新型車比較・ライバル車対決
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2018.02.27

新型アルファード&ヴェルファイア詳細CHECK!

1月に待望のビッグマイナーが施されたアルファードヴェルファイア。3年ぶりのブラッシュアップゆえに新採用された技術&メカニズムも多数あるなどミニバンを考えていたユーザーにとっては、見逃せない存在になりそう。満を持して登場した新型の実力車ぶりを、余すことなくお伝えしよう。

上級セダンに匹敵する静粛空間を手に入れた

クラウンじゃなくなるかも」が試乗の第一印象だ。日本でもクルマに求められる機能やデザインは多様化が進み、高級車といえどもその流れは変わらない。だからそう感じるのは奇妙ではないのだが、セダンSUVでは得られない空間の贅沢ぶりに圧倒されてしまったのである。
 今回のマイナーチェンジでは、極上空間を演出するエグゼクティブラウンジをエアロ系にも追加したが、室内の設えや基本機能は従来型と変わっていない。高級車としての資質の向上を強く感じるのは、走行性能関連の進化だ。
 グランビア以来、トヨタの最上級ミニバンはフル乗車時の操安性を重視していたこともあり、少人数乗車時や、サードシートの乗り心地などに、どこか商用車的な硬さや騒がしさがあった。この問題はフルモデルチェンジを重ねるごとに改善されていたが、今回の新型アルファード&ヴェルファイアに乗ると、そんな商用的な印象は完全に払拭したことを実感できる。
 ひとつは静粛性だ。試乗中の車内会話は、さして声を大きくすることもなく、従来型よりも静かな会話が楽しめた。これは人の声の平均周波数帯領域の静粛性向上を上級セダンに匹敵する静粛空間を手に入れた狙った改良を車体構造に施したことが大きい。会話の明瞭度が高まるだけでなく、敏感な周波数帯の騒音減は、騒音の総量の変化以上に体感静粛性が向上する。要するに耳当たりのいい音質になったというべきか。実際に乗ってみないと分からない変化であるが、大きな進化を実感できる。
 そして乗り心地も向上した。それも硬軟の変化ではなく、洗練感の向上が印象的である。車軸周りの細かなゴツゴツ感が減り、小さな凹凸や段差でも滑らかなストローク感を得ている。新型ダンパーの効果と車体補強の相乗効果の恩恵によるものだろうが、高速操安を犠牲にせず、しっとりと重質な味わいを出している。
 そして新型の大きなトピックスがV6車のパワートレーンのアップデートである。従来型と同様にV6エンジンを搭載するが、直噴/ポート併用のD-4Sの改良型へ変更され、ミッションも8速ATに進化している。この新パワートレーンの採用により、クラウンアスリートの3.5L並みのハイスペックを実現した。エンジン回転を抑えて走ったとしても、その洗練された力感やスムーズさは、十分体感することができる。
 また燃費の改善も注目ポイント。一般的な運転では緩加速も含めて2000回転くらいを上限に変速制御が行われる。ちょっと強めの加速の際でも3000回転を超えずに済ますことができる。市街地では小まめに変速するが、忙しさが皆無なのは滑らかな変速の賜物。穏やかにして力強く、V6の精度感の高い滑らかさと重質な回転感覚が、走りの質感を高めている。
 早めかつ巧みな変速制御もあって、普通に走らせているだけでは多気筒エンジンの強味でもある高回転の伸びがチェックできないので、マニュアル変速で6000回転超まで引っ張ってみた。その印象は回すほどに速くなるタイプとは言い難いものの、V6車らしい伸びやかさは十分。高回転でのアップシフト、あるいはDレンジでキックダウンさせた時の変速も滑らか。マニュアル変速で3000回転超でリズミカルにシフトを楽しむのも悪くない。
 ここまで読んでもらえば大体想像が付くと思うが、このパワートレーンの心地よさはドライバーのためだけでなく、同乗者のストレスも軽減してくれる。

