります。
 下取り車は10年落ち/27万kmなので、残念ながら査定は望み薄……となると40万円以上の値引きが必要です。正直、ハードルはかなり高いが、気合を入れて挑みます!

【交渉1日目】 10年ほど前に下取り車を購入し、それ以来、アフターサービスでもお世話になっているトヨタモビリティ東京のA営業所に出向いた。
 実は半年前の点検時、試しにカローラフィールダーを査定してもらったが、結果はゼロ。中古車の価格が高騰しているとはいっても、20万kmオーバーでは値が付かないようだ。
 そのときは買い替えの意思がかたまっていなかったので「そのうち検討します」と軽く流しておいたが、今回は「本気で買い替えるつもりですよ」と宣言した。なお、これまでの担当さんは移動してしまい、引き継いだセールスさんとは初めての商談だ。この時点でなんだか嫌な予感が……。
「狙いはカローラツーリングです。予算が厳しいんで、よろしくお願いしますね」
「カローラツーリングの車両本体値引きは5万円と決まっています。モビリティの店はどこも同じですよ」
 えっ、たったの5万円……。
 作戦会議で松本さんから、
「東京地区のトヨタの販売店は4系列が統合して『モビリティ』という巨大ディーラーになりました。以前は経営の違うトヨタの販売店同士がぶつかって大幅な値引きが飛び出していたのですが統合後は一転して競合が起きにくくなっています。東京のかつての大盤振る舞いぶりを知っているXさんのような人にとっては『どうなっているんだ!』と、憤慨するような売り方をされると思います」
 との説明を受けていたが、まさかこれほどとは……。
 出鼻を挫かれ、意気消沈とするが、気を取り直して、
「聞くところによれば、新車の納車が遅れているんで、中古車の相場が上がっているそうですね。下取り額はどのくらいになりますか?」
「10年落ちでこれだけ走行距離がいってると査定はゼロですが、お得意さんの買い替えってことで2万円付けます」
 値引き5万円、下取り2万円ではとても買い替えられない。
 そこで、ヤリスクロスとカローラクロスに狙いを変えてみたが、条件はほとんど同じ。
「どのクルマも納期に半年くらいかかります。早く決めたほうがいいですよ」
 ああっ、取り付く島なし。すごすごと引き上げる。
 私の住んでいる地区にはモビリティ東京とは経営の異なるトヨタB店がある。その足で乗り込んだ。アポなしだったが、アラフォーと思しきベテランが応対してくれた。へたな小細工は無用とみて、モビリティ東京との競合を伝えると、
「うちはモビリティさんより出せますよ。でも、特別仕様車の50ミリオンは発売されたばかりなので15万円引きです。通常のグレードなら17万円ですね。下取りは3万円です」
 ここでも中古車の高騰を持ち出して上乗せを迫ったが、
「走行距離がいっちゃってるので3万円でも頑張ったほうなんです。これ以上は無理です」
 完全に予算超過。早くも大本命の“カロツー”脱落か……。

【交渉2日目】 シャトルとレヴォーグも商談してみたが、“カロツー”ほどの魅力を感じないし、値引きも下取りも想定外の低さに閉口して、早々に退散。それにしても、やはり“カロツー”があきらめられない。そこで、モビリティ東京をもういちど攻めてみることにした。
 松本さんからは「同じモビリティ東京の営業所を変えて商談するのは避けたほうが無難」とアドバイスされていたのだが、「どこも値引き5万円」というのが納得いかない。以前は経営の違う販売店だったのだから、競争心が残っているのではないか。モビリティ東京のC営業所に乗り込んだ。
「XさんはA営業所のお客さんですよね。うちで決めていただけるというなら対応しますが、値引き額と下取り額はA営業所と同じになります」
「同じ条件の見積りしか出せないということですね?」
「そういうことになります」
 やっぱり松本さんの言う通りだった。

衝撃! 値引き5万円/査定0 不覚!! 年度末決算が消えた!?

