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更新日:2019.09.24 / 掲載日:2019.09.24

DAIHATSU 新型タント 全方位チェック!

icon カスタム+ターボモデルタント カスタムRS(FF) 価格:174万9600円

主要諸元●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1755 ●ホイールベース(mm):2460 ●車両重量(kg):920 ●パワーユニット:658cc直3DOHCターボ(64PS/10.2kg・m) ●トランスミッション:D-CVT ●WLTCモード総合燃費:20.0km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディング・トレーリング(R) ●タイヤ:165/55R15

ダイハツが掲げるクルマづくりの新基準「DNGA」が注がれた初のモデルとなる新型タント。あらゆる部分が全面刷新されたこともあり、どれほどなのか?は、大いに気になるところ。はたして、期待に見合うモデルに仕上がっているのだろうか?

●新型タントグレードバリエーション

ハードウェアの全面刷新が劇的進化の走りの原動力

DNGAはダイハツが目指す新世代のクルマづくりの思想の総称。簡単に言えば「いい物を安く効率的に作る」というトヨタのTNGAのダイハツ版だ。その範囲はクルマづくり全体に及ぶが、現時点で最も恩恵を受けているのはプラットフォームとパワートレーン。新型タントはその第一弾にふさわしい最新設計が注がれているのだ。

  • 新プラットフォーム

    小型車クラスへの対応も考慮して設計された新プラットフォームを採用。車体安定性と乗り心地が高まり、走行時のコントロール性も大きく向上。軽量&高剛性化も実現している。

  • 最新設計エンジン

    型式こそ同じだが、部品レベルから設計を見直し。ノッキングの抑制や燃焼効率の改善など、環境性能も向上している。NAもターボも、新設計エンジンとしてふさわしい実力を持つ。

  • D-CVT

    ベルト駆動に加えて、伝達効率の向上を目的としたギヤ駆動機構を追加。全域でワイドレンジの制御を実現することで、低速域でも高速域でも理想的な伝達効率を可能としている。

新タントの進化ぶりは 乗ってみればすぐに実感

 スポーツカーの革新の多くはスペックに表れるもので、キャラ的にも高性能であることがアピールポイントだろう。だが、タントが目指した革新はスペックには表れない。概念としてはDNGAに象徴されるが、数値や具体的な機構を示すわけでもなく、カタログやスペックを見ても、正直ピンとこない。だが、実車に乗ってみると、その進化ぶりはすぐに分かる。エッセ以来、低回転のトルクを太らせてエンジン回転を抑え込むのはダイハツのお家芸だが、狭い回転レンジをストレスなく使うには技術的に難しい。そこがタントのパワートレーンに採用された、新技術の狙いである。

NA車はまさに必要十分 普通に使うなら不足なし

その効果が最も感じられるのがNA車の動力性能だ。今回は郊外路/市街地中心の試乗だが、登降坂の頻度が高く、山岳路とは言わないまでも易しい環境とは言い難い。そこでのタントは登坂加速も含めて回転数を低く制御する。厳しい状況で3500回転強、多くは2000ー3000回転で賄う。アクセル踏み込み量も増減も大きくはならない。660CCのNAユニットとは思えない力感を示してくれるのだ。必要とする駆動力を基準にスロットル制御(大開)と変速を統合したトルクオンデマンド制御のおかげだが、これは今の軽自動車&コンパクトクラスでは一般的な手法。タントがそれ以上に力強いドライバビリティを示したのは、浅いアクセル開度程度の緩やかな踏み増しでも、トルクが素早く立ち上がることにある。踏み込みと一致した加速感の増加が力強さであり、過大なアクセル踏み込みの減少にも繋がる。動力性能の現実は、中庸域の運転操作と走行状況をドライバーがどう感じるかも大きい。全開時に多少の非力感を感じたとしても、8ー9割のシーンで力感を感じる運転ができれば、心理的にも余裕が生まれる。そういった運転、あるいは走行感覚は実燃費の向上にも繋がるだろう。卓越したNAエンジンがあるからターボエンジンは不要かと言えば、走りの汎用性を求めれば必須である。ターボ車も市街地走行では変速(回転数)もアクセル開度も大きく変わらない。しかし、乗車人数が増えたり速度上昇などで負荷が大きくなると、ターボがもたらすトルクのゆとりが大きく影響してくる。巡航速度で言えば60km/hを超える辺りから余力の差が目立ち始め、80km/h以上になると違いが明確になる。NA車が4ー5000回転まで回して凌ぐ状況でも、ターボ車は3500回転も回さずに済む。ターボ車は1段以上高いギヤで同等以上の加速を得られるのだ。

