新型車比較・ライバル車対決
更新日:2018.12.13 / 掲載日:2018.12.13

SUV好ライバル比較対決ホンダCR-V対トヨタ新型RAV4

CR-VにとってRAV4は、初代から深い因縁を持つ永遠のライバル。トヨタは5代目となる新型を来春にも日本上陸させることを公言しており、まもなく、あの熾烈なガチンコ勝負が再び幕を開けるのだ。ここでは現時点で分かっている情報を元に、2台を仮想対決してみたい。
●文:山本シンヤ

歴代モデルはいずれもガチンコライバル

  • 初代CR-V

  • 初代RAV4

RAV4が発売されたのは1994年。その後、1995年に追いかけるようにCR-Vが発売された。共にFFベースの2L直4を搭載しているが、CR-Vは5ドア専用の幅広3ナンバーボディと居住性や快適性を考慮した設定。カジュアルさや3ドアボディが主力だったRAV4とはズレがあった。

  • 2代目CR-V

  • 2代目RAV4

RAV4は2000年、CR-Vは2001年にフルモデルチェンジを実施。RAV4は3ナンバーボディとなりキャビン空間が拡大。真の意味でライバル関係が確立したのは、この2代目からだろう。ただ当時の国内SUV需要はひと段落したため、共に国内では初代ほどの人気は持たなかった。

  • 3代目CR-V

  • 3代目

いずれも2代目は国内よりも海外で好評を博したこともあり、3代目はさらにボディサイズが拡大。その人気はさらに高まり、世界戦略車として完全に認知された。国内向けはRAV4は2005年から2016年まで、CR-Vは2006年から2011年まで発売されている。

  • 4代目CR-V

  • 4代目RAV4

CR-Vは2011年にフルモデルチェンジが実施され国内にも投入(2016年に販売終了)されたが、2012年に北米で発表された4代目RAV4は、国内向けは設定せず、引き続き3代目を販売していた。共に国内では不遇な存在だったが、海外での人気は極めて高く、好調なセールスを記録。

優良顧客を奪い合うため最新モデルを再び投入

 ホンダCR-VとトヨタRAV4には、いくつかの共通点がある。まず、どちらもモノコックボディを採用したクロスオーバーSUVの先駆者であること。さらに世界戦略車としてエース的存在に成長したモデルであること。そして、ある時を境に日本市場からヒッソリと姿を消したが、見事に復活を遂げたモデルであることだ。

 そもそも、なぜこの2台は共に日本から消えてしまったのか? 答えは簡単で海外マーケット優先のクルマ作りを行なった結果、日本のユーザーニーズに合わない(特にボディサイズ)クルマになってしまったからである。

 そのあたりの事情はホンダもトヨタもよく分かっており、ホンダは2013年にヴェゼル、トヨタは2016年にC-HRを発売し、一クラス下のコンパクトクロスオーバーSUVを用意している。どちらもヒットモデルとなっていることは皆さんもご存じの事だろう。

 では、なぜ今になって復活となったのか? それは世界的なクロスオーバーSUVブームが後押ししているためだ。昨今、日本市場で輸入車シェアが伸びているが、その要因の一つが輸入車クロスオーバーSUVの人気だ。いまや海外メーカーは、大中小と日本車顔負けの豊富なラインアップを揃えている。逆に日本車は「ヴェゼルがあるからCR-Vはいらない」「ハリアーとC-HRがあるからRAV4はいらない」と、合理化のために売れないクルマの販売をやめたことで、逆に「次に買おうとしたら次期モデルはない」「ステップアップしたくても買うクルマがない」という問題が表面化し、ユーザーが他メーカーに流出する事態になってしまったのだ。

 それをなんとか食い止めたいものの、日本専用車を新たに開発する余力はないが、バリエーションは増やしたい。そんな要望を叶えるために、海外専用モデルを日本へ再導入という流れになったのだ。

 そんな奇しくも同じ運命を辿った2台だが、すでにCR-Vは発売され、RAV4も来年には国内導入が予定されている。そこで今回のお題は、現時点で分かっている情報を元に、一足お先にライバル対決を行ないたいと思う。

【CHECK.1】エクステリア比較 コンセプトは違えど最先端の考えが注がれる

●CR-V VS 新型RAV4 諸元比較

 RAV4は、これまで都会が似合うイメージのデザインを採用してきたが、新型はSUV本来の“力強さ”、“頼れる相棒”を再定義、SUVらしさを強調したスタイルへと刷新された。対するCR-Vは、4代目の正常進化でキープコンセプトではあるものの、嫌みのないプレステージ性がプラスすることで、ヴェゼルの兄貴分であることをアピールしたスタイルだ。もともとはどちらも都会派SUVの成り立ちだが、新型はオン/オフと問わないオールラウンダーなキャラクターへと進化している。

CR-V

  • エクステリアデザインは、4代目の流れを汲む正常進化版。

  • ボディサイズは先代からそれほど大きくなっていないが、パッと見た印象はかなり大柄に映る。

  • ホイールベースは2660mmと、先代(2620mm)比で40mmほど拡大。造形も先代イメージを引き継ぐなど、プレミアム志向を強めながらも実用面を優先するコンセプトも継承している。

