車の最新技術
更新日:2022.06.22 / 掲載日:2022.06.22
アウディe-tronの使用済みバッテリーをインドで再利用へ

アウディは現地時間の6月15日、アウディ環境財団およびインドに拠点を置く非営利スタートアップ企業「Nunam」の3者で、電気自動車用バッテリーの二次利用の共同プロジェクトに取り組んでいることを明らかにした。
電動三輪車「e-rickshaw(イーリキシャー)」でバッテリーの二次利用



同プロジェクトは、アウディ e-tronのテスト車両から取り外した使用済みバッテリーを、
小型の電動三輪車「e-rickshaw(イーリキシャー)」に搭載して再利用するもの。現地のNunamは、古いバッテリーを電力貯蔵システムとして二次利用する方法を研究してその寿命を延ばし、リソースをより効率的に使用することを主な目標としている。
またこのプロジェクトでは、インド女性の雇用機会の創出を目的としてe-rickshawが提供されるという。女性がe-rickshawを利用して仲介業者を介さずに商品を市場に輸送・販売することで経済的な自立をサポートすることを目指す。

Nunam共同創設者のプロディップ チャタジー氏は次のように説明した。「電気自動車のバッテリーは、車両での使用が終了した後もまだ多くの電力を蓄えることができる。これらのバッテリーは、求められる航続距離が短く、電力要件が低く、軽量な車両であれば十分に活用することができるため、異なるユースケースでバッテリーをどの程度再利用できるのかを調べています」
現在インドで稼働しているe-rickshawは、石炭火力による公共電力網で充電されているという課題がある。それに対し、Nunamが導入するe-rickshawはソーラー充電ステーションで充電される。ソーラーパネルは日中アウディe-tronのバッテリーを充電し、夕方には充電された電力をe-rickshawに供給。これによりほとんどカーボンフリーの走行が可能になるという。
さらに、バッテリーの二次利用がe-rickshawで終了した場合も、三次利用としてLED照明などに使用できる可能性があると見られている。
ドイツ – インド間の国際プロジェクト


今回、インドの公道での利用を目的としたe-rickshawに加え、アウディは展覧会などで使用するためのshow rickshaw(ショー リキシャー)も開発。同車両は6月22日からベルリンで開催される GREENTECH FESTIVAL(グリーンテック フェスティバル)で展示および試乗も提供される。
同プロジェクトにはアウディの研修生チームが参加したほか、メカトロニクス技術者、車体設計者、塗装工、ツールメカニクス、ITスペシャリスト、自動化技術者らも加わった。アウディ環境財団ディレクターのリュディガー レクナゲルは、次のように語った。「私たちは、アウディ環境財団ネットワークを通じて、国際的なプロジェクトに研修生が参加する機会を提供できたことを大変嬉しく思っています。これにより、ノウハウとテクノロジーの異文化交流を促進し、両者が大きな恩恵を得ることが可能になります」