車の最新技術
更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.03.15
トヨタ MIRAIの技術活用した水素貯蔵モジュールを開発

トヨタは3月15日、燃料電池自動車(FCEV)であるMIRAIで採用実績のある、自動車用の樹脂製高圧水素タンクを活用した貯蔵モジュールを開発したと発表した。また、そのコンセプトモデルを3月16日(水)〜18日(金)に東京ビッグサイトで開催される「FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展することも明らかにした。
水素の用途拡大は安全性の確保がポイントに モジュール開発の背景
トヨタはこれまで、FCEVやFCシステムモジュールの販売などを進めてきた。それら自動車用に開発した70MPaの樹脂製高圧水素タンクを、鉄道・船舶・港湾等での荷役機器・定置式発電機などでも活用したいという要望が寄せられていたという。しかし、このタンクは分野や使用環境ごとに安全基準が異なり、用途の拡大を進めることができていなかった。一方、政府も安全性を担保しながら水素を利活用するための検討を重ねており、トヨタもそれに応えるべく同モジュールの開発に至ったという。
トヨタは昨年から、スーパー耐久シリーズの場においても、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の各フェーズで実証を重ねてきており、今回のコンセプトモデルの開発にも繋がっている。今年も3月19日(土)~20日(日)に開催される「スーパー耐久レース in 鈴鹿」を皮切りに、さらなる水素の利活用に向けた実証などを進めていく方針。このレースでは、自動車用樹脂製高圧水素タンク(16本のパッケージを2セット)を使って45MPaで充填し、燃料電池(FC)トラックで大容量の水素を運ぶ実証が行われる。
この実証は、容器について経済産業省の認定を受けて実施するものであると同時に、国土交通省が進める水素利活用の検討にも資するものになるという。トヨタは今後もレースなどの機会に70MPaでの充填に向けた実証を進めていく考えだ。
水素貯蔵モジュールコンセプトモデルのイメージ

水素貯蔵モジュールコンセプトモデルの特徴
「MIRAI」で採用されている樹脂製高圧水素タンクをベースに、「水素貯蔵容量が異なる3つのバリエーション」、「大容量化したタンクを使用した大型モジュール」をラインナップする。
特徴1:水素を「貯める、はこぶ」
自動車用として安全性が確保されている樹脂製水素タンクをパッケージ化したモジュール本体に、稼働状態を自動監視する各種安全装置を統合し、モジュールとしての高い安全性を確保。大容量の水素搭載を実現することで、より安全かつ効率的に「貯める」「はこぶ」ことができるため、水素充填が難しい港湾地域や山岳地域などで多くの水素エネルギーを活用することが可能となる。
特徴2:水素を「つかう」
FC製品の燃料として水素を「つかう」際は、トヨタが2021年3月より販売しているFCシステムモジュールと組み合わせることで、車両はもとより鉄道・船舶などのモビリティや港湾等での荷役機器、定置式発電機などさまざまな用途で安全かつ容易に活用できる可能性がある。