  • 全幅は1855mmとこちらも歴代最大。同クラスのライバル車の中でも最大級のワイド幅を持つ。慣れればさほど気になるものではないが、狭い車庫入れなどは苦手だ。

RAV4

  • 新型のスタイリングは、2017年に発表されたコンセプトモデル「FT-4X」をモチーフに、トヨタSUVが育んだエッセンスが融合したデザインを採用。4代目からさらに攻めてきた印象だ。

  • ホイールベースは2690mmと先代(2660mm)比で30mmほど拡大。カムリベースのシャシーとなり、歴代最高の長さとなった。ゆとりあるパッケージングも見逃せない強みだ。

  • 質感向上を果たしながらも、多角形状のホイールアーチやリヤ大型ディフューザー。

  • 切れ長なヘッドライトデザインなど、細部の意匠まで個性的だ。

RAV4は大胆イメチェン 新機軸満載の野心的なモデル

 エクステリアはキープコンセプトのCR-Vに対して、RAV4は大きくコンセプトをチェンジ。従来型までは都会が似合うイメージだったが、新型は野性味を強調したデザインに刷新した。対するCR-Vはコンサバだが、クロスオーバーSUVのスタンダードという意味では、そのコンセプトはブレていない。

 インテリアはプッシュボタン式ATやフルデジタルメーターなど、先進性を備えながらもオーソドックスなインパネのCR-Vに対して、RAV4は、水平基調のインパネと骨太なセンターコンソール、多角形のモチーフなど、SUVらしい機能性をプラスさせたインパネを採用する。

 どちらも先代よりも若干サイズアップされているが、これは後席の居住性とラゲッジ性能向上のため。またCR-Vは3列仕様車を用意するが、RAV4は2列仕様車のみになるようだ。

 パワートレーンはどちらもガソリンとハイブリッドを設定。CR-Vは1.5L直噴VTECターボと2.0L/NA+2モーターのハイブリッド。一方、RAV4は2.5Lもしくは2Lのダイナミックフォースエンジンと、2.5Lダイナミックフォースエンジン+モーターのハイブリッドを選ぶことができるという。ガソリン車はターボvs NA、ハイブリッドは「THS-II vs スポーツハイブリッド」と、メーカーの威信をかけた対決でもある。どちらも燃費が良いのは当たり前で、ドライバビリティなどプラスαの魅力を備えたユニットだ。

【CHECK.2】キャビン&ラゲッジ比較 快適性重視の設計は両モデルに共通する美点

 ボディサイズはRAV4が全長4595×全幅1855×全高1700mm、ホイールベース2690mm 、CR-Vが全長4605×全幅1855×全高1680(AWDは1690)mm、ホイールベースは2660mmと、初代を知る人にとっては「成長したなぁ」と思うサイズだ。どちらも先代に対して若干のサイズアップだが、その拡大分は主に後席の居住性やラゲッジスペースにあてられている。ちなみにCR-Vのガソリン車には、短時間なら大人の乗車も苦にならないレベルの3列シート仕様も用意される。RAV4は現時点では2列仕様のみだ。

CR-V

  • コンソール中央にナビモニターを配するオーソドックスなレイアウト。

  • 木目調素材やピアノブラックパネル、ソフトパッドを用いることで質感向上にも余念がない。

  • シートのチップアップ機構の採用やボード類を巧みにアレンジするラゲッジユーティリティの高さなど、実用面に優れる設計は歴代モデルに受け継がれた美点の一つ。

RAV4

  • 最近のトヨタ車らしく、内装質感の向上も著しい。

  • キャビンスペースは拡大したほか、アップライトのシート位置が生み出す視界の良さも見所だ。

  • カムリベースに車格が上がった恩恵はラゲッジを中心としたユーティリティにも及ぶ。シートアレンジの詳細はまだ不明だが、使い勝手の良さも大いに期待できるだろう。

RAV4は大胆イメチェン 新機軸満載の野心的なモデル

 エクステリアはキープコンセプトのCR-Vに対して、RAV4は大きくコンセプトをチェンジ。従来型までは都会が似合うイメージだったが、新型は野性味を強調したデザインに刷新した。対するCR-Vはコンサバだが、クロスオーバーSUVのスタンダードという意味では、そのコンセプトはブレていない。

 インテリアはプッシュボタン式ATやフルデジタルメーターなど、先進性を備えながらもオーソドックスなインパネのCR-Vに対して、RAV4は、水平基調のインパネと骨太なセンターコンソール、多角形のモチーフなど、SUVらしい機能性をプラスさせたインパネを採用する。

 どちらも先代よりも若干サイズアップされているが、これは後席の居住性とラゲッジ性能向上のため。またCR-Vは3列仕様車を用意するが、RAV4は2列仕様車のみになるようだ。