【交渉3日目】 こうなったら、県境という地の利を生かした越境作戦を仕掛けるしかない。
 まずは埼玉県のトヨタD店にアポをとってから出向く。
 セールスさんは20代後半のとても元気のいい人だ。
「当店は初めてですよね」
「はい、東京在住ですが、近いのでやって来ました。ところでショールームに展示車が1台もありませんね。ディーラーまわりをしていてこんなことって初めてですよ。展示車まで売っちゃったんですか?」
「おっしゃる通りです。コロナの影響で減産しているため納期が遅れています。『展示車でもいい』というお客様も多くいらっしゃってショールームがカラになってしまいました」
「年度末の決算キャンペーンが始まっているというのに、なんだか盛り上がりませんね」
「めちゃくちゃやりにくいですよ。いますぐ契約していただいても納車は何か月も先になってしまうため、登録が年度末決算に間に合わないんです。正直、すぐに納車できるってことで、中古車にだいぶお客さんを奪われています」
「じゃ、自分のように『納期が遅れてもかまわない。新車を買う』っていうお客は貴重ですよね。大幅な値引き、期待していますよ」(笑)
「東京のトヨタに負けないように頑張ります! 自分は最初から勝負値を出しますので即決してください!」
「すみません、いますぐ決めるつもりはありません。でも、いい数字が出たら、近いうちにハンコを持って来ますよ」
 提示してきた“カロツー”特別仕様車の値引きは車両本体と付属品から合計35万円。これまでで最高額だ。しかし、下取りは2万5000円なので、支払い総額は約315万円。
「これ以上はどう頑張っても安くできませんか?」
「はい、これが限界です」
「たしかに頑張ってくれたのはわかります。有力候補として残ったと思ってください」
「いま決めちゃいませんか? ほかのトヨタではここまで出せないと思います」
「まだクルマ選びを始めたばかりなんです。もう少し検討させてください」
“カロツー”がなんとか射程圏内に入ってきた。それにしても“300万円の壁”は厚い。

【交渉4日目】 しばらく交渉を中断。2週間ほど経ったところで再開する。月が替わったので値引き条件にも違いが出てくるかも。再びモビリティ東京のA営業所に乗り込んだ。
「値引きも下取りも、もっとなんとかなりませんか? 他のトヨタではもっと出てますよ」
「わかりました。それじゃあ、これでどうですか?」
 車両本体値引き5万円、下取り2万円はそのままだが、付属品から15万円引きを提示してきた。セールスさんはどや顔だが、埼玉のD店に比べると15万円も高い。
「これで決めてください!」
「まだ高過ぎます。とても決められませんよ。次に来る時までにもっとびっくりするような数字を期待してますよ」
 かつての担当セールスさんはノリがよかったが、新しい担当さんには熱意が感じられない。たとえ嘘でもいいから「店長に掛け合ってみます!」くらいの姿勢が欲しいところだ。
 クルマを走らせて越境。再びトヨタD店に乗り込む。
「前回の見積もりにはメンテナンスパックが計上されていたけれど、これを外してもらえませんか?」
「すみません。値引きを限界まで出しているんでメンテナンスパックは外せません。その分といってはなんですが、支払い総額を313万円にします。もうこれ以上はできません。決めてください!」
「まだ予算をかなりオーバーしています。もう少し検討させてください」
 目標を設定したら簡単にあきらめるわけにはいかない。まして13万円ものオーバーは完全にNGだ。

【交渉5日目】 値引きが厳しいので下取り額の上乗せを狙う戦術を採ることにした。
 複数の買い取り専門店にみせると、どこも新車ディーラーより高い。最高額は12万円! 10年落ち/27万kmのフィールダーとしては文句なしの高値だ。ただし今月中の引き渡しとの条件が付いている。通勤の足として使用しているのでクルマなしは1日たりとて過ごせない。“カロツー”のW×Bは納期が半年くらいとのことなので、そこまで引っ張ると大きく値下がりしそうだ。
 そこで、グレードをハイブリッドSに変更することを検討してみることにした。これなら2~3か月で納車できるとのこと。ただし、タイヤサイズや装備が落ちるのが気になるので、とりあえず試乗してみることにする。ネットで調べたら、千葉県のトヨタE店にSグレードの試乗車があった。我が家から近いので試乗を申し込む。

埼玉vs千葉の一騎討ち! 300万円の壁が崩れた!!

