新型車比較・ライバル車対決
更新日:2021.03.16 / 掲載日:2021.03.16

HONDA 新型ヴェゼル vs ライバル先取り比較

ここからは先取りライバル比較を敢行! 事前情報に加え、見て触れてわかった部分も交え、先行ライバルたちとの違いを見ていこう。

icon 【主役はコレ!】HONDA 新型ヴェゼル

●価格:未発表 ●発売時期:’21年4月予定

ライバルはこの5台

icon TOYOTA ヤリスクロス

●価格:179万8000~281万5000円 ●発表年月(最新改良):’20年8月(未実施)

販売好調、ジャストサイズなコンパクトクロスオーバーSUV

 ヤリスと同じく、TNGAアーキテクチャーによる車体&パワートレーンを採用。ただしSUV風加飾を施したヤリスではなく、車体寸法から見直され、そのキャラクターは別物だ。パーソナル志向のヤリスに対し、ファミリーユース適性が高められ、特に後席居住性や荷室の積載能力の向上が顕著だ。1.5L直3+CVTおよび1.5L直3ハイブリッドを設定する。

icon TOYOTA RAV4

●価格:274万3000~402万9000円 ●発表年月(最新改良):’19年4月(20年8月)

4WD中心に展開。アウトドアでその本領を発揮する

 2Lガソリンと2.5Lハイブリッドを設定。ハリアーやC-HRのようなオンロード系クロスオーバーSUVが揃うトヨタのラインナップの中で、オフロード寄りのポジションを占める。ランクルにも通じるタフな風貌、4WD中心のグレード展開、基本メカが共通するハリアーとは異なるオフロード装備の搭載などにより、自然相手の遊びに適した一台となっている。

icon TOYOTA C-HR

●価格:238万2000~314万5000円 ●発表年月(最新改良):’16年12月(20年8月)

現行型ヴェゼルと激しく競合、現代のスペシャリティカー

 1.2Lターボと1.8Lハイブリッドを搭載。SUV的な実用性よりもクーペライクでスポーティなスタイルを優先して大ヒットした。実用的なコンパクトカーとは違う、スタイリッシュでより個性的な一台として、かつてのスペシャリティカーのような地位を確立。実用的でもあるヴェゼルとはキャラが異なるが、販売面ではガチンコ競合車としてしのぎを削ってきた。

icon NISSAN キックス

●価格:275万9900~286万9900円 ●発表年月(最新改良):’20年6月(未実施)

e-POWER専用で激戦カテゴリーに独自のアプローチ

 グローバルモデルとして海外で先にデビューしていたキックス。国内向けはシリーズ式ハイブリッドの「e-POWER」のみをラインナップし、同時に車体にも手を入れプロパイロットを搭載するなど、グレードアップ。海外での実用コンパクトSUV的なイメージとは異なり、ガソリン車も4WDも設定せず、都会的なプレミアム志向にアプローチを絞って勝負を掛けている。

icon MAZDA CX-30

●価格:239万2500~406万9980円 ●発表年月(最新改良):’19年9月(20年12月)

優雅さを増したフォルム、多彩なパワートレーン

 車格はCX-3とCX-5の間に位置する。ただし単なるサイズ的な穴埋めではなく、2ケタの車名にも表れているように、他のCXシリーズとは異なる個性を持つ。都会的なプレミアム感を優先した、クーペライクな新たなマツダSUVデザインを採用。2Lガソリン、1.8Lディーゼル、2LスカイアクティブXとバラエティに富むラインナップはマツダらしいところだ。

エクステリア比較

HONDA 新型ヴェゼル

新型ヴェゼルは数値不明だが、現車の印象を元にデザイン性やサイズ/車格感を見ていこう。

同じSUVでも方向性によりフォルムが異なる

 最近はSUVも多様化が進み、嗜好や用途の異なる様々なタイプが登場。ヴェゼルはクーペ風なルックスのスペシャリティ志向SUVに分類されるが、C-HRのようにSUVルックの5ドアクーペというほど偏ってはいない。実用的なコンパクトSUVにスペシャリティな趣きをトッピングしたくらいに考えればいいだろう。

