車の最新技術
更新日:2026.01.05 / 掲載日:2026.01.05

改良型bZ4Xとソルテラに見る日本製EVの伸び代【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●トヨタ、スバル

 2022年に発売されたトヨタbZ4Xとスバル・ソルテラ。トヨタとスバルの協業の一環として共同開発され、日本のBEV普及に弾みがつくかと思われたが、販売は芳しくなかったのが実情だ。日本ではBEVの受容性が十分に醸成されていないという背景はあるものの、BEVとしての基本性能が物足りないというのも事実である。

 そこで発売から3年が経過したタイミングでのマイナーチェンジでは異例とも言えるほどの大幅な改良が施された。

トヨタ bZ4X

 トヨタではe-TNGA、スバルではe-SGPと呼ばれるプラットフォームはBEV専用として開発されたものだが、今回の改良ではバッテリー容量を拡大するために手が加えられている。バッテリーセルは96個から104個となり容量は71.4kWhから74.7kWhへと増加した。

 目的は航続距離の伸長でバッテリー容量拡大はそれほどでもないが、電費性能の改善が著しい。eAxleと呼ばれるパワートレーンが刷新され、高効率なSiC(シリコンカーバイド)半導体を採用するなどしてエネルギーロスは約40%削減された。bZ4XのFWD(前輪駆動)は、従来が電費128Wh/km、航続距離559kmだったのに対して、新型は電費113Wh/km、航続距離746kmと大幅に改善されたのだ。

 もう一つの大きな改善ポイントはおもに低温時の急速充電性能だ。従来モデルについては当WebのEVテストでも取り上げたことがある。

 外気温7℃で出力90kWの急速充電器を30分使用したところ充電量は23.6kWhだった。充電時の熱ロスなどがなければ最大45kWhほど充電できる計算で、同じ充電器でアウディe-tronGTは39.2kWhを充電できていたので、40%ほど低く確かに物足りない結果だった。

 当時のトヨタのホームページには外気温が10~30℃を基準にした場合、マイナス10℃では約45%、マイナス0℃では約20%充電量が低化すると説明されていたが、それ以上に実態は厳しかったといえる。ユーザーからも急速充電性能の改善を求める声は多かったそうだ。

 そこで新型は充電前にバッテリーを適切な温度まで温めるバッテリープレコンディショニング機能を採用。出力150kW級の急速充電器ならば外気温がマイナス10℃でも10%から80%まで約28分で充電できるようになった。

トヨタ bZ4X

 今回のマイナーチェンジでは走りの性能も引き上げられている。プラットフォームに手を入れた主目的はバッテリー容量拡大だが、同時にボディ剛性を向上も図られ、サスペンションも改めてセッティングされた。4WDモデルでは前後駆動力配分の制御も変更されている。モーターはパワーアップされ、従来はFWDが150kWだったのに対して167kW、4WDは前80kW/後80kWでシステム出力160kWだったものが前167kW/後88kW、システム出力252kWとなった。とくに4WDのパワーアップは大きく、0−100km/h加速は6.9秒から5.1秒へと大幅に短縮されている。

 回生ブレーキはパドルシフトによって強度を選択できるようになった。Dレンジでは一般的なエンジンブレーキ程度の自然な減速度だが、パドルを使うことで減速なしのコースティングからワンペダルドライブ相当の強い減速度まで4段階で調整可能となる。とくにこれまでなかったコースティングが採用されたのが、実用上でもっとも変化を感じるところだろう。

スバル ソルテラ

 新型ソルテラはクローズドコースで従来型と比較しながら試乗したが、走りはじめてすぐに実感できるほどボディ剛性が向上し、タイヤがしっかりと路面を捉えていて安心感が高かった。試乗車は4WDだったがハンドリングの向上も著しい。従来はGセンサーによって車両の姿勢を検出して前後駆動配分を行っていたが、新型はドライバーの操作から姿勢を予測することで制御スピードを早くしたのだという。それがドライバビリティ向上に大きく貢献している。

 新型bZ4XはFWDを一般道で試乗した。モーターは実に自然な感覚でエンジン車やハイブリッドカーから乗り換えても違和感がない。それでいてパワーも十分なので、運転しやすくて速さもあるというのが好印象だ。高速道路でコースティングを選択するとアクセルオフでスーッと転がっていく感覚が心地よく、巡航が楽になるだけではなく、実電費の向上も期待できる。ボディ剛性が向上しているのでサスペンションがスムーズにストロークし、乗り心地はじつに快適だ。試乗条件は異なるが、ソルテラが比較的にスポーティなのに対してbZ4Xはコンフォート志向のようだ。

 航続距離と急速充電性能というBEVの基本性能を改善したうえで走りの魅力も高まったソルテラとbZ4X。日本ではBEVの販売台数がいまだに少ないが、それは日本メーカーのBEVが充実していなかったことも一因だろう。フルモデルチェンジされた日産リーフも含めて2026年は伸びが期待できるはずだ。

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

この人の記事を読む

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