【交渉6日目】 トヨタE店から「試乗車が用意できた」との連絡を受けて千葉県に越境。
 30歳前後のイケメンが登場。“カロツー”Sグレードの試乗に付き合ってくれた。
「エンジン出力はW×Bと同じで、タイヤサイズくらいしか違いはありません」
「希望はW×Bだけど、走りに不満は感じられませんね」
 営業所に戻って商談開始。
「せっかく試乗車を用意してくれたのにすみません。やはり室内の質感や装備面を考えるとSグレードはなしにします。W×Bの特別仕様車の見積もりをお願いします」
 提示してきた値引き条件は車両本体20万円引き、付属品7万円引きだが、下取り額は9万円! メンテナンスパックを外してもらったため、支払い総額は307万円となった。
 これまでの最安値だ!
「頑張ってくれましたね」
「納車が遅れているので年度末決算キャンペーンはやっていないんですが、通年の決算時期に出している特別な数字と同様の条件をご提示しました」
「たしかに東京から足を延ばしたかいがありました」
「ほかのトヨタも何店かまわっているんですか?」
「お付き合いのある東京のモビリティから始めたんですが、なんだかガードが堅いんですよね。そこで埼玉のトヨタから購入しようと思っていたのですが、たったいま千葉も有力候補にあがってきました」(笑)
「ありがとうございます」
「正直に言うと、今のところこちらが一番の好条件です。メンテナンスパックとかを勧めてこないのもいいですね。ただ、モビリティ東京のA営業所さんにはこれまで長くお世話になってきたので、黙って決めてしまうわけにはいきません。あちらにもラストチャンスをあげたいと思っています」
「わかりました。次回はよい返事を期待してます」
「今度来るときはハンコを持ってくるので、その時は限界値をお願いします」
「Xさん、現時点で限界値なんですけど……」
「わかってます。でも、限界のさらに上をいく超・限界を期待していますよ」(笑)

【交渉7日目】 モビリティ東京のA営業所へ。今回は、白黒はっきりさせるつもりだ。
「今日は最高のヤツをお願いします! いい数字が出たら決めますよ」
「これでどうでしょう?」
 提示してきた条件は車両本体と付属品から合計22万5000円引き、下取りは相変わらずの2万円。前回より2万5000円安くなっただけだ。
「ほとんど前と同じじゃないですか。これじゃあ、完全に予算オーバーで買えません」
「自分の出せる最大値をお出ししました。これ以上は無理です。Xさん、50ミリオンはやめて、Sグレードに変えませんか? そうすれば予算内に収まると思いますが……」
「変更するつもりはありません。これが限界と思っていいんですね」
「はい。これでお願いします」
 残念、大逆転はなかった。

【交渉8日目】 千葉のトヨタE店に出向いた。
「今日で最終商談とします」
「わかりました。これでどうでしょう? 本当の限界です」
 前回は支払い総額307万円だったが、今回は305万円まで下げてきた。
「目標は300万円以下なんです。でも、本当の限界ということなので、これ以上無理を言うのは気が引けますね。自分も少し譲りましょう。特別色のホワイトパール(3万3000円)をあきらめてブラックに変更すれば、残りの差額をなんとかしてくれますか?」
「色を変えるのはやめたほうがいいですよ。僕はXさんに後悔して欲しくありません」
「そう、間違いなく後悔するよね」(笑)
「ブラックは汚れが目立ちます。毎日の通勤に使うならホワイトをお勧めします」
「いまこの瞬間セールスさんから買いたい!と強く思いました。だから、なんとか300万円を切ってください」
「わかりました。少々お待ちください。」
 しばらくして戻ってきた。
「Xさん、店長の決裁を取ってきました! これで決めてください!」
 最終条件は車両とメーカーオプション10万1200円から25万4530円引き、付属品(31万8560円)から7万1500円引き、下取り9万6600円(リサイクル預託金1万1100円を含む)で、支払い総額は299万6000円。
 よし、300万円を切った! ちなみに下取り額は納車(5~6か月後)まで維持してくれるとのこと。
「納車時のガソリン満タンもサービスします!」
「決めましょう! あとは納車がなるべく早くなることを願うだけです」
「1か月ごとに納車時期の予定を報告しますよ」
 条件も最高でしたが、セールスさんも最高でした。

購入データ
TOYOTA  カローラツーリング
ハイブリッドW×B 50ミリオンエディション
From東京都
トータル値引き 32.6万円
値引き採点 5
車両本体から25万4530円引き、付属品(31万8560円)から7万1500円引きで値引きの合計は32万6030円。値引き率は9.9%。高取り分と合わせるとウルトラCクラスと考えていい。

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

この人の記事を読む

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