背高感を感じさせない 秀逸なフットワークも美点

icon 標準ボディNAモデル タントX(FF) 価格:146万3400円

主要諸元●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1755 ●ホイールベース(mm):2460 ●車両重量(kg):900 ●パワーユニット:658cc直3DOHC(52PS/6.1kg・m) ●トランスミッション:D-CVT ●WLTCモード総合燃費:21.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディング・トレーリング(R) ●タイヤ:155/65R14

足はやや硬くなったが扱いやすい特性は変わらない

 フットワークについては、ゆったりとしたストローク感を基準にすることは従来車と共通だが、そのストローク量は絞められている。この設定は、体感領域も含めた操安性向上を狙った設計によるものだが、高速ツーリング型に志向を変えたわけではない。タントの走りは初代以来の「和み」が身上であり、それは新型も同じ。硬くするのは不本意だが、安心感も含めた走りの汎用性を高めた結果といえよう。低扁平タイヤを履くカスタム系は路面の当たり感が目立ったが、標準系は滑らかな乗り心地だ。切れ味ほどほどで粘りよく追従するラインコントロール性など、高速や山岳路でも扱いやすい。エンジン回転数を抑えたパワートレーン制御に加えて、金属的な音質やガタツキ感の少ない静粛性、安心感を高めた穏やかなフットワークなど、タントの持ち味を失わずに長距離走行まで視野に入れた走行性能向上が、新型の大きな見所である。

  • 余力十分のターボ車に比べると、NA車の動力性能は下だが、60km/h前後を多用する市街路中心ならば、ターボ車との違いはさほど気にならないだろう。

  • 従来型に比べると、ややアシは硬くなったが、歴代タントが踏襲する柔らかく粘りのある乗り味は健在。路面の段差ギャップの不快感も巧みに抑えている。

  • 新設計エンジンは、噴射方式や点火方式、ポート内循環の改良により安定した燃焼が可能となったが、その恩恵をより受けるのはNAユニット。中速域までならばこれで十分と思える性能を持つ。

icon エクステリア

  • カスタム

  • 全高や最低地上高などのスペックは標準車と共通。ボンネットやフェンダー周りも共通仕様だが、ヘッドライト&リヤコンビライトの意匠はカスタム専用となる。

  • 大きく口を開くグリル下のインテークはカスタムのアイデンティティの一つ。バンパーもエアロタイプが装着するなど、個性的な風貌をアピールする。

  • 前後の大型エアロバンパーに加えて、サイドにも専用ストーンガードを装着。カスタムRSのみ15インチの専用切削アルミホイールが標準装備と、他モデルとの差別化も図られる。

  • 標準ボディ

  • カスタムほどではないが、標準車も従来型に比べると凛々しいフロントマスクを手に入れた。ヘッドライト/フォグランプはフルLED化されるなど、装備面の強化も見逃せない。

  • 標準車のタイヤサイズは155/65R14。スチールホイール仕様のため、シルバーのフルホイールキャップが装着されている。

凛々しさが増した顔つきは 男性ユーザーを狙う意図あり

初代タントはスーパーハイト系の元祖となったモデル。そのパッケージングの考え方は新型まで一貫している。1755mmの全高はこのクラスとしてもトップクラスであり、1BOXミニバンのノアの全高1825mmにも迫る寸法だ。ここまで全高を求めた理由は、キャビンスペースを求めた結果に尽きる。キャビン長も最大級の設定となる。新型で興味深いのは、ロングキャビンの強調とボンネットの存在感の融合だ。フロントピラー位置を前方に置き、かつウインドウ傾斜を立てることでキャビンボリュームを演出しているが、短いながらもキャビンとは区別されたボンネットフードにより、2BOXっぽいデザインとしている。また、初代ほどではないが低めのベルトラインと大きな上下開口のサイドウインドウも、開放的なキャビンを演出する要点のひとつだ。パッケージングの基本コンセプトも踏襲されるが、従来型はファミリー色の濃いフロントマスクだった標準系が凛々しくなったのは、新型のスタイルの特徴のひとつである。男性ユーザーにはまだ少し「ママ的」過ぎるが、カスタムほどスペシャリティを主張したくないというバランスが新型標準系のイメージ。ダウンサイザー対応とも言えよう。

  • 標準ボディ

    インパネも大きくリファイン。ダッシュ上にメーターが移動したほか各パーツの素材感も向上。標準車はグレーを基調にベゼルやトレイ部にグリーンもしくはネイビーを配色し、カジュアル感も演出する。

