カローラ3兄弟vs次世代ライバル車 ベストバイ決定戦 セダン編

　カローラとプリウスの差は進化の過程、あるいは熟成度の違いという印象。細かな挙動の収束や落ち着きでカローラが勝り、走りの質感でも車格と逆転している。ただし、同系統のハードゆえにその差はあからさまではない。一方、マツダ3とは嗜好の違いが明らかで、走りも引き締まったスポーツ感に溢れるが、乗り疲れしやすいタイプ。W×Bでもことさらに引き締まった印象を受けないカローラのほうがツーリング向きである。

　前走車追従走行ライン制御も持つLKAなど、カローラの運転支援機能は国産車のトップクラス。同じトヨタ車ながらプリウスはLKAが車線逸脱予防操舵支援となるなど一世代古い。走行性能同様に進化の新旧といった感じである。マツダ3も内容ではカローラと同等だが、LKAの走行ライン制御機能が55km／h以下に限定されてしまう。マツダならではのドライバー主体主義によるものだが、長距離の運転疲労軽減効果では劣ってしまう。

　マツダコネクトはスマートフォンとの連携機能を持った車載ITの先駆的存在。SDLアプリ対応などでカローラがリードしている部分もあるが、両車ともに時代の最先端と言えるシステムだ。プリウスもT-Connectに対応するなどで車載ITシステムを展開するが、比較2車に比べると高機能ナビにIT機能を付加した印象が強い。実用面のハンデはないが、価格差が大きく、ナビとのトータルコストで考えればコスパの面では大きく劣ってしまう。

　基本設計はグローバルを意識しているが、日本への適合性を高めているのが新型カローラである。一方、マツダ3は特にヨーロッパを意識したモデルであり、トレンドとなるプレミアム&スポーティなキャラを前面に出している。この設定はマツダ3だから特別ではなく、「魂動デザイン」や「人馬一体」の原理主義の影響からだろう。そしてプリウスはエコの象徴的なモデルであり、燃費を基本にしたエコプレミアムが売り。実用性は二の次という傾向を持つ。

　マツダ3の全長はカローラよりも165mmほど長いが、後席のニースペースは大差ない。しかもファストバック的なルーフラインやリヤピラーの傾斜によりヘッドルームに余裕がなく、視角的な圧迫感も強い。デザインコンセプトが4ドアクーペ的なのだ。

　プリウスはニースペースの余裕は多少上回るが、空気抵抗を主に置いたデザインのため、天井の圧迫感は強めである。積載の多様性で多少の優位性はあるが、実用性を求めたボディタイプとまでは言い難い。

　従来型ほどではないが、新型になってもフル乗車を前提としたスペース効率の高さを持つことが、カローラの売りである。