 なお、コンパクトSUVの中では比較的全長が長く、ひと回りコンパクトなヤリスクロスと比べると伸びやかな印象があり、プロポーションはヤリスクロスよりRAV4に近く感じられた。

 スタイリングを都会的/オンロード志向とタフネス/ラフロード志向に大別するなら、新型ヴェゼルは従来型よりラフロード志向が強まった印象だ。RAV4ほどではないにしても、キックスやCX-30と比較すればボリューム感のあるフロントエンドなどが悪路向けSUVを思わせる。悪路性能のレベルはまだ不明だが、見た目の雰囲気はRAV4やヤリスクロスのラフロード派に近いものだ。

 リヤ周りこそファストバック風にしているが、こうしてライバル車と比較すると新型ヴェゼルの外観は実用性とアウトドア趣味をしっかりと主張している。

icon ヤリスクロス

今回の6台の中では最も長さが短く背は高めで“塊感”のあるフォルムだ

 角張ったホイールアーチなど、上位SUVの流れを汲む意匠をコンパクトな車体の随所に施す。全長こそ短めだが、車高や最低地上高は比較的しっかり確保している。

全長:4180mm ホイールベース:2560mm

  • 全高:1590mm 最小回転半径:5.3m

  • 全幅:1765mm 最低地上高:170mm 車重:1110~1270kg

icon TOYOTA RAV4

アウトドア重視のキャラにふさわしいデザインで「アドベンチャー」も設定

 オフロード志向の車種だが、特に写真の「アドベンチャー」はランクルやハイラックスにも通じるフェイスデザインでタフさを強調。最低地上高の数値からも本気度が伺える。

全長:4600~4610mm ホイールベース:2690mm

  • 全高:1685~1690mm 最小回転半径:5.5~5.7m

  • 全幅:1855~1865mm 最低地上高:190~200mm 車重:1500~1690kg

icon TOYOTA C-HR

悪路走破性や積載性を欲張らず、割り切ったアグレッシブフォルムに

 アグレッシブなフロントフェイスやマッシブなフェンダー造形でSUVらしいタフなイメージを表現するが、実際の寸法はSUVらしからぬロング&ワイド&ローな設定だ。

全長:4385~4390mm ホイールベース:2640mm

  • 全高:1550~1565mm 最小回転半径:5.2m

  • 全幅:1795mm 最低地上高:140~155mm 車重:1390~1480kg

icon NISSAN キックス

実用的なフォルムに各部の素材&仕上げで高級感をプラス

 フォルムは実用系コンパクトSUVだが、最近の日産のアイデンティティであるVモーショングリルをはじめ、メッキパーツを要所に使うなどで高級感のある仕立てとなっている。

全長:4290mm ホイールベース:2620mm

  • 全高:1610mm 最小回転半径:5.1m

  • 全幅:1760mm 最低地上高:170mm 車重:1350kg

icon MAZDA CX-30

マツダ・CXシリーズに新たな魅力を加えたクーペ的SUVフォルム

 流麗なマツダデザインはSUVのCXシリーズにも息づく。中でもCX-30はルーフの低いクーペフォルムを採用。その分、実用性は犠牲になるが、実用性重視ならCX-3やCX-5がある。

全長:4395mm ホイールベース:2655mm

  • 全高:1540mm 最小回転半径:5.3m

  • 全幅:1795mm 最低地上高:175mm 車重:1380~1550kg

インテリア&ラゲッジ比較

HONDA 新型ヴェゼル

運転席からインパネまわりやシートなどの居住性はどうか。そして荷室の積載性は?

