新型アクアの魅力大解剖【実力コンパクト3モデル比較編】

新型車比較・ライバル車対決 [2021.09.25 UP]

新型アクアの魅力大解剖【実力コンパクト3モデル比較編】

●文:川島茂夫

新型アクアの登場で勢力図は大きく変わる!

ヤリスがあったとはいえ、実用コンパクト路線では少々分の悪い勝負を強いられていたトヨタだが、新型アクアの登場で状況は一変。強力ライバルのノート&フィットと互角以上の戦いを挑めるようになった。実力伯仲のこの3台、どれを買うのがベストなのだろうか?

比較車両紹介

TOYOTA 新型アクア

価格帯:198万~259万8000円

最新ハイブリッドを新採用。燃費性能はクラスナンバー1

 プリウスに続くハイブリッド専用車として誕生した歴史を持つアクア。新型は進化した1.5ℓハイブリッド&最新バイポーラ型ニッケル水素バッテリーが採用されたことで、燃費性能に加えて動力性能でも魅力的なモデルに仕上がっている。

 基本メカニズムや安全機能を含めた装備内容は、ヤリスハイブリッドとほぼ同等の内容だが、ロングキャビンプロポーションの採用により、居住性や実用性はアクアの方が一枚上手。ファミリー志向が強いキャラクターは、良質のコンパクトカーを探しているユーザーには魅力的に映るだろう。

デザインもパッケージ設計も従来型のキープコンセプト路線。キャビン機能はある程度は改善されたが、基本的には燃費性能で勝負するモデルということは変わっていない。

NISSAN ノート

ノート/価格帯:202万9500~244万5300円

現行型はe-POWERのみに集約。独特の電動走行感も大きな武器

 初代のノートはファミリーユースにも使いやすいコンパクトカーとして開発されたが、先代からプレミアム志向にイメージチェンジ。現行型は上級モデル譲りの内装質感を採用するなど先代のコンセプトをより強化。さらにガソリン車を廃止し、全てのグレードをハイブリッド専用車にすることで、走りの質感や快適性の向上が図られている。

 上位モデルとしてパワースペックを引き上げたノート オーラ(以下オーラ)や、メインモーター並みの高出力を発揮する大型リヤモーターを採用している4WD車も選べるなど、電動走行の楽しさをアピールポイントにしていることも特徴だ。
ノート オーラ

ノートとオーラは内外装の違いに加えて、e-POWERのパワースペックも異なる。オーラに搭載されるe-POWERの最高出力は100kW(ノートは85kW)。余力感が増したことでロングドライブ適性も高まっている。

HONDA フィット

価格帯:199万7600~259万1600円 ※写真はフィット ホーム

内外装をお好みで選べる5つのスタイルモデルを投入

 歴代フィットは広々としたキャビンサイズや多彩なシートアレンジ機能を武器としているが、現行型もこのコンセプトを踏襲しており、実用モデルとして優れた性能を持つ。ハイブリッド車の性能向上も見所の一つで、駆動システムが上級モデル譲りの2モーター式のe:HEVに変更されたことで、動力性能とコントロール性が向上している。

 内外装意匠をユーザー好みに合わせた5つのスタイルモデルが選べることも特徴。標準ボディのほか、SUVやカジュアルスポーツ、ラグジュアリーといったキャラ違いのモデルを選ぶことが可能になっている。
フィット クロスター

ベーシックなスタイルのホームが売れ線だが、SUVティストを加えたクロスターのような、個性派ユーザー向けのバリエーションモデルも選択可能だ。

キャビン&ユーティリティ比較

広さや使い勝手はノート&フィットがリード
運転席まわりの機能はアクアが充実
 大人4名で寛ぐならノート、便利に使うならフィット。キャビンスペースはフィットが最も広く、広さを基準にするなら寛ぎでもフィットになるのだが、後席の着座姿勢や座り心地、インテリアの雰囲気まで考慮するならノートが一枚上手の出来に感じる。この企画の主役となるアクアの評価だが、ヤリスや従来型に対してキャビン実用性が改善していることは大きな魅力だが、セールスポイントにするほどの多様な使い勝手や、4名乗車での寛ぎは得られない。