ACCの性能は大幅向上、 LTAも優秀な支援機能

 そして次世代安全&運転支援システムの新トヨタ・セーフティセンスが全グレードに標準装備となったことも見逃せない。従来のセーフティセンスPに代わる最新システムであり、LKAの進化版になるLTA(レーントレーシングアシスト)と全車速型ACCを備える。この2つの機能進化もポイント。特にLTAの制御精度は大きく進歩し、前走車追従も含めて車線認識性が向上している。ACC作動時の認識性と半自動操舵での走行ライン補正も的確となり、車線維持中にもシステムとドライバー操作の一体感が保たれている。
 半自動操舵の走行ライン補正はACC作動時で横Gが0.15G以下に制限されるため、都市高速などの速い流れには対応できないが、普通の高速道路ではほぼ全域で対応が可能である。これも同乗者と一緒に風景や会話を楽しむ一助となり、大きな効能があるのは間違いない。
 今回は新型のV6車とハイブリッド車を試乗したが、車格感という点では価格的には安いV6車が勝る。ハイブリッド車は電動走行や電動アシストによるアドバンテージもあるので、静粛性ではハイブリッド車に分があるが、V6車のパワートレーン周りの騒音も効果的に抑えられているので、それほど4気筒(ハイブリッド)とV6の差は目立たない。車格感の捉え方にもよるが、V6の方が旧来のクルマ好きに好まれる魅力が濃い。
 その一方で、時代性や先進性を考慮すればハイブリッド車が優位なのは言うまでもない。ダウンサイジング&気筒数減が趨勢の中でV6車を大幅改良して燃費性能も向上させた高級車へのこだわりもアルヴェルの見所である。
 また、車体本体の改良とトヨタセーフティセンスの全車標準化は、直4エンジンを搭載するベーシックモデルの走りの質や安心感の向上にも繋がるはずだ。直4モデルを含めて、シリーズ全体のレベルアップを図ってきた新型アルヴェルは、今までとは違う、新たな高級車を体現するモデルになりつつある。

V6モデル

直噴+8速ATは絶妙のマッチング
全域で洗練された走りを披露する

 程よく伝わるエンジン音や重質な回転感覚が車格感を高めてくれる。浅いアクセル開度でも加減速反応がよく、8速ATと相まって回転を抑えながら力強いドライブフィールを示した。乗り味の洗練感を高めたフットワークもあり、プレミアムセダン的な味わいを加え、1BOX型に限定しないでも最上級クラスと言えるレベルだ。

●主要諸元(ヴェルファイアZG2WD)
●全長×全幅×全高(mm):4935×1850×1935 ●車両重量(kg):2090 ●エンジン:3456ccV6DOHC ●最大出力:301PS/6600rpm ●最大トルク:36.8kg・m/4600~4700rpm ●ミッション:8速AT●JC08モード燃費:10.8km/L ●燃料タンク容量(L):75[プレミアム] ●最小回転半径(m):5.8

  • 高機能となった「トヨタセーフティセンス」は全グレード標準装備。強力な運転支援機能LTAは実走行でも扱いやすく、効果も優秀。ロングドライブで活躍しそうだ。

  • V6エンジンは排気量こそ変わらないが、直噴+ポート噴射併用仕様の最新D-4S型に変更された。パワースペックに加えて、熱効率が高まったことで省燃費性能も向上を遂げている。

  • V6車のATは、従来型の6速からより多段化された8速に進化。低中域の特性に富むV6エンジンの美味しいトルクバンドを、より巧みに活用できる仕様に仕上げられている。

ハイブリッドモデル

パワートレーンに変更はないが
車体改良の恩恵を強く実感できる

 電動駆動系に余裕があるため初期加速の応答や巡航時の速度コントロールのしやすさは、他モデルのハイブリッド車の中でも良好である。高負荷域ではエンジン回転数の変化が大きめなのが少し気になるが、一般用途での扱いやすさはシリーズの上級設定らしい。ゆとりと質を感じさせる性能であり、車格感と燃費のバランスのよさは抜群である。

●主要諸元(アルファードハイブリッドエクゼクティブラウンジS2WD)
●全長×全幅×全高(mm):4950×1850×1950 ●車両重量(kg):2240 ●パワーユニット:2493cc直4DOHC+ツインモーター ●最大出力(エンジン):152PS/5700rpm ●最大トルク(エンジン):21.0kg・m/4400~4800rpm ●最大出力(フロントモーター/リヤモーター):105kW/50kW ●最大トルク(フロントモーター/リヤモーター):270N・m/139N・m ●ミッション:電気式無段変速 ●JC08モード燃費:18.4km/L ●燃料タンク容量(L):65[プレミアム] ●最小回転半径(m):5.8

  • HV車のパワートレーンは、2015年のフルモデルチェンジの際に大きな進化を遂げたこともあり、今回は従来型を踏襲。

  • HV車はツインモーターを積む上級仕様ゆえに、動力性能も省燃費性能も一線級をキープする。

直4モデルの走りはどう進化した?

 新型のパワートレーンは基本的に従来型を踏襲。動力性能に影響をするスペックの変更もないので、悠々たる走りを求めるユーザーは多少非力と感じる可能性が高い。しかし、全車に共通する車体関連の改良を考慮すれば、乗り心地や静粛性はレベルアップしていることだろう。さらに安全&運転支援機能の拡充したことも忘れてはならない重要ポイントだ。


提供元:月刊自家用車


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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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