 パワートレーンはどちらもガソリンとハイブリッドを設定。CR-Vは1.5L直噴VTECターボと2.0L/NA+2モーターのハイブリッド。一方、RAV4は2.5Lもしくは2Lのダイナミックフォースエンジンと、2.5Lダイナミックフォースエンジン+モーターのハイブリッドを選ぶことができるという。ガソリン車はターボvs NA、ハイブリッドは「THS-II vs スポーツハイブリッド」と、メーカーの威信をかけた対決でもある。どちらも燃費が良いのは当たり前で、ドライバビリティなどプラスαの魅力を備えたユニットだ。

【CHECK.3】装備比較 上級設定のキャラもあり、装備はかなりの充実ぶり

 メインマーケットである北米では、比較的カジュアルなSUVと言う立ち位置だが、日本市場ではミドルクラスの上級SUVとなるため、どちらのモデルもほぼフル装備と言っていい。ただ、CR-Vのナビゲーションはちょっと時代遅れの感があるのは事実だ。安全支援デバイスはどちらも用意され、機能的にはほぼ同等のアイテムが用意されるが、実際の性能は「ホンダセンシング」よりも、第2世代となった「トヨタセーフティセンス」のほうがレベルは高そうだ。

CR-V

  • 上級仕様のマスターピース系には、電動パワーゲートや大型サンルーフなどの上級装備が標準装備。車格に見合う豪華仕様を選べることもポイント。

  • 最新仕様のホンダセンシングの搭載も見逃せない。歩行者との衝突回避を行う歩行者事故低減ステアリングなど、高いレベルの先進安全機能が備わっている。

RAV4

  • 歩行者/夜間検知能力がアップしたプリクラッシュブレーキやレーントレーシングアシストなど、最新機能を持つトヨタセーフティセンスを設定。全車に標準装備されるはずだ。

  • 北米仕様のマルチメディアシステムは「Entune 3.0 Audio」を搭載。おそらく日本仕様には、T-Connect対応の最新システムが搭載されることが予想される。

最新シャシーに安全装備 いずれも譲らない実力派

 プラットフォームはどちらも刷新され、CR-Vはシビック譲りの「グローバルプラットフォーム」、RAV4はカムリ譲りの「GA-K」ベースをSUV用に最適化。どちらも安定性とハンドリングを高次元で両立させているが、走りの考え方に若干の違いがあるようだ。

 AWDシステムは、CR-Vはシンプルな「リアルタイムAWD」を採用し、SUVのスタンダードらしい安定性重視の味付けだが、RAV4は走りの気持ち良さを前面に押し出した味付けで、左右輪のトルクベクタリングが可能な「ダイナミックトルクベクタリングAWD」や後輪の駆動トルクを増やした「新E-Four」を採用する。試乗してみないと何ともいえない面もあるが、トヨタはこれまでと違い、攻めの姿勢を新型に注ぐようだ。

 安全支援システムは共に最新ユニットを搭載。CR-Vは「ホンダセンシング」を全車標準設定、RAV4は第2世代の「トヨタセーフティセンス」を採用するが、こちらも間違いなく全車標準設定になるだろう。

 価格はCR-Vはガソリン車が323万280円~403万560円、ハイブリッドが378万4320円~436万1040円。RAV4は国内発表前のため価格は分からないが、間違いなくCR-Vに近いプライスを掲げるはず。もし国内向けにも2L車が導入されるならば、かなり戦略的な価格設定が予想される。

 現時点では“安定”のCR-Vに対して、“攻め”のRAV4といった感じがするが、最終的な判断はRAV4が発売されるまでお預けだ。ただ、かなり良い勝負になるのは間違い。国内でも再び、激しい競争を繰り広げるだろう。

【CHECK.4】メカニズム比較 いずれも最新が注がれるが、AWDシステムは差を感じる

 どちらもガソリンとハイブリッドを用意。RAV4はNAとTHS-II、CR-VはVTECターボとスポーツハイブリッドi-MMDとシステムは異なるが、燃費はよくて当たり前でプラスαが備わる。プラットフォームはRAV4が「GA-K」、CR-Vは「グローバルプラットフォーム」と基本素性に優れた物をベースにSUV用に最適化。ここまでは2台とも共通だが大きな違いはAWDシステム。RAV4は凝った構造のシステムで走りの楽しさを前面にアピールするのに対し、CR-Vはあくまでもシンプルなシステムで黒子的な存在だ。

CR-V

  • 2モーター式のi-MMDは、電動駆動を主動力とするシリーズ式ハイブリッド。国内投入時に入念な走り込みを行い制御系をパワーアップ。走りの洗練感が大きく高まった。

  • ハイブリッド車初採用のリアルタイムAWDは、リヤデフのトルク容量が先代比200N・mとなる550N・mに向上するなど、登坂能力が高まっているが、本格悪路には荷が重い一面も。

RAV4

  • ガソリン車はダイナミックトルクベクタリングAWD。

  • ハイブリッド車は新型E-Fourと、TNGA技術が注がれるトヨタ最新のAWDシステムを搭載。走りの質感向上も期待できそう。

  • ハイブリッド車もガソリン車もパワートレーンは、高速燃焼技術や可変制御システムなどで熱効率を高めた、最新のダイナミックフォースエンジンが搭載される。

提供元:月刊自家用車

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