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更新日:2022.04.20 / 掲載日:2022.04.20
アウディ「アーバンスフィア」発表 全長5.51mのコンセプトEV

アウディは現地時間の4月19日、次世代コンセプトEV「スフィア」シリーズの第3弾となる「アーバンスフィア」をワールドプレミアした。
ラグジュアリーの未来を定義する車内空間




同モデルは、新しいインテリアコンセプトと、車内での新しい体験を実現するデジタルエコシステムに焦点を当て、「スフィア(sphere)」を共通ワードとしたコンセプトEVシリーズで、2021年8月発表のロードスターEV「スカイスフィア コンセプト」、同年9月発表のラグジュアリーセダンEV「グランドスフィア コンセプト」に続くもの。
同社では、交通量が多い中国の都市圏での利用をイメージし、同モデルを開発。パーソナルスペースが不足しがちという都市部において、プライバシーを保ちつつ、ハイテク機能によって五感に訴えかけるラグジュアリーなモビリティエクスペリエンスを生む車内空間を作り上げた。さらに、レベル4の自動運転技術により、ステアリングホイール、ペダル、ディスプレイが格納されたインテリアを、包括的なデジタルエコシステムを提供するモバイルインタラクティブスペースへと変換する。
同社によれば、アーバンスフィアを含めたコンセプトシリーズは、レベル4の自動運転技術を搭載するという点が重要な共通要素となっており、2020年代後半での導入に向けて開発が進められているテクノロジーであるという。
全長5.51m×全幅2.01m×全高1.78mのビッグサイズ




同モデル固有の特徴では、シリーズ最大のボディサイズ。その寸法は全長5.51m×全幅2.01m×全高1.78mで、ホイールベースは3.40mとなった。この大きさは乗員を中心に据え、インテリアからエクステリアを体系的にデザインしたことによるものとしており、快適性を重視しながら、乗員のニーズに応える広大なスペースを創出することに焦点を当てられた。
また、車両にはアウディ独自のオプションと他のプロバイダーからのデジタルサービスを統合した機能を搭載し、ドライブに関連するさまざまなサービスをはじめ、ディナーの予約やオンラインショッピングなどといった多様なタスクを処理可能に。さらに、自動運転によって自宅まで乗員を送迎したり、自動的に駐車スペースを検索して、バッテリーを充電したりすることも実現するとしている。
インテリア中心のデザインプロセス




スフィアシリーズの共通ワードである「スフィア」は、インテリアがデザインの中心的要素に据えられていることを示す。そのため、同シリーズの開発要件において、パワートレインやドライビングダイナミクスといった用語は上位から外れており、代わりにインテリアがデザインとテクノロジーの基盤に据えられる。
同モデルでは観音開きのドアを採用し、Bピラーを排除。これにより、開放的な搭乗口を実現し、アクセス性を向上。さらに外側に回転するシートと地面に投影されるレッドカーペットにより、クルマに乗るという単純な行為を快適で魅力的な体験へと変化させる。
2列4座のシートはすべてセパレートで、ファーストクラスを思わせる快適性を提供。リヤシートは特に広い寸法と調整幅で設計され、リラックスモードとエンターテインモードでは、背もたれを最大60度までリクライニングでき、レッグレストを伸ばすことも可能。中央に装備されたアームレストは、シートの側面に組み込まれた。また、これらのシートは回転して車座のような形にすることもできる。
ヘッドレスト後方にはプライバシースクリーンを設け、必要に応じて頭部を隠すことが可能。また、各シートのヘッドレストにスピーカーが備わり、フロントシートの背もたれにはディスプレイも内蔵する。さらに、ルーフに設置された大型の透明OLEDスクリーンを前後列の間に回転させ、エンターテイメントを楽しむこともできる。
室内全体は水平基調のラインで、車両の幅広さを強調したデザインに。自動運転時にはステアリングホイール、ペダル、従来のダッシュボードが格納され、よりクリアで広々とした空間が生まれる。また、リヤシート間のセンターコンソールにはウォーターディスペンサーとグラスが格納されている。
先進性を追求したディスプレイ


走行中の情報を映し出すディスプレイは、運転席前のウッドパネル全体に表示され、走行状況によって画面が左右に分割される。また、投影面の下に一体化したセンサーバーがあり、音楽再生やナビゲーションなどのコンテンツが切り替えられる。
ドア開放部の近くにはMMIタッチレスレスポンスを装備。回転するリングとボタンを介し、各種機能を直感的に操作できる。シートを後方にリクライニングさせている場合には、アイトラッキングやジェスチャーコントロール機能、ボイスコントロールなどを組み合わせて操作を行うことも可能だという。
従来の発想にとらわれずデザインされたエクステリア





外観は、大きな弧を描くダイナミックなルーフラインとバッテリーユニットが収納された巨大なシルエリア、そして大径24インチのホイールで構成されるボディはシルエットの流麗さとダイナミックさを演出。これらはすべて、90年代に発表されたAudi Avus quattro(アヴス クワトロ)コンセプトカーからヒントを得ていという。また、シングルフレームグリルはアジェイセントライティングユニットと呼ばれるデジタルライトを備えた大型のキャンバスとなり、動的な照明効果によって周囲へのシグナルを発信する役割を持つ。リヤにも同様の大型のデジタルライトを装着した。
最大航続距離は700km quattro 4輪駆動システムも搭載

電気自動車専用プラットフォームのPPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)を採用し、120kWhのエネルギー容量を備えたバッテリーモジュールは前後のアクスル間へフラットにレイアウトされている。
モーターは、295kWの合計出力と、690Nmの最大トルクを発生する、2基の電気モーターをフロントおよびリヤアクスルに1基ずつ搭載。quattro 4輪駆動システムも搭載し、必要に応じて適切な4輪駆動を実現する。
駆動システムの中心的要素は800Vの充電テクノロジーで、急速充電ステーションを利用すれば最大270kWの出力で充電を可能に。25分未満で5〜80%まで充電可能で、1回のフル充電で最大700km(WLTP基準)の航続距離を実現しているという。
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