  • 新型のメーターはダッシュ上に横長に設置。左端には主に車両情報を表示する4.2インチのカラー液晶、中央に速度計、右端にACCなどの作動状況を表示するサブディスプレイが配置される。

  • センターコンソールには、上からディスプレイ、AC吹き出し口、AC操作部とシフトレバーが配置。ナビはレス仕様だがディーラーOPで9インチの専用メモリーナビが用意される。

  • 前後シートは骨格形状から見直された最新設計。低い座面高は確保しつつもクッションの硬さの最適化などにより、ドライブ時の快適性も考慮したシートに仕上げられている。

  • ピラーレス構造が生み出すミラクルオープンドアは新型でも健在。最大540mmのスライドが可能となる運転席ロングスライドシート機構の採用もあって、日常用途の実践力はさらに高まっている。

  • 従来型同様に左右独立スライド分割式を採用するが、シート格納機構は1回の操作でダイブダウンするワンモーション格納に進化。使い勝手がさらに高まっている。

  • カスタム

    基本的レイアウトは標準車と共通だが、クラスターやハンドルレバーなどがシルバーメッキ加飾になるほか、シートやトリム周りの基調色がブラックとなる。

普段使いで重宝できる 実用系機能がさらに進化

 室内長は従来型と変わらない。構造的に限界に達していると考えてもいい。付け加えるなら、レッグスペースの拡大はキャビン設計の第一義ではない。全高に対して座面高は低めに設定されていることもあり、長身のドライバーでもヘッドルームはあり余るほど。座面高は女性でも無理なく乗降できる位置に設定している。低床と掃き出し段差のないサイドシル部も合わせて、乗降性はタントの訴求点のひとつである。その最も象徴的な構造が左側のセンターピラーレス構造だ。ちなみにセンターピラーはスライドドア側に内蔵されている。さらにディーラーOPでは左ドア開閉に連動して展開格納を行う収納式ステップまで用意されている。後席機能は左右独立リクライニングを採用し、L系以外には独立ロングスライド機構も採用する。後席の格納はワンタッチダイブダウン式を用い、格納時の作業性や容量拡大と積み込み易さも向上している。車内移動を多彩にする運転席ロングスライド機構や運転席周りの充実した小物収納など、使っている状況を容易に想像できる便利機能も多い。レジャー用途を狙った機能が少ないことはタントらしいが、普段使いで重宝できる磨き上げられた実践力は大きな見所だ。

DAIHATSU 新型タント 最終結論 「日常で便利」な工夫に加えて 走りの進化も見逃せない

新型タントを簡単にまとめると「普通に使ってとても良い」である。画期的とか圧倒的と言い切れる凄いところはない。考えてみれば一般生活で高性能が求められるシーンは少ないだろうし、そういう用途を軽自動車に求められても無理がある。買い物やちょっと遠出で運転する、家族や友人と時間を楽しむ、そんな当たり前のシーンで気配りを利かせてくれるのが、タントが支持される理由だろう。

その気配りを走行性能へ、さらに深い部分で磨き込みをかけたことが新型のポイント。軽自動車でここまでやる?と思えるほどの走りの進化ぶりは、既存の軽自動車ユーザーはもちろん、コンパクトカーを乗っているユーザーにとっても進化したタントは魅力的に映るはずだ。

ベストバイはどれ?

  • Xターボ(標準系)

    好みならばカスタムRSでもいいが、タントらしい乗り味を持つ標準車に魅力を感じる。ターボ車を選ぶのは、走りの汎用性の拡大とACCや走行ライン制御型のLKAがOPで選べるから。街乗り以上の用途を求めるならばターボは必須だろう。

  • 全車速追従機能付ACCとレーンキープコントロールは、新型の目玉の一つ。ターボ車のみのOP設定だが、高速道路で遠出をするユーザーならば是非とも付けたい装備だ。

icon フレンドシップシリーズ(福祉車両)も充実

従来からダイハツは福祉車両に力を入れているメーカーだが、新型タントでは標準車と福祉車両の「垣根をなくす」ことを狙って、多くのバリエーションモデルをフレンドシリーズとして投入した。ユーザー目線で設計された機構もさることながら、従来の福祉車両に比べて安価に設定された価格や、ダイハツのディーラーで注文できることも大きな魅力だ。

  • リヤゲートから直接車内に車いすを積載することができる、スロープ付きの「タント スローパー」は、細部まで改良実施することで、乗り降りしやすく使い勝手の良い仕様に進化。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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