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更新日:2018.11.04 / 掲載日:2015.06.30
【アウディ】が月面探索車の開発に技術提供

ユニット・コンパス/Goo-net編集部
アウディは6月25日、「Google Lunar XPRIZE」に参加する唯一のドイツチーム「Part-Time Scientists」とのパートナーシップを発表した。月面探索車の開発に向けて4WDシステムや軽量構造、電気モビリティ、無人運転などの技術的ノウハウを提供する。
Google Lunar XPRIZEは、世界中のエンジニアや起業家たちに低コストな宇宙探索の方法を開発するコンテストで、私的に資金を調達したチームが月面にロボットを着陸させて500m以上の探索をし、高解像度の映像を地球に送ることが求められる。世界各国から25以上のチームがエントリーし、ブラジル、カナダ、チリ、ドイツ、ハンガリー、日本、イスラエル、イタリア、マレーシア、アメリカからの15チームが現在行われているファイナルラウンドに進出。賞金は3000万USドル。
Part-Time Scientistsチームは、オーストリアのアルプスや大西洋に浮かぶスペイン領テネリフェ島などでテスト走行を実施しながら、大部分のパーツにアルミを使用した月面探査車を開発してきた。可変式ソーラーパネルによる太陽光発電でリチウムイオンバッテリーを充電、4つのホイールハブモーターに電力を供給する。フロントヘッドには2台の立体カメラおよび物質をより詳細に観察するための科学カメラを設置している。
アウディはPart-Time Scientistsのパートナーとして、軽量構造と電気モビリティ、フルタイム4WDシステムと自動運転の分野における専門技術を提供するほか、試運転、トライアル、品質チェックなどの面でも幅広くサポートしている。Part-Time Scientistsの月面探査車は、これまでのコンテストの過程で航空宇宙の専門家たちによる審査で、ふたつのマイルストーン賞を獲得。また、ミュンヘンにあるAudi Concept Design Studioでは、この月面探索車を改良した「Audi lunar Quattro」を作成し、理想的な軽量構造の実現も図っている。
月面探査車とAudi lunar Quattroは、2017年にロケットで宇宙へ発射され、約5日間、38万km以上の旅をして月に着陸する予定。目標着陸エリアは、月の赤道より北側の、1972年にNASAが行った最後の月への有人飛行でアポロ17号が降り立った場所付近となる。この場所の気温の寒暖差は、最大で300℃以上になる。
ベルリンでITコンサルタントとして活動するロバート・ベーメ氏が2008年に設立したPart-Time Scientistsチームには、現在約35名のエンジニアが在籍しているが、大半がドイツおよびオーストリアの出身だ。そのほかにも、NASAのトップクラスのメンバーだったジャック・クレンショー氏(アメリカ・フロリダ)をはじめ、3つの大陸の専門家たちがプロジェクトに参加している。アウディ以外には、NVIDIA、ベルリン工科大学、オーストリア・スペース・フォーラム(OeWF)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)など多くの研究所や先進技術を持つ企業がチームをサポートしている。
理論上の最高速度は3.6km/hだが、路面の険しい月面では、速度よりもオフロード走破性と安全に走行できる性能が重要となる。