室内は水平基調が主流。荷室はモデル差が大きい

 センターディスプレイ設置を前提にした水平基調のインパネデザインは現在のトレンドであり、比較6車に共通。キックスだけはディスプレイが低い位置へのはめ込みのため、一世代前の印象がある。

 ボリューム感やコックピット感の演出はそれぞれだ。ボリューム感もコックピット感も強いのはC-HR。スポーツモデル的なデザインだ。CX-30もコックピット感が強いが、ボリュームは抑えている。RAV4はボリュームがありデザイン的にも手の込んだ印象。ヴェゼルはボリュームを抑えてすっきりしたデザインである。

 実用性の要になる荷室は車格が上のRAV4が幅と奥行きで最大。最小はヤリスクロスで、後席使用のレジャー用途は厳しい。ヴェゼルとキックスはコンパクトクラスでは最大級の奥行きと深さがあるが、この2車は後席格納性で大きな差が付く。キックスは6:4分割の単純なシングルフォールディング。そのため格納時に大きな段差ができる。ヴェゼルはバックレスト前倒しと連動して座面が沈み込むダイブダウン方式を採用。低床設計の利点を後席格納時もそのまま活かせる。従来型も積載性は大きなアドバンテージだったが、新型にも継承されている。

icon TOYOTA ヤリスクロス

ヤリスより後部の空間が増加するもライバル比では最小クラス

 室内の造形は基本的にヤリスと共通するが、ルーフ後半は傾斜がきついヤリスとは異なりスクエアな形状に。大人4人乗車あるいは大人2人+荷物満載といった用途を問題なくこなす。

すっきりまとまったインパネ。トヨタ最新のコネクト機能などが利用でき、小物収納も効果的に配置される。

  • 積載面はパーソナルカー然としたヤリスから大きく改善。後席は4:2:4分割可倒だ。

icon TOYOTA RAV4

広さ、快適さ、装備内容など、6台の中ではひとクラス上だ

 8または9インチのディスプレイオーディオを標準装着。室内は長さ1890mm×幅1515mm×高さ1230mmと余裕のサイズだ。チルト&スライド電動ルーフなどの上級装備がOPで選べる。

機能的であることはもちろん、メタル加飾を効果的に用いてプレミアム感も演出。車格からして当然だが、くつろぎ感も段違いだ。

  • 片面が防水仕様のボードを高さ2段階にセットできるなど、アクティブな趣味を応援してくれる。

icon TOYOTA C-HR

SUVテイストの演出は薄め。後席&荷室は優先度低し

 室内も外観と同様に個性的で凝ったデザインだ。SUV的なタフさよりもスポーティ&カジュアル感に主眼が置かれている。特に後席は頭上空間もドア開口の形状もやや窮屈だ。

ナビ周りの造形ひとつを見ても、他車とは違う個性の演出に注力しているのがわかる。インフォテイメントやコネクト機能も充実している。

  • ボディが特に小さいわけではないが、リヤウインドウの強い傾斜は積載性では不利に働く。

icon NISSAN キックス

e-POWER専用車にふさわしく、デザイン&素材で高級感を演出

 先行して発売されていた海外向けのキックスからイメチェンを図り、日本国内向けは素材感にも気を使って高級感を演出。いわゆる実用車的な素っ気なさを払拭している。

本革巻ステアリングを標準装備とするなど、上質なマテリアルを選択。写真の2トーンインテリアエディションは一層華やかなイメージだ。

  • 元々は途上国向けの実用SUVであり、スクエアで高さも充分、使いやすい荷室を持つ。

icon MAZDA CX-30

運転という行為をクローズアップするようなインパネデザインが特徴的

 車体サイズを問わず、共通イメージなのがマツダ流。コンパクトクラスも上位クラスと同じようなクオリティで仕立てられる。左右対称ではなく個性重視なところはC-HRと通じる。

敢えて左右の造形に差をつけ、運転席の独立性を高めてコックピット感を強調。ドライバーファーストなのもまたマツダらしさだ。

  • ルーフこそ低いものの、コンパクトSUVとしての荷室の容量&使い勝手は確保されている。

メカニズム/装備比較

HONDA 新型ヴェゼル(e:HEV)

ライバルたちのメカニズムや装備について、特に注目のポイントをピックアップ。

4WDの重視具合はキャラクターに応じて様々。 先進安全&運転支援装備は、このクラスでも付いているのが当たり前だ

 パワートレーンはキックスがハイブリッド専用になる以外は複数設定となり、CX-30以外はガソリン車とハイブリッド車をラインナップ。CX-30はガソリン車とディーゼル車、マイルドハイブリッド+スーパーチャージャーのスカイアクティブXの構成。ハイブリッドはヴェゼルがシリーズ/パラレル切替式、キックスがシリーズ式、トヨタ系はスプリット式を採用する。駆動方式はキックスがFFに限定されるが、他はFFと4WDを設定。ただし、C-HRのハイブリッド車は4WD非設定である。

