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更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.02.09
新型ステップワゴン先取りチェック
今年はミニバン界がとくに熱い! 年明け早々にホンダから新型ステップワゴンの概要が公表され、トヨタからも新型ノア/ヴォクシーが発表されたからだ。そして近日、日産・新型セレナの登場も噂されているだけに目が離せない。ここでは、スクープを交えて新型ステップワゴンの最新情報をチェック!
●文:渡辺陽一郎 ●写真:奥隅圭之
今春発表&発売予定、光る2つの個性! 原点回帰でスマートに変身

ミニバンの本質に迫った
「原点回帰」を図る新型
1996年に発売された初代ステップワゴンは、全高が1800㎜を超えるミニバンとして最初のFFモデル。後輪駆動を採用した当時のライバルに比べると、床が低くて乗り降りしやすく室内高にも余裕があり、低重心のため走行安定性も優れていた。水平基調の外観は視界が良く快適だった。
そして先日、内外装と概要を公開したのが6代目となる新型である。ミニバン界のトップランナーだった初代や2代目の特徴を改めて見直して開発に取り組んだ意欲作だ。開発過程では、2代目の中古車を購入して活用したという。
新型は先代型の標準ボディに相当するシンプルなエアーと、力強さや品格を重視するスパーダを用意。開発者は「エアーは文字通り空気のような馴染みやすさを大切にした。スパーダも存在感は強調せず自然な印象に仕上げた」という。これは今のホンダ車の流れに沿っており、先に挙げた初代や2代目に通じる特徴でもある。
内装も馴染みやすさを大切にデザインされた。インパネは水平基調で視認性と操作性に優れ、上面も平ら。フロントピラーの形状も工夫され、正面と斜め前方の視界が先代型以上に向上している。
同乗者の視界にも配慮。1/2列目シートバックには丸みがつけられ、後席に座っても前方視界は良好だ。着座位置は2列目で10㎜、3列目では20㎜高まり、見晴らしも良い。
ボディ形状も工夫されている。先代ではサイドウインドウ下端を持ち上げていたが、新型は水平に近づけて視界もスッキリ。また、ホンダではクルマ酔いの研究も行っており、その成果を開発に反映させたのも見どころだ。「子どもは自分の体がスッポリと収まる3列目シートを好むが、閉鎖感も生じがち。クルマ酔いを誘発するので3列目の視界には特に配慮した」という。
プラットフォームは先代と共通でホイールベースも等しい。従って各シートの前後方向の間隔は先代と変わらないが、左右方向は広がった。頭上と足元には十分な空間が確保され、身長170㎝の大人6名が乗車した場合、2列目の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、3列目の膝先にも同程度の余裕が生じる。多人数で乗車しても快適なのだ。
2列目には、膝から先を支えるオットマンを備えたキャプテンシートも用意される。スライド機能は前後方向に加えて、左右の調節も可能。3列目を床下に格納して2列目を内側に寄せると、前後に865㎜スライドできるから、足を伸ばして座れる。
3列目は床下格納式のため、座面寸法は先代と同様に1/2列目よりも短いが、座り心地は改善された。深く座っても、先代と違ってシートの骨格が腰に当たらない。座面厚も20㎜増しており、着座時の底突き感も解消されている。
一方、荷室機能は先代の特徴的な「わくわくゲート」が廃止。縦開きのテールゲートに横開きの細長いドアを内蔵し、狭い場所で開閉できて、乗員の乗り降りにも使える便利な装備だった。しかし、市場評価を得られなかったため、新型では採用を見送ったという。その代わり電動開閉式のパワーテールゲートが用意されている。
なかなかに意欲的な新型ステップワゴンだが、実は今年はミニバンイヤーともいうべき1年なのだ。ライバルのノア/ヴォクシーも先日フルチェンを行った。プラットフォームは現行プリウスから採用を開始したタイプに刷新されてハイブリッドも大幅に進化。ノーマルエンジンもハリアーなどと同じ新しいタイプになった。燃費数値はノーマルエンジンが約14%、ハイブリッドは約20%も向上。また、車両の接近を検知してスライドドアを開く操作を停止させたり、スマートフォンを使って車庫入れを車外からリモート操作できる機能など、先進的なメカニズムや装備にも力を入れている。
そして、セレナも今年新型に刷新される可能性が高い。具体的な内容は公表されていないが相当な実力を備えているはずだ。
このように新型ステップワゴンには強力なライバルが待ち受けているが、優れた視界やミニバンの本質を突いた快適な居住性、荷室や収納の使いやすさにおいて、新型ステップワゴンは十分な魅力を持っている。最近のミニバンは、存在感の強い外観、豪華な内装といった付加価値を追求するが、新型ステップワゴンは多人数での移動や大きな荷物を積むミニバン本来の価値を大切にしている。これこそ原点回帰と言えるだろう。
AIR(エアー)
シンプルでクリーン。ミニマルなデザインが光る
「安心」と「自由」を表現したというシンプルな佇まいは、最近のホンダデザインの流れを汲むもの。ボディ表面の抑揚に頼ったディティールではなく、塊としての表現を大事にしたというデザイナーのこだわりが感じられる。独特の存在感が個性的であり大いに魅力だ。



















SPADA(スパーダ)
ソリッド感が新鮮だ! スパーダの新しい表現法
新型ステップワゴンでは「素敵な暮らし」を大きなテーマにしているが、スパーダでは「もう一つの、素敵な暮らし」を提案。精悍なフロントマスクは歴代のスパーダに通ずるが、無駄な抑揚に頼らないすっきりとしたフォルムは最新のホンダデザインだ。





















【SCOOP】新型「ステップワゴン」の主要装備等が判明!(編集部調べ)
販売店に独自取材を行ったところ、2月になればステップワゴンの価格が明らかになる見通しのため、その段階で予約受注も開始する予定とのこと。気になる発売時期は4月から5月が濃厚だ。そのほかキャッチした情報は下記の通り。
AIR(エアー)
・フルLEDヘッドランプ
・後方誤発進抑制機能
・近距離衝突軽減ブレーキ
・オートハイビーム
・トラフィックジャムアシスト
・両側スライドドアの電動格納機能
SPADA(スパーダ)
※エアーに以下の装備を加える。
・ブラインドスポットインフォメーション
・パワーテールゲート
・2列目キャプテンシート
SPADAプレミアムライン
※スパーダに以下の装備を加える。
・アダプティブドライビングビーム
・17インチアルミホイール
メーカーオプション
・マルチビューカメラシステム
ボディカラーは全部で合計7色を設定
・エアー:5色
・スパーダ:5色
アクセサリー/カスタマイズ
2つの個性の純正アクセサリー仕様に注目!
新型ステップワゴンに設定された2つのグレードの世界観と個性をより引き出した、純正アクセサリー仕様車も見逃せないところ。「AIR」では、アウトドアフィールドで映える“ギア感”を表現した“SPORTS MIX”をテーマに、「SPADA」では上質感を演出するメタリック基調のカスタマイズを施した“Emotional Solid”をキーワードにしたアクセサリーを揃える。そのほか、11.4インチの新型大型ナビや新型15.6インチの後席用モニターもラインナップする。


STEP WGN e:HEV SPADA Concept
東京オートサロン2022で登場
新型ステップワゴンのカスタムバージョン
先日開催された東京オートサロン2022に展示されていたのが、新型ステップワゴンSPADAの上級グレード「プレミアムライン」をベースにしたカスタムコンセプト。ピラーやルーフにグラデーション塗装が施されていたほか、タイヤ&ホイールもスポーティなサードパーティ製のものが装着されている。
