新型車比較・ライバル車対決
更新日:2022.11.25 / 掲載日:2022.11.25

新型スバル クロストレック/スバルフォレスター&従来型XVと比較

買い替え&乗り換えを検討しているユーザー必見!

新型クロストレック

クロストレックを検討しているユーザーにとって、
従来型のスバルXVと1クラス上となるフォレスターは
否応にも気になる存在だろう。
おのおのの特徴と強み、さらに押さえておきたい
ポイントを解説してみよう。

●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部 ●写真:SUBARU/澤田和久

新型クロストレック VS フォレスター&スバルXV【スバルSUV同門対決】

【新型クロストレック】vs スバルXV

走りの進化は著しいが
ユーティリティ面は大差なし

 スバルXVはインプレッサスポーツ(5ドア)の派生車種として誕生。その後、代を重ねる毎に悪路性能などSUVとしての走行性能を拡充し、悪路踏破性はこのクラスのトップレベルとなった。しかし、ボディシェルは初代から変わらずインプレッサをベースにしており、それは最新のクロストレックも同様だ。
 SUVはパッケージングから一般的な乗用車と異なり、ミニバンほどではないが室内高を高く取っている。背の高さは最低地上高ではなくハイトパッケージングの影響が大きく、それに合わせて座面高も高くなる。
 クロストレックの座面地上高はSUVとしてはかなり低く、小柄なドライバーでも足着きがいい。車体周辺の死角も少なく、乗用車からの乗り換えでも違和感が少ない。SUVらしさが物足りないという言い方もできるが、タウン&ツーリングとアウトドアユースを高い次元で両立できる独自のポジションを築いている。
 車体やシャシー周り、パワートレーンの基本設計も従来型から継承されており、フルインナーフレーム構造を新たに採用するものの、パッケージング面はインプレッサスポーツと同レベル。つまり、XVとも大差ない。ユーティリティ性能はショートワゴン相応だが、これで十分というユーザーも多いだろう。
 キャビンまわりの新機軸は、前席のシート設計が異なること。クロストレックはバックレストをプレートで受ける構造とすることでサポート性を向上させている。試乗した印象でも腰まわりの密着感が高まり、サポート性とクッションの改良を実感できた。

車載ITは上級モデル譲り
最新システムにアップデート

 キャビンでもうひとつ目に付くのが、インパネ中央に設置された大型ディスプレイだ。従来型は2DINに収まる横長タイプを採用していたが、クロストレックではタブレットを彷彿させる11.6インチ液晶の縦長タイプとなった。ヘディングアップ地図表示をした時に、進行方向を広く表示できるのが利点だが、見た目的にも先進感がある。
 装備面ではアイサイトが新型となっていることにも注目。運転支援機能は従来型と大きく変わっていないが、ステレオカメラに加えて広角単眼カメラを新採用。これにより近接の人や自転車などの認識機能が向上している。JNCAPの最高評価が定番化しつつあるスバル車らしく、安全性を煮詰めたこともクロストレックの欠かせないセールスポイントだ。
 試乗で述べた走りの特性と同じく、キャビンユーティリティや装備機能も熟成が進んでいる。外観はタフネスなイメージが強まっているが、それでも程よい塩梅でスバルらしく纏まっている。ユーザーは何を求めてXVを選んだのか?クロストレックはその理由をしっかりキャッチアップしたモデルと言えるだろう。

SUBARU スバルXV

荷室はショートワゴン相応のスペースだが、でっぱりのない開口部のおかげで積載性良好。後席格納はシンプルな前倒式だが、格納時は完全にフラットにすることができる。
2ℓのe-BOXER車の最終モデルは、巧みな変速制御を自動で行うe-アクティブシフトコントロールも採用済み。オンロードでも高い実力を発揮する。

【新型クロストレック】vs フォレスター

“サイズ感”と“使い勝手”が
選び分けのキーワード

 アウトドア趣味のファミリー&レジャー用途に最もバランスがいいのはミドルSUVであり、フォレスターはそのコンセプトどおりのモデルである。
 カテゴリー最大級の最低地上高や悪路対応力に優れた4WDの採用、SUVパッケージングの広々としたキャビンスペースなど、取りこぼしがない。
 シャシーやパワートレーンの基本設計はクロストレックと共通しているが、e-BOXERの他に性能面の上級設定として1.8ℓターボもラインナップしている。駆動方式は全車とも4WDを採用し、X-MODEなども抜かりなく備わっている。
 フォレスターを基準にすると、クロストレックは悪路踏破性以外はSUVとして標準以下と言ってもいい。キャビンの広さや便利に使える荷室などを重視するならば間違いなくフォレスターになってしまうので、クロストレックの存在意義がなくなってしまう。
 逆にクロストレックを基準にすれば、フォレスターは無駄に大きく、狭い場所での取り回しに気を使ってしまう。e-BOXER同士ならば、車重が嵩む分だけ動力性能や燃費でもハンデが生まれる。

e-BOXER同士ならば
走りも互角以上の戦い

 さらにクロストレックの走りの進化も大きい。XVでもe-BOXER同士で比較すると、僅かな差だが高速や登坂路での動力性能はXVが勝っていた。クロストレックは着実なアップデートでドライバビリティが強化されたことで余力感の差はさらに拡大している。静粛性や乗り心地などの洗練感もクロストレックは新型にふさわしい仕上がりで、走りの質感という部分もまったく引けをとらない。e-BOXER同士を高速長距離を基準にした良質なツアラーとして評価するなら、クロストレックが明らかに勝る。
 クロストレックは、スバル車のラインナップとしてはフォレスターの下に位置するが、室内高に余裕あるキャビンスペースを求めなければ、フォレスターと同等もしくは優れるとも言える。
 ファミリー&レジャーのフルスペックを求めるならフォレスターは万人にオススメできる選択だが、日常用途で便利かつ快適に使えるのはクロストレック。無駄なく、バランスのいいモデルである。

SUBARUフォレスター

荷室のゆとりや使い勝手も一枚上手。アウトドア志向を高めたXーBREAKならば荷室床面は汚れに強い防汚仕様にアップデートされる。
e-BOXER車のパワースペックはクロストレックと同等だが、登坂路や高速追い抜き時に車両重量のハンデを感じる可能性も。モアパワーを求めるならば1.8ℓターボ車がベターだ。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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