新型車情報
更新日:2019.09.25 / 掲載日:2019.09.25

DAIHATSU 新型タント vs HONDA N-BOX

現行N-BOXは、今最も国内で売れている軽自動車だが、N-BOXが台頭する前にトップに君臨していたのがタントだった。新型となったタントは、当然N-BOXを意識しており、スーパーハイト系を検討しているユーザーも同様だろう。まさに宿命のライバルとなる、この2台。その実力はどれほどなのだろうか?

チェックポイント1 走り比較

現行N-BOXは穏やかとか和み感を高めているが、その乗り味はタントに比べると硬めの印象が強い。一方、新型タントは歴代同様に穏やかとか和み感を軸とした走りだが、従来型に比べると引き締まった印象が高まっている。総じて安定感のある走りを目指す方向性は同じだが、微妙に走行感覚や乗り味が異なっている。また、パワートレーン関連ではN-BOXのほうが回し気味の制御。D-CVTの採用など画期的な変速機構を手に入れたタントの方が、ゆったりとした力感や洗練感では多少勝っている印象だ。

icon 新型タント

  • パワーユニットはNA(52PS/6.1kg・m)とターボ(64PS/10.2kg・m)を設定。共に低中速域でのレスポンスの良さと省燃費性を武器とする新世代ユニットだ。

icon N-BOX

  • タント同様にNA(58PS/6.6kg・m)とターボ(64PS/10.4kg・m)を設定。スペック上はタントを凌駕しているが、実走行ではその違いは実感しにくい。

王者N-BOXにタントが猛追 機能も同等レベルにパワーアップ

 長い停滞期の後、ホンダ軽自動車の新世代モデルとして刷新されたNシリーズ。パワートレーンやプラットフォームなどすべてが新開発されていた。とは言え、日進月歩で改良を積み重ねてきたダイハツとスズキの実力は相当なものであり、性能面で次世代を標榜できるほどとも言い難かった。Nシリーズとして初めてフルモデルチェンジを行った現行N-BOXは、パワートレーンとプラットフォームを大幅に設計変更。「一新」という表現が妥当な改良が加えられた。全面刷新を行った新型タントに対しても、世代的には同等といえるだろう。さらにリニューアルしたNシリーズには大きな革新があった。それがホンダセンシングの採用である。ACCと走行ライン制御LKAを全車に標準装着。ACCの作動領域は30km/h以上だが、上級クラスでも普及過程にある機能だけに、軽自動車の安全&運転支援基準を大幅に書き換えたのだ。新型タントには、全車速型ACCと走行ライン制御LKAが新採用されたが、ターボ車へのOP設定に留まるなど普及への取り組みを考慮すると、N-BOXの方が一歩前を走っている。両車とも、パッケージユーティリティを含む実用性と走行性能に関しては、スーパーハイト系の基本に準じた設定。つまり、初代タントが敷いた路線である。N-BOXは骨太な印象はあるものの、ファミリーユースを基本とした多用途性がセールスポイントだ。大きな違いはドアタイプ。ともに標準的なリヤスライド式を採用するが、タントは左ドアにセンターピラーレスを採用。N-BOXは標準的な構造である。ボディ設計に関してはタントがイレギュラーであり、N-BOXは燃料タンクのレイアウトに特徴があるものの、スーパーハイト系の標準的なボディタイプといえよう。

チェックポイント2 パッケージ比較

 両車ともファミリー&レジャー向けのユーティリティと居心地を含む居住性は、このカテゴリーの最上位に位置する。差を感じるのは僅かな部分で、積載の多様性はN-BOXに分があるが、乗降性も含めて子供のいる日常用途での使い勝手の工夫はタントがリードする程度。相対的にはN-BOXがレジャー寄り、タントがファミリー寄りだ。

icon 新型タント

タントは左スライドドアにピラー構造を内蔵することで、大開口のミラクルオープンドアを実現。キャビンへのアクセス性は一歩リードしている。

  • インパネ上面を水平構造にすることで運転視界にも配慮。パネルやトリム類の質感はやや簡素な印象も受けるが、レバーやスイッチ類のレイアウトは、最新らしい工夫を感じる。

  • 運転席に最大540mmのスライド機構を与えるなど、リヤドアから直接運転席にアクセスできるシートアレンジは、なかなか重宝できそうだ。

  • 段差がの無いフラットフロアは、荷物を載せる時に便利。1アクションでシートバックを格納できるワンモーション格納により実用性も高まった。

icon N-BOX

開口部の中央にBピラーが配置される。実用面で問題になることは少ないだろうが、タントに比べると制限があるのは事実だろう。

  • 運転席前面にメーター、その横にナビモニターを配置するオーソドックスなレイアウト。手に触れる部分の素材感はN-BOXがリードしている。

  • 後席は左右独立式のスライド機構を持ち、前にスライドさせた状態でも足元は広々。後席座面を跳ね上げるチップアップ機構も備える。

  • N-BOXも1タッチの後席ダイブダウン格納を採用。このカテゴリーのトップにふさわしい多彩なシート&格納アレンジを持つ。

新型タントvsN-BOX 乗り比べ 最終結論

大きな違いは走りの味付け程度 ともに総合力は極めて高い

居住性や積載性などの適応用途&志向では似た者同士だが、細かな部分で差別化を狙っている。大きな違いを感じるのはエンジンフィール。タントはエンジン回転を抑える制御だけでなく、回転を上げて加速させる時も回転変化を意識させない。一方、N-BOXは早めのダウンシフトを行うことで高めのエンジン回転域を積極的に使う特性のため、加速の伸びやかさや運転感覚にリニアなエンジンフィールだ。

洗練感やユーザーフレンドリィな乗り味といったスーパーハイト系の基本となるファミリー用途を重視するならばタントを推すが、レジャー用途や運転の手応えではN-BOXが魅力的だ。ライバルにふさわしい高い水準での争いが始まるのは間違いないだろう。

共に安全&運転支援は トップレベルだが装着設定に差があり

  • 新型タント

    全車速型ACCやLKAなど最新の運転支援が用意されるが、OP(約5.5~6万円)で装着できるのはターボ車のみというのは少々残念。

  • N-BOX

    ACCは30km/h以上で作動する高速型だが、ホンダセンシングがNAモデルを含んだ全グレードに標準装備されることは嬉しいポイント。

新型タントの登場で 他のスーパーハイト軽はどうなる?

  • SUZUKI スペーシア

     真正面からぶつかるタントのライバル車であり、最も動向の気になるモデル。新型タントの進化分はそのままスペーシアのハンデになる。多くは既存のスーパーハイト系ユーザーには大同小異とすることも可能だが、ダウンサイザーや走りの汎用性を求めるユーザーには、先進運転支援機能がないことがハンデとなる。

  • NISSAN/MITSUBISHI デイズルークス/ eKスペース

     遠くない将来に現行デイズ/eKベースにフルモデルチェンジされると予想され、その際にはプロパイロットの展開が注目点になるだろう。タントが高水準で仕上げられていることもあり、現行型はアドバンテージとなる特徴はなく、走りは性能も質感も一世代以上前の印象は否めない。次期モデルに期待だ。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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