 先進運転支援装備は全車に採用されるが、ヤリスクロスは最廉価仕様のみ非設定、CX-30は走行ライン制御LKAが上級グレード限定、他は全車標準装着となっている。

icon TOYOTA ヤリスクロス

’20年デビュー、装備内容はトヨタ最新仕様

 ダイナミックフォースエンジン搭載のパワートレーン、先進安全&運転支援機能のトヨタセーフティセンスはともにトヨタの最新版。マルチテレインセレクト付き4WDの走破性も侮れない。

  • アダプティブクルーズコントロール(ACC)やレーントレーシングアシスト(LTA)も自然な制御の最新仕様だ。

icon TOYOTA RAV4

走りの機能や装備もアウトドア派ならでは

 エントリーグレード以外は4WDのみをラインナップ。ガソリン車のダイナミックトルクベクタリングAWDは高機能で、ハイブリッドのE-Fourもリヤモーター出力を高めた新世代版だ。

  • ダイナミックトルクベクタリングAWDは悪路踏破性のみならずコーナリングフィールも向上する優れた機構だ。

icon TOYOTA C-HR

プリウス譲りのTHS IIは燃費も走りも優秀

 信頼のハイブリッドシステムである1.8L・THS IIを搭載。また、1.2Lターボも走りと燃費を両立させた優れものだ。’19年に6速MTを追加、’20年に高度な車線維持支援のLTAが標準装備となった。

  • 現行プリウスに続くTNGA第2弾として登場し、その優れたハイブリッドシステムを受け継いでいる。

icon NISSAN キックス

e-POWERによる電動走行が最大の魅力

 最大の特徴はパワートレーンだ。エンジンで発電しモーターで走るe-POWERにより、モーターならではのトルクやレスポンス、1ペダルドライブなど独自の運転体験を得ることができる。

  • キックスのe-POWERは先代ノートをベースにしながら制御に手を加えるなどの改良を施した進化版だ。

icon MAZDA CX-30

クリーンディーゼルやスカイアクティブXも

 キックスとは逆に、パワートレーンの選択肢が多く、ガソリン/ディーゼルに加え、独自の点火方式を実用化したスカイアクティブX搭載車もラインナップ。そのため、価格帯の幅も広い。

  • SPCCI(火花点火制御圧縮着火)のスカイアクティブX。’20年12月の改良で出力、トルク、応答性が向上した。

【結論】新型ヴェゼルの立ち位置は?

  • 個性で棲み分けを図るライバルにオールマイティさで勝負だ

デイリーユースもレジャーも欲張る

 価格とe:HEVのスペック、4WDの機能が気になるが、現在公開されている情報だけでも新型ヴェゼルへの期待値は高い。ここで挙げたコンパクトSUVを見れば、C-HRはキャビン実用性に難あり、キックスは駆動方式が限られる。ヤリスクロスとCX-30も居住性は今ひとつ。ヤリスクロスは車格的に仕方ない部分もあるが。

 RAV4はサイズ的にも1クラス上であり、経済性を除けばヴェゼルを上回るのは当然だが、RAV4とヤリスクロスの間にヴェゼルを置くと収まりがいい。悪路対応力次第といった見方もできるが、RAV4では大きすぎ、ヤリスクロスでは余裕がなさ過ぎと考えるユーザーには手頃なサイズだ。

 フィットで示した「もっとドライブを楽しく」をアウトドア趣味やSUVで再構築したモデルがヴェゼル。その点ではレジャー志向の正統派SUVであり、他のコンパクトSUVとはひと味違った印象を受けた。個性際立つフロントマスクは好き嫌いが分かれそうだが、日常とレジャーで雰囲気よりも実践力を求めるユーザーにとって最適解となりそうだ。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之/佐藤正巳/澤田和久

提供元:月刊自家用車

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