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車の最新技術
更新日:2022.01.25 / 掲載日:2021.12.22

スバルの近未来パワトレ戦略に迫る〜EV/HV/新世代ボクサー〜

SUBARU ソルテラ

スバルには多くの独自技術が存在しており、その動向は大きな注目を集めているが、今後パワートレーンはどう進化していくのか? を気にするユーザーも多いはずだ。ここではスバルが目指している「電動」、「ハイブリッド」、「ピュアエンジン」の未来についてお教えしよう。

●文:山本シンヤ

SUBARU 近未来パワートレーン戦略、その行方に迫る

電動SUV「ソルテラ」に続く次世代に連なる一手とは?

燃費規制をクリアするべく
電動化路線を強化中

 1966年にスバル1000に搭載されて以降、今やスバル車を象徴する存在となった「水平対向エンジン」。直列エンジンに対して、低重心/高剛性/回転バランスの良さと言った優位性があるものの、環境性能、特に燃費性能に関して大きな課題を持っているのは事実だろう。

 もちろん、スバルもその辺りは認識しており、EA→EJ→FA/FB→CBとエンジンの刷新も積極的。開発エンジニア陣の努力もあって代を重ねるごとに燃費は着実に向上している。しかし、それは「水平対向にしては……」と言う条件が付き、他社の直列エンジンと比べると、現時点でも劣勢と言わざるを得ない。
「スバルファンは燃費を気にしない」と言う声もよく聞く。確かにユーザーはそうかもしれないが、時代は許してくれない。自動車業界は2020年から燃費規制(CAFE)が行なわれている。これは車種別ではなくメーカー全体の出荷台数の平均燃費を算出し評価される仕組みだが、2030年度規準ではスバルはクリアが非常に厳しいと言われている。

 その問題を根本から解決するための選択肢の一つとして進められているのが「電動化」だ。

トヨタとの協業関係で
本格的なEVモデルを開発

 もともとスバルの電気自動車開発は国内メーカーとしては早いタイミングで取り組んでいたが、現在はトヨタと業務資本提携を結んだこともあって共同開発を進めている。その試みがカタチになったのが、先日初公開された電気自動車「ソルテラ」だ。

 口の悪い人は「スバルは自前で開発できないから、トヨタから供給を受ける」と言うが、それは大きな間違い。開発はトヨタ内のZEVファクトリーで行なわれているが、その中にトヨタのエンジニアとスバルのエンジニアが半々ずつ集まり、対等な立場で企画段階から開発を行なっている。つまり、パッケージ、デザイン、エンジニアリング、装備に至るまでスバルの血が色濃く反映されているのだ。トヨタ/スバルの共同開発と言えばGR86/BRZが有名だが、トヨタ・bZ4X/スバル・ソルテラは、それ以上に密接な開発が行なわれていると言うわけだ。

THS Ⅱ搭載モデルも
国内導入の可能性大

 ハイブリッドの開発も着々と進められている。スバルは1モーターのe-BOXERを持つが、比較的安価な設定なのはいいものの、肝心の燃費は48Vマイルドハイブリッド並みと伸び代は少なく、CAFE対応への強力な武器とは言えない。トヨタとの協業拡大の1つとしてTHS技術を融合させたストロングハイブリッドを2020年代前半に導入予定とも公言しているのだが、これが今後のスバルの電動化のキーとなりそうだ。

 すでに北米では、ZEV規制対応用に開発されたクロストレック(日本名:スバルXV)のPHEVが発売(月販300台のレアモデル)されており、国内向けのストロングハイブリッドには、このシステムが応用される可能性が高い。
「トヨタのシステムを買ってきてポン付けしている」という声もあるが、「縦置きレイアウト」と「常時四駆」のこだわりから、設計はスバル自身が行なっており、トヨタは「システムサプライヤー」と言う認識だ。

内燃機関の改良も積極的
電動化一辺倒にあらず

 個人的にはスバルの次世代ストロングハイブリッドは、このシステムとアトキンソンサイクル化と合わせることで、モーターアシスト前提で特性を適正化したダウンサイジングターボの組み合わせになると考えている。このシステムは次期インプレッサや次期フォレスターに搭載される可能性が高い。ワールドワイドでのスバル車販売台数をけん引するモデルへの積極的な搭載で、より厳しさを増すCAFEへ挑むことになるだろう。BRZ/WRX S4の次世代モデルが投入されたばかりのスバルだが、それを実現できるバックボーンには明確な電動化ビジョンがあるからガソリン車を投入することができたと言う事は覚えておいて欲しい。

 もちろん、内燃機関の更なる進化も忘れていない。先日、岡山国際サーキットで開催されたスーパー耐久シリーズ最終戦で行なわれた共同記者会見で、スバルは来シーズンにBRZでの参戦を発表したが、このマシンはバイオマス由来の合成燃料が使われる。これは次期BRZの先行開発とカーボンニュートラル実現に向け、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる取り組みの1つとなるが、モータースポーツを活用することで開発スピードを引き上げる狙いもあるようだ。これまでスバルの未来がなかなかはっきりと見えてこなかったが、安心していいだろう。

CHECK.01【BEV】

トヨタと共同開発した「ソルテラ」が2022年央に発売
スバル初のBEVとして登場するソルテラ。そのモデルネームの由来は、太陽を意味する「SOL(ソル)」と大地を意味する「TERRA(テラ)」から名付けられた。四輪全てを純モーターで駆動するAWDを採用するほか、X-MODEやグリップコントロールなど、SUVらしい支援制御機構も搭載している。発売は姉妹車関係にあるトヨタ・bZ4Xと同じく2022年央を予定している。

トヨタとの共同開発で生まれたBEV専用プラットフォームを採用。材料の強度を最適化することで、ボディ軽量化を実現している。
DC急速充電にも対応する大容量バッテリーを採用。床下に配置することで剛性強化の補強材としても活用される工夫も見所の一つ。
前後輪それぞれを独立したモーターで駆動することで、BEVでもスバル伝統のAWDシステムを実現。X-MODEなどの支援制御も備わる。

CHECK.02【STRONG HYBRID】

ストロングハイブリッドは
次世代モデルからの投入が有力

北米のクロストレックには、トヨタのTHS Ⅱをベースに2ℓ水平対向エンジンやリニアトロニックなどのスバル独自メカニズムとマッチングしたストロングハイブリッド車も投入済み。2022年にはプラグインハイブリッド車(PHEV)も投入される。国内にもインプレッサの次世代モデルへの刷新時に投入される可能性が高い。

CHECK.03【MILD HYBRID】

いまやe-BOXER車は
グレード選びの中心

2ℓ直4水平対向エンジンに小型モーターを組み合わせたe-BOXERは、スバルXVへ採用された後、フォレスターにも水平展開された。いまやスバルの主力パワートレーンに成長している。

CHECK.04【NEW BOXER】

低燃費&コンパクトを実現した
新世代ボクサーを積極的に展開

2010年代半ばにFA型を登場させて動的性能の大幅強化を図ったが、2020年秋に軽量小型化と省燃費性能を強化したCB型(レヴォーグに導入)も投入。水平対向エンジンの進化も積極的だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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