 室内機能でアクアのアドバンテージは運転席まわりの出来栄えの良さ。G/Zには同クラスでは珍しいパワーシート(6ウェイ)のOP装着が可能。また、X/Gには乗降性を向上するターンチルトシートやイージーリターン機能もOP設定。ターンチルトシートは助手席にも用意され、頻繁に乗降するタウンユース等での利便性を配慮。ドライバーにとっては最もユーザーフレンドリーと言っていいだろう。

新型アクア

後席も十分便利に使えるが
前席機能の充実ぶりが光る
中央にディスプレイオーディオを配置するオーソドックスなデザイン。広めにとったグラスエリアのおかげで開放感も十分確保されている。
乗員の乗り降りを便利にするターンシートは、助手席に加えて、運転席にも装着することが可能。あると便利な装備の一つだ。
コンパクトクラスとしては十分な広さを確保。荷室床は脱着タイプのデッキボードが装着可能で小物収納にも便利に使える。

ノート

プレミアムキャラを意識させる
良質感溢れるキャビン空間
上級モデル譲りのパネル意匠やシート素材が奢られるなど、良質感に富んだキャビン空間を楽しむことができる。

後席格納はシンプルな前倒式のため、格納時は段差が生じてしまう。出来の良いキャビンに比べると、荷室はやや平凡に思えてしまう。

フィット

開放的なキャビン空間
広さも便利さも圧倒的
広めのガラスウインドウを採用したことで圧倒的な見晴らし感を確保。内装はスタイルモデル(グレード)ごとに大きく異なることも特徴の一つ。
余裕十分の左右幅に加えて、天井までの高さも申し分がない。このクラスのモデルの中ではトップクラスの実用的な荷室スペースが確保されている。
高さがある荷物の積載に便利な座面チップアップ機構も備えるなど、多彩なシートアレンジでキャビン/荷室を使い倒すことができることも強み。

走り&ドライバビリティ比較

どれも十分な性能を持っているが
長距離適性が高いノートが僅差でリード

 駆動力をすべて電動モーターで賄うノート。フィットは巡航時にはエンジン直動式となるが、基本はノートと同じく電動モーターが駆動を担当している。アクアはパラレル式とシリーズ式を融合させたスプリット式を採用。アクアも新型になって電動駆動領域が拡大され、以前に比べると電動感が強まっているが、比較3車の中では一番エンジン駆動力の影響を受けやすい。加速の滑らかさと力強さではノートが勝り、フィットはノートと比べると加速のキレを控えて滑らかさを重視した印象だ。

 アクアも穏やかさを旨としたパワーフィール。急加速時はエンジンと協調するためか瞬発力で劣るが、滑らかなペダルワークとの相性がいい。フットワークについてはフィットとアクアが車格相応の範囲での良質。走りの質感では据わりや締まりの利いたノートが勝り、静粛性も合わせて快適性にも優れている。

新型アクア

高速走行をまったく苦にしない
ヤリス譲りの良質な走り
応答遅れのない反応だが、加減速トルクの変化はあくまでも滑らか。燃費にも優しいドライバビリティもあり、実用燃費は際立っている。高速も山道も安心感のある操安など全方位でバランスのとれた走りを披露してくれる。

ノート

電動走行の楽しさを伝える伝道師
その実力は高まる一方だ
低中速域で瞬発力を利かせてもトルク変動の少ない加速など、速さと滑らかさの両立点が高い。また、エンジン音やロードノイズも抑制され静粛性にも優れ、同クラスでは重質な乗り心地と相まって走りの質感が高い。
ノート/オーラの4WD車のリヤモーターは、50kW/100Nmを発揮する大出力タイプを採用。独自の前後輪駆動制御技術により、オンロードも楽しめる4WDに仕上げられている。
ノート オーラに搭載されるe-POWERのモーター出力は100kW/300Nm(ノートは85kW/280Nm)を発揮。余力感は明らかにオーラが上になるなど、走りの面でも上級設定に仕立てられている。

フィット

見た目以上に走れる実力派
スポーツモデル「モデューロX」を用意
高速走行時にエンジン直動に移行することもあって、高速域でもキレのいい加速を発揮。幅広い速度域で安定したドライバビリティを示す。少々ルーズな印象もあるが高速安定性と日常域の乗り心地を両立したフットワークはバランスがいい。
フィットに搭載されるe:HEVはモーター出力だけでも80kW/253Nmを発揮。通常はモーター駆動が主体だが、高速走行時など負荷が高まる状況になるとエンジン駆動に切り替わる仕組みを持つ。
走りにこだわるホンダらしく、専用エアロパーツや専用サスペンションで走りの質感を大きく高めた、フィットモデューロXも発売開始。スポーツモデルを選べることもフィットの魅力の一つ。

