新型車比較・ライバル車対決
更新日:2023.10.13 / 掲載日:2023.10.12

SUVの新型レイバックかワゴンのレヴォーグか? 選び分けのポイント解説!

レヴォーグをベースに開発されたレイバック。SUV狙いのユーザーはもちろん、レヴォーグを検討しているユーザーにとっても、両車の違いは気になるはずだ。ここでは選び分けのポイントを解説しよう。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

《ライバル比較》今、狙うならSUVルックのレイバックか? 正統ワゴンのレヴォーグか?

レイバックは万人向けの上級仕様という位置付け
 レイバックは、レヴォーグ1.8ℓ車のバリエーションのひとつであり、実際、車両型式はいずれも「スバル4BA-VN5」になる。性能に関わるスペックの違いは装着タイヤと最低地上高くらいだ。この辺りの関係はクロストレックとインプレッサとほぼ同じ。クロストレックの場合は搭載エンジンが一部異なるので、全く同じエンジンのレイバックとレヴォーグのほうが、より近い関係と言える。

 注目すべきはグレード設定だ。レイバックはリミテッドEXのみのモノグレード設定。一方、レヴォーグはこの秋の一部改良でグレード構成が変更され、基本は標準系(バネサス仕様)と、STI系(電子制御サス仕様)の2タイプの構成。さらにSTI系には2.4ℓ車も用意されている。なお、レイバックもレヴォーグも全モデルともにアイサイトXが標準装着されている。

 グレード毎の装備設定を比較すると、レイバックの装備はレヴォーグのGT-H EXと同等以上であり、上級仕様としての設定となる。バネサスのGT-H EXを基本に、電子制御サスと専用サスチューンでオンロードのスポーツ&ツーリングでさらに進化させたSTI系、そして穏やかな走りと悪路対応力で活動範囲の拡大を狙ったレイバック、と位置付けると関係を理解しやすい。

 興味深いのは、これら3系統の違いが、内外装や装備だけではなく、走りの志向によるところだ。操安性の考え方まで踏み込んだところでも、しっかりと差別化されている。

レヴォーグの弱い部分をレイバックが巧みにカバー
 スバルは、走行時の安心感や運転ストレスの軽減も安全性能の一部として考えている。その第一弾として登場したのがクロストレックとインプレッサで、レイバックのハンドリング特性も、この考え方を深めたものと言える。操舵に対する反応を穏やかにしたことや、揺れ残りが少ないことなどが印象的。切れ味や軽快感という視点だと、少し鈍で面白みがない特性とも評せられるのだが、腕自慢じゃなくても乗りこなせることは大きな美点。同乗者にとっても、レイバックの穏やかな特性は歓迎すべきといえるだろう。

 しかもレイバックは、レヴォーグに対して乗り心地が向上していることも大きい。単にバネやダンパーの硬柔ではなく、車軸周りの細かな振動の抑制などで、総合的に改善が図られている。

 マニアの視点では少々日和ったようにも思えるが、マニア向けのイメージを薄めるのも、レイバックの狙いのひとつ。薄めるために選んだ手法がSUV化なのだが、外観を飾るだけでなく、シャシー設定を変更して適応用途面でもシフトさせたことが、スバルの真面目さといえる。

 スバルSUVの新型として、単体で評価しても魅力的なモデルとして仕上がっているが、レヴォーグを検討しているユーザーの選択肢のひとつとしても、レイバックは面白い。クロストレックの兄貴分としても、スバル車選びのキーになるモデルになりそうだ。

新型レヴォーグ レイバック

1.8ℓターボ車のみになるが、マイルドな味付けのサスチューンでレヴォーグと差別化。単にリフトアップした見かけだけのモデルでお茶を濁さないあたりが、走りにこだわるスバルらしいアプローチ。

■主要諸元 (Limited EX ※プロトタイプモデルの数値) ●全長×全幅×全高(㎜):4770×1820×1570 ●ホイールベース(㎜):2670 トレッド【前/後】(㎜):1560/1570 ●最低地上高(㎜):200 ●車両重量(㎏):1600 ●パワーユニット:1795㏄水平対向4気筒ターボ(177PS/30.6㎏・m) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/55R18

ホイールベースはレヴォーグと共通の2670㎜だが、前後バンパーの違いで全長はレヴォーグ比でプラス15㎜となる4770㎜。
レヴォーグに対して荷室の開口部高はプラス70㎜の690㎜を確保。より自然な格好で荷物を積載することができるようになっている。

レヴォーグ ※写真は一部改良前のモデル

2.4ℓターボ車の設定もあるが、中心になるのは1.8ℓターボ車。バネサス仕様に加えて電制サス仕様も選ぶことが可能。電制サス仕様のコンフォートモードでの走りが、レイバックに近いイメージだ。

■主要諸元 (STI Sport EX) ●全長×全幅×全高(㎜):4755×1795×1500 ●ホイールベース(㎜):2670 ●トレッド【前/後】(㎜):1550/1545 ●最低地上高(㎜):145 車両重量(㎏):一 ●パワーユニット:1795㏄水平対向4気筒ターボ(177PS/30.6㎏・m) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤサイズ:225/45R18

全長は4755㎜。レイバックと比べるとサスとタイヤサイズの違いで、最低地上高はマイナス55㎜となる145㎜。若干、ローフォルムになる。
荷室容量はVDA法で561ℓ(カーゴフロアボード上部:492ℓ、サブトランク:69ℓ)。開口部の高さは620㎜と、レイバックより低くなる。

レヴォーグも一部改良を実施、熟成のD型へ

グレード体系が再編され、最新アイサイトも採用
レイバックの先行受注開始と同時に、レヴォーグの一部改良モデルの受注も開始。内容としては10グレード構成から4グレードに集約されたほか、アイサイトが広角単眼カメラを搭載した新世代型に進化。アイサイトXも全車に標準装備となっている。コネクテッドサービスの「SUBARU STARLINK」の機能も強化している。

「STi Sport EX」と「STi Sport R EX」には、黒内装の特別仕様車「Black Interior Selection」が設定される。
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内外出版/月刊自家用車

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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