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更新日:2021.11.01 / 掲載日:2021.11.01
フライングスパーハイブリッド 再生可能エネルギーでアイスランド走破

ベントレーは現地時間の10月28日、エンジニアリングプロトタイプのフライングスパーハイブリッドが、廃棄物の藁から得られる100%第二世代バイオ燃料とアイスランドの送電網から得られる地熱発電を組み合わせた再生可能エネルギーのみで733km(455マイル)を走破、アイスランドの横断に成功したと発表した。
走行時のCO2排出量をウェル・トゥー・ホイールで45%削減

今回の旅は、フライングスパーハイブリッドの走行テストとベントレーの再生可能燃料の開発の一環として行われたもの。使用された燃料は、通常のポンプガソリンと同じEN228規格に準拠しているが、食料生産や自然の生態系に負担をかけることなく、廃棄物であるバイオマス(藁)から作られている。この燃料とフライングスパーハイブリッドの電動パワートレインを組み合わせることで、700km超におよぶ旅の間のCO2排出量をウェル・トゥー・ホイールで45%削減することができたという。
同モデルは、ベントレーが持続可能なラグジュアリーモビリティのグローバルリーダーとなる計画「ビヨンド100戦略」で掲げる重要なステップに位置付けされ、2022年の発売を目指して調整が進められている。今回の走破を受けて同社は、新型ハイブリッドのグランドツーリング性能と、エンジンに手を加えることなく使用できるバイオ燃料の進化を証明したとしている。
また、ベントレーの開発担当役員のマティアス・ラーベ博士は今回のチャレンジ達成を受け、以下のようにコメントした。
「フライングスパーハイブリッドの発表により、ベントレーにハイブリッドシリーズができ、今回の挑戦によってハイブリッドの真の利点を証明することができました。それは、450マイルを超えるグランドツーリングを支障なく行うことができる一方で、都市環境においては電気のみで使用可能な航続距離を確保できることです。革新的な第二世代バイオ燃料の使用により、CO2排出量を大幅に削減することができるため、まさに最高の組み合わせといえます。最終的にはお客様にお届けすることを目標に、今後数ヶ月間、開発プロセスの一環としてこのような燃料の研究を続けていきます」。
再生可能なエネルギー

再生可能燃料もまた、ベントレーが持続可能性に関する目標を実現するための重要なステップとなっている。今年6月のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムで初めてコンチネンタル GT3レースカーに再生可能燃料を搭載しており、今回はそれ以来の好結果を打ち出した。
使用されている100%再生可能な第二世代バイオ燃料は、ベントレーの再生可能燃料研究を支援しているコリトン社が開発した。廃棄物である藁などのバイオマスを発酵により分解し、エタノールを生成、脱水、オリゴマー化(※)のプロセスを経てガソリンに変換される。
いっぽう、走行中に使用した電力は、アイスランドの100%再生可能な送電網から供給された。アイスランドは再生可能エネルギーの生産で世界をリードする存在で、国内の電気エネルギーの75%は水力発電、25%は地熱発電で生産されている。今回のアイスランド滞在中は、スヴァルツェンギ地熱発電所で充電を行った。
今回の旅を視察したアイスランドの観光・産業・イノベーション担当大臣であるフィオルディス・コルブルーン・レイクフェルズ・ギルファドッティル氏は、次のようにコメントしている。
「この車が再生可能な電力と再生可能燃料を使って733kmの旅をしているのを見られたことは素晴らしいことです。左手に滝、右手に火山を見ながら地方を走ると、自然から直接エネルギーが生み出されていることがよくわかります。これこそが、持続可能なエネルギーの最も良い定義だと思います。アイスランドは環境問題の解決に貢献したいと思っており、他の国がこの国の知識や再生可能な資源を利用する手助けをしたいと思っています」。
フライングスパーハイブリッドの原動力

フライングスパーハイブリッドは、ベンテイガハイブリッドに続くベントレーの新型ハイブリッドモデルとして2021年7月に発表。新型パワートレインは、2.9リッターV6ガソリンエンジンと先進の電気モーターを組み合わせ、ベンテイガハイブリッドに比べて95bhp多い最高出力536bhp(544PS)と最大トルク750Nmを発揮する。0-100km/h加速は4.3秒で、フライングスパーV8にも引けを取らない加速性能を持ちながら、燃料満タン時の航続距離は700kmと、高い効率性も兼ね備えたモデルとなっている。
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