安全&運転支援機能比較

機能面はほぼ互角だが
OP装着が多いノートはやや残念

 運転支援機能の柱となるACC(車間距離制御装置)は3車とも停車保持機能を備えた全車速型で、LKA(車線維持支援機能)は走行ライン制御型を採用している。車線変更時の不注意事故を予防するBSM(後側方車両接近警報)はフィットには装備されない。その他の衝突回避機能では大差とは言わないがアクアが多少リードしている。

 3車で差が出るのはグレード展開。ノートのプロパイロットはセットOP設定。アクアとフィットはACC/LKAを含む主要安全&運転支援装備は全車標準装備になる。安全&運転支援装備は次世代の標準の装備でもあり、装着価格で比較検討は必須。コスパ面も含めてOP装備が多くなるノートは少し分が悪い。

新型アクア

ワンタッチ操作で作動する
駐車支援機能も設定

ノート

プロパイロットは
ナビ連動の最新仕様

フィット

フル機能のホンダセンシングが
全グレードに標準装備

車載インフォテインメント比較

未来への投資はほぼ同レベル
今後のサービス展開に注目

 いずれも別契約が必要となるが、ネット連動サービスに対応済み。3車に共通するのは事故時にエアバッグと連動したSOSコール、オペレーター対応、マイカーサーチ、リモートスタート、リモートナビ設定などになる。個別機能ではフィットがDCMを介した車内WiFiやスマホのデジタルキー、ALSOK駆けつけサービスを設定。車内WiFiは1GB単位の申し込みが必要であり、スマホのデータ通信との料金比較では割高。必要度の高いサービスで比較するなら決定的な差はない。また、操作方法も大きな隔たりはない。ただ現時点では日常的に使えるような機能は少なく、3車とも最新仕様であっても試行錯誤中の印象は否めない。

新型アクア

グレードによってサイズは異なるが全グレードにDAを標準装備

ディスプレイオーディオは全グレードに標準装備されるが、グレードによってモニターサイズが異なる(7インチ/10.5インチ)。なお通信連携タイプのナビはOPで追加する必要がある。

ノート

NissanConnectに対応した純正ナビゲーションはOP設定

標準はオーディオレス仕様のため社外ナビも選択できるが、インパネとの一体感を考えれば純正ナビを選択するのがベター。メーカーOPで9インチのNissanConnect対応ナビが用意されている。

フィット

フィット専用設計となる9インチナビを選択可能

社外ナビを装着することもできるが、ディーラーOPでフィット専用に設計されたタッチパネル式9インチナビを設定。自動地図更新機能も備えるHonda CONNECTにも対応済み。

結論

どれも最新コンパクトの優等生で外れなし

 ノートとフィットは明確な目的意識を感じさせるクルマだ。フィットは日常やレジャーに適した多様な積載性と家族や友人とのドライブが盛り上がる視界や雰囲気が狙い。ノートは上級クラスから乗り換えてきたダウンサイザーが納得できる先進感とプレミアム性がセールスポイント。オーラを含めればスカイライン以下のセダン/ワゴン系をすべてカバーするためのモデルの印象さえある。この2車と比較するとアクアは燃費以外の決め技に欠く、というのが正直な印象。しかし、ハイブリッド車において燃費は重要な選択要件。そこにアクアのアドバンテージがある。

 つまり、3車の選び分けの要点を簡単にまとめれば、「燃費」「キャビン実用性」「走りの質と快適性」の3要素の優先順位次第。次点要素を何にするかを考えると選び分けも悩ましくなるが、致命傷的要素もない3車なので、優先順位一位の要素で選べば高い満足度を得られるはずである。

新型アクア

ノート

フィット

最新THS Ⅱがもたらす燃費性能の良さが持ち味。比較3車の中では一番エコなモデルだけに、燃費重視ならば最有力になるだろう。
上級モデルに匹敵するキャビン空間は1ランク上のモデルにも負けないレベル。e-POWERの電動走行の楽しさも侮れない。
全方位に高得点が与えられる、普段使いで便利さを実感できる実用コンパクトの第一人者であることは間違いない。
内外出版/月刊自家用車

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