成長が続くレクサスで買うべき１台【九島辰也】

文●九島辰也 写真●レクサス

　2022年もひと月が経ちました。早いものです。そんな中自動車業界では次々と昨年の総括が行われています。先週お届けしたステランティスのように、販売台数の集計が整ったようです。

　総体的にみて、自動車業界は世界的なパンデミックにも関わらず各社数字を伸ばしています。コロナによる工場閉鎖や半導体不足が叫ばれながらの成長ですから驚きです。みなさん「いつかはあれに乗りたい！」と思っていたものに飛びついたんですかね。「いつかは……」が来ないかもしれないと感じたら今しかありませんし。それにこれだけ外出を自粛したら意外にお金使いませんから「クルマでも買い換えるか」となったのかと。いずれにせよ、各メーカーの発信するニュースリリースには前年比100％オーバーの数字が並びます。

　レクサスもまたそのひとつです。昨年一年間の世界販売台数は76万台を超えました。前年比106％です。トップのエリアは北米で33.2万台、それに続く中国は22.7万台にのぼります。第3位はヨーロッパの7.2万台。日本はその次の5.1万台でした。レクサスとしてはヨーロッパでもう少し売りたいところでしょう。世界的なプレミアムブランドのお膝元だけに、ここでの販売拡大がブランドの自信につながると思います。そうなると、日本の販売台数も自然に増えるかと。

　こうした実績に貢献したのは、ES、RX、UXのハイブリッドモデル。電動車の販売台数は合計で約26万台となります。全体の1/3ですね。意外に少ないかも。ただ、昨年末NXにレクサス初のプラグインハイブリッドが追加されたので、今後はさらに伸びていくでしょう。それに彼らは2030年までにすべてのカテゴリーで完全な電気自動車、いわゆるBEVをラインナップし、北米、中国、ヨーロッパの市場でBEV100％にしようと計画しています。となると、ヨーロッパでは今より注目度が上がるかもしれません。あちらの主要都市は電動車推進の機運が進んでいますから。

　それじゃ今日本でレクサスを買うとすれば、どのモデルを狙えばいいのか？　新車であれ中古車であれ、人気はやはりSUVだと思われます。中でもNXはいろいろな面で使い勝手が良さそうです。世界的にはRXの方が台数を稼いでいますが、日本では少々大き過ぎると思われる場面もありますからね。ちなみに、BMWでも同じような現象が起きていて、世界的にはX5が売れていますが、日本ではX3の方が人気だったりします。

　NXのいいところは、サイズによる機動力もそうですが、初代も新型もカタチがあまり変わらないので、どれを選んでも古さを感じません。それに中古車マーケットでタマ数が多いことから、パワーソースや仕様、ボディカラーを選ぶことができます。価格帯はデビュー時の2014年や2015年式で300万円前後。3年落ちくらいで400万円オーバーってところでしょう。つまり、寝落ち幅が小さい。となれば、高年式を買った方がお得な気がしなくもありませんがね。

　以前レクサスの方に聞いたことがありますが、NXオーナーは新しいNXに乗り換える比率が高いそうです。となると、大事に乗られていたケースが多い気がします。それだけ気に入ってるってことです。

　ではRXはどうかというと、発売が早かったので中古車の台数はかなりあります。NXとは比べ物にならないほど。ですが、レクサスらしさで言えば、スピンドルグリルを装着した2015年以降の4代目となるので、それなりのプライスがつきます。個人的には3代目も個性的で嫌いじゃないですがね。

　SUV以外ではGSやRCが狙い目だと思います。SUVトレンドを無視すれば、デザインはかっこいいし、走りも悪くありません。GSの狙い目はやはりスピンドルグリルを付けた4代目でしょう。2012年から最終型2020年までほぼ同じです。なので、4代目デビュー時のG250あたりが手頃かと思います。古さは感じません。200万円少々で見つけられそうです。

　さらに推しなのがRCです。2014年デビューからカタチが変わっていないので、当然古さは無し。2ドアクーペはスタイリッシュでスペシャルな雰囲気です。SUVに飽きてしまった人なんかどうでしょう。価格は絶対的な台数が少ないので高値維持ですが、探せば200万円台も見つけられます。街中であまり見かけないのも選ぶ理由のひとつです。

　というのが、今週の話し。日本で唯一のプレミアムブランドだけに、しっかり育っていってもらいたいです。BEVも期待しましょう。マスタードライバーの豊田社長が開発中のBEV、レクサスRZを運転しながら雄叫びをあげている動画を観て、そんな風に思いました。