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更新日:2022.04.11 / 掲載日:2022.04.11
ヤマハ 立体音響の没入感を全シートで楽しめる技術開発 年内量産へ

ヤマハは4月7日、車室内で立体音響に対応した映像・楽曲コンテンツに没入できる技術を開発し、自動車メーカーに向けたデモを開始したことを明らかにした。同社は今後、車載オーディオ商品の新たなソリューションとして、2022年の量産化を目指す。
自動運転などモビリティの進化見据えた エンターテインメントと安心・安全を両立するソリューション
同社では、自動運転やインターネット常時接続などの変革により、車内空間はこれまで以上にプライベート空間として快適性が追求されると予測。また、リモートコミュニケーションの進化によって「メタバース」のキーワードと共に、デジタル空間体験の機会がさらに広がっていくという見解を示す。それらを踏まえ、クルマが単なる移動手段からセカンドリビングへと進化するのに合わせ、今回発表したエンターテインメントと安心・安全の両面で新しいサウンド体験を実現するソリューションを開発したという。
同社ではこの技術を、近年普及が進むDolby Atmos等に対応した、立体音響を体験できる映像・楽曲コンテンツを、音の反射や共鳴が顕著で複雑な形状をした車室内で、より制作者の意図に近い形で再現するのに活用。また、アクセル操作や速度に連動する加速音、様々なセンサーが発する情報提示音を立体的な表現で再生するHMI(Human Machine Interface)のシステムを応用することで速度や注意喚起に対するドライバーの認知が向上し、運転支援につながることが期待されるとしている。
30個の高音質スピーカーを最適配置

立体音響では、前後方向および上下方向から聞こえる音の表現が求められるとし、同社ではヘッドレストおよび天井部への設置など、合計30個のスピーカーを車室内に配置。各スピーカーに同社オリジナルの振動板をはじめとするHi-Fiオーディオのノウハウを適用し、すべてのシートで立体音響の正確な再現を可能にした。
また、立体音響のコンテンツは、各スピーカーが理想的な配置にあることを想定して制作されるのに対し、実際の車室内ではリスナーと各スピーカーとの距離が異なることを踏まえ、リスナーの近距離にあるスピーカーから出る音に独自の信号処理を適用、距離感の歪みを解消した。
さらに、車の形状や内装材などの影響によって、車種ごとに千差万別となる音響特性に対応すべく、最適なパラメータを自動算出する「パラメータ探索エンジン」を新たに開発。同エンジンが従来の周波数特性分析に加えて、人の聴こえ方に着目した分析を行い、適切なパラメータの組み合わせを提示、これを基に、熟練のスキルを持つサウンドエンジニアがパラメータを最終調整することで、車種ごとに特別に仕立てた音響空間を提供することを可能にしているという。
Dolby Atmos for carsを用いたデモを構築
今回のデモ構築においては、立体音響の技術として車載市場での活用に注目が集まるドルビージャパンのDolby Atmos for carsを使用。今回開発した技術を適用した車両で、Dolby AtmosでMixされた楽曲とヤマハ制作のウェルカム音の試聴ができるという。同社の公式サイトでは、システムコンセプトや搭載事例などを詳しく紹介している。
ヤマハ AUTOMOTIVE SOUND SYSTEM情報サイト:https://device.yamaha.com/ja/automotive_sound/