新型車比較・ライバル車対決
更新日:2020.04.21 / 掲載日:2018.01.29
今年こそ電気のクルマを買おう! Eクルマ選び指南

満充電の航続距離が大幅に伸びたニッサンの新型リーフ。急速充電にも対応したトヨタ プリウスPHV。どちらも実用性が大幅アップしたことで、十分デイリーユースに対応するEVとなった。そこで今回は自身もプリウスシリーズのプリウスPHVを購入した自動車研究家が、今、電気なクルマを選ぶ意味を解説する。
今、EVやPHVを買っても後悔することはほぼナシ!
昨今、自動車業界のトレンドは「電動化」だろう。大気汚染の深刻化からフランスとイギリスは2040年以降ガソリン/ディーゼル車の販売を終結させる方針を固めたと発表。ディーゼルゲート問題や自動車メーカーの燃費不正行為の問題から、これまでディーゼル推しだった欧州メーカー勢がこぞってEVへの移行をアピール。また多くの自動車メーカーが相次いで「今後は”純粋“なエンジン車の販売を終了し、電動化技術(=ハイブリッドやPHV)と組み合わせる」と発表するなど、自動車業界は「百年に一度の転換期」とも言われている。
では、自動車の電動化によって何が変わるのか? 環境性能や燃料コスト低減など「エコ」の部分ばかりが注目されるが、パワートレーンの小型化による「パッケージ」の革新や、モーターの応答性/制御性の良さから「走り」や「運転支援」に関しても大きなメリットを持つ。つまり、クルマを大きく変え、もっと面白くすることができるのである。そんな中、昨年はニッサン・リーフ、トヨタ・プリウスPHVと日本車の電動化を代表する2台がフルモデルチェンジ。今回はこの2台を中心に電動化車両について語っていく。
EV代表
NISSAN リーフ
●発売日:’17年9月6日 ●価格帯:315万360~399万600円 ●販売店:ニッサン全店
PHV代表
TOYOTA プリウスPHV
●発売日:’17年2月15日 ●価格帯:326万1600~422万2800円 ●販売店:トヨタ4系列全店
ドライバビリティ 「電気の走りはリニアで爽快!」

モーターは内燃機関と違って「応答遅れ」がほとんどなく、アクセルを踏むと同時に加速が始まる。モーターは流した電気の量に比例して駆動力を発生するので、ゼロ発進時の加速の力強さは大排気量エンジン並み。おまけに変速機がないので、変速のタイムラグやショックとも無縁。走りの良さは折り紙つきだ。特に今回の新型リーフはバッテリーの容量拡大(30→40kWh)と新開発の高出力インバーター(80→110kW)採用で、爽快な加速が高速域まで長く続くようになっているのが大きな特徴。プリウスPHVもHVのプリウスが発電用/駆動用と別々に使っていたモーターを、EV走行時は発電用のモーターも駆動用に使う「デュアルモータードライブ」の採用により、パワフルな加速性能を実現している。“EVの走りは良くない”といった認識がもしあれば大きな間違い! とてつもなく俊敏で、しかも走りを楽しめるのだ。
●スペック
リーフ
全長×全幅×全高(mm):4480×1790×1540 車両重量(kg):1490~1520パワートレーン:モーター(110kW/320N・m) トランスミッション:CVT JC08モード燃費:400km
プリウスPHV
全長×全幅×全高(mm):4645×1760×1470 車両重量(kg):1510~1530 パワートレーン:1797cc直4DOHC(98PS/14.5kg・m)+モーター(53kW/163N・m) トランスミッション:CVT JC08モード燃費:30.8~37.2km/L(EV走行距離:55.2~68.2km) ※満タン&満充電:1379~1667km
“走り”のモデルも用意!
プリウスPHVには専用チューニングサスペンションや専用タコメーター(GRロゴ付)などが備わる“GRSPORT”を設定。リーフにもNISMOが内外装およびサスペンション、コンピューターに手を加えたパフォーマンスモデルの登場が予定されている。
コスト関連 「賢く使えば絶対お得!」
まず、EVは燃料がいらない、PHVもこまめに充電すれば燃料を大幅に節約可能というメリットがある。単純計算すると、100km走行するために必要なコストはリーフが200円、プリウスPHVは275円(電気163円、ガソリン112円)と内燃機関と比べると圧倒的に安い(例:カローラアクシオ(1.5L・CVT・FF)は584円)。また、EV/PHVは優遇税制や補助金もあるため、購入時/購入後のコストを抑えることもできる。しかし、肝心な車両価格は通常の内燃機関モデルに対して高価なので、単純にコストだけで判断はできない。とはいえ、未来を先取り体感できる喜びをお金に換算できれば、非現実的な価格ではないと思う。

距離別エネルギー代比較
電気は乗れば乗るほど安い!
距離が伸びるほど差が出てEVが有利となる。仮に往復100kmの通勤で日々( 平日)使用した場合、一か月で1650円、年間で1万9800円、そして5年間だと9万9000円の差額となる。

免税&補助金
リーフなら50万円以上おトクに!
EVおよびPHVには免税のほか、現在のところ各種補助金が一般的なガソリン車やHVより充実しているため思いのほかおトクに購入できるのも大きなポイント。車両本体価格だけを鵜呑みにしてはいけないのだ。

充電設備「 コンセント口の改修だけでもOK」
一般的な家庭用100Vでも充電は可能。その場合、コンセントを2穴→3穴(写真)に改修するだけでOK。費用も約1万円で済む。もっとも、100Vでは充電に時間がかかるため200Vに改修するのがベター。その場合でも約10 ~ 15万円で済む。

補助金もCHECK!
工事内容にもよるが国・自治体の各種補助金は充電設備関連にも用意されているので賢く利用しよう!
ユーテリティ「居住性はガソリン車以上かも!?」
大人3人が無理なく寛げる後席を実現するリーフ。
大型スーツケースは平積みで2個OK。
プリウスPHVは2人乗りに割り切った上質な後席。
後席中央は小物入れ&カップホルダー。
リーフはEV専用プラットフォームと薄型リチウムイオンバッテリー(バッテリー容量が30→40kWhにアップしたが大きさはほぼ同等)を床下に搭載しているため、大人5人がシッカリ乗れるスペースと435Lの大容量ラゲッジルームを実現しており、広さはクラストップレベルを誇る。プリウスPHVは、居住性の変更はないものの乗車定員は5→4名に変更されている。これはEV性能を上げるための苦渋の決断だったそうだ。また、バッテリーを多く搭載している関係で、ラゲッジルームのフロアが高くなっていることからHVのプリウスの502Lに対して360Lと積載性も若干劣るが、実用面ではそれほど問題にならないレベルと言える。
先進装備「技術の鏡だけに超充実!」
リーフにはセレナから採用された高度運転支援システム「プロパイロット」に加えて、駐車をアシストする「プロパイロットパーキング」を搭載。これらのシステムは応答性/制御性のよいモーターとの相性が非常にいいので、内燃機関モデルよりも緻密な制御が可能だと言う。また、プリウスPHVは量産車では世界初となるソーラー充電を採用。駐車中に駆動用バッテリーに充電が可能で最大6.1km/日(平均2.9km/日)の走行分の電力量確保が可能だ。価格は28万円と高価なオプションとなるが、停めておくだけで航続距離が勝手に増えると思えば嬉しい装備だろう。
●プロパイロット(リーフ)
単眼カメラで車線を認識し、車線の中央を自動で維持し走る。先行車に追従する上、EVとの相性も非常によく実用性に優れる。●プロパイロットパーキング(リーフ)
スイッチ一つでステアリング、アクセル、ブレーキ、シフト、Pブレーキまで自動制御し駐車できる(日産車初搭載)●ソーラー充電システム(プリウスPHV)
車両ルーフの大型ソーラーパネルが、駐車中に太陽光をEV走行用エネルギー(1日最大6.1km分)に変換する(量産車世界初)。
まとめ 今、EVを買っても正解!

リーフは航続距離拡大と急速充電器の普及によって、昔ほど電欠の不安はなくなっているが、自宅の充電設備によってはハードルが高いのも事実。そういう意味では、PHVのほうがEVライフのハードルは低いはず。ちなみに筆者は長距離をディーゼル、近距離はEVの二重生活を決断するもマンション住まいのためプリウスPHVを選択、現在納車待ちだ。
提供元:月刊自家用車