車の最新技術
更新日:2024.02.25 / 掲載日:2024.02.19

【Honda CI】モビリティと人の新しい関係を体験する【石井昌道】

文●石井昌道 写真●ホンダ

 以前にも当コラムでお伝えしたHondaのマイクロモビリティ。

 人とモノの移動を「交通事故ゼロ」・「ストレスフリー」で可能とし「自由な移動の喜び」を実感できる社会の実現を目指しているHondaが、2030年頃の実現を目指して研究開発しているものでHonda独自のAI、協調人工知能である「Honda CI(Cooperative Intelligence)」を活用している。

搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa(サイコマ)」

 搭乗型マイクロモビリティの「CiKoMa(サイコマ)」と、人の歩行に合わせて追従または先導する「WaPOCHI(ワポチ)」の2タイプを開発し、以前から茨城県常総市の協力を得ながら実証実験にも取り組んでいきたが、2024年2月からは「アグリサイエンスバレー常総」で一般の方達に体験してもらう試みを始めた。同所で2023年4月にオープンした「道の駅常総」は地元の農産物や卵、オリジナルのスイートポテトやメロンパンなど魅力的な品揃えの良さで大人気となり、半年で年間来場者数目標の100万人を達成。さらに人気が右肩あがりで、全国トップ3級の集客力となっている。取材で訪れたのは平日だったが、かなりの賑わいで駐車スペースを探すのが少しだけ困難なほどだった。圏央道の常総ICができたことで俄に活気をみせている地域でもあるのだ。施設内には「Honda ASV-Lab」というHondaのブースがあり、これまでも「CiKoMa(サイコマ)」や「WaPOCHI(ワポチ)」が止まっている状態で一部体験するなどができたが、今後は試乗ができるようになる。

「WaPOCHI(ワポチ)」と「CiKoMa(サイコマ)」

 2022年10月に取材したときの「CiKoMa(サイコマ)」は1人乗り、2人乗り、4人乗りの3タイプがあり、それぞれで違う技術開発がなされていたが、今回は市販の電動カートをベースにした4人乗りのみ。基本的に自動走行となるが、乗用車の自動運転のように高精度3D地図データなどを使わずに、自車のカメラで自律的に走行できるのが特徴。道路だけではなく、地図データではわからない空き地などの認識も可能で、クルマにバイク、自転車、歩行者などを認識しつつAIで考えながら走る。想定されている使い方は、移動したいときにスマートフォンで音声通話によって「◯◯まで迎えに来て」などと呼び、乗り込んだらスマートフォンや車載タブレットなども使いつつコミュニケーションをとるので、途中で行き先をかえることなども可能。「Honda CI」ならではなのが、ユーザーの指令に応えるだけではなく、「CiKoMa(サイコマ)」側からの提案もあることだ。待ち合わせの場所が、交通量が多くて危ない場合には、別の安全な場所を探してくれるなど有効な機能であることに加えて、対話をするので信頼感が高まり愛着が湧く効果もありそうだ。

 サイエンスバレー常総内の実証実験コースは、歩行者も多い歩車共存エリア。一般の自動車は基本的には入ってこないが、交差する箇所はある。試乗させてもらったところ、平日夕方でも思っている以上に交通状況は複雑で、一般の自動車との譲り合いなど、人間のドライバーでも迷いそうなシチュエーションがあったが、「CiKoMa(サイコマ)」は慎重にこなしていた。

 「WaPOCHI(ワポチ)」は歩行サポートを目的としたマイクロモビリティで、人の歩行に合わせて追従または先導する。荷物を持ってもくれるので買い物の相棒として便利だろう。高齢者や子供などにとって、人混みはやっかいな場合も少なくないのだが、そんなときは先導してもらうと安心・安全。実際に体験させてもらったが、周囲の人の動きを予想しているので、先導がスムーズで頼りになった。追従してもらうときには、なんだかペットのようで楽しい。

 一般の人も体験できるようになったので、興味がある人はサイエンスバレー常総に訪れてみてほしい。

 Hondaはすべての人に生活の可能性が広がる喜びを提供することを目指している会社であり、マイクロモビリティはそれを強化してくれるだろう。要になるのは「Honda CI」であり、対話や提案によって、モビリティが人に寄り添ってくれることに期待したい。これが進化すると、マイクロモビリティに限らず、あらゆるモビリティがユーザーといい関係を築けるはずだ。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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