新型車比較・ライバル車対決
更新日:2026.09.26 / 掲載日:2026.09.26
マツダ人気SUV同門比較 CX-5とCX-30はどちらが理想のファミリーカー?【工藤貴宏】

価格とボディサイズが似ているCX-5とCX-30、それぞれの特徴と長所短所を自動車ライターの工藤貴宏氏が徹底比較します。
ファミリーに人気のマツダSUVの2モデル

「乗用車」といえばセダンのことを指していたのは、もうすっかり過去の話。その中心がミニバンだった時代を経て、昨今はSUVが乗用車の販売の中心となっています。
そんな時代だから、自動車メーカーもSUVを多くラインナップ。たとえばマツダは、「CX-3」にはじまり「CX-30」「MX-30」「CX-5」「CX-60」「CX-80」と国内だけで5台ものSUVを用意し、好みに合わせて選べるようになっているのはご存じの通りです。
そのなかで、ファミリーユーザーが手の届きやすい範囲で選ぶモデルと言えばCX-30とCX-5でしょうか。どちらもファミリーで使うのに必要な後席や荷室空間を備えつつ、値段も高すぎません。
しかしこの2台、ちょっと前(今年5月にCX-5がフルモデルチェンジする以前)はどちらを選ぶべきか悩みそうであまり悩まなかったんですよね。
なぜなら、値段があまり変わらないから。差が少なすぎたんです。

CX-30でガソリンエンジン搭載のもっともベーシックなグレード「20S iセレクション」は277万2000円(値段はいずれも2WDモデル)。もっとも高い「20S レトロスポーツエディション」だと317万3500円。いっぽうCX-5だと20S iセレクション」が281万500円で「20S レトロスポーツエディション」は342万6500円。
ベーシックタイプだと約5万円しか違わないし、最上級でも約25万円差。そうなると「それだけしか違わないのなら、室内が広いCX-5のほうがいい!」ってなりますよね。だから「小さな車体を求めているのでなければCX-5のほうが魅力的」といえる状態だったのでした。CX-5のコスパのよさが強烈だったんですよね。車体サイズだって、CX-5も先代なら「大きくて扱いにくい」というほどの大きさではなかったし。
しかし、いまは状況が変わりました。今年5月にCX-5がフルモデルチェンジし、状況が一転。新型となったCX-5が大型化&高価格化し、CX-30との差が開いたからです。
……というわけで、今回のテーマは「CX-30と新型CX-5を比べてみたら?」。マツダのSUVを買う際に、この両者で迷う人も多いでしょう。そんな人に向けた記事というわけです。
価格とボディサイズを比較分析

というわけで、早速進めましょう。まずは価格の違いから。
新型CX-5の価格は、2WD車が330万円から407万円で、4WD車は353万6500円から430万6500円。いっぽうCX-30の最新仕様は2WD車が264万円から352万円。4WD車は364万6500円から375万6500円となっています。

CX-30の4WDモデルが高めなのはエンジンが大きなタイプ(排気量2.5L)しかないからですね(FFは排気量2.0Lエンジンも選べる)。ちなみに2.5Lエンジンを積んだ2WD車は上級グレードだけの設定で341万円から。いずれにせよ、新型CX-5とは価格差が広がったのでこれまでとは違い「ちょっとの差額ならCX-5を選べば間違いない」という選び方にはならないでしょう。
さて、サイズ&パッケージングはどうか。


これまでと違うのは、フルモデルチェンジでCX-5の車体が大型化したこと。それに伴って以前よりも両者の差が拡大しているのです。たとえば全長は295mmも違うし、幅も65mm違う。全長4690mm×全幅1860mmでクラス最大級となりました。そうなるとCX-5を買う際には駐車を含めた運転にはやや気を遣う。その点全長4395mm×全幅1795mmのCX-30は身のこなしが軽やかで運転も楽なのです。


