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更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.03.15
ホンダ 米で非常用燃料電池定置電源を設置 商用化めざし実証実験へ

ホンダの米国法人であるアメリカン・ホンダモーターは現地時間の3月14日、2023年初頭より実施する実証実験に向け、同社敷地内に燃料電池車(FCV)「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」用FCスタックを再利用した非常用FC定置電源を設置したことを明らかにした。同実験では、同社のデータセンター向け非常用電源として実際に運用することで、実用性を実証する。
将来的なFCシステム需要拡大見込み検証へ
ホンダでは、2050年での全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラル実現に向け、その重要な役割を担うものとして20年以上にわたりFC技術・FCVの研究開発に取り組み、FC技術のノウハウを蓄積してきた。
一方で、世界的にカーボンニュートラルへの意識が高まり、各国の環境規制方針も打ち出される中、FCシステムの需要は乗用車向けにとどまらず、大型トラックや船舶、そして定置電源などへと拡大することが見込まれる。とりわけデータセンターに対しては災害時でも安定した電力供給が求められており、従来ディーゼル発電が主流の非常用定置電源を、クリーンで高品質な電力を供給できるFCシステムに置き換える需要は、今後急速に高まることが予想されるという。
これらの需要に応えるための第一歩として、同社では乗用車向けFCスタックを活用した非常用FC定置電源を開発、実証実験を通じてその効果検証を行うとともに、将来の商用化の可能性を検討していくとする。
非常用FC定置電源の主な特長
今回開発したFC定置電源は、並列に接続した4つのFCシステムを1つのユニットとする「クアッドシステム」を採用。このユニットをさらに複数接続することで、さまざまな電力ニーズに対応する。
従来のFC定置電源は1つのコンテナの中で組み立てて設置されるのに対し、クアッドシステムはユニットごとに独立した構造のため、設置の手間を軽減でき、複雑な形をした敷地への設置にも敷地の形状に合わせて柔軟に対応可能。さらに、ユニットを並列接続するため、電源全体を止めることなくユニットごとのメンテナンスを容易にするという利点を兼ね備える。
今回の実証実験では、FCスタックを米国でリース販売されたCLARITY FUEL CELLのリースアップ車両から再利用。1ユニット4つのFCスタック×4ユニットの計16個のFCスタック使用を予定している。
実証実験向け非常用FC定置電源の主要諸元
出力 | 4ユニット合計 (1ユニット) | 1,152kW-DC ※最大 (288kW-DC ※最大) |
寸法 | 4ユニット合計 (1ユニット) | 幅1,100cm×奥行230cm×高さ250cm/占有面積25.3m2 (幅260cm×奥行230cm×高さ250cm) |
重量 | 4ユニット合計 (1ユニット) | 約10,625kg (約850kg) |