それから避けて通れないのが駐車場問題。新型CX-5は狭い駐車場に入れにくいだけでなく、機械式立体駐車場は背の高いクルマ対応の場所を除き基本的に入庫NG。しかしCX-30は車体が小さいだけでなく背も低いので、ロールーフ車用(全高1550mmまで対応)の機械式立体駐車場へ入庫できるのは大きなアドバンテージと言っていいでしょう。
昨今は背の高いクルマが増えすぎたがゆえに、都市部では「背の高いクルマ用のスペースは満車だけど、背の低いクルマなら入庫できる」という状況が多々ありますからね。
いっぽうで、後席の広さやラゲッジスペースは明確にCX-5に軍配。ここはフルモデルチェンジの際に特に力を入れた部分でもあり、先代よりも大きく拡大しています。


たとえば後席に座ると膝まえの空間のゆとりはCX-30だとコブシ2個相当(身長167cmの筆者がポジションをあわせた運転席の後ろに座った状態)なのに対し、CX-5だとコブシ約3.5個分。圧倒的なゆったり感で、もはや世界が違うと言っていいでしょう。CX-5には2段のリクライニング調整があるのもいいですね(CX-30は背もたれ角度固定)。


ラゲッジスペースも、CX-30も容量430Lとこのクラスとしてはかなり広いですが、新型CX-5は466Lとその上。ファミリーユーザーとして使い勝手を考えたらCX-5がかなり魅力となります。
乗り心地や運転しやすさを比較


両者(試乗車はいずれも2.5Lエンジン搭載)を乗り比べて感じたのは、乗り心地にも違いあること(当然といえば当然ですが)。同乗者としてより快適と感じられるのはCX-5。新型になって大幅に良くなりました。いっぽうでCX-30も決して悪くはない。不快ではありません。ですが、新型CX-5と比べると芯の太さがあって、やや衝撃を感じやすい印象でした。
ただ、個人的にはこの違いは「CX-30を敬遠するほどではない、わずかな差」という認識。それはお伝えしておきましょう。

いっぽう走りは……同じ2.5Lエンジンを積む仕様同士で比べると、運転好きならCX-30がいいかもしれません。CX-30のほうが車両重量200㎏も軽いだけあって、パワー感が全く違うのです。

CX-5だと高速道路の合流や追い越しなどで「もう少しトルクがあると嬉しい」となるのですが、CX-30だと同じエンジンでも「これだけ加速すれば十分」といった印象ですから。上り坂や高速を走ることが多い人にとってはCX-30のほうがマッチングがいいでしょうね(CX-5は追って加わるハイブリッドモデルに期待!)。
それからハンドリングは、いうなれば新型CX-5はフランス車風で、CX-30はドイツ車風。軽快でしなやかなのはCX-5ですが、節度感があって運転する感覚に芯があるのはCX-30でしょう。とはいえこれはどちらがいいとか悪いとかではなく、好みの領域でしょうね。


ところで、今回両車を乗り比べて感じたのはインテリアの上質感の違い。
CX-5はフルモデルチェンジ時にインテリアの仕立てがシンプルになったことで、前席周辺の上質感とか高級感はCX-30のほうが強く感じられます。価格的にはCX-5のほうが上なのに、ここだけはちょっと複雑な気持ちになりますね。両者を比較購入する際は、実際に実車を見て比べてから決めるのがいいでしょう。
新しいCX-5が全勝……とはならなかった

というわけでマツダのSUV選びにおいて迷いそうなCX-30と新型CX-5。
マッチングを考えると、車両価格が安いほうがいい人や運転しやすさのために小さな車体を求める人はもちろんのこと、ゆとりある加速を求める人(新設定された2.5Lエンジン)や内装の上質感を重視する人もCX-30との相性がいいでしょう。

いっぽうCX-5は後席の広さや快適性、そして荷室の積載性能を求める人にオススメです。
こうして2台を乗り比べてみると……CX-5のフルモデルチェンジにより、CX-30の良さがより鮮明になったという印象。
これまでCX-5の陰に隠れて見えにくかったCX-30の長所がわかりやすくなったと言い換えてもいいでしょう。もしかすると、CX-30の時代がやって来たか?(もちろん新型CX-5もいいクルマですよ)
文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス